我孫子の憂鬱と希望(後編)

前回の続きです。

我孫子の行く末を考えるには、まず、JR我孫子駅ホームで営業する立ち食い「弥生軒」の唐揚げ蕎麦を食すことから始めたい。

昭和3年創業。あの「山下清画伯」も無名の絵描きだった頃に働いたという、歴史由緒ある名店。1号店から8号店まであり、同駅ホームの顔となった弥生軒は今や、間違いなく我孫子で最も有名な飲食店でしょう。私も我孫子に用事があれば、必ず立ち寄ります。何が凄いのかというと、

・唐揚げの大きさがすごい!蕎麦も汁も見えなくなる位、容器を埋め尽くす!
・唐揚げをガツガツ食っても、いくら食ってもなくならないボリューム!
・唐揚げ食いに飽きてきたところで、ようやく見えてくる蕎麦の麺とつゆが、とにかく旨い!

全部食べたら凄まじい高カロリーと思うので、小腹が空いた時の一杯としては全くお勧めしませんが、腹を空かして、「とにかく、巨大な唐揚げと格闘したい」戦闘モードになった時、あなたの胃袋と心を必ず満たしてくれる逸品です。(Tips:巨大唐揚げ二個入りが基本形ですが、二個食べきる自信のない人は一個入りにしましょう。)

我孫子駅の弥生軒、私が幼い頃からありましたよ。ただ、当時は1~2店舗しかなくて、客の入りも少なく閑散としていました。でも今では8店舗もあって、なおかつ狭い店内に客が入りきらず、ホームで唐揚げと格闘する高校生やサラリーマンの姿が・・・もはや我孫子の風物詩ですね。首都圏の立ち食い蕎麦屋でも有数の成功事例として、他所から「観光客」さえ呼び込む程の人気!

この「弥生軒」こそ、我孫子の地理的特性が生んだお店だと思います。なぜなら、

1)我孫子駅は常磐線と成田線(我孫子支線)の乗り換え駅。都心直結、本数が多く便利な常磐線に比べて、成田線は単線で本数が少なく不便。我孫子駅での乗り換え時間も長い。彼らの「時間つぶし」ニーズこそ「弥生軒」を成長させた原動力といえる。

2)「弥生軒」が我孫子ローカルでなく首都圏ワイドでメジャーになったのは、駅ホームという立地と、JR常磐線という大量交通機関あってのこと。

弥生軒の成功を、我孫子市浮揚のヒントにできないものか…唐揚げで満たされたお腹で考えてみる…先ほど書いた「我孫子の地理的特性」を、もう少し噛み砕いて考えてみる。

1)不便な成田線⇒「都会的なものは乏しい」、「その代わり時間はたっぷりある」、「豊かな自然も残る」⇒我孫子の、郊外田舎的なライフスタイルを、皆に分かりやすいかたちで打ち出せないものだろうか?

2)便利な常磐線⇒「東京と首都圏全体にアクセスできる」、「東京メディアを使って全国・世界に発信もできる」⇒我孫子の良さを首都圏ワイドで上手にアピールすることによって、知名度、ブランド価値向上につなげられないものだろうか?

さらに考えを進めると、

1)分かりやすさ⇒「キャッチコピー」と「目に見えるモノ」を使うのが一番

2)知名度・ブランド価値向上⇒隣町の「柏」を上手に利用するのが良策

現時点での私のアイデアは次の通り、

我孫子のキャッチコピー:「都心に一番近い湖のまち」

我孫子駅から徒歩10分ほど南下すると「手賀沼」湖畔に出ます。一周38kmの広さを持つ、東京都心30km圏内で唯一の天然湖(というか沼)です。手賀沼は隣の柏市や印西市にもまたがっていますが、レイクサイドが商業地や住宅地などの街になっているのは我孫子市域だけなので、「都心に一番近い湖のまち」を名乗る資格は十分あるでしょう。

首都圏ベッドタウンに位置するため水質は全国ワーストから数えた方が早いですが、それでも私の子供時代よりはずいぶんマシになり、トライアスロンなども行われるようになりました。野鳥に野草、水生植物…湖岸は驚くほど豊かな自然に溢れていますよ。

でも、湖や自然だけ打ち出したのでは田舎っぽいので、「アーバンな都市生活」の要素を入れてプロモーションしなければならない。それには、我孫子のすぐ隣にある、首都圏郊外を代表する繁華街のひとつ「柏」を使わない手はない。そこで、

我孫子レイクサイド(手賀沼公園周辺)と、柏駅前との間に、10分に1本(ラッシュ時は5分に1本)バスを走らせる。それによって、「柏アーバンライフ」と「我孫子レイクサイドライフ」をセットで、首都圏ワイドに打ち出す。

我孫子市には「あびバス」という、かなり使える市営バスがあり、市内くまなく走っていますが、これを市の境界を超えて「柏市街地と直結する」ことに使う。

バスだと不便に聞こえるかもしれませんが、幸い、手賀沼ふれあい通りと柏ふるさと大橋経由で、柏市街地までの道路事情は良好。本数を増やして途中停車ゼロで直通させれば使い勝手は良くなるでしょう。

要は、「柏(都会)と我孫子(湖畔)がセット」であることを打ち出すツールとして直通バスを使う。首都圏近郊で、この二つが同時に楽しめる場所は他にない。その魅力を打ち出して首都圏全体から新住民獲得を目指す。

柏市街地と手賀沼は地理的に一体

最後に、

我孫子レイクサイドに良いデザインの中高層分譲マンションを集めて、ゴールドコーストっぽくする

都市内の水辺空間(ウォーターフロント)は高級住宅地になるのが世界の常識。海と湖(沼)の違いはありますが、オーストラリア・ゴールドコーストをモデルに、時間をかけて、我孫子レイクサイドを、手賀沼と調和するスタイリッシュな中高層住宅地にしていきたい。それができれば、「我孫子市」アドレス自体がブランド価値を持つでしょう。

このように考えると、我孫子ってポテンシャルにあふれていますね。「都心に一番近い湖のまち」を衰退させてはもったいない。知恵を絞って、希望あふれる街にしていきたいものです。

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