週刊ダイヤモンドの10月8日号特集
「日本を見捨てる富裕層~財政破綻、放射能汚染――“ジャパンリスク”を嫌気した富裕層の「日本脱出」が始まった!」
これ、ずいぶん売れたようですね。
オフショア金融投資、ロングステイなどのセミナーでも、ずいぶん使われているようです。
私も読みました。確かに、複数の国で膨大なリサーチしてあるし、分かりやすい。力作だと思います。
雑誌記事としてのデキの良さと対照的に、ここに出てくる「日本人富裕層」の行動は、微妙というかなんというか・・・
この人たち、本当に頭いいんだろうか?・・・と、疑問に思ってしまう。
ここでいう、「頭いい」の意味は、「財務的に賢い」、いわゆる”Financial Literacy”の意味での賢明さのことです。
私は、今年3月の東日本大震災・原発事故以来、首都圏在住富裕層の、西日本、沖縄、海外への、数々の逃避行をみてきました。
他人事とはいえ、「俺たちカネあるから、海外に逃避できるんだもんね」・・・みたいな上から目線、聞いていて気持ち良くはない。
しかしそれ以上に、憐れみさえ感じてしまいます。何、この人たち、こんな慌てふためいているんだろうかと・・・
あの時、日本円を外貨資産に乗り換えた人は、その後の為替の動きで、大損したことでしょう。
もちろん、逃げたい気持ちは分かる。以前から日本の経済政治に対して、漠然と閉塞感、嫌気を感じていた。それが、震災・原発事故で、一気に「目に見える」かたちで表面化したので、即行動・・・それはよく分かる。
でも、日本だけでなく、どの国にもリスクがあることは、中学生にだって分かるはず。
大震災・原発事故が起こってない欧州も、米国も、財政危機で経済がまじヤバい。中国経済も失速しそう・・・
日本や欧米企業が、生産拠点を移した先のタイやインドシナ半島で、今度は洪水リスクが表面化・・・等々。
雑誌ダイヤモンドを含めて、「日本がヤバい、脱出せよ」と主張している記事・論調が、構造的に片手落ちだと思うのは、
日本のリスクだけ強調して、
海外のリスクに、ほとんど触れていないことです。
日本脱出するのは良い。でも行き先で、どういうリスクがあるのか、それを分かってて、リスク、比較考量、分析した上の行動なら分かる。
でも、大震災以降、日本を脱出したといわれる富裕層の、どれ程の割合が、冷静なリスク比較をしたのでしょう?
私思うに、日本人富裕層のなかで、Financial literacyの高い層は、はるか昔から、資産をグローバル分散したり、高い運用益を上げたりしているはず・・・武富士の創業者一家みたいに。
逆に、いま慌てて日本脱出する富裕層の、グローバルFinancial literacyは決して高くないのではないでしょうか。
ま、ひとさまのこと、私には関係ないといえば、それまでだけど、
一言だけ言わせてもらえば、私は、「国難」とよばれる大震災にあたって、海外に逃げた日本人には絶対に負けたくない!
俺は、奴らには、絶対に負けねえぞ。資産づくりでも、ビジネスでも・・・
1. オールドリッチが、海外で損をする!
週刊ダイヤモンドの記事に出てくる船井研究所の人が、いみじくも、こう語ってますね。
「これまで海外への資産移転は金融リテラシーの高い富裕層が中心だったが、オールドリッチの保守的な富裕層までが海外移転を考えるようになった」
同誌では、日本からの富の流出を危惧していますが、
私は逆に、海外で散々、損をした日本人富裕層が、「もう海外はこりごりだ」と言って、お金を日本に戻すように思います。
ま、海外で損することも、日本の国富の流出ではあるんですが・・・
私が言いたいのは・・・グローバルな金融リテラシーがないと、海外で資産を増やすことなど、できません。
一定レベル以上の見識がないと、海外で金融商品売ってる日本人のポジショントークに、いいようにやられるだけ。
世界経済が、金融が、どう動くのか・・・自分の資金を、複数国で動かしながら、何年も実践する。そのやって初めて、見識が生まれてくるのです。
戦略、定見なしに、円を海外に出したって、損するだけです。
http://ameblo.jp/manachan2150/
2. オーディアンスは誰か?
富裕層がこの雑誌を読んで勉強しているとは考えにくいので、やはり中間層以下を煽っているとしか思えないね。
円高は日本が強いということだから、素直に安い輸入品を楽しもう。工業だって輸入原材料が安くなるじゃないか。
円は終戦からずっと高くなり続けているんだから、これからも高くなっても成長できると思うけどね、、、
http://ameblo.jp/smartpc21/