石垣島不動産レポート前編「新空港+外国客+国防で住宅需要爆発」

こんにちはManachanです。日本の最南端、台湾すぐ隣、亜熱帯の海に抱かれた沖縄県石垣島へ2泊3日の出張から東京に帰ってきました。

行ってみた感想、「まじですげー!むちゃ盛り上がってるじゃん!」。不動産大家としてテンション上がりまくりでしたね。

石垣島そのものよりも、この島が経験している「いまの時代」が凄い。日本の他地域ではまずあり得ないパターンの活況なのです。一言でいうと、

「観光需要爆発」+「離島ゆえの住宅供給不足」=「あと10年は空室心配なさそう」という実感ですね。

まず「観光需要爆発」ですが、定住人口5万人弱の島にとって大きすぎる出来事が3つ、相次いで起こっています。

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1)2013年「新空港の開港」

1979年に計画され、34年の歳月と紆余曲折を経て開港した「南ぬ島(ぱいぬしま)石垣空港」によって、建設、観光を主産業とする島の経済は激変しつつあります。

石垣島を含む八重山諸島への入域観光客数は、開港の前と後とで大きく変化しました。予想を上回る伸びだったと、島の人々は口を揃えて言います。

2012年 71.3万人
2013年 94.2万人 (開港の年)
2014年 112.1万人
2015年 111.5万人
2016年 124.8万人

この空港の立地条件は、いろんな意味でユニークです。

「八重山諸島で唯一、東京大阪へ直行できるジェット機が発着可能な空港」(2013年以前は、那覇で乗り継ぎが必要だった。新空港ができて東京大阪からの所要時間が劇的に短縮)

「石垣島だけでなく竹富島、西表島、小浜島への窓口」(上記の島々は人気の高い観光地だが空港がないため、必然的に石垣空港利用になる)

「那覇以南の日本領内で唯一、国際便が発着できる空港」→これは、後述「インバウンド観光」に直結します

2)中華圏旅行客の急増

日本の他の観光地と同様、石垣島にもここ数年、アジア近隣諸国からの旅客が押し寄せ、すでに無視できない数になっています。直近(2017年4月)のデータでは、八重山に入域した観光客118,650人のうち、日本人が94,994人、外国人が23,656人と、すでに「旅行客全体の2割」を外国人が占めています。

国籍別の内訳は中華圏が大多数を占め、「台湾」「中国」「香港」の順。外国人旅行客の半数近くを占める「台湾」の基隆港から石垣島は250kmの至近距離にあるため、

「台湾人は週3便の大型クルーズ船でやって来る」

台湾人の行動パターンは、まず朝、石垣港から上陸。ドラックストアで買い物した後、観光バスかタクシーで島内一の観光地「川平(かびら)湾」のエメラルドグリーンの海で水遊び。その後市街地に戻り、夜8時には沖縄本島に向けて出航します。クルーズなら船中泊が基本ですが、最近は石垣島内の民泊に泊まる台湾人も増えているようです。

「香港人、中国人は香港エクスプレスで飛んでくる」

香港~石垣間を直航する香港エクスプレス便は、最近、週2便から週5便に大幅増便になり、なお稼働率良好だという。台湾と比べ、船の移動だとやや遠い香港や大陸中国の旅行客に選ばれています(それでも石垣島からみて香港は東京より近い)。

3)海上保安庁の尖閣特需(?)

石垣島は国境の島。いま日本と中国台湾との間で領土問題を抱えている「尖閣諸島」(釣魚台)は、日本地図上では石垣市に属します。石垣島からの距離は約180km。

尖閣海域へスクランブル発進できるよう、海上保安庁は「なぐら」をはじめとする巡視艇を石垣港に数隻配備。それに伴い保安庁の職員200名、家族を含めれば約500名の賃貸需要が生じ、官舎を建てても全員の収容はできず、石垣港~登野城にかけての民間賃貸住宅を借りて住まわれる方々が増えているようです。

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以上まとめると、今の石垣島では、「新空港開港」+「外国人客増加」+「国防関係者増加」という3つの出来事が同時に起こっており、いずれも住宅(宿泊+定住)需要を爆発される直接の要因になっているのです。

さらに特筆すべきは、深刻なホテル不足。石垣島は観光需要に比べて宿泊施設が圧倒的に足りておらず、そのため「顕在化しない住宅需要」が少なからずあることです。

上述「クルーズ船でやってくる台湾人客」に関していうと、彼らが石垣島内で宿泊せずに即日出航するのは、「宿泊できるホテルが島内に足りない」からでもあります。

石垣を出て沖縄本島まで行けば宿泊施設のキャパは十分あるので、台湾人客も陸に上がってホテルでゆっくりするはず。言い換えると、石垣島に新しいホテルができれば、台湾人もそこに泊まって島にお金を落とすはずです。

あと、飛行機代と旅客需要の相関も無視できません。例えば東京から石垣島に飛ぶ場合、新空港開港後しばらくはバニラエアやピーチの成田発格安直航便があったと記憶していますが、今は那覇経由になり料金も高い。その心は、「飛行機代安くして観光客たくさん来てくれても島には泊まる場所がない」という切実な台所事情に他なりません。

でも、いま建設中、計画中のホテルやリゾートが全部オープンすれば、石垣島内に1400室を超える収容能力が新たに生まれるので、その需要を見込んでバニラやピーチも成田や関空発の安いチケットを出し、関東関西からさらに旅客が増える可能性が十分あります。

今後、島に宿泊施設が増えれば、そこで働くスタッフも増え、そこから派生する飲食店、土産物屋、バス、タクシーの需要も増えます。石垣島で働く人々が増えれば当然、彼らが住まう住宅が必要になるわけですが、その需要に比べて供給が全く追いついていません。

「住宅需要が堅いなら、建て売りすればいいじゃん」と思われるかもしれません。実際、日本は住宅余りの国、空室増えてもなお建てまくる程、供給能力は有り余るほどあります。しかし、同じ日本でも石垣島は離島ゆえ、本土と全く状況が違い、需給ギャップがすぐ解消するとはとても思えません。

次回は供給サイドの話、「石垣島でなぜ住宅が建たないのか?」について書きます。お楽しみに…

後編に続く

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アメリカ不動産、個人と法人どちらで買うべきか?

こんにちはManachanです。いまアメリカ出張から帰国する機内でブログ書いてます。

アメリカは、海外不動産投資の本命中の本命といえます。不動産マーケット規模は世界一、不動産取引の仕組みも先進的で安心度高い。地域のバラエティも豊かで、世界最先端の都市もあれば、人口増加中の発展途上地域も多く、様々な価格帯の収益物件があります。外国人だからといって土地建物の所有権に制限もない上に、しかも通貨は世界一使い勝手の良い米ドル。

私は海外のいろんな国で不動産を「つまみ食い買い」してますが、もし一国だけ選べと言われれば、間違いなくアメリカを選びますね。

アメリカでは、不動産投資で財をなした人、リッチリタイアできた人が、おそらく世界一の数います。彼らの成功パターンを見ていると共通点があって、

1)不動産の値上がり益を得る。
2)買い換え特例(1031エクスチェンジ)を使い、キャピタルゲイン税を払わずに資産を組み替える。
3)米国遺産税の基礎控除(545万ドル→約6億円)を使って無税で相続。子孫も資産リッチに♩

具体的には、このようにします。リーマンショック後、2011年頃から、まずカリフォルニア州の大都市部がいち早く値上がりました。同州内、特にロサンゼルスやサンフランシスコは、全米でも「誰もが良いと思う」優良な場所。アメリカの洗練された投資家は、当然、投資物件を持っており、値上がり益を享受します。

2016年頃に、カリフォルニア州の多くの場所で、不動産価格はリーマンショック前のピークを上回り、「上げ止まり感」が出てきます。他州に目を転じると、テキサス州やフロリダ州など、カリフォルニアよりずっと安く家が買えて、上昇率も高い地域が存在します。

そんな時、洗練された投資家は、「カリフォルニアの物件を一つ売り」、「そのお金でテキサスの物件を二つ買う」のです。当然、キャピタルゲイン税などは払いません。上述「1031エクスチェンジ」買い換え特例は、「物件を売って45日以内に、それを上回る価格の物件に買い換える手続きに入る」のが免税の条件なので、賢い投資家はカリフォルニアで50万ドルの物件を売った後に、テキサスの27万ドルの物件を2戸まとめ買い、みたいなことをやるわけです。

テキサスはいま全米でも屈指の値上がり率ですが、数年もすれば価格も上がりきってくるでしょう。その時、広いアメリカをくまなく捜せば「いま旬な値上がり地域」が出てくるでしょうし、或いはカリフォルニアみたいな良い場所のマーケットがクラッシュして安く買えるかもしれません。そしたら、「1031エクスチェンジ」を使って無税で買い換えすれば良いのです…「わらしべ長者」を地でいく、なかなか素晴らしい蓄財法ですね。

日本に住む投資家が、アメリカの投資家みたいに「わらしべ長者」蓄財ができるのかというと、いくつか課題があります。

1)1031エクスチェンジを使えば米国側ではキャピタルゲイン税を免税にできても、個人名で買う場合は、日本側で譲渡所得税がかかる。

2)アメリカ市民でないと遺産税の相続控除が非常に低くなり(6万ドル→約700万円)、税率18〜40%の遺産税が米国でかかってくる。

最近、日本で販売されるアメリカ不動産は、「減価償却目当ての築古木造物件」が多く、私はそれに対して批判的なコラムをいくつか書いています。理由は、「課税所得が相当高い層でないと節税メリットが出ない」、「競争力の劣るアメリカ物件に業者利益をたっぷり乗せて節税と絡めて売り、客に損させる業者が少なからずいる」からですが(【海外不動産】米国の築古木造物件、人気だけれど危うい理由〜「節税ありき」は避けるべき)

さらに根本的なことを言うと、個人所得税を償却節税する前提でアメリカ物件買っちゃうと、上記1)2)の課題がクリアできず、アメリカ「わらしべ長者蓄財」の道が閉ざされてしまいます。

1)日本で償却節税するために、確定申告でアメリカ不動産を個別に申告することになるので、アメリカで物件買い換えるたびに日本で譲渡所得税を必ず払うことになる。

2)日本で償却節税するために、個人名でアメリカ不動産を買うことになるので、保有中に所有者が亡くなった場合、アメリカの遺産税がかかってくる。

つまり、償却目的でアメリカ物件買ったところで、目先の所得税を軽くするだけで、結局、日本でキャピタルゲイン税を払うことになる上に、アメリカで相続リスクにも晒される…「結局、物件売るための方便ではあっても、お客様のためのトータルな資産形成ソリューションになってないじゃん!」というのが、私の見方です。

では、どうすればアメリカの投資家みたいに、わらしべ長者蓄財ができるのか?日本の居住者ステータスを捨てずに、相続にも配慮しながらアメリカ不動産で資産形成をする最良の方法は、私の知る限りでいうと、

1)アメリカでLLC(合同会社)をつくり、そこに不動産を保有させる。

2)LLCは2名以上のメンバーでつくる(夫婦か、自分と子供、投資仲間etc.)

3)相続を視野に入れるなら、ハーグ条約に基づく国際個人信託(international trust)をアメリカでつくり、上記LLCと組みあわせる。

このようにすると、どんなメリットがあるのでしょう?

1)アメリカLLCで不動産を保有しても、上述「1031エクスチェンジ」を使って買い換えればキャピタルゲインかかりませんし、また、日本の個人確定申告にはアメリカ不動産の情報を書かないので、譲渡所得税がかからない(注: アメリカLLCで利益が出ると、その分は配当所得として日本で納税しなければなりません)。

2)LLCを2名以上の利害関係者でつくると、アメリカ物件を売却した時の連邦源泉税(FIRPTA)を回避できるし、メンバー間で持分調整や移転も容易にできる。

3)国際個人信託をつくって相続財産の受益権者を明確にしておけば、アメリカの法廷を経ずにスムーズに遺産相続手続きができ、かつアメリカで遺産税もかからない(注:日本の相続税はかかる可能性があります)。

私の関心事は、「アメリカで値上がる可能性の高い物件を仕込み」、「戦略的に借り換えを繰り返しながら」、「資産形成の途中で税負担をミニマムにしつつ」、「効率よく資産を増やしていく」ことで、その見地から最も効率的と思われる「米国LLC&1031エクスチェンジ」を使う戦略を採用しています。

租税回避が目的ではありません。国に権利を守ってもらう不動産を使って自分の資産が増えるんなら、増えた分の何割かは税金払ってもいいじゃん、という考え方です。ただ、資産形成期に税金があれこれかかるとキツいし加速もできないので、その辺は賢いソリューションを選び取っていきたいものですね。

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海外不動産、税理士に丸投げされても…

こんばんは、Manachanです。今回は、海外不動産投資に欠かせないパートナー「税理士」にフォーカスして書きますね。

「日本と海外、両方の税務申告実務に通じ、個人投資家に対して最適な税務アドバイスを行うことのできる国際税理士」は、日本人のグローバル資産形成に重要な役割を果たすはずです。が、現時点ではニーズの大きさに比べて人材が育っておらず、まだまだ未開拓な分野といえます。

日本と海外、両方の税務が分かる人が世の中に少なく、よしんば居ても法人向けで料金も高額だったりします。我々日本居住の個人投資家にとっては、「海外での申告、誰に聞けば正しい情報を得られるのか分からない」という悩みがあります。逆にいえば、これから発展余地が大きい分野ともいえましょう。優秀な税理士がいま参入すれば、間違いなく、「ライバルの少ないブルーオーシャン」だと思います。

 

ところで、日本の居住者が海外の不動産を買う場合、物件所在国と日本と、両方の国で納税する義務が生じます。

税制や税率はそれぞれの国で違いますが、世界中の多くの国では、日本で不動産持つのと同様の税金があります。購入時には印紙税や不動産取得税、保有時には固定資産税や所得税、売却時にはキャピタルゲイン税(譲渡益税)が、その代表的なものです。

海外で上記の税金を納めた後、さらに日本の確定申告で納税しなくてはなりません。但し、日本人が不動産買うような国は、たいてい、日本との間で租税条約を結んでいるので、原則として、二重課税にはなりません。具体的には、日本の確定申告の時、海外で納めた税金を「外国税額控除」を使って、差額分を納付、あるいは還付してもらいます。トータルで考えれば、結局、日本の税率で納税することになるわけです。

 

海外不動産セミナーやると、「税金の申告はどうやればいいのか?」は、よく聞かれる質問です。これ、真面目に考えると、回答するのがとても難しい質問です。

私は税理士資格を持っていない一般投資家なので、税務実務を代行したり、アドバイスすることは法律上できません。だから、「自分の場合は、こういう考えに基づいて、こういう申告を行っています」という程度の回答しかできず、それ以上詳しい内容については、「プロの税理士に聞いてください」と言う以外にないのですが、

「じゃ、具体的には誰に聞けばいいの?」というと、困ってしまいます…なぜなら、

 

・海外不動産セミナーに来る方の多くは、日本国内ですでにアパマン何棟か持っている投資家で、すでにお抱え税理士が居るケースが多い。ただ、彼らは当然、日本の税務のことしか分からないので、申告対象に海外の不動産が入ってきても、「それを、日本の税務申告上、どう処理するか?」位しかできない。

・海外(例.アメリカ)での不動産申告は、その国の税理士にお願いすることになるが、彼らとて、知っているのはアメリカの税務だけで、日本の税金に対する知識はほぼない。

・日本の税務は日本で最適化でき、アメリカの税務はアメリカで最適化することはできても、両方をトータルに最適化する税務アドバイスのできる専門家は、私の知る限り非常に少ない。

 

でも往々にして、投資家が税理士に期待する具体的な内容は、「日本とアメリカ、両方を最適化する税務サービス・アドバイス」だったりします。でも、これは極めて専門的かつニッチな仕事で、誰にもできるわけではありません。たとえば、

 

・日本国籍者がアメリカの不動産を購入する際の名義は、「個人名」、「日本の法人名」、「アメリカの法人名(LLC)」と、3つの選択肢がある。

・上記3つのうち、どれを選ぶかによって、日本とアメリカでかかってくる税金の負担が違う。たとえば、

1)日本側では…個人名で買うと、所得税(総合課税)、譲渡所得税(分離課税)、住民税などがかかってくる。法人名で買うと、それらの負担がない代わりに、法人税や事業税がかかる
⇒これは、日本の税理士が考えてくれます。

2)アメリカ側では…日本の名前(個人名or日本の法人)で買うと、アメリカ側の所得税(連邦税+州税)や源泉税、キャピタルゲイン税(=譲渡所得税)がかかるが、アメリカ法人(LLC)で買う場合、源泉税やキャピタルゲイン税を回避する方法がある
⇒これは、アメリカの税理士が考えてくれます。

3)でも、日本の税とアメリカの税をトータルで考えて、3つのうちどれを選べば一番トクかと問われると、たぶん、どちらの専門家も答えられない。

 

あと、日本とアメリカで税理士を使ったとして、両国の税理士の言うことが違っていた時の調整も大変ですが、これもオーナーが総合的に判断しなければなりません。

私は以前、こんな体験をしました。アメリカの税理士が、アメリカでかかる税金をゼロにするために、いろいろなアイデアをくれるのですが、その中に、

 

・BVI(英国領バージン諸島)法人を使って完全免税にするスキーム

 

が含まれていました。具体的には、「資産規模が一定以上になると、アメリカ国内のLLCだけでは完全免税にできないので、タックスヘブンとして有名なBVIに法人をつくり、その傘下にいくつかのアメリカLLCを持たせることにより、親会社も免税、LLCも免税で、とてもハッピーでしょ♪」と自信満々のご説だったのですが、

でも、彼がそれを言う時、私が日本の居住者で、日本の税金を払わなきゃいけない立場であることが、すっぽり欠落しています。自分が代表をつとめるBVI法人なんかつくった日には、「タックスヘブン税制」が適用されて、結局、日本の税率を払わなければなりません(=BVI法人で上がる受動的所得が日本で雑所得として課税されてしまう)。

…そういうこともあるので、日本とアメリカ、両方の税制を深く理解した上でアドバイスをしてくれて、かつ申告実務をリーズナブルな価格でやってくれる、知恵袋的な専門家が欲しいと、いつも願っていますが、現実はなかなか難しいですね。今後長期にわたり、懸案事項になるでしょう。

 

繰り返しになりますが、海外不動産セミナーで、購入後の税務申告について質問を受けた際、「専門の税理士に聞いてください」という答えでは、本当の意味で質問に答えたことになりません。税理士だって、問題丸投げされても困ってしまいますよね。

とても難しいこととは思いますが、もし可能であれば、「日米双方の申告実務に通じた、○○税理士を紹介できます。費用は○○かかります」位のレベルの答えは欲しいところですね。

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資産を守る東南アジア投資、何それ?

おはようございます、Manachanです。

日本に海外不動産投資なる言葉がほとんど浸透していなかった2011年2月、私は東京で、「アジア太平洋大家の会」を旗揚げしました。奇しくも、その1ヶ月後に東日本大震災が起こり、計画停電や放射能騒ぎなど、いろいろゴタゴタがあって活動は2か月ほど休止。でも世の中が落ち着いてきた6、7月頃から、ものすごい勢いで会員数が増え、海外不動産セミナーを開催すれば、全く広告費かけずに30~50名は集客できる時代が来ました(あの頃は、我々のセミナー以外に選択肢が少なかったもんね…)

会を立ち上げて6年半になりますが、いま振り返っても、震災直後のあの頃ほど、「資産を外国に出したい」日本人富裕層の燃え盛る熱気を感じた時期は他にありません。

 

当時、隆盛を極めていた話が、「マレーシア不動産投資」でした。海外不動産で「旬」な国は、東南アジアの場合「マレーシア」→「タイ」→「フィリピン」→「カンボジア」→「ベトナム」と、目まぐるしく移り変わりましたが、2011~12年頃のマレーシア投資ブームは、その後のどの時代の、どの国の不動産ブームよりもはるかに凄かったです。

ジョホールバルの新築コンドミニアムが、2日間で600戸も日本で売れた」みたいな話があった位で、まるで中国人バイヤーを彷彿させる勢いがありました。あの頃は、1ドル=80円程度の超円高時代でしたら、それも大きな要因でしたね。

 

その頃、どんな宣伝文句で、日本人にマレーシア物件を薦めていたか…今振り返ると滑稽な話です。私、当時から違和感ばりばりでした。

 

【当時の典型的なセールスレター】

1)日本経済はほとんど成長しておらずデフレ状態が続いています。日本は少子高齢化が進み、労働人口が減る一方。いずれ日本の国債も破綻すると多くの経済学者も言っています。今の時代、日本円だけで貯蓄することは、安全な方法とは言えなくなっています。

2)そこで、日本円以外の外貨で資産を持つ事をお勧めします。単純に、日本円をアメリカドルなどに換えて、外貨として資産を持つのも良いでしょう。

3)ここでは、マレーシア不動産投資をお勧めしていますがマレーシアの不動産投資をするということは、外貨で資産を持つ事を意味します。

 

【私が感じたこと】

1)と2)は、分かります。要は、「資産を守りたい」。そのために、資産を各国・各通貨に分散させたいんですよね。それはセオリー通りの判断。

でも、なぜ3)なの?「資産を守る」という目的を達成する「手段」として、どうしてマレーシアの不動産を選ぶの?その選択のどこに妥当性があるの?

 

資産を守るために外貨に換える時、普通の人は、自国通貨より信用度が高い通貨を選びます。たとえば、ニュージーランドに住んでる友人は、NZドルが貯まると、すぐ豪ドルに換えてました。でもオーストラリア人が、手持ちの豪ドルをNZドルにせっせと換える…みたいな話は、聞いたことありません。

あと、世界中どこへ行っても米ドルはたいてい通用しますね。これはアメリカ人が旅行して金を落とすからというよりは、むしろ世界各国の人が、自国通貨を米ドルに換えたい根強いニーズがあるからです。資産保全の動機が強いのは言うまでもありません。

 

それを踏まえて、日本人が資産保全の目的で、日本円の他に持つべき通貨・資産は何なのかを冷静に考えた時、本命は「米ドル」になるはずです。対抗馬として「ユーロ」があり、資源国通貨「豪ドルかカナダドル」位は持っててもいいと思うけど…そこにいきなり、「マレーシア・リンギット」みたいな新興国通貨を持ってこられても、どうなんでしょうね?

マレーシア・リンギットは、マレーシア国内と、タイ深南部の一部都市でしか流通しません。日本に、リンギットをそのまま持ってきても、換金するのさえ難しいです。一方、日本円をマレーシアに持っていけば、どの銀行・両替商でも、かなり良いレートで換えてくれます。それが、現時点での円とリンギットの信用力・通用度の差といえます。

 

日本円の価値が今後どうなるか分からないとはいえ、現時点せっかく世界的な信用度の高い日本円の資産を持ち、かつそれを「守りたい」のに、業者に乗せられて、せっせと、マレーシアリンギットやタイバーツのリスク資産に換えるのって、賢明なんだろうか?

フェアにみて、マレーシアやタイは、現時点では、「経済成長の恩恵で将来大きく育つかもしれないリスクマネーを置く国」ではあっても、「資産を安全に守る国」とはいえないはずです。

あとそれ以前に、新興国では不動産市場が発展途上、取引データも未整備でガバナンスも弱い。建設の工期管理、完成後の賃貸管理、将来時点の売却…どれをとっても確度の高い予測が難しい。首尾よく上振れする可能性は否定しませんけど、常識的に考えて、新興国不動産は「資産を守る」手段としては選定されない投資対象だと思います。要は、「値上がり期待の投資」以外の何物でもない。

 

とはいえ、2011~12年頃は、「超円高」という、資産外出しに絶好のタイミングではありました。当時、思い切って外貨資産に換えて、いま、為替の利益でウハウハな人も少なくないでしょう。

そこで、当時、たくさんの日本人が不動産を買った、「マレーシア」、「フィリピン」、「タイ」の各通貨の対円レートがどう変わったか、みてみましょう。

 

1)マレーシア(通貨:リンギット)

2011年7月 26.89円
2012年7月 25.34円

現在(2017年7月) 26.08円

あまり為替でトクしてませんね。2013年以降に買っちゃった方は露骨に為替差損。

 

2)フィリピン(通貨:ペソ)

2011年7月 1.87円
2012年7月 1.91円

現在(2017年7月) 2.21円

地味に、じわじわ上がってきたので、2011~12年円高の時代に買ってればトクしたかも。

 

3)タイ(通貨:バーツ)

2011年7月 2.64円
2012年7月 2.54円

現在(2017年7月) 3.30円

ここ5~6年で、2割強、対円レートが上がっていました。2011~12年に買ってればよい選択でしたね。

 

でも、同じ期間中、対米ドルで比べると、マレーシア、フィリピン、タイ…いずれの通貨も価値を落としています。

1)マレーシア(通貨:リンギット)

2011年7月 0.332ドル
2012年7月 0.317ドル

現在(2017年7月) 0.233ドル

 

2)フィリピン(通貨:ペソ)

2011年7月 0.02317ドル
2012年7月 0.02398ドル

現在(2017年7月) 0.01986ドル

 

3)タイ(通貨:バーツ)

2011年7月 0.03266ドル
2012年7月 0.03173ドル

現在(2017年7月) 0.02944ドル

 

信用力の低い新興国通貨で資産を持つ唯一のメリットは、「将来、経済発展して上振れする可能性」位なんですが、米ドルに対するパフォーマンスをみると、これまで5~6年間は思わしくありませんでしたね。あと5年、10年後、どう変わっていくのかは分かりませんけど…

資産保全が主目的であるならば、円のほか、「主力は米ドル」を前提に、「お金に余裕があれば新興国資産を少々」程度で組む方が良いかと思います。

もっとも、マレーシアやタイが好き、行く用事がある、いざという時セカンドホームにしてもよい…という「実需」が念頭にある方や、「リスクを承知で、それでも東南アジアの成長に賭けて、大きく育てたい」と思う方は、その限りではありませんけどね。

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海外不動産「誰から買うか」を卒業しよう

こんばんは、Manachanです。今回も、海外不動産ねたで、書きたいことを遠慮なくガッツリ書きます。

「海外不動産は、何を買うかよりも、誰から買うかが大事」だとよく言われます…確かに、海の向こうの、法律も国情も言葉も違う場所で、実物不動産を買うわけです。些細なトラブルであっても発生した場合、現地に飛ぶ必要が生じ、時間も費用も予想外にかかることがあります。しかも現地の言葉が話せない場合、オーナー本人では直接対応が出来ず、途方に暮れてしまいます。だからこそ、オーナーに降りかかる難題や試練を、ちゃんとガイド・サポートしてくれる人が絶対に必要で、その役割は通常「販売業者」が担います。

また、トラブルに至らなくても、売買契約まわり、銀行口座開設、現地デベロッパーや管理会社との調整など、オーナー独力では普通できませんから、その役割を、販売業者に期待されるのは当然ですよね。

オーナーが海外物件購入を決めてから、安定的に稼働するまでの間は、販売業者のサポートが絶対に必要で、その仕事の質やコミュニケーションの善し悪しが、物件収益性や満足度に直結するという意味でいえば、「誰から買うかが大事」なことは、異論がありません。

でも、もう少しよく考えてみましょう。

「誰から買うかが大事」なのはその通りだけど、「何を買うか?」は、もっと大事ではないですか?

 なぜなら、「不動産」を買うわけだから…

分かりやすく、日本不動産の例でお話ししましょう。たとえば、「5年前に、横浜市内でマイホームを買ったとします。あなたは、当時物件仲介した会社のセールス担当者と、今でもやり取りしてますか?」

あるいは、「あなたが東京都内で下宿して、オーナーに家賃を払っていたとします。そのオーナーが、どこの会社からこの家を買ったかという事実が、賃料に影響すると思いますか?」

どちらも、答えはNOだと思います。横浜のマイホームも、都内の下宿も、全ての不動産は実物資産、つまり「モノ」であり、「モノとしての実力」で収益を生みます。オーナーが誰か、どの業者から買ったかなんて、基本的に関係ありません。少なくとも「立地」や「間取り」、「周辺の賃料相場や、住宅の需給バランス」に比べると、はるかに些末なことです。

言い換えれば、オーナーや仲介業者といった、属人的な要因に左右されないのが、不動産の本質であり、他の投資商品と比べた際に際立つ、独自の安定感なのだと思います。

民間企業の株式なら、社長の実力・資質は株価に影響を及ぼす大きなファクターでしょうが、不動産は違う。極端な話、オーナーがどんなに怠け者でボンクラでも、JR恵比寿駅前に人間の住めるマンションを持っていれば、借りる人、買う人は必ずいるし、着実にお金を運んできてくれる…それこそが不動産。この性質は、物件が日本にあっても、海外にあっても基本は同じことです。

たとえ、買うモノがとっつきにくい「海外の不動産」であっても、私たちは「誰から買うか?」よりも、「どの場所で何を買うか?」をメインに投資判断したいものです。

仲介業者さんの人間性がいくら素晴らしく、勝手知らぬ海外で信頼できるパートナーに見えるからといって、それだけの理由で物件を買うものではありません。その人から収益の劣るカス物件、あるいはフツ―な物件を割高な価格で買ってしまったら意味ないし、挽回が難しくなりますから。

あと一つ言うと、仲介会社とのパートナーシップは、往々にして、不動産の寿命よりはるかに短く、儚いことを知らなければなりません。

不動産の保有・運営は、通常、数年~数十年の中長期にわたりますが、その間に、人間はいとも簡単に変わってしまうものです。業者さんも変われば、自分も変わる…海外不動産の世界で特によくあるパターンは、

・業者さんは、お金に困ると、人変わりする。
・逆に、儲かりすぎても、人変わりする。
・不動産が特段好きじゃない業者は、期待より儲からないことが分かると、「やーめた!」と言って、放り出す。

私は、パートナー業者の心変わりリスクを減らすために、「不動産業界でのキャリア」、「社長が不動産をどれだけ愛しているか?」、「業績が悪化しても持ちこたえられるだけの管理戸数や資産規模があるか」などのファクターを重視しますが、それでも、5年10年もの間、彼らと良い人間関係を続けられることは稀です。

でも、業者との関係が壊れても、幸い、不動産は「モノ」であり、「モノとしての戦闘力で稼ぎ続ける」ものなので、私たちオーナーはそこで救われるのです。

常に流転変遷する人間同士の関係よりも、多分ずっと確かで、長期間、安定収益をもたらしてくれる不動産。その「モノ」としての実力を、投資家として、ずっと見つめ続けていたいと思います。
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日本人好みの海外不動産とは…

こんにちは、Manachanです。今回は、「日本人が愛する海外不動産」というテーマを、ライトなタッチで書いてみます。

私は、海外不動産の情報を仕入れに、定期的に「中国」を訪れています。つい先週も北京と上海に行ってました。「投信1」のコラムにも書きましたが、この巨大な隣国には、

 

・世界で一番、海外の不動産を買ってる「お客」がいる、「巨大市場」がある。

・その強烈な購買力を求めて、世界中から、不動産情報が集まる。

 

中国に比べれば、日本の海外不動産マーケットなんて微々たるものだし、情報も質・量ともに乏しい。でも、日本からわずか3時間、飛行機に乗っていけば、そこには溢れんばかりの「情報」がある、渡航コストも安い…行かない理由はない。

北京市内某所で、英国ロンドンの物件だけを扱うショールームに行きましたが、そのサイズ、来客数の多さに唖然としました。とにかく、目の前でガンガン売れるわ売れるわ!彼らはロンドンだけ買ってるんじゃなくて、アメリカにもカナダにも、オーストラリアにもニュージーにも、タイにもマレーシアにも日本にも、スペインやポルトガル、ギリシャやドバイ、英国地方都市でもたくさん買ってるから、ざっとみて、中国の海外不動産マーケット規模、「日本の20倍」はありますかね。

あれを見ちゃうと、「俺たち、なんてマーケットの薄いところで商売してるんだろう」と、一瞬悲しくなりますが、でもよく考えたら、「20倍のマーケットを、40倍のライバルが食い合って、熾烈な生存競争してるんだろうな」と思うと、少し気が楽になります。要は、「ライバルの少ない日本で海外不動産の第一人者」を目指せばいいんですよね。

 

ところで、いま中国人が地上で一番、不動産を買ってるために、「中国人客向けに最適化された不動産物件」が、世界中に溢れています。たとえば、

 

・ポルトガルのリスボンで、53万ユーロで買えるタウンハウス (注.ポルトガルの永住ビザは、50万ユーロ以上の不動産購入が条件)
・ギリシャのアテネで、28万ユーロで買えるアパート (注.ギリシャの永住ビザは、25万ユーロ以上の不動産購入が条件)
・アメリカのラスベガスで、51万米ドルで買えるホテルコンドミニアム (注.アメリカのEB-5ビザは、50万米ドル以上の不動産購入と、プラス諸条件あり)
・カリブ海のドミニカ共和国で、23万米ドルで買えるリゾートコンドミニアム(注.ドミニカでは、20万米ドル以上の不動産購入でパスポートが取れるみたい)

 

こうした、「買えば永住権ついてくるよ」的な商品を、大陸在住の中国人は好むようです。あるいは、永住権と直接関係なくても、中国市場にだけ紹介され、オーナーもほぼ中国人ばかりというプロジェクトも、世界中にあります。オーストラリアのメルボルン某所とか、マレーシア・ジョホールバル沖合の人工島とか…

最近は中国の外貨送金規制が厳しくなり、業者の思惑ほどは売れないプロジェクトが多いらしく、「同じアジアの日本で売りたい」という要望も出るようになりました。私も彼らから結構な数の相談受けてるんですが、正直、成功しそうなものは少ないです。なぜなら、

 

・同じアジアでも、中国人と日本人の嗜好は天と地ほども違う。

・特に、中国人向けに最適化した物件は、たぶん、日本人が一番嫌うパターンになる。

 

中国人向けの物件、世界中で見てますけど、「おらおら~、物件つくったぜ!永住ビザもつけたる数戸まとめてどや!」みたいな、ガサツで大雑把な企画が多い。これ、日本人客が一番敬遠するパターンだと思います。ゴテゴテに飾った内装も多いし、カルチャー的に売り込みもしつこいから、そのまま日本に持ってきても成功しないだろうな。

 

では、日本人が好むタイプの物件とは何か?

 

・小ぎれいであること(必須!)

・内装はシンプルで質素

・センスの良いソファや籐家具、小物など、気が利いた演出をしているもの

 

こうした、日本人好みの「small and immaculate」な物件は、大陸ヨーロッパのアパートメント(中国人向けじゃなくて、地元民向け)では結構多くみますね。あとカナダやオーストラリア。アジアだとタイあたりに多い印象。

タイといえば、大手デべのサンシリが日本で売り込み攻勢かけるようになりましたが、同社は日本人が好むテイストの物件をたくさんつくってるから、結構成功するような気がします。

 

あと、日本人が海外不動産にいくらの金を払って買うかに関しては、物件所在都市のブランド価値と大きな相関関係があるような気がします。

 

・ネームバリューの余りない海外都市では、「安い物件」か「投資価値のある物件」が売れる。

・ブランド価値の高い海外都市では、「憧れ」ファクターがある分、「値段の高い物件」が売れる可能性が十分ある。

 

ブランド価値の高い都市や地域・・・アメリカだと、ハワイ、ニューヨーク、西海岸、フロリダかな。ヨーロッパだと、月並みだけどロンドン、パリ、あとイタリア、スペイン、ドイツといった国名もポイント高い。ガウディのある「スペイン・バルセロナ」とか、物件価格がお手頃な割に人気抜群なので、早く商売にしていきたいです。あとスイスとかウィーン、ギリシャとかもやってみたい。

カナダやオーストラリアは、いつも根強いファンがいますね。シドニー、メルボルンとか、地味にブランド価値高い。アジアだとタイやバリ島、固定ファンが多くて人気落ちません。

セミナーで詳しく説明しなくても、「都市名・国名」だけで、憧れとか、ポジティブなイメージを物語ってくれる場所っていいですね。また商売的にも大きな発展チャンスがあるのだと思います。

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海外不動産にタックスヘブンは似合わない

おはようございます、Manachanです。

前回のブログ(海外節税物件とモルヒネ依存症)では、日本の税法上の「快速減価償却」を使って節税できる海外不動産の実例をあげました。確かに少しは節税できるのかもしれませんが、バランスシートやキャッシュフローなど、投資全体のバランスを考えると余り推奨できないというのが私の考えです。つまり、

「個人レベルで、いろんなテクニックを駆使しても、現実的に節税できるのはほんの数%~10%」
「その分を、業者が価格に上乗せしていたら、節税メリットが吹き飛んでしまう」
「購入後数年間のキャッシュフローをみると、節税利益を先食いする分、その後がつらくなる」
「国税を大量に還付するので、税務調査に入られるリスクが大きい」

→結論:そんな不自然なことやる位なら、素直に、収益の上がる良い物件買って、堂々と納税した方がマシじゃん!

 

ところで、日本の税法ではなく、さらに税率の安い外国の税率を使って、不動産取得と節税を組み合わせようぜ、という考えもあります。最近めっきり少なくなりましたが、数年前は、

「香港、シンガポール、オーストラリアなど、相続税の無い国で不動産買って、ついでに家族で移住しようぜ」という、タックスヘブン業者のセールストークが盛んに行われた時期がありました。当時は、

・被相続人と相続人が共に、5年以上、海外居住を続ければ、(日本の税法上)非居住者ステータスが得られる。
・非居住者なので、日本の相続税や贈与税を払う必要ははい。
・しかも、居住国の法制上、無税で相続・贈与が認められる。

 

しかし、平成29年の税改正によって、相続関係者の海外居住期間の要件が5年から10年に延長され(リンク)、上記のスキームは一気に敷居が高くなりました。私の交友範囲でも、2011~12年頃にシンガポール等に移住した方々が、いま続々と日本に帰国しています。皆、異口同音に、「相続税タダにならなかった、資産管理法人つくったけど無駄だった、シンガポールの物価高が耐えがたかった」等々…

はたからみて、「この5年間、節税なんて考えず、日本で真面目にビジネスに取り組んだ方が、結局ずっとお金になっただろうな」…と思われる方々ばかりです。

 

「海外に資産を持ち、日本より安い税率で効率よく回し、可能なら相続税も回避したい」というのが、多くの投資家にとって理想なんだと思いますが、残念ながら、海外の安い税率を使って投資するのはますます難しい時代になってきています。

結論から先にいうと、日本に住み、日本国籍である限り、多少の調整はあっても結局は日本の税率で課税される…それを前提に海外投資プランを考えるしかありません。

 

その背景には、来年から日本を含むOECD諸国で実施されるCRS(Common Reporting Standard、共通報告基準)があります(リンク)。これ、ものすごく単純化して言うと、「世界共通マイナンバー」のようなもので、国をまたぐ資金の流れや、国籍所在国以外でつくった口座情報が、各国の税務当局間で共有されます。日本人の場合は、香港→カンボジアなど、外国間でお金を動かしたところで、結局、日本の国税にレポートされる可能性があるわけです。

各国税務当局によって、税金回避の道がどんどん塞がれている以上、どの国の国民であっても基本的には同じ構図です。たとえばオーストラリア国民がアメリカや日本に不動産を買って、オーストラリア以外でお金を動かしても、本国の税務当局に通報される点では日本人と全く同じわけで、結局世界中どこに居ても、税金からは逃れられない時代になりつつあります。

 

少し視点を変えて書きますね。日本人が海外不動産を購入する場合、課税の根拠になる要素は、3つあります。

1)どの国の国籍であるのか?
2)現住所はどこか?
3)不動産はどの国にあるか?

 

1)と3)については、動かせません。ですので、節税できる余地があるとすれば、2)だけです。たとえば、

A)「現住所を税率の安い国に置く」
B)「どの国の居住者にもならない」(PT=Perpetual Traveler)
C)「資産管理法人を税率の安い国(タックスヘブン)に置いて各国の不動産を保有させる」等々…

 

上記のうち、一番敷居の低いのはC)ですが、これがCRS発動によって、税務的には意味のないものとなります。残るはA)とB)ですが、私からみて、どの選択肢も魅力的に感じません。

A)→相続税のない国に不動産買って移住しても、家族揃って10年以上居住しなくては非居住者扱いにならない。
B)→家族持ちには非現実的だし、PTだとビジネス上も信用されないリスク大。

 

なお、「日本国籍を放棄して外国の国民になる」なら話は別ですが、あえてやる意味を感じません。日本は住みやすいし、日本パスポートは使い勝手よくて便利。それに、家族や親兄弟が皆日本にいるのに、日本入国のたびに外国人の列に並んで在留カードをチェックされる情景は、ギャグ以外の何者でもない。

それに何より、自らが日本人を捨てて外国人になる選択をしたところで、結局、その国に税金を納めることになるのです。だったら、俺は日本人のままでいいや。

結論、グローバル視点での節税回避は、トヨタ自動車みたいなグローバルビジネスならともかく、個人投資家レベルは現実的ではないと思います。それよりも、ちゃんと収益のあがる海外物件を選んで買い、資産を増やし、日本国の一員として日本の税金を払っていくスタンスでいくしかないのだと思います。

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海外節税物件とモルヒネ依存症

こんばんは、Manachanです。今回も、「海外不動産と節税」という、旬なテーマで書きますね。

最近、日本の海外不動産販売のトレンドは、「減価償却&節税」。どちらかというと国内不動産専門の感のある「健美屋」さんのコラムにも、ついに、この話題が出てきました。

米国投資は節税策としても注目、中古住宅を最短4年で減価償却

 

「米国の不動産を買って、日本で節税できる」…販売側にとっては、まさに魔法のキーワードでしょう。日本在住の人に、わざわざ、海の向こうの、遠い土地の不動産を買ってもらうには、強い動機づけが必要。「目の前の税金を安くできる」のは、動機づけとしては最強の部類に入るでしょう。

ですが、一投資家、不動産愛好家の視点でいうと、「節税ありきの海外不動産販売」には、あまり賛同する気になれません。理由は二つあります、

1)ちょっと節税するために、ベストとは言い難い物件を買うよりも、ちゃんと収益のあがる物件を選んで買った方が、確実に資産が増えると思うから。

2)商品設計が、「最初の4年間、減価償却で節税できても、5年目以降、重税がのしかかってくる」想定ゆえ、買った人が節税依存症になってしまうリスクが大きいから。

 

1)については、すでに、6月9日のブログで詳しく書いたので、今回は割愛します(サラリーマンが海外の築古不動産で節税すべきか?-後編

今回強調したいのは、2)です。私の視点でいうと、「節税ありきの海外不動産投資商品」は、よほど注意して使わないと、購入者を不幸にしてしまうリスクが大きいと考えます。私はこれを、「モルヒネ投資」、「節税依存症投資」と呼んでいます。なぜそう思うのか?

 

健美家コラムの例にならって、「課税所得1000万円のサラリーマンが、アメリカで5000万円(うち建物価格4000万円)の不動産を買い、最初の4年間は1000万円づつ節税(その期間は所得税、住民税ともゼロ)」、「彼が購入後5年間、課税所得1000万円のサラリーをもらい続け」、「購入6年目に5000万円(プラスマイナスゼロ)で売却する」前提で書きますね。

ところで、「課税所得1000万円のサラリーマン」と、「年収1000万円のサラリーマン」とは少しレベルが違います。前者は、会社から受け取る給与収入から、基礎控除、社会保険料控除などを引いた残りが1000万あるわけで、少なく見積もっても1300~1400万円以上のサラリーを得ています。

 

課税所得1000万円以上ある給与所得者は、2014年時点で日本全体の4.1%を占めるに過ぎませんが、彼らは所得税全体の49.1%を納めており、まさに日本の国庫を支えている人たちです。逆にいえば、負担感も並大抵ではないのでしょう。

 

日頃、重税感に苛まれる所得層の人にとって、海外不動産を買って節税しようというセールストークは、確かに魅力的に聞こえるでしょう。課税所得1000万円あれば、年間の所得税が176.4万円、住民税が100.7万円、併せて277.1万円を国庫に納めているわけですが、もし米国の5000万円(建物比率80%)の不動産を買って、自分で確定申告すれば、最初の4年間に限っては、所得税・住民税とも、タダになる計算になりますから、それだけ聞くとむちゃくちゃ魅力的ですよね。

 

 

もっとも、この物件を売却したら、6年目以降であれば、譲渡所得税を払わなければなりませんが、確かに、健美家コラムの言う通り、それでも税金上はトクする計算になります。

購入後4年間の節税効果 11,084,000円 (=2,771,000 x 4年)

売却後の譲渡所得税 8,126,000円 (=40,000,000 x 20.315%)

差し引き 2,958,000円のトク

 

しかし、この物件を買った人に何が起こるかを冷静に考えてみると、私は、お勧めする気になりません。

・購入後1~4年目までの、いずれかの時点で、最低一度は税務調査に入られ、調査官にいじめられるでしょう(私も経験しました・・・涙)

・購入後5年目が辛い!これまで4年間かからなかった277万円の税金が突然かかり、家計を圧迫するでしょう。

・6年目で売却する場合、キャピタルゲイン出なくても、計算上812万円の譲渡税がかかります。どうやって捻出するのでしょう?

 

売却時点で、アメリカの物件が大幅に値上がるか、或いは米ドルに対して大幅な円安になっていれば良いですが、そうならなかった場合、わざわざ800万円の税金払うことが分かってて売るでしょうか?いやそれ以前に、5年目に突然かかってくる税の痛みを回避するために、多くの人は、5年目に新たな減価償却物件を買うでしょう。また業者も当然、「5年目買い増し需要」を期待するでしょう。

これって、「痛み止め(税負担アップ回避)のために、モルヒネを打ち続ける(海外築古物件を買い続ける)」のと、本質的には同じことだと思います。

なお、日本の譲渡税を回避するために、償却後の簿価(1000万円)で、自分の設立したアメリカの会社に売っちゃえばいいじゃんという考えもあるでしょうが、売買履歴データが皆にガラス張りのアメリカで、5000万円で買った物件を1000万円で売るような不自然な取引が許されると考えない方が良いです。下手したら、アメリカで過酷な追徴課税が待っているでしょう。

(※あと言うと、今から5年も経てば、国税が海外不動産を使った償却スキームに対して課税強化してくると思うので、買い増ししても節税メリットなくなるかもしれませんね。)

 

節税のための海外不動産って、結局、何なのでしょう?世にあまたある「節税スキーム」と同様、本来払うべき税金の繰り延べ、つまり問題先送りにしかなりません。

投資家のカルチャーは「先憂後楽」…私たちは、いま買いたいものを少し我慢して、将来、財産を大きくすることを楽しみにする人種なのですから、海外節税物件みたいな、「今をラクにするために、後にツケを回す」ような投資(?)は、生理的に楽しめませんし、お客様にもすすめたいとは思いません。

 

あと、シミュレーション上の節税効果が、物件価格に比べて大したことないことにも注目すべきです。仮に、売り側の業者が、6%以上、利益を余分に上乗せして売っていたなら、節税利益をすべて食われていることになるのです。

仮に20%余分に利益が乗った物件を買ってしまったら、それこそ、「300万円節税するために1000万円を業者に貢い」という、笑えない結果になります。

現に、日本に紹介されている、節税を全面に押し出す物件は、普通に市場流通している物件というよりは、むしろ日本で節税できるスペックを備えるために作為的につくった物件であることが多く、アメリカ人に売りにくかったり、あるいは、「どう考えてもガッツリ利益乗せてるじゃん!」と思うものも、少なからずあります。

市場価格に比べて割高な物件を買ってしまったら、出口で損切りのリスクが高まるのは言うまでもありません。

 

もっとも、節税云々以前に、アメリカで買った物件が大きく値上がりして富をもたらしてくれたら、上記の懸念は全ては解決するはずです。だからこそ、収益性に優れ、リスクの少ない物件を選ぶ選球眼をつけるのが先決だと思うのです。

減価償却・節税は、あくまで投資の結果に過ぎません。むしろ、投資収益がちゃんと上がって、それに加えて節税メリットもあればラッキー、くらいに考えるべきだと思います。

 

最後に一つだけ、簡単なTipsをシェアしたいと思います。もし、販売業者の物件資料に

「NET利回り 4.0%」
「NET利回り(減価償却加味) 7.5%」

などと書いてあったなら、減価償却を含む数字は、即、ガン無視しましょう。そして、この地域でNET利回り4.0%が妥当であるのか、もっと良い投資機会がないかどうか、米国不動産投資の経験者をつかまえて調べてみましょう…それが、海外投資リテラシーを上げる第一歩になります。

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海外の家賃保証物件って実際どうなの?―後編

こんばんはManachanです。いつもご愛読ありがとうございます。

先ほど、Lifull Homesさんの海外不動産セミナーで講演してきました。今回、出展していた販売業者さんの大多数が、「家賃保障」か「買取保障」つきの物件を売っていたことが非常に印象的でした。現時点では、「家賃保障・買取保障つきの新築物件」か、「減価償却狙いの築古物件」が、売れる海外物件の条件であるようですね。

いま旬な、この販売スタイルを、私の視点でバッサリ斬る!… もとい、整理して解説しますね。

 

前回(前編)では、海外不動産「家賃保障」の裏側のからくりについて解説しましたが、今回は主に、「買取保障」に関連した内容をお伝えします。最重要キーワードは、

二次市場(中古流通市場、Secondary Market)

 

二次市場とは何か?まず解説しますね。

不動産として市場流通する「建物」は、まず、「建設会社やデベロッパー」が供給して、初回購入者に販売されます。販売価格は、まず供給者が決めて、売れ行きに応じて値引きしたりして、市場メカニズムで価格形成されます。これが「一次市場」もしくは「新築流通市場」と呼ばれるものです。

ところで不動産は息の長い商品で、通常、数十年~数百年の寿命を持ちます。その過程で、何度も所有者が変わるのが普通です。「現オーナー」から「別のオーナー」に、中古物件として販売される時、立地、築年、建物コンディション、間取り、土地面積、融資環境などの要因を考慮し、市場メカニズムで価格形成されます。これが「二次市場」または「中古流通市場」と呼ばれます。

 

日本では、不動産の新築(一次)市場と中古(二次)市場は明確に分かれています。「新築市場」の流通価格は高く、「中古市場」になると、築年に応じてどんどん安くなるのが特徴です。

2011年、東京都区部マンションの統計をみると、一目瞭然ですね。

【一次市場】
新築価格 5339万円

【二次市場】
築1~5年 4742万円(新築時の88.8%)
築6~10年 4241万円(新築時の79.4%)
築11~15年 3810万円(新築時の71.4%)
築16~20年 2771万円(新築時の51.9%)

 

日本の場合、中古物件になると値段は下がりますが、逆にいえば、「値段さえ下げれば買い手は必ず見つかる」ので、「二次市場」はしっかり存在するといえます。6年前(2011年)時点では「築20年の中古は新築の約半額」というデータでしたが、今では安い価格を求めて中古を買い求める人が増えたので、築20年で状態の良い物件なら「新築時の6~7割の価格」でも十分買い手がつく印象です。

二次市場が存在し、かつ売買データが十分な数あれば、「○年後の想定販売価格が○○○○万円」といった予測が可能になります。保有期間中の家賃収入と合算すれば「全期間利回り」や「IRR(内部収益率)」の算出も可能。たとえばリーウェイズ社のGateというサービスは、人工知能によるビッグデータ解析を使って、日本全国の収益物件を同じ指標で評価できるようになっています。

 

一方、欧米諸国に目を転じると、日本と比べてさらに中古住宅の流通が盛んで、二次市場はしっかり形成されています。日本と違うのは、物件が中古になっても新築時の価格とさほど変わらず、かつ築年の影響を受けにくいことです。築年数が経ってくれば当然メンテナンス費用がかかりますが、必要な費用をかけて建物の状態を良好に保てば、新築時以上の価格で売却することも十分可能です。

 

下記はアメリカ、フロリダ州Naplesという街での住宅価格の推移(10年間)を示したものですが、日本と違ってアメリカでは住宅価格が築年数の影響をほぼ受けないことが、よく分かりますね。

 

二次市場での流通を考えた時、問題が大きいのは新興国の物件。たとえば、東南アジアの多くの国では、昔の日本と同様、新築販売市場はあっても中古流通市場が未確立。中古物件の売買に携わる不動産事業者やプロフェッショナルがまだ少ない状態です。

だから、「中古になったら、いくらで売れるのか?」、「それ以前に買う人がいるのか?」、「誰に頼めば売ってくれるのか?」、現時点ではあやふやで、出口価格が予測不能。日本と違って、妥当性をもった全期間利回り算出などできません。

ただ、長期間保有していれば、東南アジアの不動産業界も今よりは進歩しているでしょうし、経済発展に伴い地元民の購買力も上がるでしょうから、値上がりというかたちで利益確定できる可能性はあるのでしょう。その時期を早めるためには、できるだけ安く買うのが基本でしょうね。

 

そろそろ本題に移ります。いま日本で、賃料保障&買取保障つきで売られている海外物件の多くは、「学生寮」や「介護施設」など、これまでにないタイプ、「新しいアセットクラス」に属するものです。

英国が典型的ですが、「学生寮」も「介護施設」も、ここ数年で出現し、運営によって高収益を上げるビジネスモデルで、投資家の資金を直接調達して供給されています。ある意味、日本の「民泊物件」にも似ていますね。

私、英国各地で、「学生寮」や「介護施設」を視察したことがあります。学生寮はライバルが少ないエリアに建ち、ワンルームで10万円くらいの月額家賃を取る。介護施設は老人から月額40万円くらいの介護料を取って、かつ東欧出身の安い看護師を使って運営される…現時点でみれば、投資家に利回り返すだけの事業利益は確かに出そうな気がします。

 

でも、投資家として気になるのは、

1)数年後、同じカテゴリーの物件が大量供給されて、賃料水準が崩れるリスクはないか?

2)数年後、売りたくなった時、学生寮ないし介護施設として、いくらで売れるのか?

3)もし、学生寮や介護施設の運営会社が倒産・廃業した場合、どのような出口が取れるのか?

 

2)と3)は、「二次市場が未確立」という問題に直結します。英国という先進国にあっても、「新しいアセットクラス」ゆえ、中古物件として流通した歴史がない。だから出口価格が予測できないのです。特に「介護施設」は、都市部を離れた田園地帯にあるケースが多く、将来、もし介護施設として運用できなくなったら、果たしてこの場所に誰が住むのか、いくらの家賃が取れて、いくらで売れるのか、想像するのさえ難しい。

 

そろそろまとめます。

学生寮、介護施設のような、新アセットクラス物件は、「出口に不安」が残る。まともな投資家ほど、その点が気になる。だから、「買取保障」をつけて売るのです

 

「買取保障」が契約書に明確にうたわれている場合、投資家のリスクは、「運営会社の倒産リスク」と、「契約書上の義務不履行リスク」にしぼられます。だから、こういう物件を買う際は、ぶっちゃけ物件の立地や施設内容は関係なくて、むしろ運営会社の経営体制や財務状態、契約書上の買取保障に関する条項に注意する必要があります。特に下記については完璧に理解しておく必要があるでしょうね。

・買い手が、どのような条件のもとで、購入をキャンセルできるか?ペナルティはあるか?
・運営会社が、どのような条件のもとで、買取の約束を拒否できるのか?ペナルティはあるか?
・運営会社との間に疑義が生じた場合、物件所在国に消費者保護センターなど、低コストで調停してくれる機関が存在するか?誰のサポートを得て異議申し立てをするか?

 

一見不動産に見えますが、限りなく、金融商品に似てますね。しかも、市場流通する金融商品と違い、アセットマネジャーも居ない、出資者への年次報告義務もない…極めて不透明でガバナンスがきかない「ユルユルな」金融商品といえます。もっとも、ユルユルでリスクが高い分、年7~9%とかのNET利回りが得られ、かつ不動産権利がつけばそれで良いという考え方もあると思います。

一方で、通常の住居物件。都市部の、中古住宅の需要が十分ある場所に存在する物件なら、そもそも、買取保障をつける理由がないでしょう。また、賃貸市場がまともなら、賃料保障をつける必要もない。不動産としての価値が十分ある物件なら、小細工しなくても売れるし、ちゃんと運営していれば収益あがるはずなのです。

売る側が、なぜ、「賃料保障」や「買取保障」するのか、その裏の理由をよく考えて、本質を見極めて判断した方が良いと思います。

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海外の家賃保証物件って実際どうなの?―前編

こんばんは、Manachanです。今回のブログは、最近の海外不動産販売で一種の基本形となっている「家賃保障物件」について、私の思うところを書きます。

最近、先進国、新興国を問わず、海外不動産セミナーでよく出てくる宣伝文句が、

「家賃保証付き」(例.購入後5年間、実質利回り6%保障)

「買取保障付き」(例.デベロッパーが購入価格で買い取り保障)

 

確かに、勝手知らぬ、海の向こうにある物件のこと、「ちゃんと家賃が入るのか?」、「将来、売って現金化できるのか?」と不安に思う購入者は多いわけで、そこに「家賃保障」や「買取保障」がついてくれば、確かに大きな安心材料になります。

但し、一見安心に見えることが、オーナーの投資利益を最大化するのかというと、それは全く別の問題です。今回(前編)では「家賃保障」、次回(後編)では「買取保障」を中心に、詳しく解説します。

なお私は、「家賃保障」そのものが悪いとは思いません。物件所在地のマーケットのなかで、収益物件としてちゃんと成立する物件なら投資対象としてアリだし、その前提の上で、外国人購入者を安心させる一環として「家賃保障」や「買取保障」をつけるなら尚良しでしょう。

 

しかし、私たちが気をつけるべきは、「家賃保障」をうたっている物件は、玉石混交。つまり、良いものと良くないものが混在していることです。平たくいうと、

・良い家賃保障物件とは、「売値に余分な利益を乗せず」、「通常のサブリースとして運用する」物件です。

・悪い家賃保障物件とは、「売値に余分な利益を乗せて」、「それを保障家賃の原資としている」物件です。

 

言葉だけでは分かりにくいので、図に表してみました。私が知る限り、最も悪質なのは、「保障賃料の全てを、売値に上乗せした利益から支払う」パターン。たとえば、

・「5年間、ネット6%の保障家賃」を売り文句として、
・「その30%を、デベロッパーがまるまる売値に乗せて、現地の事情に疎い外国人に売る」

 

こんなもの買っちゃったら、投資として即アウト、とまでは言いませんが、利益確定まで長年、不本意な塩漬けを強いられるでしょう。要は「100の値段で売買されているものを、130の値段で買う」わけですから、かなりの確率で損するのは間違いない。たとえば、市場価格が毎年3%づつ上がったとしても、

・購入後、5年以内に売却する場合、買った値段より15~30%、損切りしないと売れない。

・保有し続けても、家賃保障期間が切れる6年目以降、賃貸の裏付けがなければ利回りゼロになる。そもそも、利益を3割も余分に乗せて売るような強欲&焼畑農業デベロッパーが、6年目以降、客のために骨折るとは思えないから、かなりの確率で放置プレイ実施される。

 

次に、私が世界中で見聞したなかで、かなり多いと思われるパターンが、「保障家賃の一部を、売値に乗せた利益から充当する」ものです。たとえば、

・「5年間、ネット6%の保障家賃」を売り文句として、
・「デベロッパーが15%を余分に売値に乗せて外国人に売り」
・「保障家賃の半分(3%×5年間
)を、売値に乗せた利益から充当する」

 

こういう物件を買ったら、どうなるか?上述「悪質パターン」ほど酷くはありませんが、それでも「100の値段で売買されているものを115の値段で買う」わけなので、期待した収益が上がらず、面白くない結果になるでしょう。

・購入後、5年以内に売却する場合、買った値段より0~15%、損切りしないと売れない。

・保有し続けても、家賃保障期間が切れる6年目以降、賃貸利回りが3%に半減する。

 

最後に、「投資家にとって良い家賃保障」物件も存在します。それは、「デベロッパーが余分な上乗せをせず、フェアな市場価格で売り」、「入居者から得られる賃料のなかから、管理会社の利益を引いた分を、投資家に返す」パターン。要は「通常のサブリース」です。

・「5年間、ネット6%の保障家賃」を売り文句として、
・「利回り8%で賃貸に出し、2%の管理会社利益をひいて、6%をオーナーに返す」

 

こういう物件を買えたなら、失敗するリスクはかなり少なくなります。賃貸経営が順調で、かつ売買価格も順調に伸びるような状況が続くのなら、

・「賃貸収益が安定的にとれる」上に、

・「いつの時点で売っても売買益が出る」状況です。

 

ところで、私がなぜ、この記事を書いて皆様に注意喚起しているかというと、「海外物件販売の舞台裏を結構知っちゃってる」からです。私は海外物件を購入する投資家であるだけではなく、海外デベロッパーから直接、日本でのマーケティングを依頼されることもあるし、彼らデベロッパーの収益構造や、土地、建物、内装、デザインなどの原価構造も、いろんなルートから情報入るので、その辺の販売業者よりはずっと深く理解している自負があります。

でもって、実際問題として、「外国人にたくさん売るために、家賃保障をつける」、「その分、売値に上乗せすればいいやあ」と安易に考えてるデベロッパーが、国を問わず、かなり多いです。彼らはオーナー利益を第一に考えてない、いやそれ以前に、金利負担が高い環境下で、銀行や株主のプレッシャーを受けながら建て売りするわけですから、一日も早く、売り切りたい。売るためには家賃保障でも何でもやるわけです。

 

そのデベロッパー的思考のなかに、上述した「悪質なタイプの家賃保障」が当然含まれますから、投資家・オーナーとしては、その地雷を踏まないよう、注意する必要があるのです。海外の物件で相場より高いか低いかの判定は難しいですが、私の場合は愚直に、次の方法で仮説を立てながら判断しています。

・ポータルサイトを調べる、現地の友人にヒアリングする等の方法で、周辺の売買事例と価格比較する。
・土地、建物、内装・デザインなど、単位コストを積み上げてデベロッパー利益をざっくり試算する

(もし、海外で相場より高く買っちゃったかもしれないと思った方は、私に相談してくださいね。)

 

そもそも、なぜ家賃保障する必要があるのでしょう。たとえば、「東京の恵比寿駅近」で、「今風のデザイン築浅1LDK」を、「坪400~500万円くらいの市場価格」で売るなら、わざわざ家賃保障つけなくたって、飛ぶように売れますよね?海外だって事情は同じで、「利便性の高い都市中心部」や「雇用機会にすぐアクセスできる場所」、「名門学校の学区内」みたいな好立地で、「市場価格と大差ない価格」で売るなら、「○年間△%保障」なんてつける必要なく、普通に売れるはずです。

そこをあえて、「○年間△%保障」をつけて売るわけです…投資家なら、「売れない理由がどこかにあるはず」と、まず疑ってかかるべきでしょう。大抵は、「立地がいまいち」とか、「地元民の払える金額より値付けが高い」とか、あるいは「学生寮や介護施設のような、従来にない新しいアセットクラス」とか、大方そんな理由になります。

もちろん、中には良質なものも混じっているので、「家賃保障だから」といって敬遠する必要まではありませんけどね。要は、収益物件としての実力を、個別に、ちゃんと見極められれば良いのです。

 

最後に…海外の家賃保障物件に関しては、上述「売値に上乗せリスク」のほか、「出口リスク」を抱えているケースが多く、一般論として、私は慎重です。詳しくは後編でお話しします(後編に続く)。

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