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「千葉4強」と市川市の再躍進

おはようございます、Manachanです。いつもご愛読ありがとうございます。今回は日本の総人口が減少するなか東京圏だけが人口拡大する「いまの時代」を、「千葉県」に焦点をあてて書いてみますね。

 

日本の総人口(日本人+外国人)は2008年にピークを迎えた後、10年連続で減少が続き、この期間中に150万人減りました。でも東京に住んでると、人口が減ってる実感が全く湧きません。毎年、近所に新築マンションが建って、新しいショッピングセンターができ、小中学校の児童数が増え続ける東京周辺は、いまの日本で唯一「成長の時代」に居るかのようです。

総務庁「日本人の転入超過数」データをみると、バブル崩壊以降、ひとり東京圏だけが全国の人口を吸い上げてる構図が一目瞭然ですね。

 

東京の拡大は、都内のみならず近県にも及んでいます。特にここ2~3年、人口増加の勢いが増しているのが「千葉県」です。県別の転入超過数(日本人)でいうと、東京都がダントツ1位なのは当然として、2位は埼玉でも神奈川でもなく「千葉」なのです。

 

市町村別の転入超過数データをみると、「千葉の元気さ」がさらに際立ちます。特別区・政令指定都市を含む全国上位20市のうち、7市が千葉県内にあるのです。

千葉県内で特に人口増加の勢いが力強いいくつかの都市を、私は「千葉3強」ないし「千葉4強」と呼んでいます。特に2016年以降、市川市が急躍進して県内トップグループに加わったので今は「千葉4強」の時代ですね。

【千葉3強】(2015年まで)
流山市 (日本人転入超過数全国8位)
柏市  (同9位)
船橋市 (同10位)

【千葉4強】(2016年以降)
上記に加えて市川市(同17位)

 

「千葉4強」はいずれも東京都心から30km圏内にあり、直通鉄道で結ばれるベッドタウン。^そのうち流山、柏、船橋の三市(千葉3強)は、「つくばエクスプレス」(開通2005年)や「東葉高速」(同1996年)といった、バブル期以降に全線開通した通勤鉄道の沿線地域を含んでいます。

 

新鉄道沿線は、これまで人口希薄な田園地帯だったところに、一気に住宅開発が進み、商業施設と学校・病院ができて街が形成されるという、誰の目にも分かりやすい人口増加がみられます。特に新線開通効果の高い流山市と柏市は、震災後の風評被害を受け人口流入が鈍った2011~12年を除き、その後6年以上、単月で社会減(流出超過)になったことが一度もないという凄まじい強さ。船橋市でもなぜか毎年12月に社会減になるのを除き、他の月はすべて社会増が続いています。

 

千葉最強「流山市」、つくばエクスプレス新駅が3つもできて絶賛都会化中。

 

ふなっしーで有名な「船橋市」、梨畑が新興住宅地に変わる。

 

「柏市」柏の葉キャンパスタウンは国際的にも注目されるハイテクシティ。

 

私は柏市出身者です。自分の地元が「都心から遠く離れた郊外なのに、都内のたいていの区より勢いがあるのはなぜだろう?」と興味を持ち、地域別の人口動静を調べたことがあります(発展都市「柏」の南北問題)。その結果、次のことがわかりました。

・つくばエクスプレスが開通した「北部地区」の人口が増えるのは当然として、

・既存の常磐沿線「柏駅を中心とする中央地区」にも人口流入が続いている。

 

私はこういう仮説を立てています。いま千葉県内の東京近郊地域で、人口増加のメカニズムは二つあって、

1)新通勤沿線への人口流入(日本人、マイホーム購入層が中心、都心30~40km圏まで)

2)既存沿線への人口流入(日本人+外国人、都心20~30km圏まで)

 

特に2)のパターンで人口を大きく増やしているのが「市川市」。ここの人口増加は日本人と外国人、両方をみないとわかりません。2015年10月の国勢調査から日本の人口統計が大きく変わり、日本人と外国人のそれぞれの人口動向が数値化されたことにより、市川市が人口を大きく伸ばした構図が浮き彫りになってきました。

 

市川市は千葉県内で最も早期に東京ベッドタウンになった都市。県内では住宅開発時期が古く、新規鉄道開発もないため2000年代に入ってから人口増が停滞。2010年7月にピークを打ってから、11年3月の東日本大震災の影響で減少傾向に転じ、その後ピーク時の人口を回復するのは5年余り後の15年9月のことです。

その頃から、市川市の人口増加が著しくなりました。2016年以降の総人口増ペースをみても、「千葉3強」(流山、船橋、柏)と遜色ない数字が並び、今やすっかり「千葉4強(四天王)」の一角として、県内人口を引っ張る立場になりました。

 

同時期の社会増をみても「4強」の構図が明らかです。

 

市川市の社会増内訳を国籍別にみると、うち37.6%は外国人の増加が寄与しています。これは県内でも松戸市、千葉市と並んで高い水準です。つまり市川市は、新鉄道開通がなくても東京への交通アクセスに優れ、「日本人も増えて、外国人も増えた」結果、4強の一角にのし上がったのです。

 

先ほど書いた、人口増要因の仮説を、「4強」各市に当てはめると、次のようになると思います。

1)新通勤沿線への人口流入(日本人、マイホーム購入層が中心、都心30~40km圏まで)
⇒流山市◎、柏市〇、船橋市〇、市川市×

2)既存沿線への人口流入(日本人+外国人、都心20~30km圏まで)
⇒流山市△、柏市〇、船橋市◎、市川市◎


以上、このように整理すると、千葉県内の東京近郊地域で、どのようなメカニズムで人口が増えているのかが理解しやすいと思います。特に、「4強」の流山、船橋、柏、市川は現時点で全国屈指の人口増加地帯であり、それは「東京への人口再集中」を反映した動きといえます。

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移民国家(?)に向かう日本と、東京生活者の視点

こんにちは、Manachanです。いつもブログご愛読ありがとうございます。

私たち家族が、東京の江東区、東陽町駅近くの我が家に越してきたのが2007年。もう11年暮らしてますが、この間、目に見えて変化したのが、近所に外国出身者が本当に増えたこと。

 

我が家も妻が台湾系オーストラリア人、隣家のお母さんはフィリピン人で、インド人の隣人も多い。区立小中学校では外国ルーツの名前がクラスに3人くらい居て、PTAでも日本語通じにくい保護者への連絡が課題になっている。近所のスーパーではインド人のチームリーダーがモンゴル人のアルバイトを日本語で指揮している。コンビニや居酒屋で外国人など当たり前(むしろ日本人の方が珍しい)・・・

私が育った頃は周りに見渡す限り日本人しかいませんでしたが、今では明らかに違う景色が広がっています。「外国出身の隣人が増えた」実感は、データでも裏付けられています。江東区の総人口に占める外国人比率は、直近20年で2.5倍になりました(2.28%→5.65%)。

 

折しも、「入管法改正案」が政府から提出されました(関連記事)。これが外国人単純労働者の受け入れ拡大、なし崩しの移民受け入れになるのではないかと、各方面から議論反発が起こっており、これから与野党攻防の政争の具になるんでしょう。単純な構図で言うと、こうです。

 

形而上では

「移民国家嫌だ」という声(勝)  >  「移民として受け入れよう」という声(負)

 ⇒だから、安倍さんも表だって移民受け入れとはいえない。

 

形而下では

「人手が足りない」現実  (勝) >「賃金上昇・自動化で日本人だけで乗り切ろう」という意見(負)

 ⇒だから、在留資格を2つ新設して、外国労働力を受け入れやすくする。

 

政府がこれからやること

表立っては言えないが、外国人労働者と家族が一定数日本に定住することを想定して、諸法制を整理。例えば、

 ⇒外国人の国民健康保険や国民年金の適用条件をどうする?

 ⇒外国人の児童に対する日本語教育体制をどうするか?

 

日本社会の厳しい労働力不足と、移民に関する許容度・言論成熟度に鑑みれば、現時点では安倍政権が推進する「入管法改正」位しかたぶん現実的な手はないし、野党も文句言う以外、実質的には何もできないでしょう。人口減少日本がいずれ通る道だったと考えると、自民党の長期安定政権の時代に処理できることはむしろ幸いだと考えます。

私たちの身の回りに起こることは、それなりの現実があって、起こるべくして起こっています。なぜ外国の人が日本に来るのか?それは、日本が人手不足だからです。介護、建設、宿泊、農業、小売…いろんな業種で、もはや「外国人の人手なしでは日本社会が回っていかない」現実があるのです。

いや人手不足なんて、いやそんな生易しいものじゃない。日本の人口構造上、労働人口・生産年齢人口の減少がさらに加速していく…好不況の波云々以前に、構造的に足りないし、たぶん今後もっと足りなくなるのです。

 

2018年の日本
 ⇒15~64歳の人口  54万人 減
 ⇒外国人純流入     15万人 増

2028年の日本
 ⇒15~64歳の人口  56万人 減
 ⇒外国人純流入     ??

2038年の日本
 ⇒15~64歳の人口  109万人 減
 ⇒外国人純流入     ??

(注)2018年は総務庁の「日本の人口」の直近のデータ、2028年、38年については社人研の「出生中位、死亡中位」平成29年推計を使用

 

日本社会においては、形而下の力学が物事を決めます。つまり、「人手が足りなくて現場が回らないから、日本人(高齢者・女性)の労働参加率を高めて外国人も入れる」方向で結局は動きます。

「自動化して、日本人の給料を上げればいい、安い外国人労働者入れるな」という人は、ビジネスが分かってないですね。自動化するには設備投資がかかります。それでも人の手がかかる業務はゼロにできないから、何を自動化して何を人力でやるか、業務を切り分けないといけない。その間にも、実際に人が足りなくて事業が遂行できない。それをどうするのか?

自民党には人手不足に悩む業界が、全国からたくさん陳情に来て、政府に入管法緩和してくれと言ったそうですね。外国人が増えるのを懸念する気持ちは当然ですが、いま差し迫った労働問題についてちゃんと代案を用意できるとは思えない。だから結局は「改正入管法」が通ると思います。

 

一方、(日本においてあまり重要でない)形而上の論戦においては、「移民社会になるのは嫌だ」という声が「移民として受け入れよう」という声を、今後20年くらいは圧倒すると思います。少なくとも現時点で、私は日本が移民社会に向けて舵を切るかという重いテーマを直視してまともに議論できるとは思えないです。

で、結局は政府・お上の出番になります。外国人労働者は受け入れる、そのうちの一定割合は日本に定住するから、本音と建前を使い分けつつ、健康保険や年金等、諸制度を整理して最適解を探る…ということになるでしょう。

 

別に日本がみっともないとは思いません。諸外国、どこでもそんなもんです。移民を社会に受け入れるっていうのは、大変なことでして、

・ドイツは、トルコ人労働者を受け入れてから、自らが移民国家だと自己定義するまでに、40年かかりました。

・オーストラリアは、白豪政策を始めてから、有色人種を移民として受け入れるようになるまで、70年かかりました。

だから、移民受け入れ経験の乏しい日本が今から何をやっても、まともな議論になるまで数十年はかかるのです。

 

東京江東区の生活者としていえば、「改正入管法がどうなろうとも、どっちみち外国出身者は増える。それはもう織り込み済」です。

だって、入管法改正がなくても、現に直近20年間で外国人比率2.5倍になっているんです。「外国人もう近所にたくさん住んでるじゃん、多文化共生の時代に入ってるんじゃん」…まずその事実を受け入れるところからスタートしないと。特に東京のようなインフラの整った都市部で外国人定住者がさらに増えるのはほぼ必然でしょうから、それを前提に物事を考えていかなければならないと思います。

どっちみち、東京は外国人を含む多文化な社会に向かうんですから、プラスの方向で考えたいですね。生活者視点でいうと、

・私たちは、日本語を母語としない隣人にも分かりやすい「簡単な日本語の話し言葉、書き言葉」を使うスキルを身につけるべきでしょう。それは、英語を覚えるよりも大事だと思います。

・私たちの隣人たちは、英語のみならず中国語やインドネシア語、タイ語やベトナム語、韓国語、ヒンディー語、ロシア語など、日本の将来にとって大事な言語を使えるでしょう。彼らからその言葉や文化を学ぶのは大事で、それは学校でALTから英語を学ぶよりもずっと効果的だと思います。

・そういう地域社会で育つ子たちは、Culcural Diversity(文化の多様性)に慣れているわけですから、その感覚が多国籍企業や国際機関等で働くのに大いに役立つと思います。

 

今後20年30年経った後の東京の将来がどうなるのか?…今の東京とは多少違う姿かもしれませんが、そう捨てたものではないのかも。たぶん、「世界中から集まった人の暮らすメトロポリタンな、フツーの先進国首都」になると思いますよ。ロンドンとかシドニー、ベルリンやシンガポールのような状態に近づくのでしょう。

 

(2018/12/7  追記)

本音をいうと、「入管法改正なくても20年間で外国人比率2.5倍」、「法案云々以前にさらに増加は既定路線」な東京23区内の住人として、具体的かつ戦略的な議論をしたいのです…たとえば、

1)世界の高度人材マーケットと、日本の客観的位置づけ
→どの分野で、どのレベルの人材が、年俸いくら位で来日すると想定されるか?
→日本と競合する国はどこで、競争のポイントはどこになるか?
→日本国として、どういう人材を、どの位受け入れたいか?
→そのために合理的な制度設計はどうなる?既存法令との整合性は?

2)日本国内の労働マーケットと、中長期労働力需要・供給の分析
→過去データから、どの分野で、どのレベルの労働力が、どれだけ不足しているか?
→今後10年の人口構成や労働需要から、不足ギャップはどのようになるか?
→その不足を日本国籍者だけで補うのは可能か?どんな課題がるか?
→外国籍者で補う場合は、どの分野でどの位の人数を受け入れたいか?
→そのための合理的な制度設計はどうなる?

ここ2~3週間、改正入管法に関する有識者のメルマガを結構読みましたが、上記のような具体的な議論をしようという人は全く見当たりません。残念ながら、現時点で日本の「民」の議論に、私は全く期待していません。

海外各国で暮らした経験から、頭のなかにアイデアは豊富にありますが、その活かし方としては、現時点では政府のアドバイザーになるしかないのかなあと思います。

このテーマに関して、どうせ民はお上に言うだけで丸投げなんだし…であるなら、お上にまともな判断するように入れ知恵する側に回りたいと思うのです。

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函館の地元で、街興しの仕事を一緒に創りませんか?

拝啓 函館在住の皆様、函館を愛する旅人の皆様へ

 

こんにちは。私は東京在住で、世界中を舞台に不動産投資に関わる仕事をする者です。自身も15年以上前から、個人投資家として、日本のほかオーストラリアやアメリカ、東南アジアを中心に不動産投資を続けてきました。とにかく三度のメシより不動産が大好きで、この命が尽きる瞬間まで、間違いなく、不動産に関わって生きていくと思います。

私のライフワークである不動産が、他の金融商品と大きく違うのは、1)利用価値を持った実物(モノ)であること、2)「住まう」「働く」「商売する」といった人間の暮らしの根幹をなすこと、3)寿命が長く、メンテナンスを続ければ人間の寿命よりも長持ちすること…それゆえ、不動産の世界で成功するためには、「長期的な視野」と「地域の人間生活に対する深い洞察」が欠かせません。

私が不動産投資・ビジネスにおいて他の何よりも重視するのは、「あるべき場所に、あるべき建物があって、後世まで引き継がれていく」ことです。いま日本は全体として家余りで人口も減っていますが、利用価値のある土地や街に、よく調和した良質な建物があって、適切にメンテされていれば、将来にわたって価値が保たれていくはずです。私はそういう価値ある物件のオーナーになったり、発掘・企画することに生き甲斐を見出しています。

今回(2018年10月24日)、縁あって訪れた函館の西部地区は、まさに、「街とは何か?」「価値ある物件とは何か?」を、考えさせられた場所です。

 

1)魅力的な都市日本一なのに、激しい過疎化

「地域ブランド調査」で、函館市の快進撃が続いています。2014、15、16年と「京都」をしのぎ、3年連続日本一に輝いています。特に「観光意欲度」、「地元の食材が豊富」、「食事がおいしい」という項目で全国1位。全国屈指の好印象を持たれている都市といって間違いないでしょう。

日本の魅力的な都市ランキング1位は?函館が3連覇!札幌や小樽は?

 

そこまで魅力的な都市だと思われているにもかかわらず、函館市では全国屈指の激しい人口流出・減少が続いています。1940年以前は、北海道で一番人口の多い都市だったのに、札幌に抜かれ、旭川に抜かれ、今は総人口26万人しかおらず、しかも毎年3千人減り続けています。日本有数の好感度を持つ観光都市なのに、全市が過疎地域に認定されているのは何という皮肉でしょう?

毎年3千人が消えてる?! 函館の人口が減り続ける理由 まとめ

 

2)函館市で一番魅力的な観光地に、市民が住まない

函館市の主要産業は、以前は「漁業」でしたが、今は「観光」です。アジア近隣諸国からインバウンド観光の後押しもあり、JR函館駅周辺エリアでは大資本が入りホテル建設ラッシュの様相。マンションも含めて高層建物が並び、駅前は朝市周辺を除けば平凡な地方都市的景観になっています。

 

他方、函館らしい景観と、魅力的な観光地が多いのは、函館山の麓に広がる「西部地区」。坂の向こうに青く輝く海、緑の函館山をバックに、おしゃれなお店が並び、カトリック元町教会、ハリストス正教会、イギリス領事館など洋館群が並ぶ観光地になっており、「女子旅」を中心に観光客でにぎわっています。この辺は19世紀から栄えた旧市街なので、市電はじめインフラも完備されています。

 

しかし、今日の函館市民の大多数は西部地区に住みません。住まいという意味での函館市の中心は、西部地区→函館駅周辺→五稜郭周辺→産業道路周辺(美原地区)と、時代とともに北上を続けています。クルマ・道路の便が良く近代的に整い、函館市民のマイホーム取得の中心地である美原地区は、日本のどこにでもある郊外ロードサイドの風景が広がりますが、そこから最南端の西部地区は距離的に一番遠く、冬季だとクルマで一時間かかってしまうこともあります。

つまり、今日の函館は、主要産業の稼ぎ頭である「観光地」と、市民の生活の場が完全に分離した都市になっているのです。

私が訪れた時も、「元町」エリアの観光動線上にあり、観光客相手の民泊立地としては申し分ない戸建住宅(3棟長屋のうちの1戸)を内見しました。この物件は相続で売りに出されましたが、地元実需がまるでなく2年間も売れませんでした。人が住まない間、寒波で水道管が凍ったりして、メンテナンスコストがかかることも一因ですが、放置されるのは余りにも勿体ない。

 

山側のお部屋からは、函館山ビューが…

 

海側のお部屋からは、(ちょっとだけ)函館港のオーシャンビューが

 

長屋なのでお隣と共有壁ですが、その真ん中に雪落としスペースがあり、ここは中庭としていい感じの景色

 

外観はこんな感じで

 

玄関先には、石畳の道。

 

この石畳の道の斜向かいが「旧相馬邸」、その先がすぐ「元町公園」の洋館群が並ぶ一角。観光立地としては申し分ないですが、こういう家が売れずに放置されるのが、いまの函館の現状です。

 

元町から10分足らず歩いた距離の弁天町には、これまた、後世に残したい「明治創業の酒屋」、「鉄骨の建物に蔵2つが入っている」魅力的な建物があり、こちらも売りに出ています。長年、酒と味噌に関わる事業を営んだ商家ならではの、ホーロー引きのレトロな看板やイラストの数々。倉庫レストラン兼宿泊施設(オーベルジュ)みたいな活用法で再生できないものかなあ?

 

 

 

3)函館民泊運営はブルーオーシャン

いま函館は近隣アジアからのインバウンド観光が盛り上がっています。平日の元町界隈を歩いても、市電に乗っても、中国語や広東語が当たり前に聞こえてきました。皆さん、日本人と同じような少人数の女子旅で来てました。

彼らの宿泊先として、函館駅界隈でホテル建設が進んでいますが、函館の雰囲気が感じられる主要観光地から2~3㎞離れています。元町界隈の良い感じのエリアに泊まりたい需要は必ずあるはずですが、現時点では民泊が数えるほどしか登録されていません。日本各地の観光地と比べても驚くべきライバルの少なさです。

 

その理由は、現時点で函館現地に住み、民家型の宿泊施設運営を事業としてやっている方がほぼ居ない、という、運営側の事情につきます。なぜなら、「運営体制さえ整えば函館元町の古民家どんどん買いたい」という都会の投資家も、「函館地元で売れない中古住宅を買ってくれる方が居ればすぐにも売りたい」という地元オーナーも、いくらでもいるからです。

言葉を換えれば、「いま函館で民家型の宿泊施設運営に事業として参入すれば、ライバル居ないなかで商売を伸ばせる」まさにブルーオーシャンといえます。

またこれは、函館旧市街地で長年の風雪に耐えて、いまオーナーが居なくなり取り壊しの運命にある住宅を結果的に救い、函館の個性ある都市景観を守ることにも直結します。そういう街興しの社会的意義ある仕事が、地元に居ながらできるのです。

 

もし、「是非やってみたい」、「できるかどうか分からないが、興味あるので調べてみたい」という地元在住の方、或いは函館と関わる仕事をしてみたい方は、是非、私までご一報いただけると幸いです。私、函館に地縁血縁もない余所者ではありますが、この街の個性ある都市景観を守り、観光業を持続的に発展させる上で、自ら函館の民家オーナーになって再生資金を出したり、或いは志を同じくする東京の投資家を連れてきたり、といった貢献はできますので。

 

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出でよ金融マン!(日本の銀行このままでいいの?)

今回のブログ記事は、日本の銀行関係者、または融資関係で銀行とお付き合いのある経営者・投資家の方々に向けて書いた、一事業者からの問題提起です。

 

私は、東京の品川区でささやかな不動産仲介業を営む者です。もともと外資系IT企業に勤めるエンジニアで、趣味で不動産投資を嗜んできましたが、2013年2月、勤め先を解雇されたことをきっかけに、大好きな不動産で生計を立てる決意をして第二の人生をスタート。オフィスを借り宅建業免許を取り、一人社長で頑張ってきました。

創業5年目の2017年末、ご縁あって、石川県金沢市、ひがし茶屋街近くにある町家を弊社で買わせていただきました。金沢の文豪・徳田秋声の名作「町の踊り場」にも出てくる、明治35年から116年の長きにわたり、金沢の街を見守り続けてきた歴史ある家です。秋声の姉の婚家(葉茶屋)であった大正~昭和初期から所有者が何度か変わり、今回、オーナーの和菓子屋ご夫婦が高齢で引退に伴い売却することになりました。事情でキャンセルが続いてしまいタイムリミット(年末)が迫るなか、金沢の業者仲間経由で私に話が来ました。

 

この住宅は、もし私が買わなければ、おそらく取り壊されてコインパーキングになっていただろうという話。もしそうなったら秋声作品ゆかりの建物がこの世から消えてしまいます。私は是非後世に残したいと考え、手元の現金を使ってまず土地建物を購入。翌年から建物本来の良さを残した町家を再生した宿泊施設として設計を開始、旅館業許可つきの建築確認を取り、現地の一棟民泊専門の業者に運営をお願いする想定で、つい先日(2018年10月初め)、工事着工したところです。

よそ者である私が、金沢の街で宿泊施設のオーナーになるにあたって、まず地元町会の方々の気持ちを理解尊重する必要がありますし、同時に私の事業が金沢の和風な街並みを守り文化を継承する趣旨であることを、地元にご理解いただく必要があります。そこで現地の友人の手ほどきを受けつつ、何度も金沢に足を運び、ご挨拶を重ねてきました。

 

事業資金については、すでに支出した土地建物や取得費用、税金、火災保険、設計費等については自費で賄った上で、工事資金に関しては一部で良いので、できれば金融機関にご支援いただこうと思い、金沢および東京の金融機関数行にご相談しましたが、今のところ、ゼロ回答が続いています。

各銀行や支店にそれぞれの融資・審査基準があり、結果的にご縁がなくてゼロ回答になることは仕方ないですし、また銀行からみて弊社のような中小零細企業への融資は手間がかかる割に大して旨味がないのかもしれません。

ですが審査や回答の中身が、(こんな言い方して申し訳ないですが…)私たち民間事業者からみて余りにも「思考停止」ふうに見えたのが余りにも残念で、一言申し上げたい一念から、筆をとらせていただきました。

 

【ゼロ回答の例】

1)石川県に本店がある地銀より「石川県内にお住まいや事業所のない方にはご融資できません」

→これを石川県にしか拠点がない銀行から言われるなら理解できますが、私が相談した銀行は東京に支店があり、かつ私自身が東京支店に出向いて融資相談に行った結果、これを言われました(注.東京支店から私の事務所まで電車で15分の距離です)。

 

2)東京都に本店があるメガバンクより「築年数が耐用年数を超えており担保が取れないので無理です」、「弊社として一棟物件の運営事業には当面融資できません」

→相談したタイミングが、スルガ銀行に対する金融庁の検査が入っている時でしたから、稟議が厳しいのは理解しますが、ここは「平時」でも耐用年数超え物件に融資出さないことで知られる銀行で、私ども不動産業者からみて、かなりビジネスチャンスを逸しているように見えます。

 

銀行とは本来、資金需要のある民間企業にお金を貸して、事業のリスクの一部を負うことで利益を出す業態であるはず。実際に融資を通じて日本の経済成長を支えてきたわけだし、それが銀行員のプライドや信頼感の源泉になってきたはずです。

しかし今や、時代が変わり、銀行業務も激変。原点を忘れた銀行経営陣や行員が増えた(ように見える)結果、一部の民間事業者に、今やこんな風に揶揄されていますよ。

 

・融資を必要とする俺ら中小企業に全然貸さないし、貸すノウハウもない。

・逆に、株式市場や社債でいくらでも資金調達できる大企業にばかり貸したがる。必要ない人に貸すから金利値切られるし、儲からない。

・本業(融資)で稼げないからといって、本来は証券会社や保険会社がやるはずの手数料稼ぎに走っている。それでも行員食わせるの大変だから次は不動産仲介までやらせてもらうらしい。

・俺ら(事業者)ばかりがリスクを負って、銀行がリスク負わずに手数料稼ぎに走る、そんな国が経済成長できるのか?

・お前らもっと頭使ってガチで仕事しろよ!働くって「はた(傍)をラク(楽)にする」ことだろう?民間企業の資金繰りを楽にしてくれない銀行の存在意義って一体何なの?

 

もし「それは違う!」というのなら、具体的な行動で示していただきたい。「私が上を説得して、500万円でも出してみせます!」…この文章がきっかけで、行員が意気に感じるかもしれない。或いは、この文章を読んだ方が、私を気概のある行員と引き合わせてくれるかもしれない。そんな一縷の望みを託しつつこの文章を書きました。

出でよ、金融マン!日本の銀行、このままでいいのか?リスクを負ってビジネスと雇用をつくり出すこの国の民間事業者から「使えねえ」扱いされていて良いのか?「否!」というなら、すぐに行動で示して欲しい。そんな人間が現れてくる日本であるなら、まだ将来の望みは残っていると信じたい。

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世界中が東京不動産を買う予感

こんにちは、Manachanです。いつもご愛読ありがとうございます。

つい数日前まで、私はスペイン•バルセロナで、国際不動産業界のシンポジウムに出てました。ヨーロッパやアメリカを中心に、北はアイスランドから南はニュージーランド、南アフリカまで、世界各国から約70社が参加する大型イベントでしたが、百名を超える参加者全員を前に行われた「基調講演」の内容に、私はぶったまげました。

– アジアでこれから面白くなる不動産マーケットは、ずばり「東京」。

– オリンピックを控えた東京ではエキサイティングなことが起こりつつある。

– 経済もようやく回復し、自信(Confidence)が戻りつつある。東京の不動産価値も直近で9.4%上昇中。

– しかも東京不動産は、同じアジアの香港やシンガポールと比べて割安感がある

 

私はこれを聞いて、「東京の優良不動産を全世界向けに売るっきゃない」と思いましたね。中華系だけではなく、むしろ欧米系のお客様にチョイス、マーケティングして売れるようにしたい。

それにしても、彼らの着眼点は、日本でよく聞く話とは真逆ですね。日本人の不動産評論家や投資家が良く言うのは、「オリンピック後、東京の不動産市況は腰折れする」、「これから日本は人口が減って空室も増え、不動産価値は下がる一方」みたいな悲観論が多いですが、これに対して私が思うこと、

・不動産に関して、日本全体と東京は明らかに違うマーケットでしょ?

・東京マーケットに関していえば、日本人の言うことより外国人の方に説得力を感じる。なぜなら前者は日本しか見てないのに対し、後者は「グローバルな都市比較」の視点があるから。

・世界の不動産投資マネーは「国」よりも「都市」で動く面が大きい。同じアジアの香港やシンガポールよりも東京の不動産が安く買えて、かつ、東京が都市機能的に劣らないのであれば、割安感を求めて資金流入は大いにありうること。

 

客観的にみて、東京が香港シンガポールに都市として劣ることはありません。都市圏人口・総生産、Fortune Global 500企業の本社数、都市総合力の世界ランキング、インフラ…現時点で東京は間違いなく、アジア・世界でトップ都市の一角に入ります。

 

JLL世界都市の類型をみても、東京は香港やシンガポールと同じく「世界のビッグ7」に入っています。

 

「アジアのスーパー世界都市」東京の都心部不動産価格に割安感があるのか、私の感覚的にいうと、

・香港と比べれば、明らかに割安です。

・シンガポールと比べれば、ほぼ同じかなあ~。でも、シンガポールで外国人が不動産買うと約20%の印紙税がかかり、東京ではそれが無い分、割安にみえそう。

 
今年2月、私はシンガポール都心部で、Tanjong Pagar駅直結のタワマンWallich Residenceはじめいくつかのレジデンスを内見しています。当時の感覚値は、「シンガポール都心部レジの値段は、坪@700万円くらい」(22,000~26,000 SGD/Square Feet)だったので、いま東京の港区あたりで@700万円で同等物件が買えれば、少なくとも20%印紙税分は割安ということになる。

そこで、REINSを叩いて、港区でお金持ちが買いそうなエリアのマンション在庫・成約価格を調べてみました。そこで見えてきたこと、
 

・港区の赤坂、南青山、虎ノ門といった一等立地で、出し値レベルでは坪@1000万円超のプレミア物件(虎ノ門ヒルズレジデンス、パークコート檜町ザ・タワー等)がいくつかあるが、プレミアでない通常の新築・築浅マンションだと坪@500~600万円台がせいぜい。

・麻布十番、広尾、高輪、白金、南麻布といったエリアになると、地域トップ物件でも@700万円台いくかいかないかで、その他は@500万円を切るレベル(その代わり、広尾あたりだと築が古くなっても値下がらないという副産物があるが…)
 

つまり東京都心でも、超プレミア物件以外は高くてもせいぜい坪@700万円で、シンガポールのオーチャードや金融CBD地区とほぼ同等レベル、印紙税分だけ割安感あるように感じました。香港などはシンガポールの倍みたいな世界だから、それと比べれば虎ヒルでさえかなりのバーゲンに見えてしまいます。オリンピックを控えて世界の富裕層にもっと注目されそうですね。

なお、港区以外の千代田区、中央区、江東区まで、REINS事例を一通りみてみました。思ったこと、

・千代田区は港区の一部のような超プレミア物件が乏しい代わりに、築古になっても資産価値が底堅く、坪@300万円を切るものがあまりない(港区には@200万円台が結構多い)。飯田橋や市ヶ谷は特に強くて、築浅中古で@500万近くで売れたりする。番町アドレスだと中古で@600万円いくこともあるので、赤坂・南青山レベルに近い千代田最強の戦闘力といえる。

・中央区は港、千代田と比べると品等が落ち、坪@500万円を超えるレジが数えるほどしかない。区内では佃のリバーシティは中古でも資産価値が底堅い。勝どき、晴海は築10年以内の中古成約がものすごく多く、需要の旺盛さを感じるが、坪単価は@300万ちょっとの実需レベル。あと、「水天宮前>小伝馬町」、「佃>月島」みたいなミクロな序列があるのが面白い

・江東区は…(ノーコメント。データ見てるうちにボルテージ下がってしまう。ああ俺はなんて庶民的なエリアに住んでるんだ!)。

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首都圏の「出遅れ地域」に着目する不動産投資法

こんにちは、Manachanです。今日は久々に日本不動産ねたで書きます。

海外不動産セミナーやると、講師がよく「日本は不動産価値が上がらないけど〇〇国は普通に上がる」みたいに言い切りますけど、一般論はともかく個別性の強い不動産のこと、日本中いろんな都市で、しっかり、キャピタルゲインを手にしてきた私に言わせれば、「この人、分かってねえなあ…日本国内だって攻め方いくらでもあるんだよ」と思います。

 

私が日本でキャピタルゲインを手にする方法は、非常にシンプルで、セオリー通りです。

・安い時期に買う。あるいは、「周囲に比べて出遅れて、かつポテンシャルの高い地域」で買う。

・保有期間は5~10年を想定し、その期間内で高く売れる時期にさくっと売り抜ける。

 

安い時期とは…分かりやすくいえば、2008年リーマンショックみたいな大型のバブル崩壊現象、あるいは2018年スルガ・ショックみたいなプチバブル崩壊現象の直後か1~2年後、まだマーケットが弱気で融資のつきにくい時期に、良い立地を安く仕込むのです。

たとえば、私が福岡市の西鉄高宮駅近くで45坪土地付きの6戸アパートを仕入れたのが2011年4月・まだ世の中はリーマンショックの傷が癒えておらず、かつ東日本大震災と原発事故で自粛ムード漂っていた時期だったので、土地はとっても安く買えました(今の半額くらいかな…)。

 

次に、出遅れた立地を安く仕込むとは…分かりやすい例が、2013年5月に、千葉県の東松戸駅前で仕入れた40坪土地付き6戸アパート。当時、東松戸駅周辺は再開発に伴う換地処分が終わったばかりの状態で、商業施設もまばら。JR武蔵野線と成田アクセス線の連絡駅という交通便の良さを持ちながら、都心から遠い私鉄交差駅の新鎌ヶ谷駅に大きく水をあけられていました。

要は東松戸に「現状いけてない」要素があるがゆえに、いま考えるととても安い値段で買えたのです。さらに言うと、換地処分直後ゆえ前面道路の路線価さえ決まっておらず、結果的に固定資産税がかなり安くなりました。その後、5年経ちますが東松戸駅前は大発展し、実勢地価も購入当時の1.7倍くらいにはなりました。いつでも余裕で利益確定可能姉妹…要は、安く仕入れられれば投資として勝ったも同然なのです。

 

そろそろ本題に移ります、いま不動産価格が高騰している東京周辺で、何を買えばいいのか?タイミング的には値段高い時期ですから、必然的に「出遅れた」地域に注目することになります。

東京都心至近でオリンピック効果も期待できる立地にもかかわらず、周辺に比べてすごく安く物件が買える面白い駅を紹介します。それは、私の住まいから歩いて10数分、「JR京葉線の潮見…東京駅から本当に近くて、「3駅7分」の距離です。東京駅に向かう通勤電車も便利で、平日8時台は17本もあります。

 

潮見駅の所在する「江東区」は、駅近であれば新築、中古問わず、軒並みマンション価格が上がっています。ATHOMEサイトで、「70平米以上、3LDK~4DK、駅歩5分以内、築20年以内」で売出価格を検索すると、次の結果になりました。すべて、潮見駅とほぼ同等の都心距離(4~6km)の駅で比べています。

 

◎メトロ東西線「木場」駅

クレアシティ木場8階(駅歩4分、2004年9月築)、76.88平米、5650万円 ⇒ 73.49万/平米 (坪@243万)
クレアシティ木場10階(駅歩4分、2004年9月築)、87.49平米、6990万円 ⇒ 79.89万/平米 (坪@264万)

 

◎メトロ東西線「東陽町」駅

オーベル東陽町8階(駅歩2分、2003年2月築、3LDK)、80.48平米、6180万円 ⇒ 76.79万/平米 (坪@254万)
ナイスグランソレイユ東陽町2階(駅歩2分、2005年2月築、3LDK)、76.84平米、5280万円 ⇒ 68.71万/平米 (坪@227万)
プレミスト東陽町5階(駅歩5分、2012年3月築、3LDK)、80.14平米、5850万円 ⇒ 73.00万/平米 (坪@242万)
ガーデンフラッグシティ4階(駅歩2分、2002年9月築、3LDK)、82.53平米、6480万円 ⇒ 78.51万/平米 (坪@259万)

 

◎メトロ東西線「南砂町」駅

グランエスタ7階(駅歩2分、2006年3月築、3SLDK)、81.59平米、5880万円 ⇒ 72.06万/平米 (坪@238万)
ニューライズシティ東京ベイハイライズ9階(駅歩4分、2006年2月築、3LDK)、71.25平米、4550万円 ⇒ 63.86万/平米 (坪@211万)

 

◎メトロ半蔵門線「清澄白河」駅

イーストコモンズ清澄白河フロントタワー11階(駅歩5分、2005年2月築、3LDK)、74.59平米、6480万円 ⇒ 86.87万/平米 (坪@287万)
ハイシティ清澄白河ステーションプラザ3階(駅歩1分、1999年10月築、3SLDK)、83.82平米、6798万円 ⇒ 81.10万/平米 (坪@268万)
ハイシティ清澄白河ステーションプラザ11階(駅歩1分、1999年10月築、3LDK)、76.89平米、6250万円 ⇒ 81.28万/平米 (坪@269万)

 

◎都営新宿線「森下」駅

グランシティ新大橋4階(駅歩5分、2000年9月築、3LDK)、70.20平米、5280万円 ⇒ 75.21万/平米 (坪@249万)
新大橋一丁目マンション2階(駅歩5分、2002年10月築、3LDK)、70.64平米、4580万円 ⇒ 64.84万/平米 (坪@215万)

 

◎メトロ有楽町「豊洲」駅

プライヴブルー東京8階(駅歩5分、2005年2月築、3LDK)、80.73平米、5990万円 ⇒ 74.20万/平米 (坪@246万)
THE TOYOSU TOWE29階(駅歩5分、2008年10月築、3LDK)、84.12平米、8000万円 ⇒ 95.10万/平米 (坪@317万)
スターコート豊洲12階(駅歩4分、2007年2月築、3LDK)、80.42平米、6180万円 ⇒ 76.85万/平米 (坪@254万)
東京フロントコート12階(駅歩4分、2005年10月築、3LDK)、90.31平米、6850万円 ⇒ 75.85万/平米 (坪@251万)

 

◎りんかい線「東雲」駅

ザ湾岸タワーレックスガーデン13階(駅歩3分、2012年9月築、3LDK)、76.50平米、5580万円 ⇒ 72.94万/平米 (坪@241万)
東京ベイ・リベロシティ13階(駅歩2分、2003年2月築、3SLDK)、75.61平米、4480万円 ⇒ 59.25万/平米 (坪@196万)

 

上にみるように、江東区の3部屋ファミリーマンションは、築20年近く経っていても、駅徒歩5分圏内で坪200万を切る物件はほぼ皆無。東西線最弱駅とよばれる「南砂町」や、そもそも都心に直結していない「りんかい線東雲」でさえ、駅近の中古は200万を超えてくるのです。

そんな江東区のなかで、JR京葉線「潮見」駅だけが、まだ非常に安いのです。すでに買付の入った物件も含めて載せますと、

 

◎JR京葉線「潮見」駅

ルネ・グランマリーナ潮見7階(駅歩1分、1999年11月築、3LDK)、74.36平米、3700万円 ⇒ 49.76万/平米 (坪@165万)
ルネ・グランマリーナ潮見3階(駅歩1分、1999年11月築、3LDK)、77.00平米、3780万円 ⇒ 49.09万/平米 (坪@162万)
クレストフォルム東京ビューフォート3階(駅歩3分、2002年2月築、3LDK)、91.50平米、5230万円 ⇒ 57.16万/平米 (坪@189万)

 

なぜ潮見だけ安いのか?私は「地元民」なので事情をよく知っています。

・一時期「潮見地区まちづくり計画」が立ち上がり、居住系のまちを再開発する予定だったがとん挫した。

・とん挫した理由の一つは学校の問題。周囲に小学生を収容できるスペースがない。隣接する豊洲の再開発が急速に進んだため、玉突きで潮見地区からいくべき学校がパンパンになっている。

潮見駅に隣接する南西部に地区計画があり、その地区計画内での用途が印刷関係事業に限定されており、居住系の用途変更が出来ない。駅東側には西濃運輸の物流拠点があり、こちらもすぐ移転する予定がない。

 

上記の理由があって、今後すぐ潮見駅周辺の住環境が整備されない、現時点ではお店も少なく不便…それが潮見周辺の区マンション価格を押し下げている理由だと思います。

特に学校問題が大きいですね。潮見地区の児童が行くのは、隣り島の枝川小・中学校になりますが、いずれも校舎増築して間もないのに生徒で満員、他地区からの受け入れストップ。潮見にさらにマンションが増えれば、近隣に新設校をつくらざるを得ないですが、隣の豊洲地区が数倍凄い勢いで人口爆発しているため、そちらの整備を優先せざるを得ない。

少子高齢化する日本とは真逆で、「多子高齢化にガチで悩んでいるのが江東区なのです。

 

逆にいえば、いま安く潮見の駅近マンションが買えれば、長い目でみて投資のチャンスということです。私の感触では、潮見一帯は今がボトムで、これから良くなる一方だと思います。

潮見駅の至近に600室を超えるプリンスホテルが来月着工、2020年夏オープン予定。

潮見で営業する既存印刷会社のうち数社が土地をデべに売却すればマンションに用途が変わり、住環境が整備されて商店も増えるはず。

 

また、潮見においては新築マンションが建たない限り過剰供給問題が当面起こらない、というのもポイント高いと思います。

そして賃貸利回りも高い。いま3700万円くらいで3LDK75平米くらいのマンションを買えば月16~17万円で貸せますので、グロス利回り5.2~5.5%出るのです。

東京駅5キロ圏内で、築20年経ってない駅前大規模開発マンションを普通に買って利回り5%超える地区は、私の知る限り潮見だけです。こういう地域で今の安い値段で物件買えれば、資産価値の面で勝てる可能性が高いと思います。

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定住人口で縮み、交流人口で拡大する日本

こんにちはManachanです。いつもご愛読ありがとうございます。今回のブログでは、不動産投資・ビジネス、国民経済におけるキーワード、「定住人口」と「交流人口」について論考したいと思います。

 

海外の不動産投資を志す日本のお客様は、多くが「将来、日本の人口が減り、経済が停滞・衰退する」ことを懸念しており、それが彼らをして海外に目を向けさせる主な動機になっています。

彼らのいう「日本の人口が減る」とは、日本の国土で暮らす「定住人口」が減ることを意味します。総務省の統計によれば、2017年の通年で、「日本国民が37万人減り、外国人の定住者・長期滞在者が15万人増え、差し引き22万人減り」、その結果、総人口が1億2682万人から1億2660万人くらいになるようです。ちなみに過去数年の総人口推移は「18万人減(2014)→14万人減(2015)→20万人減(2016)→22万人減(2017)」位です

(総務省や社人研の図表に必ずついてくる人口の将来推計は意図的に省いております。結局のところ、推計のほとんどが外れるわけで、それ自体が判断を誤らせるもとだと思います…)

 

一方、「交流人口」とは何でしょう?日本国に関していえば、「外国人(または日本人)が、相手国に居住しない前提で、旅行やビジネス、親族・友人訪問、会議や研修などの理由で日本(または外国)に短期滞在する人口」を意味します。

交流人口は、定住人口よりずっと速いペースで変動します。特に、日本に来る外国人の数は、「1341万人(2014)→1973万人(2015)⇒2403万人(2016)⇒2869万人(2017)」と。定住人口の20倍くらいのハイペースで増え続けています。

つまり、「定住人口が少し減って、交流人口が大きく増えている」のが、いまの日本の状況であり、両者を合わせてざっくり計算すると、面白い結果になります。

 

1)定住人口の見方…日本に定住する人間が年間22万人減る、彼らが一人あたり、生活費、住居費、教育遊興費などで年間300万円を消費すると仮定すれば、

⇒ 22万人x300万円=6600億円の消費が減る。

2)交流人口の見方‥・海外から日本に来る人間が年間400万人増える。彼らが一人あたり、ホテル代、飲食費、ツアー費用お土産代なので、年間15万円を消費すると仮定すれば、

⇒ 400万人x15万円=6000億円の消費が増える。

 

両者あわせると、日本経済への影響は「ほとんどチャラじゃん!」。今後、海外からの交流人口が今のペースで増え続けるかどうかは。国際環境や為替の影響を受けるため未知数ですが、少なくとも一国の経済を考えるなら、「定住人口と交流人口」を合わせてみた方が有益だと思います。

 

ところで、「定住人口の世界観」と、「交流人口の世界観」は、根本的に違います。これは、「定住農民」と「貿易商人」のものの見方の違いに似ているかもしれません。

私は後者、「交流人口」の世界で生きる人間です。日々、不動産を通じて日本と海外を結びつけるビジネスをしているので、「日本→海外、海外→日本の交流人口」をベースに物事を見ています。一方、日本国内で日本人を相手にするビジネスは、不動産賃貸経営を含めて、基本は「定住人口」をベースに物事を考えます。

 

おそらく、日本人の大多数が「定住人口」の住人だと思いますが、私は時として彼らと話がかみ合わなくなることがあります。例えば、彼らがよく口にする、「日本の人口が減るから経済衰退する」という悲観論が理解できても心から納得できないのです。なぜなら、私は交流人口の世界に生きており、こちらの方は縮小衰退どころか、「年々、数十%成長のすごくエキサイティングな世界」だからです。

また、交流人口の世界観でいうと、「日本なんて、まだ国際化始まったばかり、伸びしろすごく大きい」と思います。私が携わる国際不動産ビジネスは特にそうで、日本の業者が世界の不動産で商売する時代は、今まさに黎明期。特にヨーロッパ方面に行くと、私は日々、パイオニア。「彼らの目の前に立ち現れた最初の日本人業者」として商談に明け暮れています。

競合プレイヤーも少なく、いまから真面目にやれば、発足したばかりの弱小企業とはいえ、「日本と海外をつなぐ不動産ビジネス」というニッチ分野で天下取れると思っており、今のところ悲観や衰退とはまるで無縁の世界に生きています。

 

今のところ、国際交流人口では年々、マーケット拡大している日本国ですが、誰もがその恩恵にあずかれるとは限りません。明暗を分けるのは多分、「スキルセット」や「ものの見方、考え方」なのだと思います。たとえば、こういう文章を書く日本人がいます。

 

京都が悲鳴。日本に金を落とさせない中国丸儲けビジネスの実態

もう日本人の出る幕なし?外国人だらけのニセコにみる日本の未来

 

京都やニセコは、日本国内におけるインバウンド観光で成功した都市の代表格であり、タイのパタヤ、プーケット、インドネシアのバリ島に通じるものがあります。

海外のお客様を相手にする商売である以上、外国語でのサービスは必須であり、それを提供できる外国の事業者とも競争しなくてはならない宿命があります。日本国内でありながら、英語や中国語が幅をきかせる世界も一部存在するのでしょう。パタヤやプーケットでタイ語よりも英語がロシア語が幅をきかせるのと同じように・・・

これをチャンスととらえるか、脅威ととらえるかは、個人次第。上記の文章を書いた人のように、「自分自身が変わらずに外国人業者ばかり儲かることを嘆く」ようでは…

 

日本の業者だからといって競争に勝てるとは限らないのが国際ビジネスの掟であり、その競争が日本国土の上で起こるのがインバウンド観光。その恩恵に与りたい気持ちがあるならば、頑張って英語や中国語を覚えるなり、或いはそれができる人を上手に使って商売すれば良いと私は思うんですけど…

そういうマインドセットになれない人は結局、交流人口で拡大するニューエコノミーを味方にすることはできないのだと思います。

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「移民受け入れ是非」じゃなくて、「生活者」として自然に受け入れよう

こんにちは、Manachanです。久々のブログ更新になります。

私は仕事柄、欧州諸国の収益不動産をかなりの頻度で見にいきます。ドイツや英国が特に多いですが、これらは成熟した先進国で、高齢化もそれなりに進んでいます。経済成長率も年1~2%とか控えめな数字です。

そんな成熟社会でも、不動産価値は上昇傾向になることが多い。欧州は日本と違って新築供給が少なく、中古住宅をメンテしながら長年住み続ける文化が根本にあり、需要に比べて住宅供給が不足しがちなので賃料も売買価格も値上がりやすい傾向にありますが、価格を支えるもう一つの要因として「移民流入による人口増加」もあります。

英国の各都市ではポーランドなど東欧出身者や、インドやパキスタンなど南アジア系の方々が多く、ドイツではトルコはじめ中近東系の方をよく見かけます。彼らが英国やドイツの社会に順調に統合されているのかというと、当然いろいろ課題があるのでしょうが、苦労しながらも、それぞれの国なりに経験値と知恵を積んでいる印象です。

社会のなかで、外国出身者がマイノリティとしてそれなりの割合存在し、本国のマジョリティとともに生活者として暮らす風景は、程度割合の差こそあれ、私の住む東京にも共通する点です。つい数日前、Facebookにこんな投稿をしました。

 

[実質的な移民社会、東京に暮らして…]

日本に一定期間(90日)以上、合法的なビザで滞在する外国人の数は増え続けており、かつ、増加のスピードも加速しています。

【外国人登録者数の推移】
217万人(2015/6末)⇒223万人(2015/12末)⇒232万人(2016/6末)⇒238万人(2016/12末)⇒247万人(2017/6末)  ※今は確実に250万人超

数字を素直に読む限り、ここ数年の日本における外国人純流入(=入国-出国)は15~17万人/年のペースで推移しており、日本人の自然減少約30~35万人/年の約半分を補っています。

そのうち東京圏を詳しくみると、外国人純流入の約半分(7~8万人/年)が定着し、かつ日本人も15万人/年が他地域から転入しているので、「日本人も外国人も増える」、「外国人増加が全体の3分の1を占める」社会になっています。私の暮らす江東区も外国人比率が6%に迫り、身近に日本人以外が暮らすのが当たり前になりました。

ところで、日本の外国人純流入15~17万人は、奇しくも10年前の英国やドイツにおける外国人純流入(約20万人)と近い数字です。なおドイツは同時期(2005年)に移民法を制定し、移民を対象とするドイツ語の公教育などが法律で定められました。ドイツも英国も、移民してきた定住者の過半数が国籍を取得(日本でいう「帰化」)しています。

もっとも日本は欧州とは国情も歴史が全く違います。日本国として「移民を公式に受け入れる」宣言や、「税金を使って移民に日本語教育を与える」意思決定は、まだ遠い先のことでしょう。なお、うちの近所の小中学校では、アジア圏から十分な日本語知識なしに途中転入する生徒がいるので、実質的に教員による日本語補習が行われています。そういう地域も日本中に多いでしょう。

外国人がさらに増え、日本語教育や在留資格、年金はじめいろんな問題が起こり、既存の枠組ではにっちもさっちもいかなくなった時に、ようやく「潮時」、「移民受け入れやむなし」の雰囲気になって初めて、公式に物事が動くのだと思いますが。

でも生活者、不動産賃貸事業者の目でフラットにみる限り、相当数の外国人が日本に定住し、その数が年々増えている。労働提供者として消費者として賃借人として、日本社会に確かに存在しているという意味で、日本(特に東京)は実質的な移民社会になっていると考えて良いでしょう。日本政府が公式に移民を受け入れるかどうかは、「外国人が日本に暮らす」実態にそんなに影響しないと思います。

フィリピンとかインドとか中国から数年前に来日して、うちの近所で暮らしている人結構いますけど、彼らは普通に都心で働いて子供を地元の学校に通わせてて、母国に帰りそうな人は割合としては少ないです。そんな東京の風景は、トルコやポーランドから来て定住した住民の多い「ドイツ都市部」と重なります。

 

上の議論を、もう少し膨らませて書いていきますね。

日本の総人口は2008年をピークに減少局面に入り、少子高齢化を背景に減少幅は年々大きくなることが確実視されます。継続的な人口減少は日本経済に重苦しい悪影響を及ぼし続けており、日本社会や福祉システムを存続させるためにも、子育て支援に加え「ある程度の移民受け入れ」が議論のテーブルに乗って然るべきでしょうが、「移民」という言葉に対する国民のアレルギーが大きいので、政治家もそれをなかなか口にできません。

でも東京の江東区あたりに住んでると、身近に外国人が普通に居て、すでに長年暮らしてるし、お子さんは公立の小中学校に普通に通い、名簿をみても日本人じゃなさそうな名前がクラスに数名居る…実質的に移民受け入れてるじゃん、という感覚です。実際、首都圏各自治体では外国人比率が年々高まっていますし、横浜市とかは間もなく「日本人が減って外国人が増える」時代に入るでしょう。だからから猶更、「日本は移民受け入れない」という言説とのギャップを感じてしまいます。

日本の言論事情を考えると、「移民」という言葉を使わず、「定住者」といった抵抗の少ない言葉を使って議論した方が生産的でしょうね。「移民受け入れ、是か非か?」みたいな神学論争は意味がないし、すでに近所で暮らしている外国出身者との共生を目指し、彼らが日本社会に合流できる仕組みづくりを具体的に議論すべきだと思います。

 

日本は一般に言われるほど、排他的な社会ではないと思います。特に宗教に関して日本人は寛容で融通無碍なので、外国人比率が増えても信仰の違いに起因する衝突はたぶん起こりにくいでしょう。また、日本人同士だと同調圧力が強く存在しストレスの元にもなりますが、それが外国人に対しては通常適用されないので、そんなに「息苦しい社会」でもないでしょう。

外国人に対して寛容な日本人が、こと移民受け入れになると消極的になるのは、外国人を憎んでいるのではなく、日本人同士で互いに配慮しながら摩擦を起こさず過ごすのが快適で、その暮らしをずっと続けたいと思ってるからなのでしょう。確かに、日本の生活習慣に慣れていない外国人が目の前に居る環境で、日本的な意味でお互い摩擦なしで過ごすのは難しいでしょうから、

身近に暮らす外国人との間で文化の違いに起因する誤解や摩擦は起こりうるという意味での「無秩序」や、ゴミ出しや共同生活のルールや言葉で一から説明しなくちゃならない等の「面倒臭さ」を、日本人がある程度、受け入れる必要があると思います。逆に日本に一定期間以上暮らす外国人も、「日本人同士で気遣いながら快適に暮らしたい」というマジョリティの気持ちを尊重する必要があるのでしょう(普通は否が応にも、それに気づくものです…)。

外国出身の住民が身近に増えても、多くの日本人にとって「英語学習」は大して求められないでしょう(どっちみち、英語苦手なアジアの国からの流入が多いでしょうし…)。その代わり、「誰にも分かる簡単な日本語」で説明するスキルが必要になってくると思います。

 

日本で都市部を中心に「外国出身の住民」比率が今後も増えるのはほぼ確実でしょう。江東区でも、今の外国人比率6%弱が、5年後に7%、10年後に8%…みたいなペースで、徐々に増えていくと思います。日本の国籍や永住権を取る人も増えるでしょう。

でもそれは、日本人の人口減少を外国人に埋めてもらう「数合わせ」程にはならないでしょう(多分やるべきじゃないでしょうし・・)。日本人マジョリティの「摩擦起こさず快適に過ごしたい」気持ちと、「でも人口減少で国力衰退も困る」という気持ちの間で、今後の歴代政権が最適解を探りながら、「移民」という言葉を使わずに徐々に受け入れていくのだと思います。

その近未来が分かっているなら、排除せず、かといって無理もせず、お互い楽しく暮らしていきたいよね。

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2015年に激変した日本の不動産投資環境

こんにちはManachanです。いつもご愛読ありがとうございます。

いま巷を騒がせている「かぼちゃの馬車」破綻、昨年話題になった「レオパレス集団訴訟」に象徴されるように、いま日本の不動産賃貸経営におけるサブリース業者や金融機関の事業姿勢が、大きく問題視されています。

ま、これって古くて新しい問題ですよね。普段、不動産の業界に居るから分かりますけど、「肉食8割、草食2割」と言われるように、この商売やってる業者の大部分は、目先の利益を追う連中(肉食系)で、オーナー様の将来の幸せとか資産形成なんて真面目に考えてないですから。

投資初心者を食い物にして、自分だけさくっと儲けて一丁上がりたい有象無象が、本当に本当に(x100)たくさん、蠢いてる世界ですから。

そんな業界体質があることを念頭に、私たちは知識やスキルをつけて、肉食業者の養分にならないように。お金を生まない物件や、自分の身の丈にあわない物件をつかまないように、日々精進しなければなりませんよね。

ところで、いまアパートやシェアハウス運営をめぐるトラブルが全国的な社会問題になるのは、それだけ「不動産投資が一般化した」ことの証左だと思います。

ほんの5~10年前は、融資を受けてアパートマンション等が買える人は、今よりずっと限られていました。土地持ちやキャッシュ持ち、サラリーマンでも一部上場勤務か1000万プレーヤー以上じゃないと厳しかったと思います。自己資金も物件価格の2割とか当たり前に要求されていました。

潮目が変わったのは、2014~15年あたりかな。特に2014年10月の「黒田バズーカ」で史上初のマイナス金利が導入されたことが大きかったと思います。

都銀、地銀、信金信組、ノンバンクどこも一緒ですが、国債買って日銀に預けても金が減るだけだから、新しい貸し出し先を開拓しなくちゃならない。でもリアル事業向けの貸出は難しいしすぐには増えない。そこで手っ取り早く、「担保のある不動産」や「属性の良いサラリーマン」への貸し出しを増やそうぜという流れになるわけです。

特に2015年は、地銀を中心とする「アパート融資ラッシュ」が凄かったです。「かぼちゃの馬車」シェアハウス販売も、思えばあの頃が全盛期でしたね。いま困っているシェアハウスオーナーのかなりの部分が、あの時期に「全額融資が簡単について買っちゃった」人かと思います。

当時、私は自営の宅建業者として独立2年目。取引の現場でたくさんの珍風景に出会ったものです。


1)三為(サンタメ)業者の黄金時代

不動産業界には昔から、「物件を安く買って、リフォーム等を施して高く売る」転売業者がたくさんいます。サンタメ業者も転売業者の一種ですが、彼らは自ら在庫を抱えずに、物件を「右から左へ転がす」取引で利益を得ます。その際、売買契約書に「第三者の為の契約」と書くので、そういう取引をする業者は「サンタメ(三為)」と呼ばれています。

サンタメ業者は通常、多数の売り客を持っていて、彼らに融資をアレンジして成約を決めるわけですが、2015年当時は融資がものすごく緩くて、高属性サラリーマンの客に都内の中古アパートがグロス利回り5~6%みたいな高値でどんどん売れるので、そういう上客に恵まれたサンタメ業者は大変儲かりました。

「マーケットからグロス利回り9%で仕入れて、在庫抱えずに6%で客に売る」(もう少し簡単にいうと、年間家賃900万円の中古アパートを、オーナーや業者から1億円で仕入れて、サラリーマン客に融資つけて1.5億円で売る)ようなボロい取引も当時は散見されたものです。

当時は私の会社でも、お客様から預かった首都圏の売りアパートを、サンタメ業者に持ち込むだけで簡単に成約できたものです。おかげさまで2015年度の売上は過去最高となり、その記録は今でも破られていません。

でも、おいしい思い(?)をしたのは2015年だけでしたね。16年になると、アパート売るオーナーの方に欲が出てきて、「グロス7%じゃないと売らない」みたい強気なことを言うようになりました。いくら高買いするサンタメ業者でも、そんな値段で仕入れたら利益が出ないので、多くの取引が成立しませんでした。

サンタメ業者って取引を回さないと維持できませんから、仕入れルートの弱い業者ほど、2016年後半からどんどん傾いて、廃業していきました。2017年からは融資引き締めが始まり、2018年初のスルガ・ショックが追い打ち・・・「客に融資つけて高く売る」従来型のサンタメ業者は、今やすっかり鳴りをひそめるようになりました。

(でも今後は、破綻したオーナーから超安値で買い取る別タイプの業者が出てくると思います。肉食中心の業界DNAは半永久的に受け継がれていきますのでご注意あれ)

2)にわかメガ大家の時代

2015年は、量的拡大の時代。銀行から大きな融資をひいて資産総額を競う風潮が流行りました。「メガ大家、ギガ大家」みたいな、ハードディスク容量みたいな言葉が生まれたもの、確かこの頃でした。

当時は、「一法人一融資スキーム」(物件を買う毎に新規法人を立てて、銀行に負債総額が見えないようにして融資を引く)が半ば黙認されてましたから、現役サラリーマンでも「5法人立てて、5銀行から融資総額10億」みたいな話をしていたものです。

そんな時代、「でかいことは良いことだ」思考に染まった業者や大家仲間から、「鈴木さんの保有物件アパート2棟に区分3戸だから、不動産投資中級者ですね」みたいな、上から目線の言われ方をしたこともあります。

私は資産規模で誰かと競ってるわけじゃないし、そもそも「海外」というフィールドで勝負してる変わり者なので、笑って受け流しましたが、心の中では、「この人は、P/LやB/Sとか、返済比率とかデッドクロスみたいな、不動産投資の中身の話ができるんかいな」と思っていたものです。

当時、一つ驚いたのが、大阪のセミナーで出会った女性の話。年収ン百万円の現役サラリーマンですが、誰かのコンサルを受けて、一法人一融資スキームで資産総額6億を半年で実現したんだそうです…でも聞くと、地方のリスク高そうな中古RCを、平凡な利回り(グロス9%台とか)で買ってるんです。賃貸経営の知識も初心者レベル。

楽しい懇親会の席だったこともあり、それ以上は詳しく聞きませんでしたが、正直言って、あの女性の将来が心配です。もし破綻させちゃったなら、例のコンサルや金融機関は、実に罪深いことをしたと思います。


以上みたように、日本の収益不動産をめぐる融資環境が劇的に変わったのは2015年。当時、「調子に乗って踊りすぎちゃった業者、銀行、にわか投資家」が大勢出て、今はそのツケを払う時期(プチ調整局面)なのだと思います。

なお、投資家としての私の動きですが、2015年以来、日本の物件仕入は原則ストップしています。だって高くて割にあわないですもん。むしろ売り時なので、2016~17年にかけて、数年前に仕入れた国内のいくつかの物件を売り、利確しました。

また、業者としての動きをいうと、2015年以降、国内の収益物件をメルマガでお客様に紹介する頻度は明らかに減りました(だって、買った人が幸せになるとは思えないんだもん)。紹介するのは、「土地値以下の中古戸建・アパート」、「今時珍しく安く出てきた首都圏郊外のアパート」、「東京都心で近隣の新築と比べて坪単価が6割程度の中古マンション」など。

でも、こういう出物を経験者やセミプロに売るのって、初心者にフルローンつけて新築アパマン売るのに比べると、手間もかかるし、あまり商売にならないんですよね~(汗)。

ま、商売は別として、投資家としてハッピーになるための物件仕入れの基本は、「安ければ頑張って買え」、「高ければ休め」、「どうしても買いたいなら別の場所を探せ」だと思います。投資と企業経営の現実のなかで、その理想を貫いていきたいと思います。

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「不動産の顔をした事業投資」をお勧めできない理由

こんばんは、Manachanです。いつもご愛読ありがとうございます。

不動産投資界隈は、「かぼちゃの馬車&スルガ銀ショック」かまびすしい世の中ですね。大家業界で情報発信している方々には、不動産投資に失敗して困ってるオーナーからレスキュー依頼が続々と来ていることかと思います。私のところにも、しっかり相談来てますよ~。

「かぼちゃの馬車」では、「シェアハウスの賃料収入」のほか、「派遣ビジネス収入」もあるから破綻しないというセールストークだったそうですが、蓋を開けてみれば、どちらも大した収益上がってなかったようですね。かぼちゃに限らず、「サ高住」や「アプリ収益付き民泊」など、通常の賃貸収入以外の事業収入をアテにして、たっぷり利益乗せた高値で融資つけて売るスキームが、ここのところ一気に行き詰っている印象を受けます。

私は昔から、不動産が好きでたまらない「不動産愛好家」だからこそ、疑問に思います。「サ高住」とか「派遣付きかぼちゃスキーム」って、果たして不動産投資と言えるんだろうかと?

むしろ、不動産権利をつけた「事業投資」と呼んだ方が良いのではないかと思います。日本に限らず海外でも、似たような話が沢山ありますね。英国によくある「学生寮」や「介護施設」とか、アジア新興国によくある「ホテル・コンドミ二アム」や「不動産を担保に取った貸金業(レンディング)」等々。

事業運営を入れて不動産利回りをつくるのは、ある意味、世界の潮流なのかもしれません。今は日本に限らず、世界的に金余りの世。マネーが不動産に向かい、売買価格が高騰。でも賃料はそんなに上がらないから、利回りは下がる。そんななか、投資物件らしい利回りをつくるためには、不動産を使って収益事業をして、通常賃貸を上回る数字を出したい…至極自然な考えだと思います。

私だって、国内外の観光地で物件を買って、「民泊」とか「バケーションレンタル」とか、やってますもんね。ハワイでもパタヤでも、バリ島でもやってるし、これから金沢市でもやろうとしています。自分が民泊オーナーとしていろんな経験しているから、この分野に関しては、企画、オペレーション含めて、それなりに「目利き」できる自信があります。

問題は、自分が目利きできない「事業」付き不動産物件を、投資仲間やお客様に勧められるかどうか…です。たとえば、サ高住とか介護施設の運営に関して、私は完全な門外漢です。事業計画を見せられても、その妥当性をジャッジする自信は全くありません。

そういう、「自分がよく分からない商売」が収益の源泉になっている不動産案件を、私は一般的におススメしていません。もちろん、土地・建物の価値については目利きできるので、その価値に見合った額で買えて、かつ事業収益が「オマケ」としてついてくるなら良いと思いますが、そういう案件に限って、土地・建物の積算価値の数倍みたいな高い値段で売られていることが多い。結局、「1.5億くらいの価値しかない物件を、3億で売ってるかぼちゃシェアハウス」と同じことなのですね。

そういうものを買って、もし事業が失敗した場合、不動産としての出口がありません。本来の価値より高く買っちゃってるんですから、相当な損切りしないと売れませんよね。私は、そんな物件を売って恨まれたくないし、それ以前に不動産のプロとして、「不動産を一生懸命目利きして失敗するなら納得する」けど、「不動産とは全く関係ないところで失敗する案件」に対しては、私ごときが説明責任を負えません。

そもそも、世にあまたある投資のなかで、なぜ不動産に投資する意味があるのでしょう?不動産には、金融商品のような流動性がありませんし、昨年の仮想通貨のような爆発力もありません。試しに買ってみたコインが2年で100倍以上になって「億り人」が続出してますが、不動産の場合、価値が2年で2倍になるものは極めて稀です。

その代わり、不動産には「リスクの低さ」という、他のアセットにはない良さがあります。ペーパーと違って現物だから価値がゼロにならないし、都市部でちゃんと需要がある場所なら、たとえバブルがはじけても半分以下に値下がることも滅多にない。

それに不動産って、個人の経営能力にそう依存しなくてもいい。誰かがそこに住んでくれたり、商売してくれるだけで収益を生むのです。そこまでリスク低くて再現性があるからこそ、銀行もお金貸すわけだし、レバレッジを活かした投資ができるわけですね。

そうした「リスクの低さ」が不動産を選ぶ積極的な理由だとすれば、「事業で収益上げないと利回りが出ない」物件って一体何なの?という気がします。そこには本質的に、「低リスク」という不動産本来の良さがありません。むしろ「リアルな事業」という、プロでも勝てるとは限らない高リスクな投資になってしまうこともあります。

本質的に「高リスクな事業投資」を、あたかも「低リスクな不動産投資」に見せかけて売ってる業者を、私は信頼しません。ハッキリ言うと、私の愛する「不動産」に対する冒涜という感じもしますね。

世にあまたある「不動産の顔をした事業投資」のなかで唯一、私が目利き・投資判断できるのは、自分が実際に事業をやってる領域、つまり「民泊」だけです。それ以外に関しては、アドバイスを求められても「事業投資」だから「正直分からない」
と言います。事業投資であることを承知で投資するなら良いと思います。

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