昨日の朝、ケアンズに着いて、家族と再会しました。
日本から、台湾、シンガポールを経てオーストラリア・・・という長旅で、よほど疲れていたのでしょう。昨日は一日中、ほぼ寝て過ごしました。
機内では、日本で買った「財界」(雑誌)などを読んでました。「財界」は、日本を代表する財界人・実業家のインタビューやオピニオン記事で構成されています。そこに、たまたま、友人のインタビュー記事が載ったので、買ってみました。
南米の鉱山採掘権を買ったとか、新興国の水資源インフラ整備に関与していくとか、いかにも大企業な、ビッグな話がたくさん載っています。
でも、紙面の隅から隅まで読んでみても、ワクワク感は、全く伝わってこなかったですね。
日本を代表する、ビッグビジネスの経営者、経済団体の重鎮が勢揃いですが、羨望感よりむしろ、悲壮な感じが伝わってきました。「この人たち、大変だなあ・・・」と、同情さえ感じました。
財界のインタビュー記事は、やはり、製造業、輸出産業の経営者が多い。戦後日本の屋台骨を支えた、基幹産業を動かすキーパーソン達ですね。ここによく出てくる論調は、
いわゆる「日本経済の6重苦」(円高、過剰な雇用規制、高い法人税、強い温室効果ガス規制、自由貿易協定の遅れ、電力供給の不安)と、政府への不満。
逆境の中でも、しっかり経営をして、利益を上げて、日本の雇用を守らなければならない。外国からエネルギーを買うためにも、製造業が頑張って外貨を稼がねばならない。といった悲壮な使命感、等々・・・。
その努力、貢献について、私は疑うものではありません。でも、正直思うのは、
・かなり無理な状況で、頑張って利益上げようとしてないだろうか?
・日本の国を富ませるために、もっと柔軟な発想が、できないものだろうか?
いま世界の経済環境のなかで、日本国内でモノつくって、日本人を雇用しながら、外国にモノを売って、外貨を稼ぐ・・・というモデルは、客観的にみて、かなり難しいと思う。
よほどのニッチ分野で、オンリーワンの独自技術を持っていれば別ですが、汎用品の勝負になると、結局、日本よりずっと労賃が安い国とのコスト競争に疲弊して、利幅を削り、サービス残業&ブラック企業化・・・みたいな話になる。だから、大企業になればなるほど、世界展開を進め、製造コストの安い国に主要製造拠点を設けているわけですが、
それでも、オリンパス、シャープ、パナソニック、ソニーといった、かつて日本の花形といわれた燦然たる名前が、相次いで経営危機に陥っているのが現状。
・それでも、輸出立国続けますか?
・輸出立国モデルで、2013年以降の日本を、マジ本気で、復活させられると思っているのですか?
・・・って話なんです、私が言いたいのは。
確かに、製造業でも何でも、世界市場に出ていくためには、日本国内に一定規模以上のプレゼンスを残しておく必要は絶対にある。
でも、ここまで円高が進み、ライバル国が日本にキャッチアップしてきている状況で、かつ、エネルギー資源を海外から買わなきゃならない状況が変わらないなかで、
・海外の企業が、日本へ直接投資して、日本人の雇用を生み出すモデル
・日本へ投資したくなるような、制度や社会風土づくり
・・・という論点が、もっと前面に出てきてしかるべきと考えますが、今月号の「財界」を読む限り、あまり出てこない。
世界的にみても、高所得国になればなるほど、「輸出して外貨稼ぎ」から、「海外からの直接投資」にシフトする国が増えると思うのですが・・・
たとえば、アジア太平洋地域で、経済運営に成功しているシンガポールやオーストラリアの指導的経済人が、今どき「工業品の輸出」みたいなこと、言いますか?
そういう時代は、とうに過ぎ去ったことを、正しく認識した上で、「世界のマネーを呼び寄せ、投資させる」、「有能な経営者や技術者には永住権を与える」仕組みづくりに関しては、大変賢明な政策を取り続けている。だからこそ、両国とも成功しているわけで、
【日本は先進国中で、対内直接投資のGNP比がかなり低い】
最後に、「財界」のバックナンバーみると、皆さん、平均年齢が高そうですね。おそらく、アジアのどの国の類似雑誌よりも、高齢かと思います。
高齢な経営者の方々が、「(30年前に成功した)日本の栄光よ、もう一度!」と願うことは・・・やや不謹慎な喩えですが、「バイアグラで、失われた機能をもう一度!」みたいだ。だから、ワクワクしないのかも
2013年は、誰よりもワクワクして迎えたいものですね。
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