AI時代の知的生産技術〜田舎のタダ同然の不動産を都会人向けに売る文章術

学生時代、梅棹忠夫さんの「知的生産の技術」という本が好きでした。1967年に出版された本です。AIどころかネットもスマホもPCも無く、タイプライターが出たばかりの時代、ノートやメモの取り方、情報インプットの仕方、アウトプットとしての文章術などを体系的にまとめた良著で、私も良い意味で影響を受けました。但しいまはAIが出て、その辺の作業を全部やってくれるようになりました。そんな時代に生きる私たち、AIを有効に使いつつ、生身の人間として経済価値を生む知的作業をいかにしてやるのか?がテーマです。

私の場合は「国内外の不動産物件をメルマガで文章書いて売る」という特技があり、それが会社の仲介手数料売上の多くを叩き出しています。経済価値を生んでいます。それもかなり難易度の高いもの。東京都心とか京都とか沖縄オーシャンビュー物件みたいな分かりやすいものだけじゃなくて、海外の不動産、しかも時には東ヨーロッパとか南米のマイナーな国が出てきます。あと日本国内の地方や田舎、過疎地の不動産をどんどん売っています。もちろんAIを使ってますが、文章は自分オリジナルです。再現性はあまりないかもしれないがAI時代の知的生産、売上、付加価値やGDP創造に直結する仕事の一つのかたちであることは間違いないです。

まずはケーススタディ、日本のなかでは田舎な県の、しかも県庁所在地でもない人口減少中の過疎地で、相続のタイミングで売りに出た築年数の古い戸建、地元では誰も買わない、経済価値がない不動産、あなたならどうやって売りますか?購入者として想定されるのは都会の人、主に首都圏在住者ですが物件所在地域の知名度は低く、ほとんどの人が興味もない場所です。土地値は安く、銀行の担保評価はゼロ。このまま何もしなければ朽ちていくしかない不動産をどうやって売ります?

こういう難しくて割に合わない仕事、私は大好きなんです。私の地方愛、田舎愛は無限です。海外に住んでいたから、日本の田舎の価値がよく分かります。その場所が日本である限り、本質的には価値ゼロなんてありえない。日本はどの土地にも豊かな歴史がある、観光資源がある、近代文明がありインフラは世界最高水準、津々浦々まで東京や大都市と短時間で結ばれています。

しかも日本の国はイメージが良い、文化的な魅力が大きく世界中から愛されている。観光客もたくさん来る。だからどんな田舎でも価値があるはず。でも日本人はだれも買わないし、現地の人は地元の田舎っぷりを悲観してるからタダ同然で放置されている。それを、どうやって命を吹き込むか、価値を見出してプロモーションするか、知恵のゲーム、パッションのゲームです。私の作業は4段階あります

1)まず、その土地に行って、物件周辺を歩いて、自分の五感で感じます。そこの風土、街並み、建物、食文化、交通アクセス、観光資源。歴史もちゃんと調べていくし、その地域が近隣の人たちにどう思われているのかも予習していきます。どうしても現地に行けない場合はGoogle EarthやStreetview等、各種AIを使っていきますが、ただ、やっぱり百聞は一見にしかず。現地に行って自分の五感で感じる、その圧倒的な情報量にはかないません。

2)次に、売りたい不動産、特に建物が、誰にとって、どんな利用価値があるのかを考えます。例えば、都会在住の人のための別荘・セカンドホームとして利用するか、旅行者用の宿泊施設として収益化するか、戸建賃貸として月額いくらで貸すか等々、

3)次にそれを数値にします。戸建賃貸にする場合は想定家賃いくら、宿泊施設にする場合は年間の売上いくら、それを期待利回りで割り算した時にいくらで売れる可能性があるか?銀行が融資を出す可能性があるのか?賃貸物件や宿にするためにどれだけの費用がかかるのか?宿の運営や清掃、現地で動いてくれる人がいるのか?を考えます

4)最後に、メルマガに書く文章を考えます。購入者としてどんなペルソナを想定して、物件を買うことでどんなメリットがあるのかをはっきり説明した上で、ワクワクするような文章を考えます。

弊社メルマガは3500人の読者がいて、毎回、約1500人の方が開封してくれますが、どんなメルマガを書く時も最低2〜3人は反応してくれることを目指します。参考までに、私がこれまで書いたメルマガで一番反響が多かったのは16名です。

そうやってプロモーションした田舎の古家がいくらで売れるのか?東京周辺である程度知られた観光地であれば、ずばり500〜5000万円くらいです。軽井沢が別格ですが、次いで伊豆箱根、富士山エリア、那須高原、北軽井沢、千葉県南房総あたりが続きます。仲介手数料収入は最低30万円、最高にラッキーなら300万円くらいです。沖縄や北海道の有名観光地だと売値が1億とか時々あります。逆に九州四国、山陰、北陸、東北などの普通の田舎になると成約価格は最低150万円から良くて1000万円、手数料は最低レベルの30万円だったりしますが、私がこの仕事をやらなければ、創られた付加価値はゼロだったはずで、メルマガを通じた知的生産がゼロから何らかの経済価値を生み出すことには変わりません。

この仕事がAIだけではできないことも大事なポイントです。AIの文章を読んで人は理解はしますが、購入するほど心が動きません。私が不動産ポエムを書いてるから、その文章から私の文体とか人となり、その土地の息遣いとか、この物件のオーナーになるロマンが伝わってくるから購入検討しようという気になるのです。どうやってワクワクする文章、人の心が動き、お金になる文章を書くか?2つの秘訣があります。

1)まず情報の解像度が大事です。付け焼き刃の知識じゃない、AIのタダ情報だけ使って書いているんじゃない。この人は不動産を深く理解している、ロケーションを深く理解している、他との比較がちゃんとできている、その上で長所短所がちゃんと分かっている、読む価値があると思っていただける内容にするのが大事です。その上で

2)キャッチーな言葉を使う。その土地や魅力を伝えるのに、あえて一言、印象に残る言葉を選ぶ。数字を使えばベスト。

例えば、北海道十勝の物件をプロモーションした時に、食料自給率1345%という言葉を使いました。十勝管内は日本有数の食料生産基地で、人口32万人しか居ない場所で400万人を養う以上の食料を出している。日本の自給率はカロリーベースでわずか40%、中東情勢は不安という時に、十勝にいれば少なくとも自分の胃袋に入る食べものは絶対困らないでしょう。そんな場所にセカンドハウスを持ちませんか、という話にしました。

同じく北海道の白老町の物件をプロモーションした時は、本州の大都市が残暑で苦しむ9月初旬だったので、東京より11度低い、猛暑日知らずの土地に生活拠点を持ちませんか、という表現を使いました。

兵庫県の日本海側、但馬地方にある出石城下町の物件をプロモーションした際は、関東の人には伝えにくいので、関西の読者むけ文章にしました。出石という場所は関東人で知ってる人はほぼ居ませんが、関西人なら大抵知ってるし、行ったことある方が多いのです。あのお蕎麦で有名な出石城下町、隣の城崎温泉ではインバウンドがガンガン来ていて、宿代も高騰して若い人が泊まれなくなってるのに、方や出石には宿が一軒もない。出石に宿をつくれば、蕎麦を食べて大阪に帰っていた人の一部が泊まる可能性もあるし、欧米人インバウンドも出石の和風な雰囲気が大好きなはず。今ならタダ同然で出石の空き家が買えますがどうですか?宿にしてもいいし、すぐやらなくても伝統的建造物保存地区で固定資産税は無料だから、税金ゼロでセカンドハウスにするのはどうですか?みたいな文章にしました。

これらの場所の物件、実際に売れています、経済的価値を生み出しています。
どれだけ再現性があるかはわかりませんが、私のやってることはAI時代に経済価値を生み出す人間の知的生産技術であることは確かだと思います。

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