こんばんは。Manachanです。今日は不動産話をちょっと離れて、「ネット革命とシェアリング・エコノミー」の話でいきますね。
香港在住の義姉が、最近、サンフランシスコに行った時のお話、
・サンフランシスコ国際空港から市内まで、タクシーで行ったら片道70ドル
・帰り、市内から国際空港まで、Uber(ウーバー)でクルマ呼んで行ったら、片道28ドル
だったそうです。ここまで価格差あるなら、もうUber使うしかないよねと・・
Uberとは、インターネットを使った配車サービス。言い換えれば、「21世紀のネット白タク」…サービス提供側からすると、自家用車と運転手と時間さえあれば小銭が稼げてしまうし、利用者の側からしても、スマホ一台あればどこに居てもクルマを呼べてしまうので便利。世界の多くの国で、「既存のタクシー業界のビジネスモデルを脅かす存在」にまで急成長しています。日本でも東京はじめ主要都市ですでに使えるようになっています。
前出の通り、北米などでは、既存のタクシーよりUberの方がずっと安いケースが多い。オーストラリアあたりで不動産視察して、タクシーが呼びにくい場所に行ってもUberでクルマ呼べてしまうので、実際、かなり重宝します。
逆にタクシー業界など、許認可で守られた業界からすればUberは天敵そのもの。利用者の安全を守るために、さまざまな法規制をクリアするための設備投資もしてきて、人件費や保険料を払って運転手も揃えたのに、客をUberにごっそり取られてしまうのですから。彼らに言わせれば、Uberでサービス提供する側は、業者なら当然支払うべきコストを払わず、ある意味「タダ乗り」しているわけです。実際アメリカはじめ多くの国で、タクシー業界からの圧力で、Uberに対する規制が政治課題になっています。
これってまさに、「不動産でいうところの、AirBnB民泊と同じ構図」ですよね?
・既存のホテル業界 vs ネット民泊サービス (AirBnBなど)
・既存のタクシー業界 vs ネット配車サービス (Uberなど)
・既存の派遣業界 vs クラウドソーシングサービス (Lancersなど)
・既存の金融業界 vs クラウドファンディング
ネット(スマホ)革命の力で、後者がにわかに勃興し、瞬く間に、大きなマーケットシェアをとってしまう。既存の法規制のなかでビジネスモデルを確立した前者の業界にとっては、当然面白くない話。ですが、規制を加えるにも新たな法律が必要だし、その前に政策立案のための現状把握も必要。それやってる間に、ネット・スマホは超スピードで現実を変えてしまう。
また、日本も北米も市場経済ですので、何だかんだいって、消費者が最終決定権を持っています。「安全・快適を考えてタクシーを選ぶ」消費者もいれば、「安くて目的地に着ければそれでいい」と考える消費者もいる。後者が相当数多ければ、役所も「民意」に反する取り締まりはやりにくい(年中、オーナー社長に罵声を浴びせられてる税務調査官みたいになっちゃう・・・)
現実的な解として、UberもAirBnBも結局、「基準を満たしたもの」が法律で認められ、合法化された彼らがホテル、タクシーの正式な挑戦者になっていくのでしょう。
Uberでクルマのシェア、AirBnBで民間住宅のシェア、ついでにオフィスもシェア、自転車もシェア、空き時間を使った労働もシェア・・・「なんでもシェアする、新しい経済」が伸びると、どうなるか?誰が得して、誰が損するのか?
・サービス利用者、特にネットリテラシーの高い者にとっては、福音でしょう。選択肢が増え、料金も安くなるわけですから。
・サービス提供者にとっては、「いつでもどこでも、サービスが提供できる」反面、競争者が増え、「万人の万人に対する競争」になりやすいから、かえってキツイかもしれません。たとえば、タクシー業界にとっては、Uberの出現によって、「同じ街で自家用車を持って運転できる人」がすべて新たな競争相手になりうる話です。
私にいわせると、「俺が10年以上前、英語圏のITエンジニアとして職場で体験したことが、いよいよ、人々の日常生活にやってきたのか・・・」と感慨深いものがあります。当時、私はオーストラリアで、サラリーマンITエンジニアとして、業務アプリケーションの開発・サポートの仕事をしていました。
英語を駆使して、ITの仕事をする・・・日本語で言うとかっこよく聞こえますよね。でも実際は、英語が使えるITエンジニアというだけでは、労働力(サービス提供者)としての価値は大して高くありません。インド、フィリピン、中国をはじめ、それができる人間は世界中にゴマンといる。しかも彼らは、先進国の何分の1かの給料で、喜んで長時間働くのです。給料安いとはいえ、それぞれの国では良い大学を出た、若くて優秀なエンジニア達です。そして何より、ネットがつながっている限り、世界中にいるITエンジニアが競争相手になるのです。
2003~04年にかけて、私のいたオーストラリアの職場から、アプリ開発やサポートの仕事が、どんどん、労賃の安いインドや中国に移管される事態を経験しました。会社の目指すものばコスト競争力向上、でもオーストラリアで働く我々からみれば、職が脅かされるわけです。
私は、悲しいかな、ITエンジニアとしての技術スキルは、よく言って平均程度。物価の高いオーストラリアで、インドの優秀なエンジニアの何倍もの給料を取っていることを、経営陣に対していつまでも正当化できる自信はありませんでした。「このままでは、職を失う」と危惧した私は、「英語+IT」以外の分野で、ライバルと差をつけることを考えました。
私が見出した答えは、「日本語と中国語と英語ができるITエンジニアとして自分を売り出す」こと。それを履歴書に書くためには、是非とも、中国での就労経験が欲しい。そう考えた私は、2005年、オーストラリアを後にして、中国に国際転職したのです。
日・英・中、3か国語できるITエンジニア・・・これだけのスペックなら、ライバルはうんと減るし、稀少価値になる。明らかに(需要)>(供給)だから、インドなど新興国エンジニアと同じ土俵で賃下げ競争しなくても済む。おかげさまで、2013年にサラリーマンをやめて独立するまで、高い年俸を稼ぎ続けることができました。
そして今、世はシェアリング・エコノミーの時代。ネット越しに多種多様なサービスが受けられて便利だけど、サービス提供者にとっては、辛い世の中。通り一遍のスキルしかないと、結局、「万人の万人に対する競争」という、レッドオーシャンのなかで生きざるを得ない。
こんな世の中で、高い収入を得て、生活を安定させるためには、社会的に需要のある分野で、自分自身が「オンリーワン」、「稀少価値」になることが何よりも大事なんだと思います。