海外不動産でお客様を不幸にしないビジネスモデル

こんばんは、Manachanです。いつもご愛読ありがとうございます。

クリスマス&年越しの時期は、静かでいいですね。日本も欧米圏も仕事がスローになり、メールの受信数も普段の3分の1程度。おかげさまでブログを書く余裕もできます。願わくば、年末年始以外も著作に十分な時間かけられるようになりたいですが、多忙なスタートアップ経営者の身、それは少なくとも数年先でしょうね。

 

今年、海外不動産業界のトップニュースといえば、何といっても、海外中古不動産に対する減価償却ルールが変わったこと

「2021年以降、個人が海外で得た不動産所得の計算上において損失が生じた場合、簡便法によって導き出した耐用年数で計算した減価償却費は生じなかったものとみなされ、その部分を他の所得と損益通算できなくなる」

 

それでいま、業界に激震が走っています。特にアメリカの中古木造住宅を日本向けに売る多くの業者は、「最初の4年間、減価償却で節税できまっせ」セールストークで売ってきましたが、今回の税制改正で、その種の商売は封じられたも同然。特に、テキサスやハワイで日本販売用に大量の戸建を買い取り保有していた日系業者も少なくなく、よほど安く仕入れてない限り、間違いなく不良在庫になるでしょう。

加えて、多くの不動産オーナーから「もう節税できなくなるなら売って欲しい」依頼が予想されますが、市場流通価格に業者利益(20~30%か、それ以上)を乗った価格で買ってしまった場合、今のタイミングで売っても損切りにならざるを得ない。それが明るみになる時、「おたくの会社そんなに利益とって客に売ってたの?」「なぜ全然説明しなかった?」みたいなクレームの嵐になることが、容易に想像されます。

節税ありきで商売していた日系業者にとって、2020年は間違いなく厳しい年になるでしょう。

 

税制が変わっただけで、なぜこんな結果になってしまうのか?私からみて、業者側のビジネスモデルに根本的な問題があるように思います。

1) お客様に売る物件(国、都市)が決まっている。

2) お客様が様々な動機で相談に来るにもかかわらず、「弊社物件を買いに来た客」という前提でセールスマンが応対する。

3) 比較的良心的な業者でさえ、現行ビジネスプロセスは「物件選定→契約→融資→管理→売却」。つまり「物件選定」が最初に来る。

これでは、国内ワンルーム販売業者等と同様、「はめ込み営業」(=自社都合で売りたい物件を客にあてがう)が横行してしまいますね。

 

これは私の個人的意見ですが、「物件選定」の前にやるべきことが最低2つあるはずと考えます。

Step1 : 適性相談(お客様のニーズ、財務目標、資産背景、気質や外国耐性を踏まえつつ、海外不動産のオーナーになって幸せになれそうかをプロの目で見極める)

Yesの場合、次のステップに進む

Step2: 国選び、都市選び(お客様の予算、期待する収益、投資安全度やリスク選考を踏まえつつ、世界にあまたある国、都市のなかから、不動産価格サイクルも見ながら、どこを選ぶべきか考える。

Step2までやって初めて、「物件選定」プロセスに入るのが本筋だと思います。税制改正で安易な節税売りが封じられた今、Step1と2をプロのレベルでやるかどうかが、海外不動産の販売会社とコンサルタントを分ける境界線になるのでしょう。それを可能にするために、私は場所を決めず、世界各国各地の不動産事情に、誰よりも通じた人間になりたい。

 

さらに、海外不動産は販売だけで終わりではありませんので、「売却したい」「悩みを相談したい」というリクエストにも応えていきます。どこから、どんな経緯で買ったかは不問。皆様の課題解決に私の能力を尽くしたい。それにより私は業界で、世界不動産のコンサルタントとして名誉ある地位を確立していきたいです。

Share on Facebook

卑劣な恫喝訴訟、許せねえ!

こんばんは、Manachanです。いつもご愛読ありがとうございます。

今年も残すところ、あとわずか。先ほどまで会社の忘年会で楽しく過ごしました。零細企業経営者の立場でいえば、「今年一年が無事に終わり、新年を迎えられて良かった」という安堵感、「社員やお客様に支えられて来年も引き続き事業ができる喜び」にひたれる時期ですね。

事業が軌道に乗るまで、将来の生活保証などありません。それどころか、わずか半年後の食い扶持を、いまの仕事で稼がなきゃなりませんから、経営者は休めませんし、それが我が人生だと納得しています。「あんしん」「あんぜん」なんて言ってられないサバイバルな環境のなか、日々を生きてる、もとい生かされている実感はあります。だから、私を支えてくれる方々には感謝の念しかありません。

 

今年の末こそ平穏に過ごしてますが、つい昨年末は、ここまで安らかに過ごせるものではありませんでした。もう時効だと思うので正直に話しますが、いま思うと実に腹立たしい、理不尽極まりない訴訟を、ある人物から起こされ、その対応に忙殺されていたことも一因でした。

読者の皆様は、「スラップ訴訟」という言葉をご存じでしょうか?「スラップ」=SLAPP(Strategic Lawsuit Against Public Participationの頭文字をとった言葉)で、企業や政府など、人材や資金に恵まれた者が、権力を持たない一市民など比較弱者に対して、恫喝、発言封じ、或いはいじめることだけを目的に起こす報復的な民事訴訟を意味します。日本語で「恫喝訴訟」と訳されることもあります。

スラップ訴訟を起こす側は、必ずしも訴訟に勝つことを目的せず、むしろ、被告を社会的・経済的に痛めつけることを目的に故意に裁判を起こします。実際、被告になった者は、法廷準備費用や時間的拘束などの負担を強いられるため、一介のサラリーマンや庶民が裁判を起こされると日常生活が困難になり、委縮して、結果泣き寝入りになることも少なくありません(Wiki記事)。

要は「弱い者いじめ」を目的に法的手続きを濫用するわけで、社会正義にもとる上に表現の自由を委縮させる行為として、欧米諸国で問題視されています。カリフォルニア州では「反SLAPP法」が州法として成立し、被告側が原告側の提訴をスラップであると反論して認められれば公訴は棄却され、訴訟費用の負担義務は原告側に課されるようになっています。日本での立法化はまだこれからです。

 

もう済んだことですが、昨年、私がA(仮名)という人物にやられたのも、ある意味「スラップ訴訟」でした。Aは中堅の不動産建設・賃貸業を営む社長で、私が主催するセミナーで知り合いました。Aがドイツの収益物件を買いたいというので私が予算に合う物件を紹介し、現地視察もアレンジして、結果購入し、売買契約を結んで弊社で所定のサポート料をいただいたのですが、その後、ドイツでの入居付けや家賃入金が目論見通りに進まなかったり、またその過程で私が理不尽な無理難題を言われて、それに対してハッキリ「No!」と言ったのが気に食わなかったのかもしれませんが、

そしたらいきなり、私の事務所にAを原告、私を被告とする訴状が届いていたのでびっくりしました。読むと、私が約束した保証家賃が支払われないからサポート料を全部返せと…

 

弊社がいただくサポート料はあくまでお客様が海外物件を購入する際のお手伝いの対価であって、家賃保証という「結果」までお約束するものではありません。それ以前の問題として、ドイツでの家賃受けとりは現地管理会社に入金口座を通知したり、賃貸借契約書を送付する等、オーナーとしてやるべき手続きが必要で、私がその依頼を再三行ったにもかかわらずAが何もしなかった(=頑として聞かなかった)。

困り果てた私がドイツで八方手を回して、入金口座の提示があり次第Aの口座に家賃が支払われるところまでこぎつけた矢先に、何の予告もなしに訴状が届いたのです。いきなり不意打ちで後ろから殴られた気分でした。

 

冷静になって訴状を読むと、素人の私が読んでも「これ、本当にプロの弁護士が書いた訴状なのか?」と疑ってしまうほど、論理構成があやふやで、客観的な裏付けに乏しく、憶測や曲解、印象操作の嵐。しかも、原告主張のなかの一番重要な論点でエビデンス(書証)が提示されてない。こんなもの、よく裁判所が受理したなあと思いました。

顧問弁護士に訴状を見てもらっても、「これは酷い」と絶句するレベル。彼によれば「裁判勝つつもりはなく、単に着手金目当てで仕事請け負ったのでしょう」とのことでした。

 

いくら理不尽とはいえ、裁判です。まず裁判費用を払わなければなりませんし、第一回公判までにエビデンスを揃えなければなりません。海外出張が続く多忙のなか、泣きそうになりながら揃えました。

裁判は、4カ月かかりましたが、結果的にうまくいきました。結局、私がドイツの管理会社に振込先口座番号をお伝えする英文をつくり、Aに署名してもらったことで家賃を振り込んでもらい、その代わり第二回公判までに訴状を取り下げてもらいました。原告側弁護士も余りに無理筋すぎてやめたいと思っていたところに、当方の顧問弁護士にうまく交渉してもらったのです。

 

結果オーライでしたが、私はAのしたことをまだ許してはいません。気に食わない相手に対する恫喝を目的に裁判を起こしていいのか?その目的で日本の司法システムと貴重なリソースを使うことが許されるのか?食えない弁護士が多い今、数十万円の着手金で民事訴訟を請け負ってくれる者が居るのをいいことに、一民間人を訴えて良いのか?

また別件で、地方の建設会社社長が顧客(都内在勤サラリーマン)に対し、売買契約書上の融資条件に関する違約金数千万円を支払え、さもなければ1か月後に裁判するぞというFAXを送った事例がありました。私はその方の相談を受けて精査しましたが、こちらもどう考えても無理筋で、明らかに恫喝目的でした。現在進行中ゆえ、これ以上のコメントはしませんが、世の中、司法システムを濫用して脅しや嫌がらせに使う奴がいることはよく分かりました。

 

社会的リソースに恵まれた者が、その立場を利用して、リソースに恵まれない者を威圧し、沈黙させるために起こすスラップ訴訟を、野放しにしてはならないと思います。


・スラップ訴訟は、反社会的である。

・スラップ訴訟を起こす者は、社会的信用を失う。

・スラップ訴訟を請け負う法曹専門家は、職業的信用を失う。

 

日本で、それが社会的常識になる日が来ることを切に望みます、

Share on Facebook

人生で持つべき友「医者」「弁護士」、地味に大事な「不動産屋」

こんにちは、Manachanです。今日はクリスマスイブですね。いつもご愛読ありがとうございます。

 

人生で持つべき友は「医者」「弁護士」「不動産屋」とよく言われますね。身体や健康のことは信頼できる医者、人生で時折り巻き込まれる法律トラブルには信頼できる弁護士がいれば安心度が断然高まります。そして、一生で最も高額な買い物といわれる不動産の購入や売却は、信頼できる不動産屋に相談すべきことは言うまでもありません。

(なりたい職業、尊敬される職業かどうかというと、前二者に比べて不動産屋の地位は明らかに落ちる気がするが…ま、それはそれとして)

 

私の視点でいうと、「不動産屋選び」は、ものすごく大事で、かつ難易度の高い話だと思います。なぜなら、

・不動産の売買に伴う「選択」は、その後、何十年もの長きにわたり人生に影響する。

・それだけの長期視野でお客様の立場で考えてくれる不動産屋はかなり少ない(私の印象では15%くらい)

・長期視点でお客様の立場に立ってくれる「良い不動産屋」に相談するのと、目先の仲介料を追うだけの「悪い不動産屋」に相談するのとでは、結果的に何千万円もの差が出てしまうことがある。

 

端的にいうと、不動産屋には悪い奴が多いから気をつけなさいってことです。多分、医師や弁護士に比べて悪い奴にあたるリスクが高い。不動産取引経験のない素人が業者セミナーとか、街の不動産屋に行って相談すると、(広義の意味で)騙されたり、業者に都合の良いだけの、客のためにならない物件をつかまされる可能性が高い。

 

つい先日も、20代後半の女性教師が、お母様と一緒に相談に来られたばかりです。その方は「東京の城東地区のマイナーな駅最寄りの新築ワンルームマンションを業者にすすめられて、全額を信販ローンで購入」してしまい、2年後「その業者に家賃保証を打ち切られるかもしれない」との話を受けて、弊社に相談に来たのです。

でも、すでに買っちゃったものはどうしょうもないですね。私の見立てで、いま再販しても1600万円の値しかつかないものを、2600万円出して買っちゃってる。残債もほぼ減ってないので身動きが取れない。さらに、毎月のキャッシュフローは数千円のマイナスなので貯金もできない。

私がアドバイスできることは、「より金利の低いローンへ借り換え」で返済をラクにしながら、とにかく頑張って物件貸し続けて債務を返済して、あと8年~10年後に売ってチャラにすること位ですかね。痛い失敗ですが、その時点で30代後半、まだまだやり直しはきく。

 

私思うのです。もしその方が訳わからん業者のワンルーム販売セミナーなんか行かずに、真っ先に私に相談に来てくれればよかったのに…私なら、「こんな物件買ったら、業者と金融機関の養分になるだけですよ。絶対におすすめしません」と言いますね。

その相談をするのとしないのとで、下手したら1000万円以上の差がついてしまうのです。人生が全然違ってきてしまうんですから。

 

私はお客様の長期的な利益を考えて、親身に相談に乗ります。相談料は定価3万円、是非お役立ていただければと思います。私は日本国内および世界中の投資不動産に通じており、「海外」と銘打ってはいますが国内不動産のアドバイスもできます。

https://ipag.jp/kaigai_soudan

 

「これ買っていいんだろうか?」…そう思ったら是非ご相談を。人生の大きな選択に、私の力をお役立てください。

Share on Facebook

ソフトバンク出資の不動産ベンチャーは業界を変えるか?

こんにちは、Manachanです。

前回は、ソフトバンク・ビジョンファンドの出資を受けて、鳴り物入りで日本に進出したものの目下苦戦が報じられるOYO LIFEについての体験談を書いたところ、12,000ページビュー突破の大好評をいただいたので、気を良くして、今回は「OYOやWeWork以外の、ソフトバンク出資の不動産ベンチャーがどうなっているか?」を、主にアメリカを舞台にお話ししたいと思います、。

 

今回の話で、押さえておくべきキーワードは、2つあります。

「ユニコーン企業」

「ZORC」(不動産版GAFA)

 

ユニコーン企業とは?

2013年に登場した概念で、「評価額10億ドル(1 Billion USD)以上」「未上場」「スタートアップ」「テクノロジー企業」という4条件を全て満たした企業を指します。

2018年3月現在、全世界にユニコーン企業は279社あり、急増中。その大部分は米国と中国にあります。有名どころでは、Uber、Didi(滴滴出行)や、AirbnbやSpace Xなどがあります。

孫正義氏がサウジアラビアのムハンマド皇太子と組んで2017年に発足した10兆円規模のソフトバンク・ビジョンファンドは、主に世界的なユニコーン企業に出資しています。前回とりあげたOYO Roomsや、いま話題のWeworkも、共に不動産・コンシューマー分野のユニコーン企業です。

現時点でソフトバンク・ビジョンファンドは日本企業にはほぼ出資していません。そもそも、日本にはユニコーン企業が3つくらいしかありませんから…つい先日、世間を驚かせたLINEとヤフーの合併劇は、ソフトバンク・孫正義氏が資金を入れた、日本初のユニコーン企業ともいえます。

もっとも孫氏は日本市場など眼中になく、10年前のアリババみたいに、投資したユニコーンが上場・世界規模で大化けすることで、兆単位のリターンを狙っているのでしょう。

 

ZORCとは?

米国で支配的な巨大IT企業としてGAFA(Google, Apple, Facebook, Amazon)の4社は有名ですが、その不動産テック版ともいえるZORC(ゾーク)が、いま米国不動産業界の話題をほぼ独占しています。

ZORCは、Zillow, Redfin, Opendoor, Compassの頭文字。うち2社(Opendoor, Compass)には、ソフトバンク・ビジョンファンドの巨額資金が入っています。巨大投資ファンドがテクノロジーに投資して、既存の業界構造を根こそぎ変えようとするのがAI時代のトレンドなのかもしれません。米国は、その動きの最先端にいます。

 

ZORC4社について簡単に解説しますね。

Zillowは、2006年創業。言わずと知れた米国最大の不動産ポータルサイト運営企業。本社はシアトル。NASDAQ上場しており、時価総額は2019年11月末時点で81億ドル(8800億円)。創業者Rich Barton氏の連続起業家としての経歴は凄まじく、ZillowのほかExpediaやGlassdoorも創業・大成功させている。Zillowは2015年競合不動産ポータルサイトTruliaを買収し、全米で物件登録数1億件を擁する独占的な地位を活かして、最近は仲介業に力を入れており、さらにオンライン買取再販(i-buyer)事業にも進出して、後述Opendoorの最強ライバルと化している。

RedfinZillowと同じくシアトルを本社とする、2004年創業の企業。不動産ポータルサイトが有名だが、実態は「ITを使った仲介業」で、Redfinサイトを通じて成約した不動産エージェントから得る契約金額の1~2%の報酬が主な収益モデル。REMAXなど伝統的な不動産ブローカー大手との協業で業績を伸ばしてきたが、今年に入ってエージェント中抜きして顧客が売主に直接オファーできるRedfin Directというサービスを打ち出したことで業界に大きな波紋が広がっている。NASDAQ上場しており、時価総額はZillowよりはずっと小さく、2019年11月末時点で18億ドル(1900億円)。

 

次に、ソフトバンクのお金が入った2社について、

Opendoor2014年にサンフランシスコのY-Combinatorから巣立った、オンライン買取再販(i-buyer)専業のスタートアップ企業。フェニックスやダラスなど、人口増加中で築浅の戸建物件が多い均質な不動産市場を持つ街に進出して、独自のアルゴリズムで月1000件単位のオンライン買取事業を実施して、i-buyerとして業界最大手にのし上がった。現時点で未上場。最近は進出先都市での競争激化に伴い、ロサンゼルスなど高額中古物件の多い都市に進出したり、Zillowがi-buyer事業に参入することで強力なライバルとなる等、成長の岐路に立たされている。なお、2018年10月にソフトバンク・ビジョンファンドは同社に450億円を投資している。

 

Compass2012年にニューヨークで起業した不動産仲介会社(ブローカー)。「テクノロジーを使って不動産仲介の生産性を上げる」を旗印に、サンフランシスコなど高額不動産が多い街に一挙進出し、優秀なエージェントを巨額の移籍金やストックオプションを使って引き抜く戦略でシェアと売上を急激に伸ばしている。但し敵も多く、業界最大手のRealogyをはじめ数社から訴訟を受けている。現時点で未上場。現時点では赤字体質が改まっておらず、収益化が喫緊の課題とされている。なお、ソフトバンクビジョンファンドからは2018年に450億円の出資を受けてけいる。

 

私は職業柄、アメリカの不動産業界イベントに多数参加しますが、ここ2年ほどは、どこへ行ってもOpendoorやCompassが話題にのぼる頻度が凄く、その多くは戦々恐々としています。

それもそのはず、仲介手数料を収益源とするエージェントからみると、Opendoorの手がけるi-buyer事業は手数料を中抜きしてオーナーと直接売買するビジネスモデル。同社がこのマーケットを開拓してしまった今、Zillowでさえi-buyer事業に参入。そして、長年エージェントの味方だったRedfinでさえ、中抜き直売サービスを始める始末。

一方Compassは、仲介手数料モデルに基づいたビジネスモデルとはいえ、Realogy、Remax、Keller Williamsなどのエージェント大手からみれば、Opendoorは巨額投資マネーにものを言わせて優秀なエージェントを引き抜く、憎っくき競争相手に他なりません。

 

このような、既存の業界秩序を乱して成長する新興勢力は、アメリカではDisrupter(創造的破壊者)と呼ばれます。アメリカ産業の歴史は、ある意味、Disrupterたちが創ってきたと言ってよい。フォードしかり、AT&Tしかり、IBMしかり、GAFAしかり…不動産業界でも、例えば既存大手のKeller WilliamsやRemaxは1980年代のDisrupterとして、ライバルをなぎ倒して成長してきたわけです。

孫正義氏のソフトバンク・ビジョンファンドは、誤解を恐れずにいえば各業界のDisrupterを支援し、あわよくば業界を根こそぎ変える、アリババみたいな巨大独占企業になっていただき、結果として兆単位の利益をもたらして欲しいという動きであり、その意味で彼は「ものすごくリスクを負う真の勝負師」なわけです。そのように考えると、彼の意図が分かりやすくなると思います。

私も投資家のはしくれとして、孫正義氏のケタ外れの勝負師ぶりには大きな魅力を感じます。彼の思考の先には、とてもエキサイティングな(でも社会全体の調和という観点からすると結構こわい…)世界が広がっているはずで、引き続き楽しく注視していきます。なお、ユニコーン企業が3社しかない日本だけで思考すると、彼のスケールが理解できないので、米国や中国、インドなど、でかくてイノベーティブな国に頻繁に出かけて定点観測する必要も感じますし、実際にやっています。

 

最後に、ソフトバンクが巨額出資しているOpendoorやCompassが無事上場して、企業価値をさらに高めることができるのか?私は、「いずれも厳しい。Opendoorなら可能性あるけど、Compassは難しい」とみています。

すでにi-buyerの領域で独占的地位を得たOpendoorにとって、当面の課題は巨人Zillowとの競争。あとはアメリカ不動産市場のクラッシュが懸念材料ではあります(不動産物件を大量に自社保有するビジネスモデルゆえ、市場がクラッシュすると不良在庫が表面化して、一気に危機が来る)。同社はすでに「利ざやで稼ぐ」収益構造が確立済なので、競争に勝って収益強化が飛躍のカギでしょう。

一方、Compassの前途はよく分かりません。少しWeWorkと似ていますが、投資家の巨額資金を使って赤字覚悟で一気にシェアを広げたのは良いが、シェアをとった後、いかにしてマネタイズ&黒字化するかの道筋が見えないです。私にはCompass所属の優秀なエージェントの友人が数名いますが、彼らにストックオプションを持たせている以上、いずれかの時点で上場しなくちゃならない。かといって市内一等地に高額なオフィスを借りる等、高コスト体質でもあり、ビジネスモデル的にはRemaxなど既存のライバルとそう差別化できるように見えないし…何を繰り出してくるか分かりませんが、今が勝負どころですね。

Share on Facebook

私がOYO LIFEに激怒した話

こんにちは、Manachanです。今回のブログでは、孫正義さんのビジョンファンド等から巨額出資を受けて、今年初めに鳴り物入りで日本上陸した、インド発のホテル予約・運営サービスOYO(オヨ)グループのお話です。

 

インドで2012年、当時18歳のRitesh氏が創業、現在アジアとヨーロッパ8ヶ国でビジネス展開し、時価総額1兆円といわれる驚異の急成長を遂げた同グループの成長の源泉は、OYO Rooms社が手がける、AIを駆使したホテル事業で、別名「不動産業界のAmazon」とも呼ばれます。ただ日本でのビジネス展開は、ホテルではなく賃貸住宅の分野で、ヤフーとの共同出資で発足したOYO TECHNOLOGY&HOSPITALITY JAPAN社が、OYO LIFE(オヨライフ)という賃貸住宅サービスを提供しています。

それは一言でいうと、「スマホひとつで、30分で入居できる賃貸住宅」。敷金・礼金・仲介手数料も、電気や水道代も全てコミコミの家具付きの部屋に住めまっせ、というお話。それだけだと単なるマンスリーマンションに聞こえますが、世界で急成長したOYOのこと、彼らならAIを駆使してデータ取って、業界横断的、全世界的な事業展開も考えているのではないか、あるいは、日本の旧態依然とした不動産業界慣行を、OYOなら変えていくのではないかという期待値もありました。

 

ですが、日本での事業展開開始から半年あまり経った現時点で、OYOビジネスにもほころびが見えはじめたようです。具体的には2つ、入居者の不満(家賃と共益費が高い、鍵の受け渡しに失敗、コールセンターにつながらない等)と、不動産オーナーや業者サイドの不満です。ま、急成長している会社にありがちな「オペレーションが追いつかない」問題であれば、比較的簡単に解決できるのですが、

ただ、不動産オーナーから聞こえてくる不満に耳を傾ける限り、「OYO、今のままのやり方では、まじで行き詰まるんじゃないか?」という懸念なしとはしません。

 

折りしも、「おは養分」さんのビデオ動画が出ました。タイトルは「正直ひどいです!OYOLIFE実情を暴露します

 

彼の激怒ポイントを一言でいうと、「不動産オーナーや業界関係者に対してフェアではないビジネススタイル」。例えば、

OYO LIFEが提示する賃貸条件が「2.5カ月分のフリーレント要求」しておいて、さらに「OYO LIFEが賃貸に適さないと判断した時は無条件で解約可能」、「その際はOYO LIFEが得るべき逸失賃料を含む損害をオーナーに請求できる」という、極めてオーナーに不利なものになっている。

貸主が契約しても借主(OYO)がいつまで経っても借主サイン付きで契約書を返送してこず、契約金だけ振り込んで部屋の鍵を要求。賃貸仲介を散々動かした挙句、最後の最後で自己都合解約をしてきて、結果的に社外の人間にタダ働きをさせてしまう。

 

人気ユーチューバー「もふもふ不動産」でもOYO問題が取り上げられていますが、彼によると、最近の事例で借上賃料7.5万円の部屋を13.6万円で貸し出しており、家具つき、水光熱費やWIFI込み等を勘案しても粗利を取りすぎで、さすがに借り手が減るだろうと…で、借りてもらえない場合、「OYO都合で借上契約解約」というかたちで、オーナーと業者にしわ寄せがいくわけです。

 

で、おは養分さんが感じた「OYOふざけるな!」を、私自身も経験しました。

日本の大家業界におけるインフルエンサーの一人である私のところに、OYOから連絡が来たのが、今年4月末のことでした。GW明けにOYOが入居する新橋のシェアオフィスで打ち合わせ。6月27日に開催する予定でした。この会議では、私の主宰する「アジア太平洋大家の会」の運営理念を担当者にご理解いただいた上で、「私が集客して来るのは10~15名だと思いますけど、物件たくさん持ってるオーナーさんが集まると思いますよ」と話し、和気あいあいで会議を終えました。

5月17日に、アジア太平洋大家の会からセミナー開催費(5万円+税)の請求書をOYOに送りました。ランディングページ作成、集客費用、都内のセミナー会場代込みなので激安価格。ほとんどの業者さんは速攻で振り込んでくれますが、OYOの場合、請求後2~3週間経っても振込がありません。私から数回催促してるのに「ファイナンスの承認を待ってくれ」の回答のみ…数万円程度の小さなことから、暗雲がたちこめました。
 

そして、私の気分をブチ壊すFBメッセージが入ったのが、忘れもしない6月5日。当時私はコーカサス地方のジョージア国に出張中で、首都トビリシから黒海沿いのバトゥミまで、乗り合いタクシーで移動している最中でした。

OYO現状外部連携時のセミナー時に50名程度を最低目標と敷いておりまして、(鈴木さんでしたらご理解頂けるかと存じますが、インド人の特徴上、無理そうでもお願いする、お金の持ち出し時の期待効果は厳しく測るという特徴があり。)金額を例えば10万円(集客のみ、場所はOYO手配)に上げた場合は着手可能でしょうか?

なんと…最低50名集めろみたいな話、俺は一言も聞いてないぞ!後出しで要求は卑怯だ!ジョージア西部の緑濃い峡谷のなか、私は一瞬、怒りに震え、落ち着いてから次のメッセージを書きました。

事情は理解しますが、うちの会の性質には合わない要求ですね。自発的に集まった非営利の会です。興味ある人は来る、ない人は来ない。集客無理しない。そもそも、50名集めるのが期待値であるのなら最初から言って欲しかったし、もしそうならこの話お受けすることもなかったでしょう。私は集客マシンではないのです。理念があえばタダでもやる、合わなければやらない、それだけのことです。私はインド企業に居たのでカルチャーは分かりますが、私の立場も理解せずに客たくさん集めろと言うならこの話降ります

最初にお会いした時は、集客目標の話なんて全然出なかったし、弊会の会員に、御社のサービスを知っていただく機会を提供しようとシンプルに考えておりました。客たくさん集めろと後出しでいう、金は後払い…それはフェアなビジネスとはいえません
 

その後も、腹の立つやりとりは続きます。私は日本帰国後、6月27日セミナー中止を決めました。セミナーキャンセルにあたって、わずか数千円のお金の請求をめぐってまたひと悶着。

私「6月27日にセミナーやる予定だった件、弊会から下記金額を請求させていただきたいと思います(セミナー会場費5000円+税、2名分の参加費4000円+税)。いつお支払いいただけるかをお知らせください。 御社の求めに応じてセミナー告知して、私の時間も使って、お客も紹介した以上、全くタダというわけにはいかないので、ご理解ください

OYO「セミナー会場の予約完了ページ、キャンセルポリシーをお送り下さい。セミナー参加費というのはキャンセルの為、実態と乖離がありファイナンス承認が下りません。」

私「できるだけやりますが、正直な話、もうお付き合いしたくないですね。私をタダ働きさせといて、その回答ありかよ、と言いたくなります。」
 

このやりとりの前、私はすでに、OYOの賃貸サービスに興味のある顧客(アジア太平洋大家の会の会員)2名を、同社の個別相談に紹介していました。つまり、人さまの客をタダで紹介させておいて、その対価を払うのを渋っているのと同じです。

OYO「払わないとは言ってないです。ただ、結局僕がどれだけ愛想良い回答しても、払うか払わないかはファイナンスなので、彼らの関心ごと、想定質問を先にお伝えさせて頂いてる次第です下手に僕等の主観で無責任に進めるとまた後出しで迷惑をおかけする事になるので」

私「私は相当怒ってます。ファイナンスの承認云々は、御社の事情でしょう?私が言いたいのは、社内の人間じゃない、ひとさまの時間と金を使わせといて、その態度はないでしょうと…それに対する謝罪の言葉よりも、御社の事情が先に出てくる・・このままだと、御社に協力しないばかりか、御社に対するネガティブな発言もしかねないですよ。

 
で、そのネガティブな発言を今してます。このような体質の会社なのだと、日本の不動産オーナー様に注意喚起するために…担当者との最後のやりとりは、こうでした。
 
私「根本的な問題は、御社が他者の協力を得ながら日本でビジネスオペレーションする体制になっていないこと。正直いうと、日本の大家相手のセミナーで集客数にこだわっても仕方ないです。私は、たとえ少数でも多数の物件持って、御社のサービスに関心の高い方だけを集めたかった、つまり、客のクオリティにこだわりたかったし、セミナーやるからには御社の役にも立ちたかった。それが、”50名集めろ”と突然言われて、私の思いが蔑ろにされたと感じた…」

私「他者を巻き込んでビジネスを大きくしたいのなら、提携相手と早期から目標を共有して、相手のカルチャーも尊重しつつ気持ちよく仕事するスキルが必要。今回それがうまくいかなかった理由は何なのかをよく考えて、次回に活かしていただきたいです。

 

最後に、まとめの言葉を、

・OYOはおそらく、不動産賃貸ビジネスや、日本の業界慣行に理解のない人間が、現場からのフィードバックが不十分なまま意思決定しているのではないでしょうか?

・その意思決定者のやり方で一番問題なのは、社外のステークホルダー(不動産オーナーや賃貸仲介)と共存共栄しようという態度がみられないこと。

・その態度やスタイルが改まらなければ、「日本の不動産オーナーから物件が集まらず、規模拡大ができない」という危機が来るだろう。

 

孫正義さんはどう考えるんだろう?いまOYO LIFEを「日本のWework」にしちゃったらさすがにまずいでしょう。

追伸)不動産テックの学校「Gate.School」巻口さんの解説、切れ味良いですね。なぜOYOがダメなのか、なぜソフトバンクの金が入るとグダグダになるのか、理路整然と解説してます。特にMDI/レオパレス買収は最悪だと…私も全く同感です。

Share on Facebook

不思議の国キルギスと世界最安不動産

こんにちは、Manachanです。いつもご愛読ありがとうございます。皆様は、中央アジアにある小さな国、キルギスをご存じでしょうか?

【世界一の奥地をゆく】

世界一大きなユーラシア大陸。その中央部にあって、地球上で最も海から遠い地域が、中央アジア・・・そこは、旧ソ連に属していた5ヶ国(カザフスタン、ウズベキスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン)と、中国領の新疆ウイグル自治区からなる、広大な地域。総面積は日本の15倍!

キルギスを例にとると、そこは、中国北京から西へ飛行機で5時間、あるいはロシア・モスクワから南東に4時間半、アメリカ東西横断に匹敵する距離を、ずっと陸地だけ飛んだ先にある、はるかな内陸奥地。この地点からは、地球上のどの海も直線距離で2000㎞以上離れています。

中央アジアは、西洋と東洋を結ぶ、シルクロード交易路上にあり、太古の昔からさまざまな民族が行き来しました。西暦629年、インドの仏典を求めて唐の都・長安を飛び出し西へ向かった玄奘・三蔵法師は、はるかなる西域の旅の途中、天山山脈を超えてキルギス草原に出たという。その後、タラス河畔の戦いで中国の製紙法がアラブ・西洋に伝わったり、中国の陶磁器とペルシャの顔料との出会いが、青の都・サマルカンドの建築物として結実するなど、常に文明の交差点であり続けました。ユーラシア東端の海中にある日本列島の人々も、北伝仏教、奈良正倉院の宝物など、西へ7000km離れた中央アジアの影響を受けてきました。

海上物流が発達した今日でこそ、海から非常に遠く輸送インフラも発展途上な中央アジアは貿易上不利な「奥地」ですが、陸上交通盛んなりし頃、この地は「世界の目抜き通り」と言ってよかったかもしれません。

【他人とは思えないキルギス人】

 

キルギス共和国は、人口600万人余。人種のるつぼ中央アジアの例にもれず、多民族国家です。かつて300年ほど、ロシア帝国やソ連の統治下にあった歴史ゆえ、首都ビシュケクには、金髪碧眼のロシア人やウクライナ人も多数暮らしています。とはいえ、この国の主要民族であるキルギス人は東洋系で、日本人そっくりの外見をしています。

 

肌の色、背格好、顔かたち…どの要素をとっても、彼らは日本人に酷似しており、ビシュケクの街を歩いているだけで、「あっ、すみれ薬局のおばさん!」、「なぜ助川工務店のおじさんがここに居るの?」と驚くほど、近所に住んでる日本人の空似が多い。私が泊まったホテルの女性職員とは英語で話しましたけど、顔をみてると思わず日本語で話しかけてしまうほどでした。

 

遺伝子的に他人とは思えない人たちが、ヨーロッパの雰囲気のある、緑豊かで美しくおしゃれな街に住んでいるのが興味深いです。

 

 

【キルギスは完全にロシア語圏】

 

日本人と瓜ふたつな人が多くても、当然ながらキルギスで日本語は通じませんし、英語の普及度も低い国です。彼らがどの言語を話すかというと、主にロシア語と、キルギス語です。

 

首都ビシュケクには、ロシア人はじめ旧ソ連構成国の人が多数住んでおり、彼らはキルギス語を話せないこともあります。一方で、この街に住むすべての人は、ロシア語を話します。看板も9割以上がロシア語表記ですし、教育から、科学技術、ビジネス、法律に至るまで、ロシア語なしにキルギス国は成り立ちません。

 

*

 

【40部族とマナス王の伝説】

 

キルギス人は、広い意味でトルコ系民族(Turkic People)に分類されます。彼らは、今日のトルコ共和国だけでなく、アゼルバイジャン、中央アジア、新疆ウイグル自治区、東シベリアのヤクート共和国に至る、ユーラシア大陸の東西に広く分布しています。

 

そのため、キルギス語はトルコ語と近しい関係にあります。トルコ語やキルギス語で「40」はkırk(クルク)といいますが、これが、民族名・国名の由来になっています。つまりキルギス(クルグス)は「40部族の国」で、彼らをまとめて外敵と戦って国を守ったのが、民族叙事詩に出てくる伝説の勇者「マナス王」です。

 

首都ビシュケクの中心「アラトー広場」にマナス王の騎馬像があり、首都空港にもマナスの名が冠せられているほど、この名前はキルギス民族の象徴となっています。

 

 

【出稼ぎ経済の国】

 

1991年、ソ連崩壊の直後に成立したキルギス国家は、建国後30年近くを経過しましたが、経済建設に苦労したまま今日に至ります。2018年の一人あたり名目GDPは1268ドルと低く、世界186か国中の154位。中央アジアではタジキスタンの次に貧しい国とされます。

 

内陸最奥地にある国、しかも国土の93%が標高1500m以上の高地という山岳国で、物流の意味では極めて不利です。強い輸出産業がない農業国で、人口600万人しか居ない国なのに仕事はそれに輪をかけて少ないため、国民の優に10%以上が、旧宗主国のロシアや隣国カザフスタンに出稼ぎに行きます。

 

モスクワ等で肉体労働や汚れ仕事に励むキルギス人がもたらすルーブルは、キルギスにとって大事な外貨収入。首都ビシュケクに出稼ぎマネーが集まる結果、この街はGDP1200ドル余りの国とは思えないほど発展しています。
(「一週間5000ソム(=8500円)で働きます」広告)

 

【世界最安値の首都不動産】

 

キルギスの首都ビシュケクの中心地でさえ、今なら不動産を安く買えます。外国の個人名義で土地所有はできませんが、区分アパートメントなら所有権が持てる状況です。

 

不動産マーケット的には、この国はまだ初期段階にあり、マイホーム文化の萌芽はあれど、賃貸市場や二次売買市場が十分に育っていません。外国出稼ぎでお金を得たキルギス人ファミリーを中心に、ビシュケク市内~近郊の新築マンションを購入する意欲は高く、多くの人が、7~9万USドル位で住まいを買いますが、借りて住むことは一般化していません。その点は日本の昭和40年代頃の感覚に近いかな。

 

一方で、都心部のアラトー広場や国会議事堂南側の高級感あるエリアになると、そこは大使館職員や外国人ビジネスマンの世界。彼らはUSドルで家賃を払って借りることが一般的で、中古流通マーケットもそれなりに機能しているので、しっかりした管理会社さえあれば中長期保有型(Buy and Hold)の不動産に向く場所といえます。

 

 

この一帯の新築分譲や築浅の流通価格は、㎡あたり1100~1500USドルが相場。賃貸で人気のある2ベッドルーム2バスルーム(ボリュームゾーンは100~130㎡)は11~18万USドルといったところ。賃貸に出すとグロス利回り8~10%といったところ。

 

新興国とはいえ、首都の都心エリアで100㎡以上の新築に住めて2000万円いかない値段は凄いです。坪単価は40~55万円で、私がこれまで行ったなかで最安値国です。

 

 

あまり投資向けではないのかもしれませんが、300㎡超えの大型ペントハウス等も流通していました。大使クラスの方が住まわれるのでしょうか?この物件は335㎡で45万ドル、5000万円しないんですね。

 

 

中古でもちゃんとレノベすれば良い値段で再販できるようです。

 

【USドル家賃を高利で定期預金できる!】

 

キルギスがさらに面白いのは、都心部レジデンスの賃貸経営ならUSドルで家賃を受け取り、かつ、それを銀行に預けて高利運用できることです。キルギス国立銀行へヒアリングしたところ(2019年11月現在)、

 

一年定期預金の金利は、
●USドル建で5%
●キルギスソム建で12%

こんなに高い金利にも関わらずキルギスでは預金金利利益は非課税です。たとえばの話、「すぐ貸せる都心物件を17万ドルで購入して、大使館職員に1400〜1500ドルで貸して、家賃をUSドル建かキルギスソム建の定期預金で複利運用すれば、高利回りでキャッシュが増える」ということも可能なのです。

 

【現地管理会社は日本語対応可】

 

海外不動産投資の本質的な難しさは、物件が自分の住まいから非常に遠いところにあること。自分ですぐ行けるわけではない以上、現地で運用してくれる信頼のおけるパートナーが不可欠。彼らが居ないと、いくらマーケットが良くとも、画餅になってしまいます。

 

私が今回、キルギスに行った主な理由は、不動産視察とともに、現地で管理してくれるチームがどれだけしっかりしているかを見極めることでしたが、キルギスビジネスに長年携わってきた日本人の会社が窓口になり、現地管理チームも日本のキルギス大使館で長年勤めていた方や、コンクリ・建築会社経営の方、驚くほど多士済々が揃い、彼らが居れば何とかなりそうな気がしました。賃貸管理費は家賃の10%、もちろん日本語対応可。

 

【終わりの一言】

勝手知らない海外、しかも新興国キルギス…ということで、不動産保有中に何が起こるか分かりません。少なからぬ不確定要素があるなかで、「キルギスに親しみが持てる」、「ハプニングも多分楽しめる」、「10年後のキルギスの成長と、値上がりが楽しみ」という方には向くかもしれません。私の経験上からいって、一国の首都中心地で坪40~50万円で買えれば、5~10年のスパンで保有して最終的に損はしないだろうと思います。

キルギスは小国とはいえ、まともな都市がビシュケクしかありませんから、今後も人口が集まるでしょうし、イスラムの国だから出生率高く、人口伸び率も高く推移するでしょう。ロシアやカザフへの出稼ぎは今後当面続くでしょうが、そのマネーの受け皿もビシュケクしかありません。そして、街がきれいでおしゃれなのも良いですね。

 

Share on Facebook

「金持ちと非・金持ちの違い」を理解し、「格差」を自力で乗り越えよう

こんにちは、Manachanです。久々のブログ更新になります。

今回は、私が普段、海外不動産の活動を通じて見聞する「金持ち」と「非・金持ち」の根本的な違いと誤解について整理したいと思い、私の頭のなかにあるものを図で表してみました。

 

1)金持ちの「富の構造」は3段階からなっている。

・有形の富(現金や資産など、目に見える、数値で測れるもの)
・無形の富(信用・人脈、知・リテラシー、スキルなど、目にみえないもの)
・彼らをとりまく「情報」(有益なものと、劣悪なものと、両方ある)

 

2)金持ちには情報が集まる

・金持ちには雑多な人々が群がり、それぞれの思惑で情報を持ち込む。
・優れた者ほど、情報の良し悪しを判断する「知・リテラシー」(無形の富)が発達している。
・良質な情報は、結果として彼らの有形・無形の富を、さらに豊かにする。

 

3)非・金持ちも、3段階の「富の構造」を持っている。但し、金持ちのそれとは質量ともに圧倒的な違いがある。

・有形の富、無形の富の絶対量が少ない。
・一般論として、劣悪な情報に取り囲まれている。典型的には「庶民を食い物にする貧困ビジネス」、「妬み、そねみ。それと結びついた左派的政治言説」など。
・劣悪な情報の特徴は、「有形の富しか見えてない」こと(例.「手っ取り早く稼ごう」、「金持ちから税金とろう」等々…)

 

4)劣悪な情報は、ただでさえ乏しい非・金持ちの有形・無形の富を、さらに痩せ細らせる

・「値段に見合う価値のない高額セミナー」、「信用や時間をお金に換えるビジネス」等々

 

貧富格差の構図を指摘した上で、その次の筋書きも、考えてみました。

 

5)非・金持ちが、金持ちの側に近づくには、まず、目に見えない「無形の富」や「情報」に着目すべき。

・具体的には、「知・リテラシー」を強化することで、劣悪な情報を排除し、身の回りを「良質な情報」だけで固める

・その情報を使って、「まず無形、次に有形」の順で、徐々に豊かにしていく。
6)具体的な方法は数多いが、たとえば「正直な情報発信を長年継続」は有効性が高いほう方。

・ありのままの自分をさらけ出し、ブログや動画チャンネルで正直な情報発信を長年続けていく

・興味のあるひとつのテーマを長年追求して、誰よりも詳しくなる 等々

 

7)中長期的は、有形の富と無形の富は、一定のバランスをとるようにできている。

・無形の富が充実すればするほど、それと帳尻をあわせるように有形の富も自然についてくる。つまり一歩一歩、金持ちの側に近づいていく。

 

視点を変えて、「貧富格差を乗り越える人格」について書いてみます。

【”いい奴”、”おもろい奴”が、貧富格差を乗り越える】

「持てる者」と「持たざる者」の経済格差(特に資産格差)が、世界的に拡大している昨今。「持たざる者」の側に生まれた者は、今の世をどう生きるべきか?「持たざる者」の立場に立った時に、自分に何ができるか?を考えてみました。

(私の出自は「持たざる者」ですが、最近は国際不動産ビジネスを通じて、「持てる者」の側に居る方々ともお付き合いしているので、その観点から書きます。)

 

1)「持たざる者」ほど、貧富を分け隔てるものは「お金」だと思い込んでいますが、それは本質的な理解ではありません。この世は、「人々の有限な時間」と、「その時間を使ってつくられた有形無形のリソース(知識、商品、財産、サービス等…)」からできています。「お金」は「ひとさまの有限な時間」や「リソース」を買う手段のひとつに過ぎません。

2)同じ時間を費やすにも、「誰に時間使ってもらうか」によって、結果に大きな差が生まれます。ビジネスでお金をつくる方法、海外不動産で資産運用する方法、CTスキャンの解析データから疾病リスクを読み取る方法…生半可な素人が100時間費やしても、その道の超プロの費やす1時間に及ばないことが、世の中たくさんあります。

3)超プロが、商売の道に生きる場合、誠実な者ほど、富裕層になることが多い。なぜなら世の中、「人々の困っていることを発見し、問題を解決してあげる」と、「お金」というかたちで返ってくるからです。

4)超プロが、自分の時間を費やす(費やしたくなる)動機は、お金だけとは限りません。よく観察すると、彼らは一銭の対価も得られないのに、「いい奴」や「おもろい奴」のために、最上級のノウハウを惜しげもなく与えることが多いです。

 

起業して、会社を大きくしようとすると、必然的に、いろんな専門家の知識・ノウハウを拝借することになります。変化の激しい現代、自分で試行錯誤するより、超プロの当世最高水準のノウハウを買った方が早いことも多い。その対価をお金で払おうとすると、非常に高額になります。

そこで、お金のない私は、自分が海外各地で得てきた経験を、ブログやFBで情報発信することによって、超プロな方々に「いい奴」、「おもろい奴」と思ってもらうことを心がけました

運と相性がよければ、自分が彼らにとって「いい奴」、「おもろい奴」、「一緒に時間過ごして楽しい奴」になれることもあります、そんな時、彼らは自分の有限な時間やノウハウ、人脈を、惜しげもなく与えてくれます。それこそが、私を「持たざる者」から「持てる者」に変えてくれる、超特急切符だったりするのです。

 

だから私、思うのです。お金持ちになりたい者が、お金そのものを目指してはだめなのだと。

それよりも、自分の内面に目を向けて、「強み」はどこにあるのか、「いい奴」や「おもろい奴」として自分をプロデュースするにはどうすれば良いのか?それを考えた方がずっと早いし、成果が上がると思います。

Share on Facebook

【これは酷い】N国党、柏で一般人に罵声を浴びせ8分間追いかけ回し晒し者に、こいつら暴力ゴロツキ集団?

皆様こんにちは、Manachanです。

私の生まれ育った柏の街で、とんでもないことが起こってたんですね。2019年8月4日の出来事。

今年7月21日に政党要件を満たしたばかり、立花孝志党首率いる「NHKから国民を守る党」(N国党)が、柏市議会選挙中の演説で、聴衆のヤジにマジギレして、立花氏、大橋候補者(現・市議)および黄色シャツを着た7~8名の集団が、一般人男性を8分間、500mにわたって追いかけ、罵声を浴びせ、(タクシーに乗ろうとした男性を無理やり引きずり下ろすなど)身体的な暴力までふるったという信じがたい事件。

さらに信じ難いのは、N国党自身が、この動画をYoutubeにアップしていることです。すでに立花氏は参院議員、権力者の立場で一般人を許可なくネットに晒すのもさることながら、自分たちが暴力ゴロツキ集団だということを自ら衆目に晒しているのです。

23分余りの長い動画ですが、見どころは15分以降に集中しています。

 

15分40秒 演説中に「嘘つき!」のヤジが…すぐさま、大橋まさのぶ候補者(当選して現・柏市議)が激しく反応、黄色いシャツを着た7~8人くらいの集団で追いかけまわす。

16分16秒 ヤジを言った年配男性を、N国スタッフ7~8名が取り囲み「選挙妨害だ!」。ものすごい罵声が数分続く。

17分39秒 N国「警察よびますよ!」

18分30秒 N国「名誉棄損だ!」

21分18秒 家に帰りたいといってる年配男性を、旧水戸街道を信号無視して追いかけるN国スタッフ

21分45秒 N国「逮捕しますよ」

22分12秒 千葉銀通りでタクシーに乗ろうとした年配男性をN国スタッフ数名が力づくで阻止。

22分25秒~40秒 通りがかりの女性に大橋候補者&N国スタッフが罵声を浴びせる

23分01秒 立花孝志代表 年配男性の耳にガラケーを押し付ける

 

立花孝志(公党の代表、参院議員)、大橋まさのぶ(柏市議)および、黄いろシャツ7~8名の集団は、一般人男性を、8分間、500メートルにわたって追いまわし、罵倒し続けました。その恐怖と屈辱の8分間を、柏の地図に落としてみました。

 

‥‥絶句、という以外にない。

国会議員まで出してる公党が、こんなことやって、許される?

私、子供たちにこの動画見せました。10歳の息子は「N国から国民を守る党が必要だね」と…

れいわよりも、N国の方が早く、日本の社会から拒絶されると思う。マツコ集団襲撃の件もあるし、立花氏も数か月後にお縄かな。

柏の街で、こんなことやる奴らは許せない!こんな暴力政党は日本に要らない!

Share on Facebook

日本へUターン起業のすすめ(5)

(この物語はフィクションです)

東京オリンピックを間近に控えた2020年3月上旬、Aさん一家は、大きな転機に立っていました。

日本に再移住して3年余り、娘は小5、息子は小2になり、子供同士の会話はもともと英語だったのが、今では日本語で話すことが多くなりました。学校の勉強が順調とは程遠いですが…あと英語力レベルの維持は週1回の補習校通いで何とか頑張っています。

 

子供も妻も元気で日本社会に適応してくれるのは有難いですが、いま懸念となっているのは、Aさんのジョブ・セキュリティの問題‥‥

外資勤めなので、一生会社に面倒見てもらおうなんて思ってはいませんでしたが、いざ、リストラされて東京の路頭に迷ってみると…学齢期の子供2人も抱え、これからどうやって生きていこうか、男43歳、途方に暮れてしまいました。

とりあえず失業保険は6か月間もらえますが、支給額これまでもらっていた手取り給料の4割くらい。生活水準を落とさないため、一刻も早く転職すべく、すでに履歴書も送り、面接アポも入っていますが、そのことがかえって、Aさんを悶々とさせます。

 

「俺は、勤め人をやるために、オーストラリアを離れて日本に戻ってきたんだろうか?」

 

退職を期に、オーストラリアに戻るという選択肢を、Aさんは考えていませんでした。戻ったところで、自分は働いて金を稼がなくちゃならない。サラリーマンとして再出発する意味では日本と一緒だし、子供たちもせっかく学習言語としての日本語を身につけつつあるところで、いまさら英語環境への復帰もないだろう。

何より、わざわざ一家連れて日本に帰ってきたのに、3年間サラリーマンやっただけで出戻るのは勿体なさすぎる。でも、これから何して生きていけばいい?…その答えは、他ならぬAさん自身が見つけなければなりません。

3月下旬、桜が三分咲きになる頃、Aさんは関西の実家へ一時的に里帰りしました。しばらく見ないうちに、両親もすっかり年老い、足腰弱くなり、病院通いの頻度も増えていました。あと2~3年もすればクルマの運転もきつくなるかもしれません。

 

「東京暮らしも、そろそろ潮時かな…」

 

退職に伴い、東京で暮らす意味のなくなったAさん一家。彼にとって故郷でもなく、生活費も高い東京に居る意味はもうありません。なんだかんだ言って、生まれ育った関西の方が水が合うし、両親の近くで暮らした方が何かと便利でもあり…

この里帰りは、これまでの人生や、自分の価値観やスキル、交友関係を棚卸しした上で、ゼロベースで、これからの長い人生を考える契機になりました。

近所の神社で、満開に近くなった見事なソメイヨシノ、その下で談笑する人たちを見ながら、Aさんは、こうつぶやきました。

 

「何ができるか?」じゃなくて、「いま何をしたいか?」、それを軸に考えてみよう。

できるかどうかはともかく、いま一番やりたいことは、これまで10年間、オーストラリア暮らしで身につけた視点を活かして、日本で新しいビジネスをはじめること。

 

オーストラリアで暮らしたAさんからみて、日本はビジネスチャンスの宝庫にみえます。そう言うと、日本の友人は驚きます、「こんな、人口も減って国力が衰えている国で、どんなビジネスチャンスがあるの?普通は東南アジアとかに行くんじゃないの?」…

でも、Aさんに言わせれば、違うんですね。

 

日本はいま、オーストラリアからみて30年遅れで、働き方改革をはじめている。そして、実質的な移民受け入れもはじめている。

その意味で、日本より約30年進んだオーストラリアの社会を自分は体験している。その時間差から得られる発想で、日本で新しいビジネスをすれば、伸びしろは大いにあるはず。

それは、産業技術やインフラの面で、東南アジアより約30年進んだ日本のビジネスマンが、時間差を活かして進出していく発想と、何ら変わらないはず。

 

「これだ!」、落ちてきた桜の花びらをはたきながら、Aさんは手を打ちました。

 

「素晴らしいのに元気のない日本を、何とか盛り上げたい」と思って、オーストラリアの安定した生活を捨てて、日本に戻ってきた。

東京でサラリーマン3年間やって、俺は悟った。このまま雇われを続けても、たぶん自己実現はできない。

自分のルーツ・関西に帰ろう。そこで、俺だからこそできるビジネスを立ち上げよう。

 

…4か月後

東京オリンピック開催が間近に迫り、関西一帯が猛暑に見舞われる7月半ば、Aさんは大阪市内でささやかな事務所を借り、法人登録をしました。

業種は今のところ、「不動産業」プラス「ビザ代行業」。国をまたぐビジネスになります。

 

1)日本の経営管理ビザや高度人材認定制度を取って移住したい外国人向けのサポート。

2)日本(特に関西近県)で不動産購入・賃貸を希望する外国人向けの仲介(将来的には自社物件を仕入れて寮運営もやりたい)。

3)日本人でオーストラリア不動産を投資目的で買いたい人向けの物件紹介・サポート

 

来月は、1)2)のプロモーションのため、中国の上海・杭州に渡って海外移住フェアに参加する予定。また3)のお客様は首都圏に多いので、今後は定期的に大阪~東京を往復することになるでしょう。

設立当初は自分が動くだけ、お金ばかりかかって、なかなか収入になりませんが、1年後には軌道に乗せたいと正直に話し、妻も子供たちも納得してくれました。

そして何より、ブログのファン達はAさんの人生最大のチャレンジ=起業を心から応援してくれました。早くも、お客さんになってくれた人もいます。

 

まもなく44歳の誕生日を迎えるAさん。オーストラリアを出て4年、自分の選んだ道に悔いはない。自分と家族を大事にしながら、人生の後半戦を精一杯生きていくと誓うのでした。

(完)

 

前号(第4回)に戻る

Share on Facebook

日本へUターン起業のすすめ(4)

(この物語はフィクションです)

オーストラリアから日本へUターン移住したAさん一家。日本で育ったとはいえ、10年の海外生活で感覚や価値観が相当変わりましたので、日本社会に復帰する上でいろいろな課題や気づきがありました。

 

1)日本で実年齢は必ず聞かれる

Aさんは、オーストラリアの暮らしで、自分の実年齢を意識することはありませんでした。職場や面接で年齢聞かれたことは一度もありません(求職者に生年月日聞くのがそもそも違法です…)。同僚も海外からの移住組が多く、さまざまな年齢で移住してきています。上下関係が年齢とリンクしてないなか、わざわざ、ひとさまの年齢を知る理由はありません。

そんなAさんが、日本で就職活動をすると、履歴書に生年月日を書く欄があるのをみて驚きました。面接でも普通に年齢聞かれましたし、職場でも上司や同僚に、年齢や出身学校や卒業年次を聞かれたのは、さすがに違和感がありました。

でも、日本でしばらく暮らすうちに、なぜ相手の年齢を知りたがるのかを理解できるようになりました。日本人は、相手の年齢を自分の年齢と比較したうえで、言葉遣いや対応の仕方を考えるからなのですね。オーストラリアでは成人すれば年齢問わずフラットな感じがありましたが、日本の人間関係では、年齢などの上下関係がないと座りが悪いのでしょう。とはいえ、女性に年齢聞くことは文脈によっては軽いマナー違反になることも学びました。

 

2)言葉を使わずに「察する」ことが求められる文化

Aさんが、子供が学校からもらってくる教科書に一通り目を通した上で、一番価値が高いと思ったのが「道徳」の教科書でした。

読み物としてのクオリティが高く、子供の日本語読解力キャッチアップに役立つ上に、内容も「思いやり」とか「公共を大切にする心」、「歴史や文化を尊重する心」、「客観的状況から事実を把握するスキル」など、人間として生きる上で大事なことばかり。我が子がこれを内面化できれば、一生の財産になると思いました。

その代わり、「一流の食材は、一流の料理人じゃないと扱えない」。こんな深い内容の教材を、平均的な小学校教師が上手に扱えるとは思えないので、家庭教育の素材として徐々に使っていこうと思うAさんなのでした。

道徳の教科書自体、オーストラリアでは見たことありませんが、読んでて明らかに「日本的だな」と思ったのが、「言葉を使わずに、察する」コミュニケーションが重視されること。たとえば、「雨の日のバス停近く、商店の軒下で雨宿りしながら並ぶ人が数名いる状況に気づかない子供が、来たバスに真っ先に飛び乗って、お母さんに怒られた…なあぜ怒られたのか考えてみよう」という文章がありました。オーストラリアで同じことが起これば、雨宿りしている大人が”Please do not jump the line, mate!”(列に横入りはやめようね)と、言葉を使って言うはずです。多民族国家で「暗黙の了解」なんて通用しませんから、「相手の気持ちを尊重しつつ、上手に言葉を使う」スキルの方が重視されます。

そんなオーストラリアの環境に慣れたAさん、「言葉を使わず察するなんて、難しいなあ」と、日本流のコミュニケーションに戸惑う日々が続きます。もっとも、日本の都市部では外国出身住民が増え、ゴミ出しや騒音などのトラブルも増えたため、行政が「やさしい日本語を使って説明しよう」キャンペーンをやったりしています。日本社会も徐々に、「言葉を使ったコミュニケーション」が重視される流れなのかもしれません。

 

3)いまさら「働き方改革」なんて・・・・

Aさんが移住した頃の日本は、安倍政権による「働き方改革」の呼びかけが始まった時期でした。一言でいうと「労働生産性を上げて、極力残業しない働き方を実現する、副業やダブルワークも柔軟に認める」…という内容ですが、よく考えれば、オーストラリアで、そういう状態は30年以上前に実現しているわけで、「何をいまさら」感がある。

Aさん自身も、オーストラリア在住当時、残業はほぼしなかったし、アフター5の自由時間を使ってちょっとした副業をしたりしました。周りもそれが当たり前でした(本業でエンジニアなのに、副業で家具のビジネスを立ち上げて、そちらが本業になっちゃった奴もいます)。

日本はオーストラリアからみて、テクノロジーや産業の進んだ先進国にみえるけど、働き方の面では、30年以上遅れてるんだなあと思った次第。

 

4)日本に来て「捨てた利便性」と、「得た自由」

日本にUターンした場所が東京だったこともありますが、Aさん一家は移住後まもなく、「日常的にクルマを使う利便性」を捨てなきゃいけないことを悟りました。

オーストラリアに居た時は、基本どこに行くにも、クルマ利用。時に渋滞の悩みはありますが、慣れると「クルマのトランクに全てを詰め込んで、自宅まで一歩も歩かず、重いものも持たずに移動できる」便利さがありました。でも東京でそれは無理な相談。まずもって駐車場が高い、行った先で駐車も一苦労。道路も狭く、結局、公共交通機関を使ったほうがはるかに早く到達できる。Aさんはマイカーを持つ考えを諦め、普段は電車やバス。たまにクルマ使う時は、いま流行りの「カーシェア」でレンタルすることになりました。

また、オーストラリアで当たり前だった、「広い庭、広い居住空間」も、東京では諦めなくてはなりませんでした。もっとも、東京で広い庭なんて無理だと知っていましたが、室内の居住空間もかなりコンパクトになります。いまAさん一家の住まいは、専有面積75㎡前後2LDKバルコニー付の集合住宅。「ずいぶんコンパクトだな」と思いましたが、周りをみると、「東京の都心近くで75㎡に住めること」境遇自体が比較的恵まれていることを悟りました。

クルマを捨てたAさん一家、「駅やスーパー、コンビニまで歩くか、自転車に乗る」ライフスタイルになりました。最初はもちろん、慣れるのに大変でした。夏の暑い日も、冬の寒い日も、雨や雪の日も、とりあえず外気にさらされるわけです。特に、信号待ちする時が苦痛でした。これまでクルマでラクしてたんだなあと悟りました。

とはいえ、この生活に慣れれば、しめたもの。夜中11時12時でも人通りがあってお店が開いてて、女性ひとりでも買い物に行ける自由を手にしました。オーストラリア都市部で、こんな遅い時間に外出するのはまず考えられませんし、治安の懸念もありますが、日本(東京)では「夜中に、一人で外出して、好きなことをする」自由があります。

あと、子供のいる家庭人としていうと、オーストラリアだと公園にも親がついていくのが当たり前ですし、子供一人で留守番させることもありません。そもそも12歳以下の子供を放置すればネグレクトで犯罪になりますが、日本では親不在で子供だけで公園や街で遊ばせることができる…それには驚きました。治安の良さのおかげでもあるのでしょうが、「子供から目を離して親の時間を過ごせる自由」ってあるんですね。

 

Aさんは、オーストラリアで長年暮らした視点から、日本の文化や暮らし、働き方を再発見するブログを書き始めました。それが好評を博し、ファンも増えてきました。

数年後、Aさん一家に転機が訪れた時に、こつこつ書いてきたたブログが幸いすることになるとは思ってもみませんでした。

 

次号(最終回)に続く

前号(第3回)に戻る

Share on Facebook