弾けるアジア不動産バブル?

昨晩から、シンガポールに出張で来ています。

滞在先のホテルで、当地の英字新聞Strait Timesを渡されたのですが、そこにいきなり、シンガポール不動産市況の記事がありました。それによると、

・シンガポールの、民間住宅(Private flats)の値上がりは、すでに頭打ち傾向
・一方、公共住宅(ADB)は、まだ多少の伸びしろがある。

シンガポールの不動産価格は、ここ数年、大きな変動がありました。

・まず、2007年から2008年の中盤にかけて、急速に上昇し(上昇幅約30%)
・2008年後半からのリーマンショックで大きな下落を経験し(下落幅約20%)
・2009年の中盤から回復して、2010年後半にかけて再度急上昇(上昇幅約20~30%)して、リーマンショックの下落分をすべて帳消しにした後、
・2011年に、世界経済が不透明な状況になり、頭打ちになりつつある

という感じで浮き沈みはありますが、シンガポールの経済や不動産市場の安定感には定評があり、香港に次いで(並んで?)、アジアでは最も不動産価格の高い都市の一つになっています。感覚的には東京と同程度か、もっと高いかもしれません。

とはいえ、今の不動産相場は、現地の人には高すぎると認識されているようです。シンガポール人の同僚も口をそろえて、「もう、不動産価格は上がらないと思うよ。すでに高すぎるよ」と言います。

上昇幅が緩やかになった、シンガポールの不動産に比べて、隣国マレーシアの不動産は、相変わらず勢いよく、上がり続けています。

とはいえ、マレーシアの給与水準は、シンガポールの半分以下。同国の給与所得者にとって、首都クアラルンプールの不動産価格は、すでに高すぎると認識されているようです。

不動産市場の過熱を防ぐため、売却益に相当の税金をかける法案も審議されているようで、政策や世界経済の動向如何によっては、上昇に歯止めがかかるのも、時間の問題かもしれません。

ここで、忘れてはならないのは、

ローカル(地元民)の視点と、グローバル投資家の視点は、全く違う・・・ということです。

たとえば、なぜ、シンガポールの不動産価格が頭打ち傾向にあるのに、マレーシアでは、まだ上昇傾向が強いのか・・・というと、

マレーシアの不動産価格は、

「ローカルにとっては、高すぎても」
「グローバル投資家にとっては、割安感がある」

から、まだまだ伸びしろが大きいのに対し、

シンガポールの不動産価格は、

「ローカルにとっても、グローバル投資家にとっても、高く感じる」

から、頭打ちになる時期が早く到来する・・・ということなのでしょう。

これと同じことが、マレーシアとフィリピンの間にも、言えるのではないでしょうか?

両国を比べると、経済力や所得水準は、今のところ、マレーシアの方が上です。
不動産価格も、クアラルンプールはマニラの、ざっと2倍くらいあります。

そしてどちらの都市の不動産は、ローカルにとっては、かなり割高に感じますが、
グローバル投資家にとっては、まだ割安に感じる・・・ということは、

まず、マレーシアの不動産価格が、上がるところまで上がって、いずれ頭打ちの時期を迎える。

その時、フィリピンの不動産は、依然として上がっている。価格上昇は、マレーシアなど近隣諸国と比べて、割安感がある限りは、続く・・・

以上は、仮説に過ぎませんが、なんとなく、当たってるような気もしています。

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コメント

  1. 不動産投資で海外移住by三歩目 より:

    1. マレーは、
    バブってるような気がして仕方ないです。
    私の感覚がローカル過ぎるからでしょうか。
    http://ameblo.jp/3rd-step/

  2. manachan より:

    2. Re:マレーは、
    >バブってるような気がして仕方ないです。
    私の感覚がローカル過ぎるからでしょうか。

    ローカルの感覚では、完全にバブルでしょうね。

    グローバル投資の感覚でも、KLの不動産相場に関しては、バブルに近くなりつつある気がします。シンガポールとの価格差がまだあるので、買う人は多いでしょうけど。

    http://ameblo.jp/manachan2150/

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弾けるアジア不動産バブル?

昨晩から、シンガポールに出張で来ています。

滞在先のホテルで、当地の英字新聞Strait Timesを渡されたのですが、そこにいきなり、シンガポール不動産市況の記事がありました。それによると、

・シンガポールの、民間住宅(Private flats)の値上がりは、すでに頭打ち傾向
・一方、公共住宅(ADB)は、まだ多少の伸びしろがある。

シンガポールの不動産価格は、ここ数年、大きな変動がありました。

・まず、2007年から2008年の中盤にかけて、急速に上昇し(上昇幅約30%)
・2008年後半からのリーマンショックで大きな下落を経験し(下落幅約20%)
・2009年の中盤から回復して、2010年後半にかけて再度急上昇(上昇幅約20~30%)して、リーマンショックの下落分をすべて帳消しにした後、
・2011年に、世界経済が不透明な状況になり、頭打ちになりつつある

という感じで浮き沈みはありますが、シンガポールの経済や不動産市場の安定感には定評があり、香港に次いで(並んで?)、アジアでは最も不動産価格の高い都市の一つになっています。感覚的には東京と同程度か、もっと高いかもしれません。

とはいえ、今の不動産相場は、現地の人には高すぎると認識されているようです。シンガポール人の同僚も口をそろえて、「もう、不動産価格は上がらないと思うよ。すでに高すぎるよ」と言います。

上昇幅が緩やかになった、シンガポールの不動産に比べて、隣国マレーシアの不動産は、相変わらず勢いよく、上がり続けています。

とはいえ、マレーシアの給与水準は、シンガポールの半分以下。同国の給与所得者にとって、首都クアラルンプールの不動産価格は、すでに高すぎると認識されているようです。

不動産市場の過熱を防ぐため、売却益に相当の税金をかける法案も審議されているようで、政策や世界経済の動向如何によっては、上昇に歯止めがかかるのも、時間の問題かもしれません。

ここで、忘れてはならないのは、

ローカル(地元民)の視点と、グローバル投資家の視点は、全く違う・・・ということです。

たとえば、なぜ、シンガポールの不動産価格が頭打ち傾向にあるのに、マレーシアでは、まだ上昇傾向が強いのか・・・というと、

マレーシアの不動産価格は、

「ローカルにとっては、高すぎても」
「グローバル投資家にとっては、割安感がある」

から、まだまだ伸びしろが大きいのに対し、

シンガポールの不動産価格は、

「ローカルにとっても、グローバル投資家にとっても、高く感じる」

から、頭打ちになる時期が早く到来する・・・ということなのでしょう。

これと同じことが、マレーシアとフィリピンの間にも、言えるのではないでしょうか?

両国を比べると、経済力や所得水準は、今のところ、マレーシアの方が上です。
不動産価格も、クアラルンプールはマニラの、ざっと2倍くらいあります。

そしてどちらの都市の不動産は、ローカルにとっては、かなり割高に感じますが、
グローバル投資家にとっては、まだ割安に感じる・・・ということは、

まず、マレーシアの不動産価格が、上がるところまで上がって、いずれ頭打ちの時期を迎える。

その時、フィリピンの不動産は、依然として上がっている。価格上昇は、マレーシアなど近隣諸国と比べて、割安感がある限りは、続く・・・

以上は、仮説に過ぎませんが、なんとなく、当たってるような気もしています。

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