Manachanです、こんばんは。
今日は、ちょっと知的に(?)、アジア新興国通貨の話でいきますね。
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私が代表をつとめる、「アジア太平洋大家の会」・・・昨年2月に発足して以来、会員数は増え続け(現在750名)、
折しも海外不動産投資ブームにも乗って、東南アジア新興国を中心に、ものすごい数の不動産物件を、(私を含めて)会員が買ってきました。
中でも人気ベスト3は、マレーシア、フィリピン、タイ。日本に近くて行きやすく、経済成長が続き、法制度もそれなりに整備された3カ国。すでに、海外不動産の定番ですね。
しかし、日本人投資家にとって、気になるのは、「為替レート」。
現地で不動産買って、順当に値上がったとしても、「いま、円に換算したらいくらなの?」・・・これがどうしても、気になってしまいます。
特に、今は円高の時代。いま、米ドルもユーロも、そして新興国通貨も、日本円に比べれば値を下げてしまっているのが常。
ここ1年、マレーシアリンギットも、タイバーツも、しっかり、円に対して下落しています。「アジア太平洋大家の会」発足時(昨年2月)現在を比べてみると、
マレーシアリンギット
27.0円 → 24.7円 (8.5%下落)
タイバーツ
2.70円 → 2.50円 (7.5%下落)
ところが、フィリピンペソだけは、なぜか、あまり下がっていません。
フィリピンペソ
1.90円 → 1.84円 (3.1%下落)
対・米ドルで、東南アジア各国通貨の為替レートの、ここ3年間の推移をみると、傾向がさらにはっきりします。
・マレーシアとタイ、インドネシアは、リーマンショック以降、勢いよく価値を上げてきたが、ここ1年の間は対ドル下落傾向
・ベトナムは、対ドルで、一貫して下落傾向
・ところがフィリピンは、リーマンショック以降、勢いよく価値を上げた上に、ここ1年も対米ドル為替は安定
私はフィリピンでマンション3戸買っています。これはもちろん、フィリピンペソ建ての資産ですが、
米ドルに対しても、ましてや日本円に対しても、価値がほとんど毀損しない・・・ペソの安定感は抜群だと感じています。
フィリピンで物件を買った、他の多数の投資家さんたちも、同じ感想を抱いているのではないでしょうか?
なぜいま、「フィリピンペソ」が最強なのか?
非常に難しい問題ですが、一つの仮説として、私が考えるのは、
・フィリピンは、マレーシアやタイに比べて、海外からの直接投資(FDI)の割合が低い
・その代わり、海外に出稼ぎに出たフィリピン人(OFW)からの送金の割合が高い
・だから、世界経済が好調で、直接投資が盛んな時期は、ペソはリンギットやバーツの勢いに負ける。
・反面、世界経済が不調な時期になると、ペソはどの国の通貨よりも安定する
端的な例として、フィリピンとマレーシアを単純比較してみましょう。
現時点では、マレーシアの方が、国民経済としてみれば、フィリピンよりはるかに先進国に近く、所得も高い。人口はフィリピンが3倍以上多いですが、GDPはほとんど同水準です。
しかも面白いことに、マレーシアは海外直接投資(日本など海外各国から、工場・ビジネス移転などのかたちで投資)を大きく受け入れているのに対し、
フィリピンの場合、海外直接投資の割合が低く、代わりに、世界中に出稼ぎに行った自国民からの送金の占める割合が非常に大きい。
人口
マレーシア 2700万人 フィリピン 9400万人
GDP
マレーシア 2400億ドル フィリピン 2000億ドル
海外直接投資(FDI)
マレーシア GDPの5~6% フィリピン GDPの0.5~2%
海外送金
マレーシア GDPの0.5~1% フィリピン GDPの10%
ま、普通に考えれば、フィリピンよりマレーシアの方が、はるかに「真っ当な経済成長」を遂げているといえるでしょうね。
マレーシアは、海外投資を受け入れ国内に雇用をつくり、国民が海外に出稼ぎに行かずとも食えるのに対し、
フィリピンは、海外投資が少なく、国内の雇用も不足しているが故に、国民が海外に出稼ぎに行って、その送金に頼っているわけなので・・・。
ですがこのことが、世界経済がピンチな時における、「フィリピンの不思議な強さ」に結びついている面もあると思うのです。なぜか?
マレーシアの外国直接投資は、外国人が意思決定しています。
一方、フィリピンの外国送金は、出稼ぎに行ったフィリピン人が意思決定しています。
いま、なぜマレーシアリンギットの価値が下がるのか?今は、欧州をはじめ、世界経済・金融がピンチの局面ですので、
これまで、マレーシアに投資してきた欧米の金融機関や多国籍企業が、マレーシアから投資を引き揚げ、自国の損失補てんに充てる。だから、リンギットに対する需要が落ち、この通貨の価値は下がる。
1997年のアジア経済危機で、マレーシアが一気に苦境に陥ったのも、まさにこのパターンでしたね。
一方で、フィリピンの場合、そもそも海外直接投資の割合が高くないので、外資が引き揚げたところで、影響はたかが知れている。
むしろ、フィリピンにお金をもたらしているのは、海外に出稼ぎに行ったフィリピン人であり、彼らの本国の家族に対する思いは、変わらない。送金額は減らない・・・
だから、ペソは下がらない。この通貨は、世界不況に強いのです。
でも、よく考えれば・・・フィリピン人が一番多く出稼ぎに行ってる「米国」の景気が落ちたらどうなるのか?
リーマンショックの年、確かに、米国からフィリピンへの送金は減りました。
でも、出稼ぎフィリピン人は、年々、進化しています。サウジアラビア、日本、シンガポール・・・米ドル圏外にも、たくさん出稼ぎに出ていますし、しかも、出稼ぎ者の高学歴化、高収入化も進んでいます。
たとえ米国がコケても、世界中に散らばったフィリピン人の送金は、止まらない。これまで、一貫して増え続けています。
あと、世界経済が不況になったら、収益の落ちた先進国企業が、ビジネス機能を労賃の安いフィリピンに移すニーズが高まります。
フィリピン人は英語力が抜群に高いので、欧米企業アウトソーシングの受け皿になれるのです。
以上をまとめると、フィリピン経済は、世界経済が好調な時は、製造立国として成功しているマレーシアやタイに(インドネシア、ベトナムにさえ・・)、見劣りしてしまうけど、
世界経済が不調になったら、「年々進化する、出稼ぎ者の海外送金」と、「英語を活かしたアウトソーシング」の二本立てで、抜群の粘り腰を発揮する不思議な経済。
かくして、フィリピンペソは下がらない。世界不況に強い通貨なのです。
私思うに、東南アジア新興国で資産を持つなら、
「世界好況に強いマレーシア」と、「世界不況に強いフィリピン」の両方に投資して、通貨の面でリスクヘッジをするのが良いと思います。
新興国にも、いろんなタイプの経済・通貨がある。
「おいしいとこ取り」でいきたいものですネ。
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