【グローバルIT】第1回・ITは職を奪う?(2009/8/6発表)

人類の歴史のなかで、およそIT(情報技術)ほど、短期間で、世界中の人々の暮らし方を変えてしまった技術も、少ないのではないでしょうか?

たとえば、私たちはいま、切符の手配や下宿探しにインターネットを使い、メールで友人と連絡を取り合い、携帯でレストランを探す・・・

みたいなことを、当たり前にやっていますが、

つい15年前には、それらの作業を全て、電話やファックス、郵便でやっていたことを思い出すと、まさに隔世の感があります。

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ITの浸透により、私たちの働き方も、ずいぶん変わりました。

「ITは、我々の職を守るのか?奪うのか?」という問いに対しては、賛否両論が分かれます。

バラ色の将来像を描く人もいれば、逆に職を奪われることを、危惧する人もいます。

IT技術は、ビジネスのあり方を根底から変える力を持っています。

事実、ITに支援されたグローバル・ビジネスの発展は、地球規模で、人々の働き方を大きく変えました。

日本という、経済先進国で働く者にとってみれば、ITの浸透によって、事務的な仕事が不要になったり、あるいは、より労賃の安い国に流出することによって、

より高度で、価値の高い仕事にシフトすることを迫られる、それができなければ、職を失う・・・みたいな状況に置かれた人も、多いことでしょう。

実際それは、数年前、ITエンジニアとして働く、私の身にも起こりました。

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世の中にある仕事のなかで、ITエンジニアほど、世界的なスケールで、仕事が流出しやすい職も、珍しいかもしれません。

そもそもIT技術自体が、時間と空間の制約を超える性質を持っています。

PCとサーバーがあって、ネットワークさえつながれば、ITエンジニアの仕事など、世界中どこでもできてしまいます。

日本の場合は、まだしも、日本語に守られている面がありますが、

英語圏の場合は、それこそ世界中に、優秀なITエンジニアがゴマンといて、流暢な英語を話し、かつ労賃の安い国で働いています。

数年前、私はオーストラリアはシドニーで働いていました。ここは英語圏で、賃金水準が比較的高い国です。

当時、同国のITチームの仕事を、インドや中国に移そうという話がありました。

それらの国では、ほぼ同レベルのITエンジニアの労賃が、

オーストラリアの3分の1から5分の1、と言われていました。特にインド人の場合、英語のハンディもありません。

私は、直感的にこう思いました。「このままでは、職を失ってしまう」と・・・

当時、一介のヒラ部員だった私も、危機感に駆られて、

インド人や中国人より付加価値の高い仕事をしなければ生き残れないと、上司に問題提起したこともありましたが、

結局、上司も有効な手立てを打つことができず、失望した私は、この職場に見切りをつけました。

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私には生活がある。自分のため、家族のため、稼がなくてはならない。ITという業界で、生き残らなければならない。

考え抜いた末、私が到達した結論は、こうでした。

『途上国のITエンジニアで、簡単に代替できてしまうような仕事をしている限り、未来はない』

『途上国のITエンジニアと競争するのでなく、彼らを使う立場にならねばならない』

折りしも、数年前から、我が職場に研修にきていた中国人エンジニアから、耳寄りな話を聞きました。

彼の勤務する、大連のオフィスで、いまチームリーダーを募集しているとのこと。

それも、二人の部下を率いて、米国の顧客向けに、オフショアからサービスを提供する仕事だとのこと。

中国へ行こう!!!私はそう決心しました。妻を説得して、電話面接を受けまくりました。

そして数ヵ月後、私は住み慣れたシドニーを後にして、マイナス7度、凍てつく大連の土を踏んだのです。

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中国での仕事は、大変忙しいものでした。それもそのはず、総勢300名だった社員数が、1年後には1000名を超えるほど、物凄い急成長を遂げている最中でしたから。

私も部下2名のチームリーダーでスタートしたのが、1年後には3つのプロジェクトを同時に回し、計15名の部下をマネージする立場になりました。

そんな日々、大連オフィスに、見慣れた顔がやってきました。

それは、シドニーのオフィスでかつて一緒に働いていた、オーストラリア人の同僚だったのです!

話を聞くと、結局、シドニーの仕事を大連に移すことになり、彼の担当するアプリケーション知識を、大連のエンジニアに伝えに来たとのこと。

シドニーから、仕事を追いかけて、赤道を超えて中国にやって来たら、結局、元の仕事が追いかけてきたというわけです。

私の選択は、間違っていなかったと、この時確信しました。

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ビジネスのやり方が変わり、仕事が、地球規模で移動する・・・その巨大なダイナミズムの前では、私は実に無力な、一介の技術者・サラリーマンに過ぎません。

そんな私の唯一の武器は、「変わる力」です。適応力です。

それは、世の中やビジネスが求めるニーズに応じて、自分のスキルや経歴の内容を、戦略的に組み替えていく意志と能力のことです。

スキルや経歴の改善のために、転職
したり、場合によっては、国境を超えることも厭わない。

自分が、変わり続けること。それができれば、厳しい業界、激しい変化のなかでも、勝ち残れる。

そして、市場価値を保ち、伸ばし続けることもできるのです。

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【グローバルIT】第2回・中国・インドを味方につける(2009/8/15発表)

Manachanです、どうも。

先週メルマガ始めたばかりなのに、すでに、たくさんの方に読者登録していただき、感謝です。これからも頑張って書いていきますので、よろしくお願いいたします。

★★★「第二回 中国・インドを味方につける」★★★

グローバル経済の申し子ともいえる、ITエンジニアという仕事は、常に国際競争にさらされています。

その職は、いとも簡単に、国境を越えていってしまいます・・・。

かつて、私がオーストラリアや日本で働いていた時、中国やインドの、ITエンジニアの大群を、自分たちの職を脅かす存在だと思っていました。

彼らは、邦貨換算で年俸100万円や200万円でも、喜んで働く。IT専攻で、大学院卒が当たり前。技術能力は高く、上昇志向も強い。英語や日本語に堪能な者も多い。

そんな彼らと、どうやって競争すればいいのか?ITという分野で、彼らに仕事を取られることなく、先進国の給料をもらい続けるためには、どうすれば良いのか?

恥ずかしながら、その問いに、私は有効な答えを、何一つ出せませんでした。

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「中国・インドのエンジニアと、同じ土俵で競争しても勝てない」と悟った私は、発想を変えました。

彼らを、味方につけよう!

彼らの、伸び盛りの力を、自分のために利用しよう!

彼らが伸びれば伸びるほど、自分の利益になるような方向性を見出そう!

英語で、"If you can’t beat them, join them"(相手が強ければ、潔く一緒にやろう)という言葉がありますが、私はその言葉に、活路を見出そうとしたのです。

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「中国・インドを味方につける」。その第一歩は、2005年3月、中国・大連に渡ったことでした。

自らが、中国の社員として現地採用され、中国人チームを率いて、

米国で開発されたeコマース・アプリケーションへの中国への移管、保守運用の仕事を始めたのです。

このアプリケーション保守の仕事が、中国に移管されたことにより、米国では5名が解雇されました。私は入社早々、米国ノースカロライナ州に渡り、

「中国から、仕事を奪いにきた男」として、彼らの前に立ち現れることになったのです。もちろん、とても複雑な気持ちでしたが・・・

この路線で、業界で生き残っていこうと決めたからには、もう後には引けません。

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数か月の米国出張を経て、中国に戻った私は、中国チームによる保守運用を軌道に乗せるべく奮闘しましたが、ふたを開けてみたら、

彼らには、最初から最後まで、助けられっぱなし♪

メンバーに恵まれたこともありますが、とにかく、彼らは優秀で、物凄くハングリーでやる気がある!飲み込みも早い!

彼らがとても良い仕事をしてくれたことにより、私の評価も上がり、2つ、3つと、プロジェクトを任されることになりました。

そこでも次々と成果を挙げ、1年後にはついに、全社的な戦略プロジェクトのメンバーとして抜擢されました。

「中国を味方につけた」ことにより、我がITエンジニア人生で初めて、運が回ってきたことを実感しました。

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その後、いろいろ思うことあって、私は日本に戻り、インドの大手IT企業に転職
しました。

ITを志す者にとって、インドは、決して避けて通れない国です。

技術力、マネジメント力、専門的なビジネス知識・・・あらゆる面で、中国とは比較にならない程の高みに達しているIT先進国、それがインドです。

私の仕事は、プロジェクトマネジャー。日本の客先に常駐し、インド人を主体とする多国籍混成チームを率いて、アプリケーション移管の企画立案、実施・・・。

この職場では、かなり苦労しました。インド人のITエンジニアを使いこなすのは、中国人とは全く勝手が違いましたし、

またインド本国のビジネススタイルにも、不慣れゆえに悩まされました。

ですが、この職場で2年間苦労したおかげで、インド人の良さもよく理解できましたし、

彼らの特性を日本のITビジネスに活かしていく上で、豊富な経験・知見を得ることが出来ました。

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「中国・インドを味方につける」ことを決意して、4年余り・・・今思うことは、

「つくづく、彼らと同じ土俵で競争しなくて良かった」ということ。

まともに競争していたら、今の私はなかったでしょう。少なくとも、今ほどの自信と、キャリア、職の安定は、決して得られなかったことでしょう。

競争ではなく、彼らと一緒に働き、同じ釜の飯を食い、共に成長する道を選んだ私・・・。

もちろん紆余曲折はありましたが、「共に成長したい」という気持ちが相手にも伝わり、彼らから信頼され、愛された。

それが結果的に、大きな成果と自信につながってきたと思います。

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【グローバルIT】第3回・英米系グローバル企業の働き方(2009/8/29発表)

Manachanです、どうも。
休暇で1週間ほど、オーストラリアに行ってきました。シドニーでは、昔の同僚たちとパーティーをやって、とても楽しい時間を過ごしました。
彼らと一緒に居ると、いろいろ思うことがあります。皆、相変わらず頑張っているなあ、すごいなあと感じたり、
また私も、思い切ってオーストラリアを飛び出した分、成長したなあと感じる面も、多少はあります。
今回のテーマは、私が彼らと一緒に年月を過ごした、英米系グローバルIT企業の「働き方」について、
日本でよく言われる「通説」と比較しながら、自分の実体験に基づいて書いていきますね。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
通説その1 「英米系グローバル企業では、自分の仕事だけやっていれば良い?」
答え 「違います。正しいプロセスや手続きを踏みつつ、自分の職務範囲を超えて、良い仕事をする人間が、プロフェッショナルとして高く評価されます。」 
英米系企業では、日系企業に比べて、個人の職務内容や範囲を明確に定義する傾向があります。
なぜなら、そのようにしないと、組織がうまく機能しないからです。
日本人であれば、他人の動きを見ながら自分の動き方を決めたり、チームの仲間同士で足りないところを補ったり、みたいな動きができますし、
物事をいちいち明文化しなくても、当事者間の「暗黙の了解」で、仕事がちゃんと回っていく面があります。
ですが英米文化で育った人間は、それが苦手。いや、ほぼ不可能です。
だからこそ、各人の職務内容・範囲はもちろん、プロセスや手続き、成果物まできっちり定義し、明文化する必要があるのです。
グローバル組織になれば、なおさらです。チームの仲間が、それぞれ別の国籍、文化背景を持ち、「暗黙の了解」など、まるで期待できない環境ですから、
なおさら、明確な定義、明文化、透明化が、切実に必要になってくるのです。
ですが、だからといって、「決められた仕事だけやっていれば良い」わけではありません。
単純労働者なら、そのようなスタンスで仕事しても許される面はあるでしょうが、プロフェッショナルがそれをやったら、途端に淘汰されます。
組織や上司に期待される仕事をこなしつつ、それ以上の成果を常に上げていかないと、価値ある人材と見なされません。
むしろ、「仕事のやり方を改善」したり、「価値に結びつく仕事を新たに発掘」するような動きを、自発的に行っていく人間こそが、「有為な人材」と見なされます。
とはいえ、他人を蹴落としたり、頭越しに他人の仕事を奪い取ったり、みたいな動きは歓迎されません。
定義された職務範囲を超えて、何かやろうとする際の「プロセス」や「手続き」も、大抵決まっているはずですので、それに則って行動することを求められます。
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通説その2 「英米系グローバル企業では、勤務時間が終わったら、すぐ帰って良い?」
答え 「そうです。成果さえ挙げていれば、たとえ勤務時間前でも帰って構いません。」
グローバル組織の多くは、地理的な制約を超えて、「バーチャル化」されているのが通例です。
例えば、自分の勤務地は中国で、上司がシンガポールにいて、顧客は米国にいる・・・みたいな世界が当たり前です。
ですので、仕事する上で、時間配分や勤務場所は個々の裁量にゆだねられています。極端な場合、「所定の勤務時間」という概念さえ、ありません。
私自身も、一応、午後6時までという勤務時間が決まっていても、時には4時や3時に帰宅することもありました。
仕事さえ済んでいれば、誰にも気兼ねせず、堂々と帰れます。
だって、上司も顧客も外国にいるのなら、オフィスで仕事したって、家で仕事したって、同じじゃないですか?
ですが逆にいえば、仕事が溜まってテンパっていれば、オフィスでも家でも、四六時中、ずっと仕事に追われることにもなります。
上司や顧客が遠い大陸にいる場合、時差の関係で、深夜とか早朝とかに、電話会議への参加を要求されることもあります。
そういう、流動的な状況に合わせつつ、自分で勤務時間をコントロールする、高度な管理能力が要求されるのです。
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通説その3 「英米系グローバル企業では、徹底した成果主義で、数字に追われるの?」
答え 「そういう面もありますが、日本的なノルマ達成主義とは、かなりニュアンスが違います」
英米圏ホワイトカラーの給与体系は、年俸制が多く、その内訳は、「基本給」と「能力給」からなるケースが多いです。
「能力給」部分の、年俸全体に占める割合は、会社・業種によっても違いますが、IT企業の専門職の場合、平均値は10~25%と思われます。
この「能力給」は、「設定した目標に対する達成度」で決まるケースが多く、それは昇進にも致命的な影響を及ぼしますので、
その意味では、「徹底した成果主義」が貫かれているといって、差し支えないでしょう。
ですが、それは必ずしも、日本的な意味で「ノルマ達成を強要される」、「数字に追われる」みたいなことを、意味しません。
なぜなら、英米系グローバル企業では、目標の設定にも、また達成度の評価にも、自分自身が全面的に関わるのが通例だからです。
言葉を換えれば、「自分が納得する目標を設定」し、「達成度に関しても、自分と上司が納得するまで議論する」というプロセスを踏むので、
誰かに決められた目標を押し付けられる、みたいな感覚はほとんどありません。
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次回は、「中国系・インド系のグローバル企業と、英米系との比較」について、書いてみますね
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