2015年に激変した日本の不動産投資環境

こんにちはManachanです。いつもご愛読ありがとうございます。

いま巷を騒がせている「かぼちゃの馬車」破綻、昨年話題になった「レオパレス集団訴訟」に象徴されるように、いま日本の不動産賃貸経営におけるサブリース業者や金融機関の事業姿勢が、大きく問題視されています。

ま、これって古くて新しい問題ですよね。普段、不動産の業界に居るから分かりますけど、「肉食8割、草食2割」と言われるように、この商売やってる業者の大部分は、目先の利益を追う連中(肉食系)で、オーナー様の将来の幸せとか資産形成なんて真面目に考えてないですから。

投資初心者を食い物にして、自分だけさくっと儲けて一丁上がりたい有象無象が、本当に本当に(x100)たくさん、蠢いてる世界ですから。

そんな業界体質があることを念頭に、私たちは知識やスキルをつけて、肉食業者の養分にならないように。お金を生まない物件や、自分の身の丈にあわない物件をつかまないように、日々精進しなければなりませんよね。

ところで、いまアパートやシェアハウス運営をめぐるトラブルが全国的な社会問題になるのは、それだけ「不動産投資が一般化した」ことの証左だと思います。

ほんの5~10年前は、融資を受けてアパートマンション等が買える人は、今よりずっと限られていました。土地持ちやキャッシュ持ち、サラリーマンでも一部上場勤務か1000万プレーヤー以上じゃないと厳しかったと思います。自己資金も物件価格の2割とか当たり前に要求されていました。

潮目が変わったのは、2014~15年あたりかな。特に2014年10月の「黒田バズーカ」で史上初のマイナス金利が導入されたことが大きかったと思います。

都銀、地銀、信金信組、ノンバンクどこも一緒ですが、国債買って日銀に預けても金が減るだけだから、新しい貸し出し先を開拓しなくちゃならない。でもリアル事業向けの貸出は難しいしすぐには増えない。そこで手っ取り早く、「担保のある不動産」や「属性の良いサラリーマン」への貸し出しを増やそうぜという流れになるわけです。

特に2015年は、地銀を中心とする「アパート融資ラッシュ」が凄かったです。「かぼちゃの馬車」シェアハウス販売も、思えばあの頃が全盛期でしたね。いま困っているシェアハウスオーナーのかなりの部分が、あの時期に「全額融資が簡単について買っちゃった」人かと思います。

当時、私は自営の宅建業者として独立2年目。取引の現場でたくさんの珍風景に出会ったものです。


1)三為(サンタメ)業者の黄金時代

不動産業界には昔から、「物件を安く買って、リフォーム等を施して高く売る」転売業者がたくさんいます。サンタメ業者も転売業者の一種ですが、彼らは自ら在庫を抱えずに、物件を「右から左へ転がす」取引で利益を得ます。その際、売買契約書に「第三者の為の契約」と書くので、そういう取引をする業者は「サンタメ(三為)」と呼ばれています。

サンタメ業者は通常、多数の売り客を持っていて、彼らに融資をアレンジして成約を決めるわけですが、2015年当時は融資がものすごく緩くて、高属性サラリーマンの客に都内の中古アパートがグロス利回り5~6%みたいな高値でどんどん売れるので、そういう上客に恵まれたサンタメ業者は大変儲かりました。

「マーケットからグロス利回り9%で仕入れて、在庫抱えずに6%で客に売る」(もう少し簡単にいうと、年間家賃900万円の中古アパートを、オーナーや業者から1億円で仕入れて、サラリーマン客に融資つけて1.5億円で売る)ようなボロい取引も当時は散見されたものです。

当時は私の会社でも、お客様から預かった首都圏の売りアパートを、サンタメ業者に持ち込むだけで簡単に成約できたものです。おかげさまで2015年度の売上は過去最高となり、その記録は今でも破られていません。

でも、おいしい思い(?)をしたのは2015年だけでしたね。16年になると、アパート売るオーナーの方に欲が出てきて、「グロス7%じゃないと売らない」みたい強気なことを言うようになりました。いくら高買いするサンタメ業者でも、そんな値段で仕入れたら利益が出ないので、多くの取引が成立しませんでした。

サンタメ業者って取引を回さないと維持できませんから、仕入れルートの弱い業者ほど、2016年後半からどんどん傾いて、廃業していきました。2017年からは融資引き締めが始まり、2018年初のスルガ・ショックが追い打ち・・・「客に融資つけて高く売る」従来型のサンタメ業者は、今やすっかり鳴りをひそめるようになりました。

(でも今後は、破綻したオーナーから超安値で買い取る別タイプの業者が出てくると思います。肉食中心の業界DNAは半永久的に受け継がれていきますのでご注意あれ)

2)にわかメガ大家の時代

2015年は、量的拡大の時代。銀行から大きな融資をひいて資産総額を競う風潮が流行りました。「メガ大家、ギガ大家」みたいな、ハードディスク容量みたいな言葉が生まれたもの、確かこの頃でした。

当時は、「一法人一融資スキーム」(物件を買う毎に新規法人を立てて、銀行に負債総額が見えないようにして融資を引く)が半ば黙認されてましたから、現役サラリーマンでも「5法人立てて、5銀行から融資総額10億」みたいな話をしていたものです。

そんな時代、「でかいことは良いことだ」思考に染まった業者や大家仲間から、「鈴木さんの保有物件アパート2棟に区分3戸だから、不動産投資中級者ですね」みたいな、上から目線の言われ方をしたこともあります。

私は資産規模で誰かと競ってるわけじゃないし、そもそも「海外」というフィールドで勝負してる変わり者なので、笑って受け流しましたが、心の中では、「この人は、P/LやB/Sとか、返済比率とかデッドクロスみたいな、不動産投資の中身の話ができるんかいな」と思っていたものです。

当時、一つ驚いたのが、大阪のセミナーで出会った女性の話。年収ン百万円の現役サラリーマンですが、誰かのコンサルを受けて、一法人一融資スキームで資産総額6億を半年で実現したんだそうです…でも聞くと、地方のリスク高そうな中古RCを、平凡な利回り(グロス9%台とか)で買ってるんです。賃貸経営の知識も初心者レベル。

楽しい懇親会の席だったこともあり、それ以上は詳しく聞きませんでしたが、正直言って、あの女性の将来が心配です。もし破綻させちゃったなら、例のコンサルや金融機関は、実に罪深いことをしたと思います。


以上みたように、日本の収益不動産をめぐる融資環境が劇的に変わったのは2015年。当時、「調子に乗って踊りすぎちゃった業者、銀行、にわか投資家」が大勢出て、今はそのツケを払う時期(プチ調整局面)なのだと思います。

なお、投資家としての私の動きですが、2015年以来、日本の物件仕入は原則ストップしています。だって高くて割にあわないですもん。むしろ売り時なので、2016~17年にかけて、数年前に仕入れた国内のいくつかの物件を売り、利確しました。

また、業者としての動きをいうと、2015年以降、国内の収益物件をメルマガでお客様に紹介する頻度は明らかに減りました(だって、買った人が幸せになるとは思えないんだもん)。紹介するのは、「土地値以下の中古戸建・アパート」、「今時珍しく安く出てきた首都圏郊外のアパート」、「東京都心で近隣の新築と比べて坪単価が6割程度の中古マンション」など。

でも、こういう出物を経験者やセミプロに売るのって、初心者にフルローンつけて新築アパマン売るのに比べると、手間もかかるし、あまり商売にならないんですよね~(汗)。

ま、商売は別として、投資家としてハッピーになるための物件仕入れの基本は、「安ければ頑張って買え」、「高ければ休め」、「どうしても買いたいなら別の場所を探せ」だと思います。投資と企業経営の現実のなかで、その理想を貫いていきたいと思います。

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「不動産の顔をした事業投資」をお勧めできない理由

こんばんは、Manachanです。いつもご愛読ありがとうございます。

不動産投資界隈は、「かぼちゃの馬車&スルガ銀ショック」かまびすしい世の中ですね。大家業界で情報発信している方々には、不動産投資に失敗して困ってるオーナーからレスキュー依頼が続々と来ていることかと思います。私のところにも、しっかり相談来てますよ~。

「かぼちゃの馬車」では、「シェアハウスの賃料収入」のほか、「派遣ビジネス収入」もあるから破綻しないというセールストークだったそうですが、蓋を開けてみれば、どちらも大した収益上がってなかったようですね。かぼちゃに限らず、「サ高住」や「アプリ収益付き民泊」など、通常の賃貸収入以外の事業収入をアテにして、たっぷり利益乗せた高値で融資つけて売るスキームが、ここのところ一気に行き詰っている印象を受けます。

私は昔から、不動産が好きでたまらない「不動産愛好家」だからこそ、疑問に思います。「サ高住」とか「派遣付きかぼちゃスキーム」って、果たして不動産投資と言えるんだろうかと?

むしろ、不動産権利をつけた「事業投資」と呼んだ方が良いのではないかと思います。日本に限らず海外でも、似たような話が沢山ありますね。英国によくある「学生寮」や「介護施設」とか、アジア新興国によくある「ホテル・コンドミ二アム」や「不動産を担保に取った貸金業(レンディング)」等々。

事業運営を入れて不動産利回りをつくるのは、ある意味、世界の潮流なのかもしれません。今は日本に限らず、世界的に金余りの世。マネーが不動産に向かい、売買価格が高騰。でも賃料はそんなに上がらないから、利回りは下がる。そんななか、投資物件らしい利回りをつくるためには、不動産を使って収益事業をして、通常賃貸を上回る数字を出したい…至極自然な考えだと思います。

私だって、国内外の観光地で物件を買って、「民泊」とか「バケーションレンタル」とか、やってますもんね。ハワイでもパタヤでも、バリ島でもやってるし、これから金沢市でもやろうとしています。自分が民泊オーナーとしていろんな経験しているから、この分野に関しては、企画、オペレーション含めて、それなりに「目利き」できる自信があります。

問題は、自分が目利きできない「事業」付き不動産物件を、投資仲間やお客様に勧められるかどうか…です。たとえば、サ高住とか介護施設の運営に関して、私は完全な門外漢です。事業計画を見せられても、その妥当性をジャッジする自信は全くありません。

そういう、「自分がよく分からない商売」が収益の源泉になっている不動産案件を、私は一般的におススメしていません。もちろん、土地・建物の価値については目利きできるので、その価値に見合った額で買えて、かつ事業収益が「オマケ」としてついてくるなら良いと思いますが、そういう案件に限って、土地・建物の積算価値の数倍みたいな高い値段で売られていることが多い。結局、「1.5億くらいの価値しかない物件を、3億で売ってるかぼちゃシェアハウス」と同じことなのですね。

そういうものを買って、もし事業が失敗した場合、不動産としての出口がありません。本来の価値より高く買っちゃってるんですから、相当な損切りしないと売れませんよね。私は、そんな物件を売って恨まれたくないし、それ以前に不動産のプロとして、「不動産を一生懸命目利きして失敗するなら納得する」けど、「不動産とは全く関係ないところで失敗する案件」に対しては、私ごときが説明責任を負えません。

そもそも、世にあまたある投資のなかで、なぜ不動産に投資する意味があるのでしょう?不動産には、金融商品のような流動性がありませんし、昨年の仮想通貨のような爆発力もありません。試しに買ってみたコインが2年で100倍以上になって「億り人」が続出してますが、不動産の場合、価値が2年で2倍になるものは極めて稀です。

その代わり、不動産には「リスクの低さ」という、他のアセットにはない良さがあります。ペーパーと違って現物だから価値がゼロにならないし、都市部でちゃんと需要がある場所なら、たとえバブルがはじけても半分以下に値下がることも滅多にない。

それに不動産って、個人の経営能力にそう依存しなくてもいい。誰かがそこに住んでくれたり、商売してくれるだけで収益を生むのです。そこまでリスク低くて再現性があるからこそ、銀行もお金貸すわけだし、レバレッジを活かした投資ができるわけですね。

そうした「リスクの低さ」が不動産を選ぶ積極的な理由だとすれば、「事業で収益上げないと利回りが出ない」物件って一体何なの?という気がします。そこには本質的に、「低リスク」という不動産本来の良さがありません。むしろ「リアルな事業」という、プロでも勝てるとは限らない高リスクな投資になってしまうこともあります。

本質的に「高リスクな事業投資」を、あたかも「低リスクな不動産投資」に見せかけて売ってる業者を、私は信頼しません。ハッキリ言うと、私の愛する「不動産」に対する冒涜という感じもしますね。

世にあまたある「不動産の顔をした事業投資」のなかで唯一、私が目利き・投資判断できるのは、自分が実際に事業をやってる領域、つまり「民泊」だけです。それ以外に関しては、アドバイスを求められても「事業投資」だから「正直分からない」
と言います。事業投資であることを承知で投資するなら良いと思います。

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草食不動産屋宣言

こんにちは、Manachanです。いつもご愛読ありがとうございます。

シェアハウス「かぼちゃの馬車」の運営会社スマートデイズ破綻かまびすしい今日この頃、楽待新聞で踏み込んだ記事があり面白かったです。「かぼちゃ」シェアハウス買って入居付けに困っているオーナーの話は、2年ほど前から私の耳に入っていました。破綻の約半年前には、都内で宅建業を開業した友人のオフィスに、空室だらけのかぼちゃシェアハウスに入居付けしてくださいと、担当者が日参していたようです。

 

そういえば、「かぼちゃ」騒動の数か月前に「サクト」という会社が破綻しました。ここもかぼちゃと同様、スルガ銀行と組んだシェアハウス建売商法やりすぎた結果、入居率低下が破綻の引き金になりました。私は2016年5月、サクトからシェアハウスを中華圏投資家に売って欲しいと依頼を受け、同社の都内シェアハウス物件をいくつか視察しましたが、とてもじゃないが客に売れるシロモノではありませんでした。

・賃貸需要がない…足立区の日暮里舎人ライナー沿線みたいな寂しい場所で、新築とはいえトイレ・バス共用で、7~8㎡の狭小部屋に、若い女性が月4万5千円も出して住むとは思えない。そもそも賃貸需要が薄い上、付近に安アパートがいくらでもあって、同じ値段出せばバス・トイレのついた部屋に住める場所。明らかに企画の失敗。

・値段が高すぎる…物件周辺の実勢地価と平均的な木造アパートの建築費から考えて、私が適正と思う価格より明らかに高い値段で売っている。ざっと計算して、土地値プラス建築費150万円/坪くらいの値段で売っているが、それに相応しいスペックを兼ね備えた建物ではない。

結局、弊社とサクトとは2016年10月を最後にやり取りがなくなりました。後で知ったことですが、17年2月からシェアハウスオーナーへの家賃入金が途絶え、被害者の会が結成されました。同年9月には事業を停止、12月までには銀座の事務所がもぬけの殻になっていたようです。

 

かぼちゃ、サクト、スルガ銀行の教訓から何を学ぶか?私は「不動産業者」と「投資家」という二つの顔がありますが、業者の立場でいうと、「あいつらみたいな、客を不幸にする商売は、絶対にしたくない」。

私は、大好きな不動産の世界で、今後末永く生きていきたい。できれば死ぬまで、不動産をライフワークにしていきたい人間です。平均寿命から考えて、あと30年以上生きると思いますが、そこまで長く業界に居続けるためには、お客様を不幸にしてはいけない。私も不完全な人間ゆえ多少の判断ミスはするでしょうが、それでも、弊社が関わった不動産取引の結果、お客様が破綻するような、決定的な失敗は絶対にしてはならない。そうなったら、かぼちゃやサクトのように、不動産の世界に居られなくなると思っています。

 

お客様の失敗リスクを最小便にする物件選びとは何か?私は次のように考えます。

1)物件価格に自社利益を乗せず、市場流通価格で買っていただく。

2)希望的観測や運営の腕ありきの想定賃料ではなく、普通賃貸で得られる無理のない賃料をベースに計算して、投資物件として成り立つものを買っていただく。

3)マーケットが高騰しすぎた局面では、仕入れを休む。物件を無理して売ろうとしない。

 

かぼちゃ、サクトが失敗した原因は、1)物件価格に自社利益を乗せすぎた、2)相場より明らかに高い価格で客に売るため想定賃料を無理に操作した、3)2015年以降の首都圏のように地価や建築コストが高騰した局面で量的拡大を目指してしまった…その三点に尽きるでしょう。私はその逆をやることを、常に心がけています。

不動産売買の世界で、短期間に大きく儲けようとすると、必ず無理が来る。私はそんなに儲からなくても良いから、この世界で細く長くやっていきたい。お客様を食い物にする肉食系業者ではなく、お客様の資産をじっくり育てる草食系業者でありたい。

 

草食系業者として末永く生きていくために、日本のみならず世界中の収益不動産を扱えるようにしたいです。いまの日本、特に大都市圏は収益不動産の仕入れ時ではなく、むしろ仕入れを休むべき時だと思います。投資家としての自分の行動を考えても、2011~14年のまだ安い時期に日本の物件買って、2017年あたりのタイミングで高値で売って利益確定しているわけです。2015年以降は、一般論として日本の収益物件は割高すぎて全く買う気が起きないので、「金沢の町家」みたいなユニークな利用価値のある物件以外は仕入れてませんし、お客様にも余り売っていません。

逆に日本の不動産が高い今だからこそ、海外に目を向けて、「いま仕入れ時の地域」を一生懸命探しています。世界各地の不動産を視察しまくった結果、「ドイツのルール地方」とか「アメリカのフロリダ州、インディアナ州」など、不動産価格が比較的安い局面にある地域で物件を仕入れ、日本向けに商品化しているのです。法律やガバナンスのしっかりした先進国で、資産価値のある物件を安い局面で買えれば、お客様もたぶん損はしないと思っています。

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不動産投資やるなら先進国だと思う理由

こんにちは、Manachanです。

東京ビッグサイトで行われた資産運用Expo(1月25~27日)に出展し、怒涛のように忙しい3日間が終わりました。私たちは「ドイツ不動産投資」ブースを出しましたが、来場者からの反応は大変好意的なものでした。日本でほとんど知られていないドイツ不動産、皆さん「初めて聞く話」ながら、きちんと説明すれば、皆さん目を輝かせて「こんな話を待っていた!」という…

「先進国の都市部なのに安く買える」、「長期間にわたって8%のネット利回りが取れる」、「値下がりリスクも少ない」「国際通貨ユーロで資産形成できる」…私と市川が2016年にドイツ現地に渡航して発掘してきた収益物件が、いま日本人の投資ニーズにぴったり合うのだと実感しました。

 

ところで、日本で紹介される海外不動産といえば、現時点で「東南アジア新興国の不動産物件」がメインでセミナーも多数行われていますが、私の知る限り、世界の趨勢は日本とは逆です。

 

普通は、どの国でも、海外の収益不動産といえば、先進国の物件が中心になります。

 

たとえば、質量ともに日本よりはるかに海外各国不動産の情報が集まる「中国」のイベントに行くと、どこもアメリカ、カナダ、オーストラリアや欧州各国の先進国物件の占める割合が多いです(日本の人気も高い)。もちろん、地理的に近いタイやマレーシア、ベトナム等の物件も紹介されていますが、先進国物件と比べると「脇役」の扱い。

中国と並んで、海外不動産イベントのメッカといわれる「ロシア」と「ドバイ」でも同様に、欧米先進国物件の占める割合が多いです。

その意味で、世界の趨勢とは違う日本の海外不動産事情。今でこそ海外不動産といえば「東南アジア新興国」のシェアが大きいですが、数年後には形成逆転して、「先進国中心」のマーケットになると私は予想しています。なぜなら、

 

・日本人は海外移住ニーズが少ないため、海外不動産は「投資」「資産形成」「資産保全」目的の購入になる。

・投資、資産形成・保全の手段として不動産をみた場合、他のアセットと比べて「一気に値上がりはしないけど、その代わりゼロにもならない」堅い資産として選ばれるため、「収益性」とともに「リスクの低さ」も大事ファクターになる。

・「収益性」「リスクの低さ」を数値化してフェアに比べると、遠い将来はともかく、現時点ではどうしても、先進国有利といわざるを得ない。

 

上記を数値化するため、私は独自に「あんぜん+もうかる」指標を考案しました。


リスクの低さを診断する「6つのあんぜん指標」

・権利を保障する法制度・運用 (不動産権利が政治変動に影響されない)
・市場データの充実(客観的に判断できる)
・建物の品質保証・診断システム (購入段階で、問題の多い建物をつかまない)
・管理サービスの成熟、プロの存在 (保有段階で、収入を確実に手にする)
・自然災害・地政学リスク (保有段階で、不動産価値を棄損しない。)
・中古流通市場、金融システム (売却段階で、値上り益を確実に手にする)

 

収益性を診断する「5つのもうかる指標」

・経済成長と人口増加
・物件の将来性 (資産価値=キャピタルゲイン期待)
・物件の収益性(賃貸ニーズ=インカムゲイン期待)
・参入タイミング、仕入れルート (今のタイミングで、物件本来の価値に比べて割安に買えるか?) ・購入、保有、売却時コストの安さ(購入時印紙税、固定資産税、管理費修繕費、仲介手数料など)

 

上記指標で、私の渡航・視察経験のある「先進国7か国、新興国6か国」をスコア付けしてみたとこっろ、

「あんぜん指標」に関しては、明らかに、先進国優位の数字が出ました。

(先進国平均=45点、新興国平均=21点)

 

次に、私の渡航・視察経験のある「先進国17都市、新興国11都市」に関して、収益性を評価してみると

「もうかる指標」に関しては、先進国と新興国とで、有意な差が出ませんでした。
(先進国平均=28点、新興国平均=29点)

 

最後に、上記スコアを合計してみると、

「あんぜん+もうかる指標」では、先進国が明らかに優位という結果になりました。

(先進国平均=73点、新興国平均=50点)

 

上記は、よく考えてみれば当たり前のことですね。不動産の投資・賃貸経営は、それを支える経済と社会・法律システムを前提に成り立つものです。

日本を含めて先進国では、「不動産所有や賃貸の権利が法律によって守られ」かつ「政権が変わってもそれが維持されるという連想が成り立つ」上に、「人々がネットや不動産屋を通じて物件を売買、賃貸して」、「自分の収入のなかから家賃や税金を払って」、「地元の管理会社が家賃を収納し修繕手配して」、「滞納トラブル等の際に裁判や異議申し立ての仕組みを利用して解決する」…そうした社会システムが一通り整備され、かつそれぞれの分野に専門家がいるわけですが、新興国ではそれら全てが形成・整備途上にあり、専門家も十分に育っていません。

そう考えると、先進国の収益物件では「想定利回りの数字が、だいたいそのまま実現する」ことが多いのに対し、新興国では社会システム未整備や専門家の不足により「現実が数字の通りにならない」ことが多くなるのも、理屈で考えて納得できますね。

 

私自身は、「手堅い先進国物件」に投資しつつも、「やんちゃな新興国物件」も値上がり目当てで複数国で持ってますが、全体としては投資ポートフォリオを「先進国にシフト」しています。また、日本人投資家のニーズを考えても、フェアにみて先進国物件の方が相性が良く、数年後には「海外不動産といえば欧米先進国」が当たり前の世の中になると思います。

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不動産業界は肉食8割、草食2割

こんばんは、Manachanです。いつもご愛読ありがとうございます。

私は、IT業界でサラリーマン・エンジニアを19年やった後、脱サラして全く異業種の不動産業界で独立し、5年の歳月を過ごしております。また、本業とは別に、個人投資家として15年ほど前から、世界各国の不動産に投資してきています。

今回のブログは、「個人投資家&IT業界出身者」の目からみた「不動産業界」の姿について、思うところを書いてみますね。

 

私が「不動産2-8(または8-2)の法則」と呼んでいるものがこれです。

不動産業界は、客の利益より自分の利益のために動く業者が大多数を占める。

まず客に儲けさせてリピーターを獲得する、長期利益志向の会社(草食系タイプ)は、業界全体の約2割。

客に儲けさせるより前に自分が儲けることを優先する、短期志向の会社(肉食系タイプ)は、業界全体の約8割。

※肉食系は別名、「初心者イーター系」(Eater→食い物にする)と呼ばれることもあります。

 

草食系と肉食系、分かりやすい例として、「賃貸アパートの家賃保証(サブリース)物件」を取り上げてみますね。

草食系業者が扱う家賃保証物件は主に、「売値に余分な利益を乗せず、賃貸収益のなかから売主に利回りを返す」物件です。

一方、肉食系業者が扱う家賃保証物件は主に、「売値に余分な利益を乗せて売り、上乗せ分を保障家賃の原資としている物件です。 」

 

なぜそうなるのか?それは、草食系と肉食系のビジネスモデルの違いに起因します。

肉食系業者は、「建て売り」または「売買仲介」で利益を取るモデル。つまり、客が購入する時点で利益確定できてしまいますから、売った後、客がどうなるかは関知しません。物件売るために、賃料相場の数字を人為的に操作することも頻繁にやります。

一方、草食系業者は、「物件管理」や「賃貸仲介」で利益を取るモデル。売った後も、自社で責任持って管理するので、売りっぱなしではないし、賃料相場の数字を人為的に操作して売ると後で自分が痛い目に遭うので基本的にやりません。

 

私自身を含め、不動産投資の基本知識ある投資家が、賃貸経営のパートナーとして選ぶのは通常、「草食系業者」です。

一方、「肉食系業者」は、我々経験者ではなく、投資リテラシーの低い初心者向けにアパート等の商品を販売し、「売り逃げ」することが通例です。彼らが好む顧客層とは、「地主」や「高給エリートサラリーマン」、「開業医」など、資産背景や社会的が高く、かつ不動産投資に素人な人々です。そして、販売チームには必ず、「アパート融資に積極的な金融機関」が加わります。

 

「地域の賃貸需要と賃料相場」、「想定空室率と家賃下落率」、「返済比率」、「修繕計画と想定コスト」などを聞かれても明確に回答できない不動産投資初心者にとって、肉食系と草食系を見分けるのは至難の業。なぜなら、肉食系業者は「サブリース契約」という、一見、草食系と同じプログラムを準備しているからです。

経験者なら、普通分かります。肉食系業者の出してくる「サブリース」なるものが、所詮、「新築アパート売るための方便」であり、「今後十年、二十年にわたって持続可能なものでないこと」を…でも、初心者はそこまで見抜けないのです。

 

たとえ、肉食系業者の説明した賃料水準が妥当なものであっても、建てて売ることで儲けている彼らは、地域の賃貸需要を無視して、同じエリアにガンガン、アパートを建ててしまい、後は野となれ山となれ~となってしまう。

うちの実家近く(千葉県の柏駅から約4㎞郊外)なんて、田畑の多い田舎で大した賃貸需要あるとは思えないのに、大〇、〇建、レ△パの農転&安普請アパートが量産されて凄いことになってます。社会的に必要とは思えない賃貸住宅が乱立する風景は、栃木県や三重県に行っても、沖縄本島に行っても、日本中、ありふれた風景になっています。

 

で、肉食系各社がたくさん建てまくった末路が、これです。

1)物件を多数、市場に供給すると入居率が下がる。
         ↓
2)家賃からサブリース賃料を捻出できなくなると、新築たくさん売って、デべ利益をサブリース賃料に充当せざるを得ない。

3)でも、入居率が下がると、銀行も融資を引き締める。

4)融資が閉まると、新築買える人が減り、デべ利益さえ出せなくなる。

 

いま、世間でも話題になってる、「レオパくん問題」(ガイアの夜明け、2017/12/26放送)

 

そして、シェアハウス「かぼちゃの馬車」で知られるスマートデイズ大地代表も、「ガイアの夜明け」放送の3日後に退任が決まっています。

 

2018年は、オーナー訴訟の嵐になるのかもしれませんね。

 

サブリースはオワコンか…と思いきや、これしきでくじける「肉食」陣営ではありません。彼らは次々と、悪知恵を働かせて新機軸を考え出します。ある意味感心しますが、

これなんか凄い話だよな。

ハウスメーカーを受託者にする商事信託スキーム

・オーナーは土地建物の登記上の所有者でなくなる。でも税法上の所有者ではあるので所得税、相続譲与税はガッツリかかる。

・銀行口座名義も信託会社の名義なので、オーナーの自由にならない。

・受託側はグループ会社で建築、サブリース、管理、仲介、リフォーム、信託報酬等、あらゆる所で利益を得られる。オーナーからみれば「蟻地獄」スキーム。

 

大手各社がこれに手を染めると、2019年には早くも、「サブリース」のみならず「信託スキーム」も世間からブラック認定されてしまう予感がしますねえ。こんなもん、早く淘汰されて欲しいです。

ま、肉食系会社の餌食になるのは、たいてい土地持ちとか、高収入得ているエリートサラリーマンでしょうし、方や肉食系会社の社員・関係者は世間的に高収入の部類ではないでしょうから、日本社会全体でみれば、アパート業界を通じて「持てる者から持たざる者(?)への富の再配分」をしてるのかもしれません。でも、彼らに乗せられた結果、財産を失ってしまった個人や家族からみればたまったもんじゃないよね。

 

投資は自己責任。肉食系業者が手を換え品を換え、初心者を食い物にしようとするのも「投資リテラシー不足」から来ているわけです。このブログを読んで、一人でも多くの方が知識・リテラシーを身につけ、不動産業界から悪貨を駆逐して欲しいと願ってやみません。

遠い将来のことになるでしょうが、日本の不動産業界が「草食系勢力8割、肉食系勢力2割」になったら、今と比べれば素晴らしいと思います。

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素晴らしい東京に生きる喜び

こんにちは、Manachanです。今年に入って2回目のブログ更新になります。

先日、速水健朗著「東京どこに住む」(副題:かつては西高東低、今は逆!「職住近接」「食住近接」の時代)という本を読みました。とても説得力あり、読後感も良かったです。私や家族が今なぜ、東京都心ちょっと東側の江東区東陽町という街に住み、この場所で暮らす喜びが年々増していくのか、その理由が分かった気がしました。

私がひとりで東陽町に越してきたのが、2007年5月。妻と2歳の娘が合流したのが、同年の9月。2年後には息子も近所(木場)で生まれ、我が家はすでに10年ちょっと、この地で暮らしてきたことになります。

 

東陽町での暮らしは、ここ10年、便利・快適になる一方。近所にSUNAMO、北砂アリオなどのショッピングセンターができ、気の利いた小料理屋、バル、エスニック料理屋の選択肢が増え、図書館の蔵書も増え、激安レンタカー屋やカーシェアができ、明らかに利便性が増したのに家賃や生活コストはほとんど上がりません。

特に、私の生活を大きく変えたのが「ドコモのバイクシェア」ですね。我が家のすぐ前にサイクルポート(自転車を借りたり返したりできる置き場)ができ、電動アシスト付自転車が30台ほど常備。これに乗って、東京駅まで所要25分(150円)、半蔵門近くの職場まで、皇居外周の坂を登って所要40分(300円、良い運動です)。都内最悪といわれる地下鉄東西線上りのラッシュとは無縁の暮らしを送っています。

 

仕事柄、国内外へ出張の多い私ですが、バイクシェアがあるおかげで、羽田から自宅に向かうシャトルバスは、「東陽町行き」だけでなく、「T-CAT(水天宮前)行き」や「豊洲行き」も使えるようになりました。バスを降りて、自転車借りて家の近くまで乗って帰れば良いわけですから…あと、最近は新幹線で金沢へ出張しましたが、自宅から東京駅までの往復はもちろんバイクシェア利用。

冬場は北風がやや冷たいとはいえ、関東は晴天が続いて毎日が自転車日和。皇居周辺ではこんな景色も楽しめます。

 

東京23区東部民としては、街に行くなら「銀座」が定番。この街も、奥深い魅力がある街ですよね。高級ブランドや老舗喫茶店、宝飾店や画廊があるかと思えば、ユニクロやGEOXがあったり、インバウンド旅客需要でホテルが建ちまくったりと、目まぐるしく変貌しながら、たくましく、時代の先端を走り続けています。

 

私は、都会が好きです。一生、都会で暮らし、都会で骨を埋めたいです。なぜそう思うのか?その気持ちを、速水健朗氏が著書のなかで代弁してくれます。

 

「他人が勝手に暮らし、勝手に生活を営んでいる近くにいるだけで、さまざまな恩恵、つまりは正の外部性をもたらしてくれるのが都市」

そうなんです。自分の知らない人が、大勢、近くに住んでいて、それぞれの仕事を持って生活を営んでくれるのが「都市」。特に東京のような高度に発達した大都市では、ご近所さんがそれぞれの領域で専門家であり、そのバラエティも凄い。

 

「アイデアは専門性と多様性が出会う場において生まれるのだ。それもまた都市でしか起こりえないものの一つである」

東京はビジネスを始めるのに素晴らしい環境を提供してくれます。私は昨年11月、パートナーの市川とともに「(株)国際不動産エージェント」を設立し、欧米を中心とする海外不動産の本格的な仕入れ商社、コンサルティングサービスを旗揚げしましたが、そういう新しいビジネスを起こす場所は、日本では東京以外にありえないと思います。なぜなら、

弊社に足りない、さまざまな領域の専門家が、近くに住んでいるのが「東京」だから…

弊社の顧客・パートナーになってくれそうな、投資家、資産家、法人が、近くに集まっているのが「東京」だから…

 

東京のど真ん中、千代田区一番町という場所に本拠地を構え、社員も私含めて、全員が23区内の遠からぬ場所に住んでいる…というのが、「いまの時代」を象徴する働き方、住まい方という気がします。

 

「現代の知識集約型産業における中心的な業務は遠隔化できない」

「現代的な都市技能労働者たちの新しい働き方に基づくライフスタイルは、再び職住近接の形に戻りつつある」

国際不動産コンサルタントという、不動産全般も投資も金融も海外各国事情も、全て分かっていなくてはならない極めて専門的な仕事の舞台は、日本ならプロフェッショナル多士済々が集まる東京都心が一番ふさわしいと思います。そして時代は職住近接。だから私も、都心へ自転車で行ける場所に住んでるわけです。

 

「都心に暮らすという生活価値の再発見」

「住む場所が自己投資だという考え方」

私が住む東陽町の家賃は、千葉県の船橋や習志野あたりと比べれば2倍近くしますが、それでも「東京都心にすぐアクセスできる場所に居る」ことが、自分にとってメリット大きいし、人に出会える、移動時間を節約できるという「投資」の面でも十分成り立つので、喜んでそのコストを払っています。あと言うと、ここは皇居5㎞圏内でみると最安値水準なわけで、「都心近い割に安い」というコスパ感覚で選んでいる面もあります。

 

以上は私の主観です。世の中には、都会が嫌いな人、自然や田舎が好きな人は沢山いますし、また東京の慇懃無礼なビジネス文化が冷たく感じられて嫌だとか、日本社会の同調圧力的なものが嫌いという方も相当数いるでしょう。当然ながら東京は、万人に合う都市ではありません。

でも、本音レベルの自分自身と、東京が、うまく折り合いをつけられたという前提でいうなら、この街は、世界中でも稀にみる、住みやすい大都会だと私は思います。

・モノやサービスのコスパが非常に良い。

・広さを求めなければ住居コストもそんなに高くない。

・車を運転せずに楽しく便利に暮らせる。

・清潔で、よく整備されている。空気も悪くない。

・とにかくメシが最高にうまい。低価格帯でも十分うまい。

・世界最大の大都会にしては、治安が非常に良い。

 

また、私が子供時代に知っていた東京と、今の東京を比べると、明らかに、今の方が住みやすくなったと思います。

・昔の通勤ラッシュに比べると、今の方がずっとマシ。

・東京の空気や川の水質、昔は酷かったけど、今は大分マシ。

・交通渋滞、昔は酷かったけど、今の都心部はドライブしていて時間が読めるようになってきた。

・昔の都心はオフィスや工場ばかりで人が住む感じではなかったけど、今は見違えるほど住みやすくなった。マンションも人も学校も利便施設も増えた。

・東陽町・木場あたりも、昔は中小工場が多くて乱雑な住環境だったけど、今は緑豊かで公園の多い、ファミリーに人気の良質住宅街に変貌。

 

世界中見渡しても、東京ほど高度な都市機能と生活利便のバランスが取れ、多種多様なサービスやエンターテインメントに簡単にアクセスでき、先進国の割にリーズナブルな物価で暮らせる都市は珍しいと思います。都市機能が集積することによる利益も不利益もありますが、ここ30~40年間のテクノロジーの発展や都市機能の整備により、目に見える不利益は明らかに減ったと思います。便利でチャンス溢れ、住みやすい「いまの東京」に人々が集まるのは自然だと思います。

そんな東京の素晴らしさを体感するには、職場も住まいも、都心近くにあるのがベストだと思います。

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「失われた20年」から「悩み多き普通の先進国」へ

こんにちは、Manachanです。2018年もブログご愛読のほど、よろしくお願いいたします。

今日は1月4日、用事があり東京都心に出ました。世の中的には明日から仕事始めの会社が多いようで、街は静かでしたが、株式市場は大フィーバーでしたね。東証の大発会は、いきなり700円以上高い23506円で引け、朝鮮半島有事以外は国内外の経済にマイナス材料があまりないなか、いきなり株価ラリーを予想させる2018年の幕開けになりました。

 

そういえば最近、「バブル以来」とか「バブル超え」みたいな経済ニュース多いですね。

・東証の株価は、26年ぶりの高値

・有効求人倍率は43年ぶりの高水準

・東京・銀座鳩居堂前の路線価はバブル期超えで過去最高

 

日経新聞の見出しをみても、「上場企業7割が増収増益」とか「潜在成長率上回る」とか、「消費者心理改善、4年ぶりの高さ」とか「正社員の求人倍率、高水準」とか、景気よさそうな記事が並ぶようになりました。

 

とはいえ、約30年前のバブル景気と今の経済状況は、様相を大きく異にしています。数字をよく見ると、

・公示地価がバブル期を超えたのは東京の一部のみ。大阪、名古屋以下の各都市の地価は上昇中とはいえバブル期に遠く及ばない。

・有効求人倍率がバブル期を超えたとはいっても、バブル期(1986~90年)の就業者数の伸び396万人に対し、最近4年間(2012~16年)は185万人。

・東証株価も、1992年の水準は超えたが、バブル絶頂期(1989年末)の水準までは達していない。

 

バブル期の日本は、人口が伸びていました。まだ若者が多く、仕事はそれ以上にあった活況の時代。当時は地価も国内どの場所でも上がったものです。でも今は、総人口が減少するなかでの人手不足の時代で、経済成長もせいぜい1%台。全国的に地価を押し上げるだけのパワーはなく、せいぜい東京とその近郊、政令指定都市くらいしか上がらない。人口の都市集中と地方の過疎化を背景に、地価の二極化、三極化は進む一方。

今さら、バブル以前のような活況は日本に戻って来ないでしょう。でも一方で、バブル崩壊以降、20年以上にわたり苦しんできた資産デフレ(地価、株価)や雇用が、とりあえずバブル前後の水準に戻ったことは、素直に喜んで良いと思います。その背景には、苦難の20数年を経て、日本企業の収益体質が筋肉質になり、金融システムの改革や規制緩和が進み、グローバルな成長を取り込める企業や都市が増えたこと等があります。長い低迷に苦しんだ時代から、日本人が学んだことは少なくなかったのです。

 

「バブル後」、「失われた20年(30年?)」が終わったのかどうか?というテーマが、2018年の日本で語られる機会が増えることでしょう。これはおそらく、コンセンサス取れない議論だと思います。今の日本は他の多くの先進国と同様、二極化が進んでおり、好景気の恩恵を受ける人間と、全く受けない人間がいて、両者は全く違う経済観を持っているからです。

私は東京都内に住み、好景気の恩恵をそれなりに受け、かつ出張で欧米先進国を頻繁に訪れています。その視点から言うと、

・今の日本は、すでに「バブル後、失われた20年」を克服している。

・その結果、欧米のフツーの先進国と似たような経済状況になった。体感値でいうと、いまの日本の景気は、アメリカ南部、オーストラリア、ドイツより少し悪く、南欧諸国、アメリカ北部よりは少し良い感じ。東京の景気も、先進国の大都市と比べると平均的。

・フツーの先進国とは、バラ色ではなく、将来に向けて難題と懸念が多い状態。少子高齢化、貧富格差の拡大、財政・金融政策の手詰まり、治安やテロの懸念等…どの欧米諸国も抱えている難題を、日本も当たり前に抱えている。

 

日本だけが特殊じゃない。日本の経済社会が抱える難題、懸念の多くは、他の多くの先進国にも、多かれ少なかれ共通するものなのだ…そういうフラットな理解に立ち、グローバルに投資を進めていきたいと思います。また、微力ながら日本経済を支える一経営者として、バブル後の苦闘の経験を大事にしながら、新しい産業・雇用、ビジネスモデルの創出に貢献していきたいと思います。

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柄にもなく金沢文学散歩&不動産

こんにちは、Manachanです。いつもご愛読ありがとうございます。2017年大晦日のブログ更新になります。

私がつい4日前、12月27日に買ったばかりの金沢市森山町の町家は、地元的には実は結構すごい物件だったようです。金沢三文豪の一角、徳田秋声の姉の婚家だということは知ってましたが、私はあまり文学に縁のない、ゼニカネ勘定大好きな不動産事業者ゆえ、その文学的価値については十分気づいていませんでしたが、蓋を開けてみれば

 

・買って2日後に、北國新聞の記者さんから連絡が来て、電話取材を受けた!

・年明けには、「由緒ある町家の命脈をつないだ東京の投資家」という文脈で新聞記事になるそうです

 

あまりの急展開に、自分でもびっくり。とはいえ自分で判断した不動産売買の社会的意味を知ることは大事だと思い、急遽、同物件が出てくる徳田秋声の短編小説(随筆?)「町の踊り場」をAmazonで取り寄せ、読んでみました。私が古典文学作品を読むなんて、高校以来、30なん年ぶりのことです。

以下は、私の率直な感想。文学好きの方が聞けば笑っちゃうでしょうが…

 

・最初読んだ時は、「ブログみたいな文章だな~」と思った。また、「地元・金沢や人々に対する作者の距離感と冷めた眼が面白いなあ」と感じた。

・二回目に読んだ時は、「姉の死をめぐる、人間模様や風景の描写がすごくリアルだなあ~」と感じた。

・でも、やっぱり一番印象に残るのは、最後に出てきた「踊り場」(昭和7年当時、金沢唯一のダンスホール)の情景ですね。

 

徳田秋声にとって、61歳の時に世に出した「町の踊り場」は、それに先立つ10数年の不遇の時代を一気に挽回する「起死回生の一作」となり、作家として円熟の晩年を送ることができました。いま読んでみると、この作品が今なお多くの人に愛されている理由が、何となく分かる気がします。

 

でも不動産屋的にいうと、「町の踊り場」に出てくる、4つの場所を地図にプロットしてみる方が面白い。

1)姉の婚家(現住所:金沢市森山町1-5-22、当時は高道町75)…昭和7年(1932年)8月26日に、秋声の次姉・太田キンが亡くなった部屋で、葬礼がしんみり行われた場。2017年12月27日、私が代表をつとめる資産管理会社で購入。

2)秋声が鮎を食べにいった料亭(現住所:金沢市尾張町1-7-2、元「料理旅館まつ本」)…現在は駐車場。

3)兄の居宅(現住所:金沢市瓢箪町7-6)…秋声の異母兄・正田順太郎の旧宅で、秋声の金沢滞在中の帰省先。築100年を超え、存続が危ぶまれたが、2015年セカンドセンス社が買い取り、「カフェ&カルチャー、町の踊り場」としてオープン。

4)ダンスホール(金沢市下新町、並木町尾山倶楽部3F)…昭和7年(1932年)以前から同13年(1938年)まで営業したダンスホール、現在は駐車場になっているそう。

 

各地点間の距離は、十分、徒歩で回れるくらいの範囲内にあります。

1)から2)まで…徒歩12分くらい
2)から3)まで…徒歩15分くらい
3)から4)まで…徒歩12分くらい

冬場の降雪で足場の悪い時や、夏の蒸し暑い時期を除けば、年を通して、快適に散歩できるコースになると思います。私も、春とか初夏とか秋とか、季節を変えてじっくり散歩してみたいと思います。

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東京の資金で金沢の街並みを守る発想

こんばんは、Manachanです。

今日は、とても嬉しい日になりました。金沢市、ひがし茶屋街近くの古民家を買うお話がまとまり、晴れてオーナーになりました。

北國街道沿い、34坪の土地に、3階建ての建坪60坪近い立派な店舗付き木造家屋を、私が代表をつとめる資産管理会社で現金買いしました。年明けから半年くらいかけて改修、旅館業許可もとって、来夏、町家民泊としてオープンさせる予定です。

 

とても由緒ある家です。築年は明治35(1902)年。金沢市に電話が開通した翌年です。金沢の三文豪のひとり徳田秋聲の代表作『まちの踊り場』の冒頭に、この町家が登場します。というのもこの家は元は秋聲のお姉さんの婚家でした。昭和38年にこの家を購入したのが、現所有者様の先代の方だったのです。

所有者様は、長年、この場所で和菓子店をやってきて、遠方からも客が来るような評判の店だったのですが、高齢により引退、家を手放すことになりました。でも、由緒あるこの町家を次世代に残せたらいいなあという思い、さらにはここでお店や事業をなさる方が引き継いで、まちのともしびが消されないで欲しいという強い意向をお持ちでした。

それを受けて、私の知り合いでもある地元の不動産業者さんが半年以上頑張ってきたのですが、いろいろと難題が続きなかなか話がまとまらず、年末のタイムリミットが迫った頃、「御社で買い取りませんか?」と、私に話が来たのです。つい最近、12月9日のことでした。

 

物件概要と写真を見て、所有者様の思いを知って、私は即買いを決意しました。

この町家は、何としてでも残さなければなければならない。持ち主のいない老朽家屋を再生し、金沢という歴史伝統の街にふさわしい景観を守るのは、いまを生きる日本人としての責務だ。

そう決めてからはスピード感持って話を進めました。売買契約書、重要事項説明書、改修プランとスケジュール、民泊運営会社の収支シミュレーション、許認可・補助金関係の資料を読み込み、12月19日に金沢に飛び、現地確認してその場で契約、今日27日に東京で決済を済ませました。

 

私、金沢とは良いご縁に恵まれてきました。2012年から、5回ほどセミナー講演やって、その度に現地で泊まり、歴史と自然、文学と美術、和風の美が至るところに感じられるこの街を堪能しました。セミナーに合わせて、家族全員で金沢旅行したこともあります。

少子高齢化、経済の衰退、将来不安…日本の先行きが暗いという人が多いですが、私はそうは思いません。マクロだけ見てみてはミクロが見えなくなります。大小無数の都市がある日本の国内を見回せば、沈む街も当然あるでしょうが、逆に今より輝く街も結構たくさんあると思います。特に金沢は、私のなかで、「先行きの明るさ日本No.1都市」ですね。

 

世界中、いろいろ回ってみて、思うのです。今の日本で、金沢ほど、「21世紀の価値観と親和性の高い街は他にほとんどない」と。

金沢の街を歩くと、ヨーロッパの素敵な都市、たとえばプラハ、ウィーン、ハイデルベルク、バルセロナ、セヴィーリャなどと、どこかしら通じるものを感じます。

 

・街が刻み込んできた歴史が今なお、街並みや建造物、美術作品という、分かりやすい形で生き残っている。

・街の規模がちょうど良い。ちょっと郊外に行けば自然が溢れ、かといって街を何日もぶらぶら歩いて退屈しないボリュームがある。

・若い発想にあふれた、おしゃれなカフェ、料理店、コミュニティスペースなどがたくさんあり、年々増えている。

 

今は、ネットとスマホ、AIの時代。人々は日々、ネットを通して大量の情報に接し、取捨選択を繰り返すなかで、「評判や口コミ」が経済的価値を持ちます。言い換えれば、「本物」や「インスタ映え」するものが生き残りやすい時代であるともいえます。昨今、日本へのインバウンド観光が盛り上がるなかで、その行き先が首都・東京に一極集中するのではなく、京都や金沢、飛騨高山などが日本的な文化に触れられる観光地として脚光を浴びているのも、ネット時代と無縁ではありません。

古都として日本No.1のブランド価値を持つ京都に比べると、金沢の観光はやや出遅れ感があります。民泊運営のできる町家の売出価格を比べると、現時点で金沢は京都の3分の1程度。金沢が日本全国にある「小京都」のなかで別格のブランド価値を持つことを考えれば、両都市の価格差は、今後縮まっていくでしょう。その意味で、いま金沢の不動産に参入すれば、投資として妙味があります(だから私がやってるんだけどね…)。

 

なぜ今、金沢の町家が京都より安い値段で出回るのかというと、「地元の人が、その価値を十分分かっていない」ことが大きいと思います。

東京や大阪、台湾や欧米の人からみれば「珠玉」の価値を持つ町家も、地元の人にとっては単なる「古びた日本家屋」に見えます。地元の若い人はそういう家ではなく、新建材の家とかマンションに住みます。また金沢は車社会なので、市街地の家は駐車場もろくになくて生活に不便とみなされます。また、町家は見た目は良くても、住まう上で快適さが十分追求されているわけではない。冬場の室内は寒くじめじめするので、それが敬遠される面もあります。

そういう事情があるので、持ち主の高齢化等で町家が売りに出ても、地元では買う人がなかなか見つかりません。放っておけば、取り壊されて駐車場になったり、何の面白みもない新建材の戸建やマンションになったりするのです。

 

そこで、東京はじめ都会の資金を導入して、旅館や民泊として再生・流通させる仕組みが必要で、それをうまく運営すれば、金沢の特色ある都市景観を守ることにつながります。

但しその際は、金沢の歴史文化価値や、地元の社会、人々の気持ちを十分理解した上で行動する必要があります。「仏つくって魂入れず」では意味がありません。実際、東京の不動産業者が民泊運営用に金沢の町家を買い、サヤ抜き転売を繰り返して再生プランが滅茶苦茶になるケースもあると聞きました。

 

私は今回、自分の投じた資金を使って、金沢の都市景観を守る一助になりたい。現所有者さんの思いを受けて、店舗は店舗として再生し、町の賑わいを消さず、金沢らしい良さのある旅館民泊として再生し、この建物・家の歴史をつなげたいと思います。

また、この1軒だけではなく、5軒、10軒、それ以上の町家の再生に、東京などの投資資金を導入し、ビジネスとして取り組んでいきたいと考えています。

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日本人を海外不動産情弱にさせない決意

こんにちはManachanです。前回の日記に引き続き、国際不動産の業者として再スタートを切る上での、私の決意表明を書きます。まずは、前回書いた文章の引用から、

>私がまだ出会っていない、日本全国に少なくとも数十万人はいる「海外不動産投資予備軍」の方々が、世界中の良質な不動産情報を得て、賢い投資をするためには、私が業者として世界的な影響力を持ち、日本に世界中の不動産情報が入ってくる仕組みをつくる必要があると考えました。

 

その心は、

・今は日本にいても、良質な海外不動産情報は余り入ってこない。

・そのため、日本人は海外不動産に関して「情報弱者」の地位に甘んじている。

 

私は、日本の個人投資家のなかでは最も、世界各地の不動産情報に広く深く接している一人だという自負がありますが、その立場から言うと、いま日本に入ってくる海外不動産情報の少なさと、クオリティの乏しさを日々痛感します。良い情報がないから、多くの人が海外のショボい物件を、ショボい業者からショボい判断基準で買ってしまっている状況を見るにつけ、ちょっとオーバーな言い方ですが「憂国の念」さえ覚えるほどです。

 

いま東京で、海外不動産を銘打った投資フェアに集まる情報といえば、

・一昔前(2011~15年)だと、東南アジアのプレビルド(青田買い物件)ばっかり。

・今(2015~17年)だと、上記に加えて、先進国の「利回り保証物件」、「償却&節税物件」ばっかり。

 

上記は、「今の日本人客に売りやすい」という基準で取扱業者にチョイスされているわけですが、でも本当の意味で日本人の海外投資・資産形成ニーズに応えているわけではないでしょう。その証拠に、いつの時点でフェアに行っても出典業者の顔ぶれや商品ラインアップはほぼ同じ、客の顔ぶれも大差なく、まだ新しい業界なのに閉塞感さえ漂います。

言葉を換えれば、今まさに、新機軸が求められています。すなわち「日本人の海外資産形成ニーズに応える、質量ともに充実した海外不動産の情報」および、「各国・各都市の不動産マーケットを俯瞰的にみる視座と投資方法論」が求められています。私はそれを新たな価値として打ち出し、日本の海外不動産投資界隈に新風を巻き起こしたい。

 

海外不動産リテラシーを高めるのに役立つビデオ教材(2017/12/22 現在)

海外不動産、買った後どうなるの?~管理と売却の実践的方法論

海外の利回り保証物件に注意

海外の償却・節税物件に注意

リーマンショック後の10年間で、各先進国の不動産市場がどうなったか?

バンコク不動産マーケット解説

ベトナム不動産マーケット解説

そのヒントとなるのが、日本のすぐ近くにある「中国」の存在です。北京、上海など中国の大都市には、質量ともに日本の比ではないボリュームの海外不動産情報が集まります。現時点で最も、世界中の不動産を買ってる客が中国人なので、彼らに物件売るために、アジア、欧州、北米、大洋州はもとより、中南米、アフリカ、地中海やカリブ海の小国からも、デベロッパーやセールスマンが訪れ、情報を持ち寄って来ます。

私の住む東京から、中国主要都市まで飛行機でわずか3時間の距離。幸い中国語での意思疎通は問題ないので、私はパートナー市川とともに、2016年4月からは約3か月に1度のペースで、海外不動産情報を取りに北京、上海、香港などに通いました。いま、多くの日本人が買っているドイツや米国フロリダ州の収益物件も、元はといえば、私たちが中国で引っ掛けてきた話です。日本で口開けて待っているだけでは、決してこういう情報にアクセスできなかったでしょう。

 

で、中国という舞台で、私がどのようにして海外不動産の情報を取ってきたのか?それには「購買力」を見せつけなくてはなりません。

日本でも海外でも、不動産セールスマンの大多数は、自分が儲かるために客に話を持っていきます。要は、売れる(=自分が儲かる)見込みがあるからこそ、客に情報を提供するのです。

そんなカルチャーですので、私が中国で海外業者と名刺交換しただけで大した情報はくれません。でも、私の背後に総勢2500名を数えるアジア太平洋大家の会の投資家会員がいると知った途端、相手の目の色が変わります。こちらが黙っていても、せっせと情報をくれるようになるのです。

また私と市川には、「来月には俺が現地見に行くよ!」と言って、即アポを取り、ヨーロッパでも中近東でも北米でも中米でも、どこへも飛んで行くフットワークの軽さがあります。そういうことを2年近く愚直に続け、24か国65都市の不動産を視察しまくったおかげで、いま我々は、日本の海外不動産フェア等で得られるものとは質量ともに比較にならない、膨大な知見(KnowledgeとIntelligence)を手にしています。

 

その知見やノウハウを、私は日本のため、投資家のために有効に使いたい。そして近い将来、日本に居ながらにして、いまの北京や上海に匹敵する質・量の海外不動産情報が入手できる状態をつくりたい。海外不動産の情報弱者と呼ばれない日本をこの世に現出させたい。

そのために、私と市川は国際不動産エージェント(IPA)という会社をつくり、この業界で影響力ある、尊敬される存在になろうとしています。また、国家的に影響力のある公益団体とのタイアップにより、非営利ベースでの海外不動産学習カリキュラムや、海外の不動産業者が東京に集まって良質な情報を持ち寄る仕組みづくりを画策しています。何だかんだ言って日本は、世界第三位の経済大国。グローバルなマインドやインテリジェンスを持った投資家が育てば、世界中の業者が情報を持ってくるはずと思います。

 

具体的なイメージとしては、こんな海外不動産の情報が増えればいいなと思っています。

 

「マーケットサイクル的に今後の値上がりが期待できる先進国の都市」で、「購入・賃貸需要に裏付けられた元本価値がしっかりした物件」。資産ポートフォリオのなかで「本命」になりうる物件。

 

私は、アメリカのロサンゼルス、カナダのトロント、オーストラリアのシドニーやメルボルン等、世界都市機能のある街の都心近くで、表面利回りが5%近く出る新築・築浅の住居物件なら積極的に買い進んでいます。投資家としての経験上、そういう物件は値上がりやすいし、少なくとも元本価値を毀損するリスクが非常に少ないのです。運よく買えれば私のなかで「本命」物件と位置づけ、長期間ホールドします。

これらは今の日本で決して売りやすい商品ではありません。「本命」に相応しい物件はどんなに安くても3000万円以上するし、購入時の表面利回りがせいぜい4~5%台で見栄えがしないからです。また、いま流行りの「利回り保証」や「減価償却・節税」というアピールポイントもありません。

 

こういう「一見地味な物件」がきちんと評価されるようになるには、「投資教育」の積み重ねが必要だし、そういう教育を受けた経験ある投資家なら、数字や立地をみて買うか買わないか、即決できるようになります。経験豊富な中国人バイヤーに買い負けなくなるのです。

数年後、海外不動産の世界で、日本人が情報弱者の汚名を返上できるよう、私は身を粉にして働きたいです。

 

最後に、先月ドバイに不動産視察に行った際、現地の不動産業者(アラブ人)がとても良いことを言ってたので、紹介します。

今は誰も彼もが、中国へ物件を売りにいく。人口や経済力を考えれば、当然そうなると思うが、でも俺は「日本」という名前がどうしても気になる。日本人は只者ではない。一旦目覚めれば、凄いことになると皆が知っているから…

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