2016年 10月 の投稿一覧

自営業主が嫌われる(?)理由

こんばんはManachanです。今週木曜日からのドイツ・トルコ出張の準備含め、やるべき仕事がとりあえず一段落して、時間ができたので只今ブログ量産中。今回は、「自営業主」と「サラリーマン」の「人間関係の結び方の違い」に焦点を当てて書いてみます。

 

先日、なかなか興味深いコラムを読みました。

「好きなことをやってると、嫌われる」という事実。

 

賛否両論ある内容と思いますが、言ってることは、そう的外れとは思えません。キーワードをいくつか引用します。

~好きなことをやってると、嫌われる~

~成功した起業家たちがひとクセもふたクセもある~

 

私は、サラリーマン19年やった後、独立して、自営業主として4年の歳月を過ごしました。気楽な一人会社の社長やってて良いことも悪いこともあるけど、自由な働き方が私の気質と合っているので、たぶんサラリーマンに戻ることは無いんだろうなと思います。Once you become your own boss,  it will be  “one way ticket”.

 

自営の身になって、初めて気づく、自分の性格というものもありますね。私の場合は、

・実は極めて「勝気」な性格だった。

・実は思い切りが良く、進むも退くも、一瞬で決断する性格だった。

 

サラリーマン時代は会社の名刺もらってチームで仕事してたから、職場で「ケンカ」などできなかったけど、自営になると、結構な頻度でケンカ、ガチバトルしてます。

私、表面上は牧歌的なルックス、話し方も穏やかだし、怒る頻度も少ない方だと思いますが、何らかのきっかけで怒りのスイッチが入ると、「勝気な性格」ゆえ「全身戦闘モード」になって、一気にケンカ、破談…みたいなことになりがち。

その際、「思い切りが極めて良い性格」ゆえ、一瞬にして「こいつとの人間関係、終わりにしてOK!」なる脳内指令が出る。その一秒後、派手にマジギレ、ガチンコして、The end…となる。

それでも、壊れた人間関係以上に、良い人間関係を新たに結んでいるので、孤独な感じはしないし、嫌われている実感も今のところありません。

 

サラリーマンと自営業主では、仕事上の人間関係に関する考えが、かなり違うんだと思います。

一般論として、サラリーマンは、一緒に仕事する人を選べません。そして、給料は毎月振り込まれます。だから給料を得るために、目の前の人間関係を無難にこなして(我慢して)頑張ろうという力学が働きます。

逆に自営業主の場合、お金の稼ぎ方、時間の使い方の自由度が高く、一緒に仕事する人間も自分で選べる余地が大きい。その代わり、収入の保証はありません。それでも生活費を稼がなくちゃなりませんし、仕事に使える時間も有限です。したがって「収入に結びつきやすい、かつ、費用対効果の高い人間関係」を自分の判断で選ぶことになります。

 

私たち自営は当然ながら、「お金にならない仕事」や、「めんどくさい人間関係やコミュニケーション」が大嫌い。特に嫌なのが、

・やたら細かい性格の人と一緒に仕事すること

 

彼らは往々にして、

・細かい業務・役割分担、スケジュールを決めるように要求してきます。

・仕事がまだおカネにならない段階なのに、「形」から入りたがります。

・どうでもいい些細なことで、報告、連絡、相談をしてきます。

 

彼らはおそらく、そんなスタイルで仕事することが有能・効果的だと思い込んでいるか、あるいはそういう職場環境で長年過ごしてきたんだと思いますが、自営業主から言わせると、面倒臭いことこの上ない、

「こいつと仕事してたって、結局カネにならない、時間もったいない」と判断すれば、彼/彼女との人間関係を切らねばなりません。実際私は、独立以来、自分にとってマイナスな人間関係を、果敢にバサバサ切ってきました。

 

私が今後5年、10年と、自営業主として歳月を重ねると、サラリーマンの友人から、ひと癖もふた癖もある人間だと思われて、敬遠されることも多分あるんだろうなと思います。

自営な私は人間関係でほぼ我慢しないけど、多くのサラリーマンは我慢しながら頑張ってるわけだから…先ほどの文章から引用すると、

 

~「あんなやつじゃなかった」という言葉を投げつけられる

~「大人になれ」と言われる~

 

そういうこと言う人の気持ちも、理解できます。でも気にしませんけどね。所謂「大人」じゃない方が私にとっては幸せだから・・

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オーストラリア融資付けピンチ!

こんばんはManachanです。

今回の日記、テーマは「オーストラリアで融資ひいて不動産買うはずだったのに、突然、銀行から梯子を外された話」。主人公は私です。一体何が起こったのか?

ここ一か月の出来事は、私にとって、まさに不条理極まりない話で、思い出すだけで、心の奥底から「どす黒い怒り」がドロドロこみあげてくる程です。

とはいえ、オーストラリアの不動産でこれまで美味しい思いもさせていただきましたので、極力感情的にならず、フェアでバランスの良い書き方を心掛けたいと思います。

これまで起こったことを、箇条書きにします。

【期待に胸を高鳴らせていた頃】(~2016年3月)

☆私はオーストラリア永住権保持者で、妻はオーストラリア国籍です。

☆私と妻は2002年より、オーストラリア・シドニーに不動産を所有。購入当時に比べて評価額も約2倍になり、現在、大きな空き担保があります。

☆その空き担保を使ってファイナンスする想定で、ブリスベン西郊の新興住宅地に建設予定の戸建(予約販売)を、夫婦共同名義で、2015年8月中旬に購入申込をしました。

☆15年8月下旬、得意先の銀行(10年前から付き合いのあった、4大銀行の一つ)より、3か月有効の融資内諾を得ました。

☆15年9月、翌年1~2月の完成時に決済する想定で、売買契約(土地・建物込の単一の契約)にサインしました。
 

【突然、状況が暗転】(2016年4月~9月)

☆年が明けた後、建設会社・売主であるD社に財務的な問題が起こったことを知りました。

☆D社は2016年7月、建築を断念し、建物部分のビジネスをB社に売却。その結果、売買契約も二つに分割され、D社が売主となる土地売買契約、B社が売主となる建物売買契約の、二つに分割されました。

☆話は前後しますが、16年4月頃から、ターンブル首相は、同国の不動産バブル防止策として、外国人向けの不動産融資を大幅に制限する政策を打ち出しました。

☆その直後、預金額シェアの約9割を握る4大銀行が、「外国人購入者に対する融資を事実上ストップ」し、各州が「外国人購入者に対する印紙税追徴金の大幅値上げ」を行いました。

☆16年9月、土地部分と建物部分の契約書が完成しましたが、その時点ですでに、融資が非常に厳しい状況になっていました。
 

この辺から、私の「感情」が入ってきます。もう仕方ありません。

【まじかよ!憤る毎日】(2016年9月末~ )

☆私はオーストラリア永住権保持者ですが、外国籍(日本パスポート)という理由で、10月1日以降の契約だと印紙税追徴金がかかってしまうと聞き、9月末、急いで契約書にサインしました。

☆契約書は融資特約付で、融資承認期限が10月20日、解除期限が21日となっています。

☆まず得意先の銀行に融資を打診しましたが、外国人向けの融資は無理だと、二言目で断られました(昨年、お前らが融資内諾出したのに、その豹変ぶり何だよ!)。

☆私ではなく、オーストラリア籍の妻を前面に立てて、所有不動産の担保価値を強調して再度申請しましたが、私が自営業主という理由で、断られました(自営の場合、どんなに申告所得高くてもゼロ査定するようです>‗<)

☆外資銀行のひとつ、C行が外国人向けの融資を辛うじて行っていますが、「土地・建物セットの建売契約」なら融資出すけど、「土地」と「建物」別個の契約だと無理との回答(別々の契約になったのは俺のせいじゃないのに…)

☆10月20日のデッドラインに向け、いま、3名のローンコンサルタントを使って、ノンバンクも含めて、大急ぎで融資申請出しまくっています。

☆昨日、ノンバンクの「つなぎ融資」内諾が出る見込みとの話が来ました。ただカードローンみたいな金利で負担が重いので、土地・建物が揃った時点でC行の融資に鞍替えできるかどうか、諸条件確認中。

なお数字だけみれば、常識的に考えて、融資に全く問題ないはずです。私が机上で計算したところ、

融資/担保比率42% (自己資金比率58%)
返済/収入比率15%

申し分ない数字のはずですが、私の日本での収入・所得が、自営だという理由でゼロ査定されてしまうと、残るはオーストラリア国内の家賃収入しかなく、その場合、返済/収入比率が50%近くなり、審査を通すのが厳しいのでしょう(そんな無理な条件で、一体誰が審査通るんだよ!)

つまり、融資審査の問題というより、オーストラリアの銀行が外国人向け融資を制限する国策のなかで決めたルールの問題(欠陥)だと私は思っています。

なお、苦労しているのは私だけではありません。私と同時期に、同じ地区の戸建やタウンハウスを買った日本人の仲間も、皆、突然の梯子外しに悩んでいます。

私は、彼らの融資づけを助け、物件を無事買えるようにするという、業者的な動きもしています(実際そうしないと、回りませんし・・)

それで何人かの仲間が、日本国内の融資をひいて何とか買えることになりました。それは大変喜ばしいことですが、肝心な私の融資が通るかどうか分からないのが今の状態。歯がゆい…

ま、物件自体はとても良いので、最悪、ノンバンクのつなぎ融資経由であっても買う気でいますけど、10月20日の時点で、総合的に判断して、決めようと思っています。

私が思ったことを、正直に書きます。

☆オーストラリアは、もう、変わってしまった。以前と違う、外国人投資家を排除する国になってしまった。
 
☆私はオーストラリアの永住権保持者なのに、外国人扱いされて印紙税の課徴金とられる…そんな国は、悲しい。

☆融資審査において、自営だという理由で機械的に排除される、そんな思考停止する金融機関とは、付き合いたくない!

ですが、今のオーストラリアがこうなった背景も、理解しなくてはなりません。中国人をはじめとする外国人投資家や移住者が、シドニーやメルボルン等、大都市の不動産を買いまくって、不動産価格が何十%も高騰。現地住民の多くが家を買えなくなった…

そこで、国民の人気取りも兼ねて、現首相が、「現地住民には思い切り補助して家買いやすくする」、「その代わり外国人、外国在住者には買わせないようにする」趣旨の政策を打ち出してきた。その余波を私はいま、モロに受けているわけですが、

見方を換えれば、ここ数年外国人の爆買いがあったおかげで、私が以前買ってたシドニー物件の担保価値が思い切り上がったわけです。それを使って、あわよくば2戸目、3戸目・・・と増やしていくはずだったのですが、そうは問屋がおろさなかったわけですね。

金融機関の担当者は、上層部がダメダメ言うなかでも、一生懸命、知恵をしぼってサポートしてくれています。国のトップがこんな政策をやると、外国人相手の融資商売ができなくなるので、銀行の現場ではターンブル政権が不評だとの話もききます。来年、再来年頃には、もっとまともな状態に戻って欲しいものです。

海外不動産投資は、特に融資をひいて行う場合、その国の金融政策の影響をモロに受けます。外国人や非居住者というのは一番立場が弱いですので、これはリスクとして認識しなければなりません。

オーストラリアを含め、先進国の場合は、物件価格が安くないし、都市部ではグロス利回り5%いけばいい方、その代わり、人口増えて住宅供給不足が続くし、築年数経っても価値が毀損しないので、物件価値が底堅く上がっていく・・・そんなマーケットなので、やはり融資を使って資産を増やすのが合理的です。

とはいえ、今のオーストラリアみたいに、外国人に厳しい融資環境になってしまうと、資産を殖やしていくのも難しいし時間がかかるので、カナダはじめ、他の国への転戦も同時並行で取り組む必要性を痛感しています。

とはいえ、10月20日までは、融資づけ・物件取得に向けてベストを尽くします。こういうチャレンジを一つ一つ克服して、各局面で継続・撤退の条件を考えつつ、その時々でベストな判断をしていく。経験値を積み重ねて、グローバルで洗練された投資家になっていきたいと思います。
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他社の悪口言う業者って…

こんばんは、Manachanです。

海外不動産投資コミュニティ「アジア太平洋大家の会」を運営して、6年目に入りました。その間、中華系、東南アジア系、インド系、北米系、オセアニア系、欧州系、アフリカ系まで、それこそ無数の、海外不動産の仲介業者やデベロッパーとお付き合いしてきましたし、もちろん今でもそうです。

 

この業界は新規参入や撤退廃業、栄枯盛衰が激しく、5~6年前に付き合っていた業者さんが、今ではメンツ丸代わりの感さえありますが、

昔も今も、変わらぬ良いお付き合いさせていただいている業者さんも、地域を問わず、いらっしゃいます。その方々に共通する特徴は、

 

客の前では決して、同業他社の悪口を言わない

 

彼らは、同業他社について客から何か聞かれると、

 

〇〇社さんは、どういう物件を扱い、このようなサービスを展開しています。〇〇なタイプの方には良いと思います。一方、弊社では△△なお客様を主なターゲットとして、次のような物件とサービスの提供に注力しています。

 

そんなプロフェッショナルなトーク、誰も不愉快にさせない大人の話が、いつでもどこでもできる…それが、イケてる業者さんの条件ですね。

逆に、残念な業者さんも少なからず、いらっしゃいます。彼らは、客の前でも同業他社の悪口を平気でしたり、自分が取り扱わない国の不動産をDisったりする。

 

・〇〇社の売ってる物件なんかカスだ!

・〇〇国の物件なんか買うのはバカ!

〇〇社の社長は、以前、△△やってた犯罪者だよ。付き合わない方がいい。

 

なかには、ブログとかTwittter、Facebookみたいなネット空間で、他社名や個人名を名指しで非難、誹謗中傷する例もあります。そんなことすると、後で必ず、手痛いしっぺ返しが来るのが世の常なんですが…それでもいますよね。

 

これって事業者・セールスマンとして、どうなんだろう?ひとさまの悪口を言うことで、誰に、どんな影響を与えたいんだろう?誰かを貶めれば自分を選んでもらえると思っているのだろうか?

少なくとも、投資家マインドを持ってる客には、全く逆効果ですね。海外不動産を検討する投資家として知りたいのは「事実」と、「業者の専門知識や能力」、「サービスの条件や内容」等ですから、

他社の悪口みたいな、つまらんことを言った時点で、「ビジネス常識がない」、「専門的知識や能力がない」烙印を押されるのが関の山です。

 

私がこれまで体験した範囲でいうと、他社の悪口を言う主な動機は、以下の2つだと思います。

 

1)自分より上手くやってる者に対するやっかみ、嫉妬

2)不動産や投資に対する知識不足

 

1)は、私自身を含めて、誰の心にもあります。ある程度の共感もできますが、でも、客の前ではそれを出して欲しくないよねえ

2)は、「自社の物件こそベスト」だと、心の底から思い込んでいる者によくある現象です。でも、不動産や投資を深く知れば知るほど、そんなことは言えなくなるはずです。

 

突き詰めて考えれば、不動産や投資に対する深い知識と、客に対するサービス精神や敬意…それを豊富に持つ良質な業者ほど、「悪口」とは無縁になるはずです。

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海外不動産は、新興国vs先進国どっちがいい?

おはようございます。Manachanです。

海外不動産における私のビジネスパートナー、市川隆久氏による有料セミナー「海外不動産投資成功塾」が東京・半蔵門で行われていますが、次回勉強会のテーマ面白いですね。

 

第五回 10月07日(金)19:00~21:00「新興国VS先進国・徹底解説」

 

1回5000円しますが、非常に中身が濃くて実践的、洞察も深い。しかも市川氏は私と一緒に毎月、世界中回ってるので情報も新鮮。興味ある方にとっては、参加費以上の価値は確実にあると思います。

今回は、海外不動産投資における「新興国と先進国の違いやポイント」について、私の思うところを、ガッツリ本音トークいたします。

 

不動産は、言うまでもなく「個別論」の世界。同じ国、同じ都市、同じストリート上に、それぞれ全く違う築年、間取り、広さ、管理状態の物件が存在しますし、投資の効果も個々の物件スペックや運営方針次第。ですので基本的には「ミクロ」の視点で、個別に見極めできないと話になりません。

同時に、「マクロ」の視点も必要です。たとえばの話、上述の国・都市に、賃貸需要および売買需要がどれくらいあって、どの程度の価格、伸び率が期待できるのか?それを支える客観的条件(人口、産業、給与水準、空室率、法制度や商慣習…)は何なのか等々。

つまり、不動産投資は国を問わず、マクロとミクロ、両方みなければなりません。「先進国vs新興国どっち?」の議論は、言うまでもなく「マクロ論」が中心で、その観点から両者の特徴をいうと、

 

・先進国は、国民の平均所得が年間3万ドル以上の国がほとんどで、日本より給与水準や物価が高い国もたくさんある。一方で新興国は、平均所得水準が年間1千ドル~1万5千ドルと先進国より低く、かつ国・都市によってばらつきが大きい(例.同じASEAN新興国でも、マレーシアとカンボジアでは10倍程度の格差がある)。

・先進国では、平均的な賃金・物価水準が高いため、都心、郊外、地方を問わず、一般ピープルが日本と同程度かそれ以上の家賃を払えることが多い。一方新興国は、都市部の高価な物件になるほど、財力が低い一般ピープルを入居ターゲットにできず、外国人や一部の富裕層をターゲットにせざるを得ない面がある。

・今後の成長期待は、概して新興国の方が高い。先進国の多くは、移民流入が期待できる一部の新大陸国家を除けば、高齢化して人口の伸びも経済成長率も低い。一方で、新興国は人口も若く、現時点での所得水準が低いため「伸びしろ」も大きい。

 

ですので、「賃料と安定感の先進国」vs「成長期待の新興国」。それが一般的なマクロの理解になるわけです、が、ここで気を付けなければならないのが、「不動産であるがゆえにミクロ、個別論の世界」も併存していることです。この領域になるとどうしても、新興国不動産に対して厳しいことを言わざるを得なくなりますが、ハッキリ言います。

 

1)いま日本で売られている新興国物件が、現地の物価水準や賃貸・売買相場に対して割高になってないどうか、検証が必要。

いくら新興国の成長期待が大きいとはいっても、不動産には地域の相場というものがあります。それに比べて「高値掴み」をしてしまったら値上がり益を得るのは難しく、モトを取るまでに長い時間がかかります。

 

相場より割高な新興国物件が日本で紹介されやすい理由は、いくつかあります。

・平均的な所得水準や賃料水準がまだ低く、かつ賃貸、売買、管理もシステマティックになっておらず手間もかかるし、ローカル言語の能力も必要。だから、日本人業者が「一般ピープルをターゲットとする物件」を薄利多売しても商売として成り立たない。

・新興国は経済成長中で、デベロッパーも概して強気。「値段上げられるはず、上げても売れるはず」と信じ込んでいるから(というより彼らは、不動産価格が下がる局面を経験したことがないから)、分譲第一期、第二期…と進むほど、どんどん売出価格を上げてくる。その結果、市場価格と乖離してしまうリスクが高まる。

・売買・賃貸価格の客観的データも、新興国ではまだ整備途上なので、「実際、いくらで貸せるか?売れるか?」を、妥当性をもって判断する材料に乏しい。

(追伸…新興国主要都市では、CBREやSavills等、英語圏調査会社のデータはあるものの、多くの場合、調査対象が都心部の一部優良物件に限られ、そういう物件はすでに良い値段するので、日本で実際に売られている物件とはランクも収益性がそもそも違うことも少なくありません。)

 

もう一つの大事な論点は、

2)新興国の成長期待をおカネにしたい場合、実物不動産保有という手段が果たしてベストなのか、検証する必要もある。

成長期待の大きい新興国の投資でお金をつくるには、いろいろな方法があります。たとえば、

・ETFを買う

・国債や州債を買う

・代表的な大手企業の株式や社債を買

上記ような投資手法を「マクロベット」(Macro Bet)と呼びます。紆余曲折はあるものの、マクロでみて、その国が将来に向けて発展していく方に賭ける(Bet)上で、比較的確実性の高い投資方法といえるでしょう。

 

ここで、私の根源的な疑問は、新興国の成長期待に投資してお金を増やしたいなら、単純にマクロベットすればいいじゃん?そういう手段があるなかで、個別不動産を買う意味って一体何なんだろう?

たとえばの話、フィリピンでアヤラ(Ayala)という、日本を含むアジアで最古の歴史を持つスペイン系財閥があります。そのアヤラ財閥構成企業の一つ「アヤラランド」(Ayala Land)が、同国最大のデベロッパーで、かつダントツのブランド価値を持ちます。日本でいう「三菱地所」や「三井不動産」を彷彿させますが、フィリピンにおいての重要性はそれ以上でしょう。なにしろ首都マニラの都心そのもの(マカティやBGC)をデザインしてつくってしまう会社ですから…

そのアヤラランドが公開している、2015年のAnnual Reportをみると、全部53のプロジェクトを手掛け、1200億ペソ(邦貨換算2520億円)の売上があったようです。1戸あたりの平均が1000万円と仮定すれば、単純計算で25200戸を供給していることなります。

http://ir.ayalaland.com.ph/uploads/files/ALI%202015%20Annual%20Report.pdf

 

アヤラグループは住居系だけでなく、ホテル・リゾート、オフィス、商業モールなど幅広く手掛けています。そして、同社は毎年のように社債を数百億ペソ発行し、額面の利子率4~5%前後で売り出しています。

http://www.philstar.com/business/2016/07/08/1600535/ayala-corp-raises-p10-b-bond-issue

 

フィリピンや、アヤラランドの将来性について、私の考えはポジティブ。前途は明るいと思います。ここで投資家に問われてくるのは、目的と手段のバランス。

・年間何万戸供給しているリーディング企業の株式や債券を買うべきなのか?

・年間何万戸供給している中の1つを区分所有すべきなのか?

 

後者の場合、我々不動産投資家の「見極め」の領域になってきますが、新興国の区分所有は、前述したように客観的な賃貸・売買データが乏しい上、業界もシステマティックになってない分、運営の難易度が高い面がある。そして、一気に何百、何千戸供給されるから、ライバルも多い。

区分所有する場合、アヤラの平均パフォーマンスより上振れることも、下振れすることもあり、その振れ幅は大きいとみるべきでしょう。

 

その覚悟を持って、「長い目でフィリピンの成長に付き合う」ことのできる投資家とか、将来、自分で住む想定があるとか、エアビー等を使って工夫した運営をする投資家であれば、新興国の区分所有は心からおすすめできます

そうでなくて、単純に新興国の成長に乗ってお金を増やしたいというニーズであるなら、他の投資手段も併せて検討することをおすすめします。それをやった上で、個別不動産が良いということになれば、やればよい。

 

あと、日本の賃貸経営スタイルに似たノリで、賃料を得ていきたいという投資家なら、先進国の不動産を優先的に検討した方が良いと思います。先進国はとにかく賃貸・売買データが豊富、都市部では賃貸市場もしっかりしている。個別の戸建やマンションで「利回り5%」と公称される物件なら、上振れ、下振れしてもだいたい4~6%くらいにおさまるでしょう。要は投資指標が読みやすいし、ほぼ読み通りの数字が実現しやすい。

日本の新築ワンルーム投資だって、利回り低すぎて私はやりませんけど、それでも、「業者の示す想定賃料が大体そのまま実現する」という意味では先進国型だと思います。

 

でも新興国で同じことをやると、(バンコクBTSスクンビット沿線「オンヌットより都心寄りの駅近」みたいな鉄板な場所は別として)一般論として上振れも下振れも大きくなるので、確実に賃料収入を得ていきたい人には不向きかと思います。

むしろ、積極的に上振れチャンスを取りにいく方が面白いでしょうね。想定以上の上振れもありうるのが、新興国不動産の楽しさでもありますから。販売業者も、「国が成長しているから、この物件買ったら確実に値上がります」みたいなマクロなトークより、「この物件は、こういう理由で特殊ニーズを持つ人々に選ばれる、想定以上の利回りや転売益も期待できるかも」みたいなミクロなトークをした方が説得力あると思いますよ。

 

これを踏まえた上で、市川さんの「海外不動産投資塾」聞くと、十倍楽しめると思います。さあ行ってみよう!

第五回 10月07日(金)19:00~21:00「新興国VS先進国・徹底解説」

 

 

また、私が主宰する「アジア太平洋大家の会」でも、最近のビデオ対談で「先進国VS新興国の不動産投資」について語ってますので、興味あればこちらもご覧ください。

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海外不動産業界をまともにする!IPC東京始動(10/20)

こんばんは、Manachanです。

2011年2月に、海外不動産コミュニティ「アジア太平洋大家の会」を旗揚げしてから、5年半以上の歳月が経ちました。「海外の不動産に特化する投資家・大家の会」という極めてユニークな立ち位置で、これまで世界15か国・地域、200以上の不動産セミナーを日本各地で企画・開催してきました。

旗揚げのタイミング良く、社会的ニーズに乗れた面があったのでしょうね。今では2200名以上の会員と、東京、名古屋、大阪、福岡の4拠点を設けて定期的に活動するまでになりました。

 

でも5年半やってきて、不動産投資の世界ではそれなりに認知される存在になっても、海外不動産投資の世界は限りなく奥深い。日本の社会で、人々が海の向こうの不動産を買って資産形成する歴史もまだ浅く、それを支える業界も未成熟。世界で広く知られていても日本では紹介されていない優良投資案件も未だに多数ある。

海外不動産の情報普及と、投資手法の開発を提唱し続けてきた私たちの活動は、「まだまだこれから」だと思っています。

 

私思うに、海外不動産投資に関わる仕事は、本来、極めて高度な専門知識を必要とするプロフェッショナルであるべきです。だって不動産や投資が分かって、税務や法務、ファイナンスも分かって、かつ外国語能力も必要なんですから…優秀な人間が高給を目指して参入すべき仕事だと思いませんか?

また、優秀な業界人が切磋琢磨して、良いサービスや情報を日本の投資家に与えられるようになった方が、結果的に、皆様がより大きな投資利益を手にすることにつながると思います。

 

私は先週ずっと、中国・北京の不動産展に行ってました。そこで改めて、当地の海外不動産情報の豊富さ、人材の層の厚さを実感しました。もちろん、中国なりにいろんな問題はあります。でも、潤沢な中国人マネーを目指して、世界五大陸から不動産デベロッパーと販売会社が北京に参集する情景は圧巻でした。日本では、東京でさえ、ここまで豊富な情報が一同に集まる場は皆無でしょう。たとえばの話、

・スロヴェニアの不動産投資案件

・キプロスの不動産投資案件

・カリブ海のドミニカ、セントルシア、グレナダの不動産投資案件

…みたいな情報が、いま日本のどこでで入手できますか?

 

もっとメジャーな国、たとえばドイツ、イタリア、スペインあたりの西欧諸国にしたって、日本でやってる販売業者はまだ少ないですが、中国にはたくさんあるし、業者間の競争もあって選択肢が豊富。たとえば、

・スペイン・バルセロナの「ガウディ」1㎞圏内に特化した業者

・ドイツのノルトラインヴェストファーレン州の利回り10%以上の収益物件に特化した業者

・オーストリア・ウィーン圏に特化した業者

・ポルトガル・リスボン圏に特化した業者

…そんな業者が、日本にいくつありますか?

 

特に、あの「ガウディ」が見える物件だったら欲しい人、日本でも大勢いるはずだから、そういうニーズを開拓する業者が日本にもっと居てもいいと思うし、今なら参入のチャンスだと思いますが、まだ少ない…日本人にとって海外移住も、不動産投資も、中国人に比べたらまだまだ歴史が浅いんですよね。

情報の「質」の面でいっても、中国で得られる情報量がとにかく多い分、世界中の良質な投資案件情報が日本よりずっと豊富にあると感じました。

 

まだまだ未成熟で、逆にいえば伸びしろの大きい日本の海外不動産投資。私はこれから、どういう方向で、貢献していきたいのか?

 

1)投資家が、海外不動産を検討する上で欠かせない「情報」をきちんと整備したい。

2)海外不動産業界を支える、プロフェッショナルをもっと多く「育成」たい。

3)彼らがプロフェッショナルにふさわしい収入を得るために、世界中の良質な投資案件を「仕入れ」たい。

 
「情報」、「人材育成」、「物件仕入れ」の課題、これを組織的に解決していきたい。その一念で、私も発起人の一人として「IPC東京」という組織を立ち上げました。
 
IPC  = International Property Consultants
 

IPC東京は、次の3つの機能を果たす、B to Bのサポート組織です。創立者3名が、それぞれの機能で責任者になります。

「人材育成」営業指導部門:市川隆久氏

「仕入れ」対外交渉部門:小川和彦氏

「調査」部門:私

ipcfounders 

 

我々が、組織として機能することにより、日本の海外不動産投資に関わる人材が、

 

「世界中の優良投資案件を仕入れて」、

「しっかりしたリサーチ、レポートの裏付けをもって」

「顧客との適切なコミュニケーションを通じて、投資を成功に導く」

 

それによって、業界が健全に育ち、担い手もプロフェッショナルとして十分な報酬機会を得ることができる。私はせこのフォーマットを、近い将来、日本の業界標準にしたいと思っています。

 

まず手始めに、IPC東京の初セミナーを、東京・半蔵門で開催することになりました。第一期メンバー募集と、英国マンチェスターの優良投資案件の説明会を兼ねて行います。

法人の方、個人の方、参加大歓迎です。

 

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「IPC発足記念、英国投資案件説明会」

日時:2016年10月20日(木) 18~21時

場所:東京・半蔵門 (申込後にアナウンスします)

参加費:3000円/1名

申込方法:info@ipc.tokyo までメール願います。

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最後になりますが、日本の海外不動産業界を、「もっと賢く、正しく、豊かに」していくため、これからも尽力していきたいと思います。

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