日本不動産

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不動産購入を休む勇気

おはようございます。Manachanです。今回は、「不動産物件仕入れと売却のタイミング」について、思うところを書きます。

 

家主と地主」(全国賃貸住宅新聞社の月間雑誌)、私もコラム執筆で長年お世話になってますが、今月号の特集は素晴らしいですね。「家賃収入アップを実現した家主100人の見事な新手法」。

新発想の賃貸住宅として売り出す、旅行者向けに短期貸しする、入居者コミュニティをつくる、間取りを広くして1ランク上の住宅として貸す、空室に賃貸つけて投資家に売る、投資マーケットで仕入れて実需マーケットで売る…世の中、いろんな手法があるものですね。

なお私は、今回出てくる100名の凄腕大家さんのうち、約半数と面識があり、彼らにはいつも、良い刺激を与えていただいてます。不動産の世界で生きていく上で欠かせない人脈だと思うので、ずっと大事にしていきたいです。

 

ところで、凄腕大家さんの多くは、複数の物件を持っています。彼らは常にマーケットを見ながら、長期保有するもの、売却するもの、新たに仕入れるものを考え、ポートフォリオを入れ替えながら運営しています。

最近は、超低金利を背景に、収益物件の価格が全国的に高止まりしています。要は「売り時」なので、いま売却に走る大家さんも多いです。

 

特に、リーマンショックの影響冷めやらぬ、2009~11年頃は、収益物件の価格が非常に安かったわけですが、その時期に仕入れた物件を今の相場で売れば、場所や規模、工法にもよりますが2~5割は確実に値上がったのではないでしょうか?

税金面から言っても、すでに保有6年目を経過していますから、個人で買ったとしても長期譲渡の安い税率が適用されますからメリット大きいですね。

 

要は何が言いたいのか?不動産は「安い時期に買い、高い時期に売って利益確定する」のが基本、ということです。日本は他の先進国と比べると、いろんな構造要因があって不動産価格が上がりにくいマーケットといえますが、それでも、10年あれば2~3年くらいは、不動産価格の上昇・下落のサイクルを上手につかんで、値上がり益をとれるチャンスがあるということです。その観点でいうと、

 

・2009~11年頃に、収益不動産を安く仕込んで、賃貸で回す。
・いま(2016年頃)は価格が高いので、積極的に売却する。
・数年後、マーケットがクラッシュして安くなった頃に、再度、安く仕込む。

 

それが、「洗練された不動産投資家」の行動だと思うし、私も常にそうありたいと思っています。

しかし、それは多くの人にとって、「言うは易し、行うは難し」なのかもしれません。そこに「銀行融資」の問題が絡んでくるからです。

 

・2009~11年頃は、リーマンショック後ゆえ金融機関の融資姿勢が慎重で、収益不動産に対して融資が出にくい時代だった(だから安い!)
・いま(2016年頃)は、収益不動産に対する融資はジャブジャブ出る。金利も、ものすごく安い。

 

「収益物件の利回りが下がったとはいえ、今はどんどん融資引けるんだから、これを機に、一気に拡大しようぜ!」という人が多いのも理解できます。日本全体をみれば、たぶん、「いま売り時だから高く売る」人よりも、「低金利を利用してどんどん借りて買う」人の方がずっと多くて、多くの業者や金融機関がそれにぶら下がっているのでしょう。

日経新聞で、立て続けにこういう記事が出んだから、不動産投資と融資が、いま相当過熱しているのでしょうね。

 

不動産は「利回り商品」 群がる運用難民  (2016/9/11)

金融システム、金利変動や不動産集中にリスク  金融庁が警鐘  (2016/9/15)

 

長年、日本の不動産市場を見てきた経験から、私の意見を正直にいうと、

 

・いま、融資がどんどん出るからといって、収益不動産を高い値段で買うのは、相当な経験者・上級者でもない限り、やめた方が賢明。

・多くの人にとって、今は購入を「一休み」すべき時期。

 

いま買うなら、仕入れの基準を厳しめにした方が良いかもしれませんね。何となくの感覚ですが、「都市圏で新築・築浅の木造アパートを買うなら、都心近くで6%台後半、近郊で7%台前半が足切りライン」とか、「築20年強のRCを買うなら、23区内で8%、近県や地方中核都市で9%以上で仕入れる」とか、

そういう数字の出る物件、今は正直少ないですけど、上のような条件で買えれば、ま、アリではないでしょうか?

 

そういう物件が出ないのであれば、「一休み」して、市況が下がるのを待つのも手かもしれませんね。「買いたい」気持ちが先走るとコントロールするのが難しいですが、そこは「トンチの一休さん」の知恵を借りて、

 

あわてないあわてない   一休み一休み

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相談してね!新築ワンルーム購入の前に…

おはようございます。Manachanです。

アベノミクス以降、都市部の不動産取引が活発で、融資はそれに輪をかけて活況。「銀行や信用金庫の不動産業向け新規融資額が バブル期も超えて過去最高」という凄いニュースもありましたね。

 

我々不動産投資家は、「安く仕入れて、高く売る」のが基本スタンス。私は、いま日本の都市部での収益物件仕入れは「とりあえず一休み」してます。もっと値段下がれば勝負しますけど、今のタイミングで別に無理して東京買わなくたって、世界中に目を向ければ、不動産仕込みタイミングな都市がたくさんありますし…

そんな東京でも、値付け間違いとかで相場より超割安な物件が偶然出たらパクっと食いつきますけど、マーケット全体をみれば、いまの日本「価格は天井で今が売り時」という判断になりますね。

 

周りの不動産投資仲間をみても、最近は一生懸命、物件売って利益確定している段階。だもんで、いま割高感のある日本の収益物件を一生懸命買ってるボリュームゾーンは、彼らのような洗練された投資家ではなく、不動産リテラシーの低い素人だという類推が成り立ちます。昔から定番なのは、

 

・サラリーマンが融資受けて買う都市部の新築ワンルームや、新築シェアハウス

・地主が融資受けて買う、田んぼのなかの土地活用アパート

 

でも、日本の収益不動産の歴史を見れば、「目利きできないで買った収益不動産で失敗して死屍累々」⇒「投資家が安く買い叩いて高利回りで運用」⇒「時が経ち、皆が忘れた頃に、アベノミクスみたいな融資じゃぶじゃぶの時代が来て、収益不動産を高買いする人続出」…その繰り返しですから、

「情報の非対称性をネタに荒稼ぎする業者に、サラリーマンや地主が食い物にされる」、その構図を理解しないまま、売買契約書にハンコ押すべきじゃないんですよね。

 

新築ワンルームに関して、いくつかエピソードを皆さんと共有します。

 

・私が2008年1月に、福岡市中央区で買った築15年ワンルームの価格は366万円。これは1992年に、2200万円で新築で売り出されたものでした(83.7%値下がり)。

・私が2010年7月に、愛知県一宮市で買った築22年ワンルームの価格は191万円。これは1988年に、1230万円で新築で売り出されたものでした(84.5%値下がり)。

 

新築から、わずか15年とか20年で8割以上も値下がり!それを安く買った私はウハウハですが、新築時点で高く買っちゃったオーナーはたまらないだろうな。融資を受けて買ったらなおさら…

ワンルームマンションって、実需の人は買いませんから、中古で売却する時は投資家に売るしかありません。その投資家は利回りで購入判断をします。築が多少経っても、東京都心近くなら6%でも買おうとか、足立葛飾江戸川だと10%必須、愛知の一宮みたいな地方だと12%ないと買わないとか…

でも、ワンルームが新築で売り出される時は、いま都内だと4%を切るような値段で分譲されたりするでしょ?こないだ、品川区で3000万円前後で20㎡程度の新築ワンルームが、サラリーマンに飛ぶように売れたというニュースを見ましたけど、月額家賃が9万として、グロス利回り9万x12÷3000万=3.6%か…こんなの買っちゃって、10年後とかに売ると半値程度になるの当たり前だと私は思うんですけど…

 

こういうの書くと、我ながら気が滅入るので、少し良い話も、シェアします。

数年前、私がサラリーマンだった頃、仲の良い同僚が職場で、「今度、収益物件買うんだけど、見てくれない?」と相談してきたので、一緒にランチしながら資料を見ました。これが、「いかにも新築ワンルーム」なシロモノで、

 

・都内世田谷区の駅徒歩5分

・20㎡いかない新築ワンルーム

・売価2350万円

・想定家賃は月9万円

・信販系の年利2.9%位、35年のフルローン組んで、「自己資金ゼロ」で購入可能

 

添付の収支シミュレーションをみて、私は噴いてしまった…

 

・購入後35年間、全く空室ゼロ、運営経費ゼロ、家賃下落ゼロの想定で、

・年間キャッシュフローが、3~8万円という計算

 

私は申し上げました。「あのねえ、こんなのは資産形成でもなんでもないんだよ。買っちゃうと、お金が出ていくだけ、売りたくたって良い値段で売れないよ。世の中、サラリーマン食い物にして焼け太る業者いっぱいいるけど、君はそんな奴らの養分になりたいの?

私のその一言を聞いて、同僚は購入をやめました。めでたしめでたし。

 

いま思うに、買う前に、「私に相談」という行動をとった同僚の判断が優れていたのだと思います。私と知り合いだったということも含めて、これはある種の才能ですね。

世の中、そういう才能を持たない方が大部分なのでしょう。業者トークに乗せられて、高買いしてしまう人が多いからこそ、資産性のないワンルームが3000万円みたいな価格で流通してしまう。

 

私は、投資家の正義感に燃えるあまり、業者を名指しで非難する…みたいなことはしません。情報収集や判断を含めて、投資は、あくまで自己責任。相場より高い物件を掴まされるのも、自業自得。

私は割高な新築ワンルームなんて買わないけど、日本のどこかに買う人が相当数いるからこそ、経済が回っている部分もある。誰かが損して、誰かが得するゲームのなかで、自分はリテラシーとスキルを高めて利益取りたいよね、同じ考えの投資家とは一緒にやりたいよね、というスタンス。

 

最後に一言。あなたの大事な人が、とっても高い新築ワンルーム買っちゃいそうになったら、私のブログ記事でも読ませてあげてください。有名な、この歌を贈ります。

 

平松愛理「部屋とYシャツと私」

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♪~ロマンスグレーになって 冒険の人生
突然 選びたくなったら
最初に相談してね

 

不動産投資で、「冒険の人生」は選びたくないよね。

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名古屋駅西に魅せられて…

おはようございます。Manachanです。

 

右の写真(スマホでみると上かな?)は、名古屋市中村区、黄金(おうごん)通り界隈で撮った写真です。公園越しに名古屋駅前の高層ビル群がすぐ近くに見えます。駅まで歩いても17分程度の距離。自転車なら5分、本当に近い。

 

これ、不動産投資家からみれば実に「しびれる」風景ですね。この付近の宅地、実は安くて坪40~50万円で取引されているんです。より正確にいうと、名古屋人が「宅地、アパート用地」として認識する30~100坪くらいの区画だと、道路付けにもよりますが坪50万円台、それ以下の狭小地や反対に大きな土地になると坪40万円近辺。

 
周囲はこんな感じの下町住宅地です。名古屋人の間で、中村区界隈は住宅地としての評価が高くないので割安なのですが、でも、「利便性やポテンシャル考えると、この価格は安すぎないか!」というのが、私の率直な感想。
 

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名古屋駅の西側、徒歩3~5分位の場所に、やや寂れた商店街「駅西銀座」があります。昭和テイストの店が多い。
 
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この商店街の入り口付近に、「JR東海事業用地」なる、かなり広い空き地があります。ここが、2027年開通予定リニア名古屋駅」の西側出入口となる予定です。
 

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このリニア名古屋駅から、先ほどの「黄金通りの土地」まではさらに近く、徒歩15分前後になります。リニアが開通すると「東京の品川駅まで最短40分」で結ばれます。つまり、ここは「東京都心から40分で到達できるターミナル駅徒歩圏の土地」になるのです。

 

また、すでにある地下鉄桜通線の始発駅「中村区役所前」からだと歩いて9分程度。名古屋の地下鉄は東山線が有名ですが、桜通線も都心部区間は東山線と平行していて「なにげに便利」な路線なので、なおさら、坪40~50万という地価が、土地の実力からみて過小評価に感じます。

 

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こういう土地、いま買っておけば、少なくともリニア開通までは右肩上がりだろうと私は思います。

 

名古屋市中村区内の商業地は、ここ数年、上昇率で全国上位を占め続けています。駅周辺だけですが、年率10~40%、新興国の首都みたいな、すごい上がり方ですね。

 

〇2014年地価公示 愛知県名古屋市中村区椿町15-2(ミタニビル)  1,960,000円  前年比12.0%上昇 (商業地で全国1位)
 
〇2015年地価公示 愛知県名古屋市中村区椿町15-2(ミタニビル)  2,290,000円  前年比16.3%上昇 (商業地で全国2位)
 
〇同 愛知県名古屋市名駅4-6-23(第三堀内ビル)  6,240,000円  前年比12.5%上昇 (商業地で全国10位)
 
〇2016年地価公示 愛知県名古屋市中村区椿町15-2(ミタニビル)  3,170,000円  前年比38.4%上昇 (商業地で全国3位)
 
〇2016年 愛知県名古屋市名駅2-36-10(第三堀内ビル)  1,550,000円  前年比36.0%上昇 (商業地で全国5位)
 

 

2014~15年の上昇率12.56%(全国1886自治体中19位)
http://www.tochidai.info/aichi/nagoya-nakamura/
2015年、中村区の地価推移グラフ。商業地・住宅地含めた区内41地点中、下落地点ゼロ。
http://chika.m47.jp/2015/1/city-23105.html

 

ただ、データをよく見れば、中村区内の地価上昇が著しいのは今のところ商業地だけで、区内の住宅地は、年1~4%といった穏やかな速度で上昇しています。隆盛する商業地価が住宅地に波及するには時間がかかるのですね。

 

それにしても、商業地と住宅地の地価の差が凄いなあ。徒歩10数分しか離れてないのに。

 
名古屋市中村区椿町1-16(商業地) 325万円/平米 前年比35.98%上昇 

名古屋市中村区二ツ橋町4-32(住宅地) 18.2万円/平米 前年比3.41%上昇

名古屋市中村区角割町3-13-6(住宅地) 14.1万円/平米 前年比0.71%上昇

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名古屋駅西エリア、日本に残された数少ない不動産投資フロンティアかもしれません。今のうち、たくさん仕込んでおきたいです。

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俺みたいな不動産投資はするな!

こんにちはManachanです。いまセミナー講演のため、新幹線で大阪へ向けて移動中。

9/2(金)18:30~20:30 大阪セミナー(ハワイ不動産)
9/3(土)10:30~12:30 東京セミナー(カンボジア不動産)
9/3(土)16:30~18:30 名古屋セミナー(ハワイ不動産)

…という動線なので、新幹線大活躍なのですが、こういう時はJapan Rail Pass使って、旅費をものすごく低く抑えています。外国永住者の特権になりますが、7日間で29,100円、新幹線も特急もほぼ乗り放題という破格値。これを使って、アジア太平洋大家の会の地方セミナーを3回位やる。私が新幹線移動しても、会に請求する旅費が非常に安く済む…「究極のローコスト運営」に大いに役立っています。

 

今回も海外不動産投資ネタでいきます。私はこれまで200回以上の不動産セミナーを国内外各地で開催してきましたが、主催者として、結構困惑するのが、

 

「Manachanはこの物件買ってるの?

Manachanが買うなら俺も買う!

 

…みたいな会話。もちろん、初めての海外不動産投資は不安でいっぱい、判断するの難しいから私みたいな経験者の真似したい、という気持ちは痛いほどよく分かるのですが、それでも、

 

私が買ったかどうかという行動を、皆様の購入判断の基準にして欲しくありません!

 

これだけは、はっきりお伝えしたいです。私は不動産において、「俺も買うからみんなで買おう!」みたいなトークが嫌い。突き放したような話で恐縮ですが、これには2つの理由があります。

 

1)一人ひとりの資産背景やリスク選好は違う。私にとって最善だと思って買った物件が、他の方にとっても最善だとは限らない。

そして、

2)私は「良い子のみなさん真似しないでね」と言いたくなるような、ファンキーな物件を買うこともある。

 

1)は当たり前の話ですね。例えば、海外生活の長い私は、「犬肉のスープ」とか「蒸したカイコ」、「羊のペ〇ス」みたいな変な料理を好んで食べますが、日本在住の皆様が、これらを美味しいと感じて食べることは多分ないと思います。つまり、私にとっての最適解が、他人にとっての最適解とは限らないわけだし、

そして、投資で思うような収益が上がらなかった時、「Manachanを信じて買ったのに、こんなことになるなんて…」みたいな文句を言われても困るのです。誰が何と言おうと、投資は自己責任。あの「寅さん」も言ってたでしょう?

 

俺とお前は別の人間なんだぞ!早え話が、俺がイモ食えばテメエの尻からプッと屁が出るか

torasan

 

2)については、もう少し詳しく話しますね。私は投資家のみならず、「海外不動産のプロモーター、マーケッター」という顔を持つがゆえ、「資産形成」目的以外にも、いろんなかたちで不動産に手を出しております。

 

・私は日々、世界中のいろんな投資案件に参画しませんかと、各方面から声をかけられています。それに「ちょっとお付き合い」するかたちで、海外の物件を買うことがあります。

・海外不動産の共同投資も、いろいろやっています。たとえば、「45万ドル集めたけど、5万ドル足りないからManachan一口買って!」とか、「投資グループのまとめ役がいないから、少しお金出して参画して!」とお願いされることがあり、時々、そういう話に「乗る」こともあります。

 

こういう話、私はブログで発表したりはしないんですが、海外不動産売りたい業者さんが、「Manachanも買ってる物件です」と言っちゃうこともあるし、私も懇親会などの場で、話の流れで言っちゃうこともあるし…

でも、そういう類の投資話は、「投資先の国がすごく好きな数名のグループ」だったり、「特殊なリスクを背負えるファンキーな投資家の集まり」だったりするので、一般にはあまりお勧めできないものなんですよね。私が買ってるからといって、良い子の皆さんは、まぢで、こんなの真似しないで欲しいです。

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それを分かった上で、あえて、どうしても私の真似して買いたいというなら、「日本」と「オーストラリア」だけにしてください。

この2か国に関しては、私も10数年不動産投資続けてきました。無事、出口を迎えたものもいくつかあるし、不動産マーケットを読む方法、勝つ方法論も確立しているので、皆様の自己責任ながら、基本的に真似して買ってOK(その他の国に関しては、正直そこまで自信ないので私の真似は勘弁!)。

 

これって、「売却・利益確定を何度もやってる」から言えることなんですよ。日本国内の不動産投資だって、メンターにするなら「何度も利益確定している人」を選ぶべきでしょう?たまたま融資ひけて、1棟か2棟保有しているだけの人に師事すべきじゃないでしょう?それと同じことです。

さらに言えば、いまの海外不動産投資って、往々にして、「売却・利益確定まで経験したことのない」業者のトークを聞いて、投資家が判断するわけでしょう?その話が投資視点でどれだけ妥当性を持つのか、冷静に考えた方が良いと思いますよ。

「プレゼンのうまさ」や「会社の信用」よりも、「その国の不動産投資におけるトータルな経験」が、投資判断の材料としてより大きな価値を持つと思います。

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先進国利回り5%物件をスルーすべきでない理由

こんにちは、Manachanです。出張先、福岡市のビジネスホテルでブログ書いてます。

私、福岡市で2008年1月から不動産投資をしています。参入して8年半になるわけですね。長年ずっと見ていると、昨今、福岡市周辺での収益物件の利回り低下は顕著ですね。

 

「木造マンションで築浅なら表面6%台でもマシな方」
「RCで良い立地だと、表面4~5%が当たり前」
「郊外ロードサイド店舗でさえ、表面8%台いけば”神”に近い」

 

等々…「ここは東京23区内か?」と思うような低い数字が並びます。いまの福岡は全国の都市のなかでも、かなり利回りの低い(=賃料に対して売買価格が相対的に高い)部類に入るではないでしょうか。

そんな感じで、今やや過熱感のある福岡市マーケットですが、都市の実力と、売買価格と賃料のバランスが取れていれば、低い利回りもそう悪いことではないと私は思います。実際に高い価格でも買ってる客がいるわけですから、それだけ都市や立地の評価が高いともいえるわけです。

 

九州各地から人口が集まり、成長を続ける福岡市。全国的知名度があり、たぶん日本で唯一、「首都圏から移住者を呼び込める百万都市」でもあります。街の評価が高いのは当然でしょう。

ある意味、福岡を数十倍大きくしたのが「東京」で、そこは日本全国からの移住者をひきつける首都…その中心にある銀座、新宿、渋谷、六本木等の収益物件は、今なら利回り3%以下でも買う客はいくらでもいます。吉祥寺を2.5%で買う人もいる位だし・・

利回りの低さは、街の評価の高さ」であることを踏まえた上で、投資家としては、現在・将来の賃貸・売買需要や金利環境や税制を予測しながら、「いま福岡中心部のRCを5%で買うべきか?」という判断をしていくわけです。

 

東京でいうと、不動産におけるトップ立地は「銀座」や「丸の内」。次いで「3A」(赤坂、青山、麻布)、「渋谷~表参道」、「六本木」「虎ノ門」あたりまでは「一等地のなかの一等地」であり、世界的にはニューヨークのセントラルパーク周辺とか、ロンドンのシティ、香港の尖沙咀あたりと並び称される立地。

こういう「世界一流都市の一等地」は、賃貸に出した時の利回りがグロスで2~3%とかが当たり前。東京都心の不動産価格、日本では誰もが高いと思ってますけど、それでも、ロンドンやニューヨークの同等立地に比べて東京はまだ割安感があり、富裕層やファンドがガンガン買ってるわけです。

 

東京でも、新宿とか、さらには池袋まで行くと不動産価格もこなれてくるし、期待利回りも一等地に比べれば多少高まります(例.中古区分マンションで表面4%を切ると、表参道ならすぐ売れるけど池袋では売れない)。さらに、城東城北地区、都下神奈川埼玉千葉と、郊外に出るほど、リスクや出口不安が大きくなり、人々の期待利回りは4%⇒6%⇒8%⇒10%と、上がっていきます。

日本人の投資家なら、同じ首都圏でも「東京都心の利回り5%」と「千葉市の利回り5%」が同じだとは誰も思いませんよね。前者は「割安」だと皆が思ってるけど、後者はどうみたって「割高」で誰も買わない。それは、投資家の購入行動が「実際の利回り」と「エリアの期待利回り」との相対的関係で決まるからです。

 

で、本題に移ります。

「東京の利回り5%と千葉の利回り5%が同じではない」という常識が、なぜか、海外不動産の話になると、通用しない。日本国内の不動産投資で財産を築いた立派な投資家でさえ、いざ海外になると、

「英国の学生寮、利回り9%だから、買おう!」

「オーストラリアのレジ、利回り5%しかないから、スルーしよう!」

みたいな購入行動を平気でとるのです。

 

でも、不動産投資の基本は、世界中どこだって同じ。それぞれの都市、エリア毎に期待利回りが違い、それとの相対的な比較で判断すべき話で、

海外の収益物件が、いま5%で売られているとしても、もしその場所が「東京都心」クラスだったら超割安だし、9%出る物件があるとしても、それが「千葉市」レベルの立地なら「それなり…」の数字ですよね。要は、表面的な利回りだけで購入を判断すべきではない。

 

海外、先進国の大都市内の優良立地でグロス利回り5%回る物件なら、私はかなり割安だと感じますし、お金が増えそうな物件だとも思います。

たとえば、オーストラリア第3の都市ブリスベンで、利回り5%ちょっと回る、邦貨換算3000〜4000万円の物件を、明後日のセミナーでいくつか紹介します。この物件には融資もつけることができ、その条件は今のところ「物件価格の65%、豪ドル、金利4.77%、融資期間25年」です。

物件価格の35%、自己資金を出して買う。すぐ賃貸つけて、その賃料をそのまま返済に回すと、キャッシュフローがトントンか、わずかなプラスになる感じの不動産投資。

 

「海外の銀行で融資組んで、それでキャッシュフローがほとんど出ないんじゃ、意味ないじゃん」と判断する方は、ハッキリ言うと海外不動産投資のリテラシー不足。

オーストラリア不動産投資の醍醐味は、キャッシュフローではありません。「かなり確度の高い値上がり益期待」と、それによる資産拡大効果(B/Sでいう「資産の部」の数字改善)が主要テーマです。

 

  • ブリスベンの人口は、年率2%以上で増えている。同市の人口増加は、少なくとも今後30年以上続く見込み。
  • ブリスベンの平均空室率は2.7%。今回紹介するエリアだと1.5〜1.9%。需要に対する住宅供給不足は、少なくとも今後20年以上続く見込み。
  • ブリスベンの賃貸契約は普通、1年間。契約更新ごとに賃料が数%上げるのが常識。
  • ブリスベンから南へ飛行機で1時間の距離にあるシドニー(同国最大都市)と比べて、ブリスベンの住宅価格は戸建で50%、集合住宅で60%程度。一方で賃料はシドニーの約80%とれる。
  • その結果、シドニー不動産の平均利回りは3.0〜3.9%に対し、ブリスベンは4.4〜5.2%回る。
  • オーストラリアの経済成長率はやや不調とはいえ、人口増加を背景に年率2%は軽くいく。
  • 不動産ローンの金利は、今は4.0%前後。オーストラリア史上、最低水準を更新し続けている。
  • 今回セミナーで紹介する40万〜50万ドルの価格帯は、オーストラリアにおける住宅初回取得者(First home buyers)のボリュームゾーンであり、今なら彼らに対して2万ドル前後の補助金が出る。

 

…これだけの客観条件が揃ってて、今後値上がりしないと想像すること自体が難しいです。

現実的な線でいうと、「いま利回り5%で買って、5〜10年後に利回り4%で売却」でしょうか。仮にいま40万ドルで買って利益確定は7年後としましょう。いくらで売れるでしょう?家賃上昇率、控えめに年率2%と考えて…

 

1) 購入時

売買価格 400,000ドル

年額家賃20,000ドル

表面利回り5.0%

 

2)7年後の売却時

家賃 22,974ドル

表面利回り4.0%

→予想売買価格 574,350ドル

 

40万ドルで買って、57万4350ドルで売れるのなら、値上がり幅17万4350ドルになるわけです。売却コストを無視して、単純に年率換算すると、

 

1)値上がり益の年率

174,350 ÷ 400,000 ÷ 7年 = 6.23%

 

2)保有期間中の家賃収入(購入時価格換算)

購入時  5.00%、売却時 5.74%

→ 保有期間平均  5.37%

1)+ 2) = 11.60%

 

…となる。つまりこれは、値上がりを考慮すると年率11.6%でお金が増える優良投資案件であり、「9%で回る別の海外投資物件よりもさらに効率が良い」可能性が十分あるわけです。

 

ま、実際には取引コストとか金利負担とか節税効果など、いろんな変数を入れてシミュレーションしなければ優劣の判断はできませんが、

私のざっくりした感覚、経験からいうと、「ブリスベンの良い場所で、いま5%で土地つきの戸建やタウンハウス買えるなら、9%回るけど値上がり期待の余りない別案件買うより、もっとお金になる」と思います。

 

余談ですが、今月中旬に、私が視察中に「サプライズ衝動買い」しちゃったメルボルンMoonee Pondsのアパートも、実は頭のなかで同じ計算をしてました。

  • メルボルンの集合住宅平均の利回りは4.0%。これはシドニーより高くブリスベンより低い、「オーストラリア第二の都市」の実力を反映した妥当な数字。
  • でもって、今回内見したMoonee Pondsの物件、「メルボルン都心から6km、電車で4駅10分、駅から徒歩3分の賑やかな商店街の中」という、都市平均より明らかに良い立地なのに、利回りが4.7%出る。これは明らかに割安な買い物。

….だと判断して即買いしました。

 

1ベッドルームを397,800ドルで予約して、再来年の完成予定。これ、4.7%で買って、5〜7年後に3.7%で売れるならば、

売却時予想価格(家賃上昇なし)    397,800 × 4.7% ÷ 3.7% = 505,313ドル

売却時予想価格(家賃上昇2%/年) 397,800 x 1.02の7乗 ÷ 3.7 = 580,446 ドル

想定売却益  107,513〜182,446ドル

 

…ですので私は、この物件が50万ドル以上になれば売るつもりです。メルボルン都心近くの好立地で、「4.7%が3.7%になるのは簡単」と思いますが、さらに欲をかいて「3.7%が2.7%になることを期待するのは、メルボルンの実力を考えると難しい」と考えるからです。いや、今のシドニーみたいにバブれば、メルボルンでも2.7%はありうるでしょうが、非合理的な価格形成がされるマーケットでの売り抜けは、私の得意とするところではないし、

それよりも、「ブリスベンやメルボルンの都心近くで5%近く回れば割安だから買う、4%切れば売って利益確定」みたいな、不動産投資家として常識的な感覚を持ち続けたいと思います。

 

業務連絡) 8/31 13:00現在

9/1 ブリスベン&ゴールドコースト不動産購入相談会@東京半蔵門、あと2席ご案内できます。申込リンクはこちら(先着2名で締め切りますが、間に合わない場合は後日個別相談に応じます)。

http://goo.gl/o9jfTB

 

私の買ってるメルボルンのマンション、1ベッドルームが一室だけ40万ドル以下で残っています。購入検討したい方は私にメールを下さい(こちらは先着1名で締め切ります、売り切れてたらゴメンなさい)。

mana33chan@gmail.com

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動くオージー、動かない日本人(?)

おはようございます、Manachanです。いまシドニー郊外の友人宅に滞在中。

昨日、シドニーでの「世界の不動産セミナー」は、とても良かったです。メディア広告なし、わずか一週間前からのメルマガ、FBでの告知だけだったにもかかわらず、9名の方にお集まりいただきました。セミナーの後、The Rocksの日本料理屋でオフ会やりましたが、主催者含めて7名、楽しく盛り上がりました。

セミナーご来場の方、オーガナイズしていただいた鶴さん、講師として熱いトークで盛り上げてくれた市川さん、ありがとうございました。

 

ところで、昨日のセミナーに来ていただいた方は全員日本人でシドニー在住、オーストラリア永住権を取り、英語と専門知識を駆使して、それぞれの職業分野で頑張っておられます。頼もしいですね。でもって、来場者の半分近くが、

 

クイーンズランド州(ブリスベン、ゴールドコースト)での投資・移住に興味がある。

 

と、答えていたのがとても印象的でした。

オーストラリア人や、この国の永住者は、「シドニーの住宅価格が高くなったから、まだ安いブリスベンに家族で移住する」といった行動を、比較的躊躇なく行います。それも、人口統計にはっきり現れる位、大量の人間が移動するため、産業や不動産市場にも大きな影響を及ぼします。

たとえば、「シドニーで土地付き4ベッドルームの家を買うのはもう無理だけど、ブリスベンなら可能、だから引っ越す」という行動を、個人も企業も平気で取るし、いまブリスベン・ゴールドコーストの人口が増えているのは、シドニー圏からの移住が寄与している面もあります。

Interstate Migrationをみると、シドニーのあるNSW州は一貫して転出超過、ブリスベン・ゴールドコーストを擁するQLD州は一貫して転入超過になっていますね。

 

で、これと同じ現象が、日本でも起こるのだろうか…と考えてみる。たとえば、

 

東京に住む人間が、住居費や生活コストの比較的安い名古屋、福岡、札幌といった都市に大量に移動するのか?

 

というと、なかなか難しいような気がします。上にあげた3都市のなかでは、福岡市が比較的、外来者にオープンなイメージがあり、首都圏からの移住者も多少はいるのでしょうが、人口統計をみる限り、「福岡⇒首都圏」への移動の方が明らかに多い(その代わり、九州各地から福岡市に移住する人間がもっと多いので、それで同市の人口が増えてるわけですが…)。

日本では、「地方の農村・中小都市⇒地方中核都市」、「地方中核都市⇒首都圏」といった、都市に向けての人口移動が主流で、その逆の動きは、一般論として起こりにくい。それは何故なんだろう?

 

1)日本人は土着性が強く、家族や地域のしがらみがあるからなのか?

2)日本では不動産の価値が下がるから、他地域に引っ越して当面生活する費用を捻出するのが難しいからなのか?

3)圧倒的に、首都圏に雇用機会が集中しているからなのか?

 

等々…様々な理由があるのでしょうが、現時点の日本では「東京から地方への人口移動」による不動産価格や産業の移動が、オーストラリア等と比べて起こりにくい状況だとは思います。

(もっとも、一棟アパートやワンルーム等、投資不動産マーケットでは、東京の人が地方都市に積極的に投資するし、融資もガンガン出るから、東京の値上がりは地方に波及しますけどね…実需マーケットだと人口が移動しないと変化は起こらないでしょう。)

近い将来、団塊世代が大量にリタイア、老齢になって、「介護・医療難民」として地方に流出するなら状況も変わってくるのでしょうが、果たしてどうなるのでしょうね?

 

では、同じ首都圏内の人口移動は、これからどうなっていくのか?…と考えてみる。

東京23区でも都下でも、神奈川、埼玉、千葉の東京寄りでも、同じ「東京の雇用機会」にアクセスできる状況下で、今後、人々はどこからどこへ、移動していくのか?たとえばの話、

 

・東京都心に生まれ育った人が、より広い土地と安い住宅価格を求めて郊外に出るのか?

・郊外で生まれ育った人が、より便利でトレンディな暮らしを求めて都心を目指すのか?

 

もし、上記のシナリオで人々が動くなら、将来の東京・首都圏の人口・社会構造、産業、不動産市場にも大きな影響を及ぼすでしょう。極めて興味深い。

まず、人々の動きに影響を与える要因を考えなければなりません。交通体系、雇用機会、教育・医療サービスへのアクセス、結婚・就業などライフスタイルの変化、不動産価格、人々の価値観…等々。

将来、どうなるか分かりませんが、現時点で考えると、

 

・東京都心近くで生まれ育った人は、たぶん、郊外に出たがらないだろうな。結婚して家庭を持っても、都心からできるだけ近くて、かつ家が買えるエリア(例.江東区、墨田区、台東区など)を目指すだろうな。

・郊外で生まれ育った人で、都心に住みたい人は結構多いけど、それができる経済背景の人は多くないし、結局、多くは地元で所帯を持つか、あるいは同じ沿線でちょっと都心寄りの街を目指すだろうな(例.埼玉県の大宮以遠の人が大宮か浦和に住むとか)。

 

私は東京郊外30㎞圏、千葉県柏市の出身で、今は都内江東区に住んでいます。生まれ育った柏は大好きだけど、でも土着性が全くない人なので、地方都市や、遠く海外まで、平気で引っ越しする。今住んでる場所も、結局は「仮住まい」感覚。でも、柏出身者のなかで、私みたいな人はたぶん多くない。

柏エリアで育った、私の同世代の知り合いが、いまどうしているか、感覚的にいうと、

・7割以上は、柏エリアに住み続けている。
・約1割は、都内に住んでいる。
・約1割は、首都圏の他地域(千葉市とか神奈川県)に住んでいる。
・首都圏を離れた人は、1割もいない。

 

横浜とか、さいたま市とか、都下の立川・八王子などの出身者でも、たぶん状況は柏と似たようなものかと思います。地元から東京に通えて家が買えるのなら、やはり、多くの人が実家から遠からぬ場所に住むのでしょう。

逆に都心近くに育った人は、たぶん郊外に出ない。であれば、都心近くて住居コストが比較的安い城東下町方面が、これからホットであり続けるのだろうなと愚考します。

 

そう考えると、東京を取り巻く産業・雇用などの諸条件が変わらない限り、首都圏の不動産市場は、鉄道駅や都心への時間距離を中心に決まるんだろうなと思います。でもこれは極めて興味深いテーマで、一生追求し続けたいです。

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ブラジルと傷だらけのオリンピック

こんにちはManachanです。いまオーストラリア出張中で、ケアンズからゴールドコーストまで飛んできたところです。

一昨日から、リオのオリンピック始まりましたね。ここオーストラリアも日本と同様、連日のメダルラッシュで盛り上がっています。オリンピック開会式のセレモニーは、オーストラリアのTVで見ましたが、とてもクリエイティブで良かったです。ブラジルならではのユニークな発想に溢れてましたね。

一方、運営面や環境・治安に関しては、各国で極めて評判悪いですね。選手村でトイレの蓋がないとか、他人の排泄物が逆流してきたとか、オリンピック会場に行く地下鉄が直前になっても開通しないとか、選手村付近で発砲事件があったとか、強盗に拳銃で脅されてスマホ盗られたとか…あと、下水垂れ流し、投棄されたソファや水死体まで浮かぶ汚い海がセーリング競技場になっていることも問題視されるなど、日本など先進国では「ありえない」レベルの問題が続出しているのも、今回のオリンピックの特徴といえましょう。

リオのオリンピックは、南米大陸で初の開催。南米のなかで、面積・人口とも飛び抜けて大きな国ブラジルが、その栄誉を手にしたわけですが、いま同国は、100年に一度といわれる深刻な経済不況に苦しんでいます。多くの国民が失業・貧困にあえぐなか、「身の丈にあわない」大金をつぎ込んでの開催になりました。公務員や警察官、工事現場のワーカーへの給料が遅配・欠配になるほど酷い状況らしく、それでは各方面で綻びが出るのも無理はないでしょうね。

リオ・デ・ジャネイロは2009年の選考会で、マドリードや東京を破って開催都市の座を射止めました。当時のブラジルは経済好調、「21世紀の経済大国」として、前途洋々にみえましたが、2013年の逆オイルショックで資源価格が暴落し、ブラジル経済はにわかに暗転します。国を率いるリーダーにも恵まれず、その後数年は巨大汚職や治安悪化など、不運続き。通貨レアルは暴落中で、経済成長率は昨年も今年もマイナス2~4%になると予測されています。

日本も景気よくないですが、ブラジルのように、人口が大きく増えている国でマイナス成長が続くのはもっとつらいでしょうね。養うべき人口が多い状況なのに仕事がない。可処分所得がどんどん下がる上に、通貨も暴落してるから輸入物価は上がりインフレが止まらない。生活苦ゆえ犯罪に走る者も増え、有能な人ほど国を出て海外に活路を求める…

ここまで厳しい状況下でのオリンピック開催は、「史上初めて」ともいわれます。まさに傷だらけのオリンピック。リオ現地もIOCも、運営側は「綱渡り」の日々でしょうね。

ところで私にとって、ブラジルは結構身近な国です。ここオーストラリアはもちろん、日本でも、北関東や東海地方の工業都市では、ブラジル出身者が相当数暮らし、地元在住の皆様には彼らはそれなりに身近な存在かと思います。

私は1997~98年にかけて、群馬県の館林に住んでいました。館林には工場で働くブラジル出身者が少なからず暮らしていましたが、隣の「(邑楽郡)大泉町」や「太田市」に行くとさらに多く、街の一角が「ブラジル・タウン」と化していました。

特に大泉町は、町の人口の1割以上がブラジル出身者。国道354号バイパスにほど近い「ブラジリアンプラザ」を中心とした一角が、在住ブラジル人たちの憩いの場となっており(地元の日本人がほとんど居ない!)、プラザの周りには、ブラジル人御用達の食材店やレストランが軒を並べていました。近くにはクラブもあり、夜12時頃からブラジル人が三々五々集まって、テンポの良い曲をガンガンかけて夜通し踊り明かす場所もありました。

当時、まだ20代の私は、館林の田舎暮らしを退屈に感じ、エネルギーを持て余していたので、金曜日の仕事がひけた後、毎週のように大泉のクラブに行き、ブラジル人たちと共に踊り明かしたりしたものです。
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北関東の工業都市にブラジル出身者が住み着いたのは、1990年頃のこと。彼らのルーツは、明治大正期に日本から移民した人々です。その2世、3世が、戸籍を根拠に、日本への在留就労許可を与えられ、当時国情が不安定だったブラジルを後にして、大挙して地球の反対側・日本へDekasegui(出稼ぎ)にやって来ました。

彼らの多くは、(日系移民が集中する)サンパウロ周辺の出身。日系とはいえ2世、3世ともなると、地元の白人や黒人と混血して、日本人っぽく見えない人も少なからずいました。彼らの日本語能力も様々で、ペラペラの人もいれば、日常会話にも苦労する人もいました。概してポルトガル語でないと意思疎通が困難なケースが多く、大泉や太田の役所ではポルトガル語ができる臨時職員を急遽雇ったりしたものです。

当時の私は、ブラジル料理を食べに、ブラジリアンプラザに足しげく通いました。そこにはブラジル出身者向けの掲示板があり、「サンパウロの不動産物件情報」がたくさん載っていました。邦貨換算1000万円程度の家が多く、日本でお金を貯めて、故郷サンパウロに帰って、より良いエリアで良い家に住みたいという、出稼ぎ者の意気込みを感じました。

そんな大泉でも、歳月は流れます。2005年頃からブラジル経済が好転すると、出稼ぎに出る者が減り、リーマンショック後になると日本の工場で雇い止め等が頻発し、仕事のなくなった彼らの多くはブラジルに帰っていきました。

時を同じくして、大泉プラザの不動産広告から「サンパウロ物件」が姿を消し、今ではほとんど、「群馬県太田市や伊勢崎市の、1800万円くらいの戸建住宅の広告」ばかりになっています。

1990年代に日本に出稼ぎにやってきた者も、今ではブラジルに帰った者と、そのまま日本に定着する者に二極分化してきたのでしょう。「ポルトガル語で書かれた、群馬県内の戸建住宅の広告」には、日本に家族で住み続けることを選択した彼らの意思が見てとれます。

群馬県に住む、ブラジル出身の友人の言葉がとても印象に残っています。「母国は不安定、私は子供の将来のために日本に住み続けたいんだ」と。

そしていま、ブラジルの国情が再び、不安定になっています。レアルの暴落で、2015年に国民平均のGDPは米ドル換算で「4桁」に落ち込み(8688ドル)、日本と約5倍の差になっています。日本の工場労働で得られる賃金が、レアル換算すると結構な大金になる時代を再び迎えています。

群馬県の大泉町や太田市、栃木県の小山市、静岡県の浜松市、愛知県の豊田市、岐阜県の美濃加茂市…といった工業都市で、ブラジル出身者の数がまた増える時代を迎えるのかもしれません。これらの地域で賃貸経営する方は、外国人OKの賃貸住宅でブルーオーシャンを狙えるのかもしれませんね。
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業者が「穴場」を教えてくれない理由

こんばんはManachanです。今回、ブログのテーマは「不動産投資を穴場をどうやってみつけるか?」

今日は朝から、千葉県の柏駅で商談がありました。そのついでに、私が20代の頃マイホームとして中古で買い、2011年に売却した3LDKのマンションを見に行きました。

この家は、柏駅から徒歩5分の場所にあります。11年間貸し続けて、ほとんど空かず、家賃を稼ぎ続けた孝行息子でした。売りに出した時も数日で売れました。「この駅近のマンション、どうしても住みたかったんです。ありがとうございます!」と言ってキャッシュ買いしてくれたご家族が、今でも住んでいます。

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私は柏の出身で、柏駅の力をよく知っています。駅周辺に商業施設が集まり、電車も便利で東京駅まで直通30分強。柏駅から徒歩10~15分離れた一戸建てに住んでて、「もっと駅の近くに住みたい」と願い、駅5分圏内のマンションが中古で出るのを、今か今かと待ってる人がいくらでもいます。

私、それを知ってるので、「柏駅徒歩5分」という立地には、オーナーとして、ものすごい安心感を感じています。下手な都内の駅より強いのではないかと…その点は、同じ千葉県内のターミナル駅である、船橋駅や津田沼駅、千葉駅などでも、徒歩5分圏内は同じく、極めて強い立地と思います。

 

 

ところで、いま外国人の日本不動産買いが時々話題になってますが、近隣アジア圏の投資家が、柏や船橋の駅近物件を買うかといえば・・私の知る限り、そんな動きはほぼ皆無。

現時点では、物色対象が極端に「東京の都心5区」に限られます。その理由は、彼らの母国語で読める不動産情報が「都心5区」以外極めて少なく、それ以外の地域に知識が及んでいないからです。

「都心5区」(頑張っても「都心9区」)なら探すけど、それ以外はよく分からないからパス・・というのが、大方の投資家の態度であり、その基準でいけば、船橋や柏の駅前も東京都じゃないからパス、ということになります。

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首都圏の人口動態や不動産市場に関して、もっと理解が進めば、「東京都じゃなくても、都心30km圏、国道16号線の内側なら実質、東京みたいなもんだからOK」ということになります。たとえば、西日本系の金融機関が、東京・首都圏の物件に融資を出す時、よく判断の目安になるのが「16号線ライン」です。この外側だと、人口減少や空室懸念があるからNGだけど、内側ならOK…という考え方。この目安でいえば、船橋や柏も、なんとか検討範囲に入ってきます。

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私、16号線の外側だからダメとは思いませんが…それでも、「都心5区オンリー」と「16号線の内側までOK」とでは、投資のストライクゾーンが断然違うことは、論を待ちません。

私、どの国、どの都市で不動産買うにせよ、最低、「16号線までOK」程度のストライクゾーンを設定して、賢く穴場をみつけて買い進めていきたいと考えます。それには、「現地不動産マーケットの学習」が欠かせません。

 

自分で学習せずに、日系業者の物件紹介に頼った場合、たいてい、その国における「都心5区」みたいな狭い範囲の物件しか紹介してくれません。たとえばの話、

・バンコクの日系業者は、スクンビット地区の物件ばっかり紹介してくるでしょ?

・マニラの日系業者は、マカティやボニファシオ・グローバルシティの物件ばっかり紹介してくるでしょ?

・クアラルンプールの日系業者は、KLCC、ブキビンタン、モントキアラあたりの物件ばっかり紹介してくるでしょ?

 

別にこれは、海外に限った話ではなくて、日本の東京物件を外国人向けに紹介する業者も、大抵は「都心エリア偏重」になります。それには、いろんな理由があって、

・都心物件だと、鉄板なイメージがあって、バイヤーにも受け入れられやすい。

・都心物件だと、値が張るので仲介手数料も取りやすい。

・都心物件だと、行くのも便利で、管理がしやすい。

等々…

 

そういう業者側の都合もあるため、「(柏や船橋の駅前みたいな)都心をちょっと外した、不動産投資の穴場的なエリア」の物件は、なかなか紹介してくれないのです。基本、自分で調べて探さねばなりません。

 

でも、どんな調べ方があるのか…たとえば、私が企画する、ASEAN各都市の有料セミナー(不動産アカデミー)に出てみるのも、コスパの高い方法かと思います。たとえば、昨年11月から今年2月にかけて開催した「バンコク不動産アカデミー」からの引用、

 

バンコク都心をちょっと北側に離れた「ラチャダー地区」は、物件価格安い割に賃料がとれて、利回りが高い。こりゃ穴場かも…

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BTSスクンビット沿線、サイアム駅から北へ1~2駅、「ラチャテウィー」と「パヤータイ」両駅は、上記と同じ理由で賃貸利回りが高く、穴場チック…

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あと、BTSシーロム沿線では、「チョンノンシー」駅の賃貸経営パフォーマンスが飛びぬけて高い…等々、探せば結構あります。物件価格高止まりのイメージのあるバンコクにも、投資妙味のあるエリアはたくさんある。

 

バンコクで営業する日系業者が、「ラチャダー」とか「チョンノンシー」、「ラチャテウィー」あたりの物件を紹介してくる可能性は極めて低いので、私、自分で探したんです。タイ語を学んで、バンコク市内の50駅近くの駅前全部歩きまわって、データ分析しまくって、探した。

海の向こうでそういう作業をやるのは、多くの人にとって現実的ではないので、私は日本の投資家のために、ASEANのいろんな街を調べて、歩いて、投資の穴場をたくさん発掘してきます。「バンコクの柏駅前」、「ホーチミンの船橋駅前」みたいな場所を探し求めて、皆様に紹介します。

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「日本」を必要とする中国富裕層

こんんいちは、Manachanです。3泊4日の中国・北京出張から戻ってきました。

北京は、素晴らしかったです。特に、お金もツテも乏しいなか、「誰よりも早く、北京マーケットに乗り込んで第一人者になりたい」という趣旨で実施した「日本不動産・移住セミナー」。蓋をあけてみれば20名を超える集客があり、

・大連勤務時代の同僚が、大連から飛んできてくれた
・台湾人向け日本不動産販売事業のパートナーが、台北から飛んできてくれた
・日本の職場の元同僚で、北京で結婚したばかりの男が、奥さん連れてきてくれた
・Manachanメルマガ読者で北京在住の方と、出発直前に会うことができた

多士済々、いろんな仲間が、北京に集まり、意外な旧交を温めることができました。

 

セミナーに来てくれた北京の方々の反応も素晴らしかったです。皆、不動産投資や移住を含めて日本の情報を心の底から欲していました。日本には旅行で行ったことがあり、日本の良さを十分理解し、そして日本で5000万~1億円程度の収益不動産を買うお金もある。でも情報が全然ないので何も行動できてない…という方々ばかり。今回、私たちが日本から持ち込んだ情報は、まさに、彼らのニーズに合うものでした。

これを成果につなげていくためには、何度も、北京でセミナーを続けて、ファンを増やしていかなければなりません。近いうちに北京でセミナー第二弾を企画したい。もう、いつでも来たいです。人いいし、メシうまいし、北京大好き!

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北京に来て感じたことは、「皆さん、とっても親日的」ということ…つい数年前は、日中間に難しい政治的な問題があり「反日」の雰囲気も少なからずありましたが、今や潮目が変わった感があります。すでに年間500万人の中国人が旅行で来日する時代。日本の清潔さ、サービスの良さ、高品質な商品、人々の誠実さ、空気の良さ、食品や水の安全さを目の当たりにした彼らが、国に帰って仲間に「日本はとても良い国だよ」と伝えることで、さらに来日旅行者や予備軍が増える。日本の名のついたあらゆるものが肯定的なイメージで語られる…という時代に。

百聞は一見に如かず。この親日な雰囲気、北京現地に来てみないと分からないです。日本のマスメディアの情報ばっかりみて「中国人は反日」と思い込んでる日本人多いし、「中国には絶対行かない」という日本人経営者も多いですが、実態は富裕層はもちろん、一般民衆レベルでも日本のファンがどんどん増えており、台湾人や香港人の親日度に急速に迫りつつある実感です。

 

中国人、特に富裕層がなぜ親日になるのか?…「中国がこれから進もうとする先に、日本の存在がある」からだと思います。

いまの中国人が日本に対して抱くイメージは、バブル期の日本人が欧米に対して抱いていたイメージと通じるものがあります。当時の日本人は、「我々は物質的には欧米以上に豊かに便利になったけど、生活の豊かさを実感できない」、「長時間、身を粉にして働いてもウサギ小屋みたいなマイホームしか買えない」、「そこへ行くと、欧米人はゆったりした家に住み、家族の時間を大事に、心豊かに暮らしている」、「欧米の生活の豊かさに見習いたい」と…

 

一方、いまの中国、特に都市部富裕層の暮らしはどうでしょう?10年以上前に北京や上海で不動産を買うチャンスに恵まれた人々は、その価値が軒並み10倍になり、資産総額では欧米や日本を軽く凌駕しています。今や北京はビリオネア(億万長者)の数がニューヨークを超えたという話もあります。そして物質的な面でも、いま中国の大都市では大型百貨店やSCが山ほどあり、お金で買えないものはほぼありません。

豊かになった彼らがいま望むものは、より高いレベルの消費とライフスタイル。例えば、高品質で安心できる水と食べ物、至れり尽くせり、かゆいところまで手の届くサービス、きれいに整備された環境で、洗練された文化に触れ、そのなかで子供を育てること…等々。

しかし、今の中国都市部では、お金をどんなに積んでも、きれいな空気を吸うことはできません。安心できる水や食べ物を求めようとすると、ものすごく高価になります。高級住宅地を一歩出ると道はデコボコ、商店はニセモノまがい物の溢れる世界。同じ中国人に騙されたりボッタクられることも多く、安心できない日々が続く。

「ここまで一生懸命働いて、見事に経済発展したのに、その結果、我々が手にしたものって、一体何だったのだろう?」と思うのは自明の理。でもって、彼らが求める「キレイで安心できる文化的な環境」は、「出国」しないと手に入りません。アメリカ、イギリス、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、日本…「より良い国に移住したい」、彼らの熱望は留まるところを知りません。

 

4月14~17日にかけて行われた、「北京春季房展会」(不動産見本市)の様子。人気ブースの多くは海外物件を扱う業者で占められていました。

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その文脈のなかで、北京上海からわずか3時間で行ける隣国「日本」に熱い眼差しが向けられています。なぜなら日本は、彼らが渇望する「高品質で安心できる水と食べ物、至れり尽くせり、かゆいところまで手の届くサービス、きれいに整備された環境で、洗練された文化に触れられる環境」が一通り揃う、中国から一番近い先進国だからです。

「近さ」に加えて、「同じ漢字文化圏」、「同じアジア黄色人種の国」、「食べ物もライフスタイルもだいたい似ている」といった親近感も、ブームに拍車をかけています。

 

中国にそこまで「日本を求める」ニーズがあって、その規模も巨大なのにも関わらず、こと「不動産」や「移住」に関して、日本のビジネス界の反応はまだまだ鈍く、少なくとも北京に関しては、

 

「ここ1〜2年ほどで、アメリカ、オーストラリア等、欧米の不動産・移住の情報はすごく増えたけど、日本の情報がまだほとんどない」

「欧米も大事だけど、今はとにかく、日本の情報が欲しいんだ」

 

といった声を、複数の方々から、異口同音に聞きました。逆にいえば、ものすごいビジネスチャンスだと思います。いま果敢に行動して北京のマーケットに入り込んでいけば、ビッグビジネスを我が手にできるかもしれません。

「日本不動産」、「日本移住」という切り口で、いまリスクをとって、いち早く北京に入っていきたい企業様。北京の状況について情報交換したい方は、私までご連絡いただけると幸いです。

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不動産は情報で売る!

こんにちは、Manachanです。

私は2013年2月に、「ロックアウト解雇」という劇的なかたちでサラリーマン渡世に別れを告げました。その後しばらく、失業保険で露命をつなぎつつ、「不動産仲介業者」という第二の人生を歩み出しました。東京・五反田にささやかな事務所を構えたのが2013年12月、宅建業者登録をしたのが翌14年1月のこと。

独立当初は本当に、お金がありませんでした。所謂「カードローン起業」というやつで、サラリーマン時代につくったカードローンの融資枠を使って、ちょびちょび引き出しながら、仲介手数料が入る日を夢見て、頑張る日々。区役所や公庫の創業融資にもチャレンジしましたけど、結局、資金の振り込みは起業の1年近く後だったし…

14年1月に独立して、最初に決めた仲介が3月末、その後4月5月6月と、全く、成約から遠ざかり、カードローン枠もほぼ使い切りつつある頃、「このまま仕事決まらないと、まじでやばい」と思った私を土壇場で救ったのは、長年のブロガー経験で身につけた「文章力」でした。

当時、是が非でも決めたかったのが、千葉県柏市若葉町、74坪土地の仲介。アパート建売業者の買い希望額と売主の期待値と900万近いの差があり、平行線、このままではまとまらない。でも売主はとうの昔に残債を払い切っており、いくらで売っても生活には困らない。要は売る気にさせれば良い…そこで考えたのが、「手紙作戦」でした。

私は心を込めて、こんな手紙をしたためました。

 

私は先日、土地の購入申込をさせていただきました、不動産仲介業者の鈴木と申します。

私、生まれも育ちも柏です。東1丁目に住み、柏三小に通っていたので、若葉町界隈のことは、自分の裏庭のようによく知っています。

私は昨年まで都内勤めのサラリーマンをしており、副業として、不動産投資を行っていました。これまで賃貸アパートを2棟建てましたが、2棟とも、九州・福岡市の三和エステート社という、建売業者に建てていただきました。

福岡市は賃貸住宅の激戦区。業者間の競争も激しく、各社とも知恵をしぼって、入居者に支持されるアパートの間取り・デザインを考え抜く土地柄。私自身は福岡で、三和エステート社の賃貸住宅のデザインをみて、衝撃を受けました。

単身住宅ながら4m近い天井高があり、空間を上手に使って、広く快適に見せる工夫、女性入居者が1階でも安全に暮らせる工夫、巨大な床下収納スペースを設け、モノが増えてもずっと住み続けられる工夫・・・まさに知恵の結晶。福岡で生まれ、東京では誰も見たことのない素敵な住宅。

「この住宅を、私の生まれ故郷・東葛地区で建ててみたい」と思った私は、昨年、松戸市で土地を仕入れ、6戸のアパート建てました。首都圏で三和エステート社のアパートを建てたのは、私が初めてです。

ほぼ同じ時期、不本意ながら、私は勤め先会社をリストラされてしまいました。一家4人を食べさせていくために、私は不動産業者となり、都内で開業しました。

いま私は、東葛地域で、三和エステート社の賃貸住宅を建てるための土地仕入れを、業として行っています。若葉町の土地は、8戸のアパートの建設用地として、収支計算をした上で、2900万円で買い付けを入れさせていただきました、

大幅な値引きになるのはもちろん承知しておりましたが、74坪の土地は40坪2区画に分割するには狭すぎ、かといって、そのままの区画で建てると8戸しか入らない(8戸を超えると柏市では駐車場附置が義務づけられるので、戸数を増やせないのです)。

2900万円以上出せないと、回答してきた買主様に対し、私は、「若葉町は柏市内でも有数の良質住宅地で土地柄が良い。是非ここで建てたいので、もう少し頑張って欲しい」と依頼し、若干の手数料調整を経て、3000万円で再買い付けを入れました。正直、お値段的にはこれが限界です。

古家撤去、および残地物撤去は、買主様の負担でやっていただくことで、了承を得ました。ご迷惑かけませんので、是非とも、3000万円で契約させていただけませんでしょうか?

生まれ故郷の柏に、良質な賃貸住宅を増やしたい。その一念で日々、精一杯仕事をしております。私の気持ち、ご理解いただき、是非とも良いご縁を賜りますよう、お願いしたいと思います。

結局、この手紙作戦が功を奏し、私は7月、晴れて仲介手数料を手にして、ピンチを脱出!とりあえず一息ついたのでした♪

 

最近でも、こんなことがありました。台湾人の投資家に、首都圏の収益戸建を紹介していたときのこと…

・埼玉県春日部市の戸建に、340万円で買付を出していただいたが、タッチの差で、他のバイヤーに買われてしまった。

・ちょうど同じような価格帯・家賃帯の戸建が、千葉県茂原市で出たので、「320万円で買えます」と紹介したが、茂原という場所が都内から遠すぎて、全然イメージできないという理由で敬遠されていた。

 

この話、どうやってまとめようか…東陽町のカフェ・ヴェローチェで思案していたところ、ふと思い浮かんだのは、2年近く前に、私を生活苦ピンチから救った「手紙作戦」でした。

「そうだ!あれと同じことを、台湾人に対してやればいいんだ」と思い、日本語の手紙ならぬ「中国語のメール」をスマホでタイプして、買側の仲介に送りました。

 

「茂原戸建的亮点」・・・以投資人的角度來看,我自己覺得千葉縣茂原市的房子更好。
 
– 茂原市雖然離東京的距離遠一些,但它是生活機能齊全的小城市,擁有自己的產業,商圈,教育,醫療機關等等。該物件是在茂原市的中心。離開火車站,AEON Mall商場,小學,醫院都很近。而且正好在Japan Display公司的研發式旗艦工廠的前面,有大規模的雇用機會。這裡算是人家嚮往的地方之一。另外,茂原火車站有特快車直達東京,僅60分的車程。
  
-讓我比喻一下,在台灣的話,茂原市的那房子有點像中壢的市中心的房子。
 
 (茂原市戸建のハイライト…投資家の見方でいうと、千葉県茂原市の戸建はとても良いと思います。茂原市は東京から多少の距離がありますが、生活機能が一通り揃った地方都市。産業があって、商業施設、教育・医療施設が一通り揃っています。この物件は茂原市の中心にあり、鉄道駅、イオンモール、小学校、病院へのアクセスも良い。そして、すぐそばにジャパンディスプレイ社の基幹工場、研究開発拠点があり、雇用機会へのアクセスも十分。地元では皆が住みたがる場所です。そして、茂原駅は東京へ鉄道直通しており、特急列車で60分で着きます。台湾にたとえていえば、茂原市の戸建は、台北から多少の距離がある自立型都市・中壢市の中心部にある住宅に相当するかと思います。)

 

「手紙作戦」ならぬ、「中国語メール作戦」で決めた売買…昨日、契約決済を済ませてきました♪

 

 つまるところ、不動産、特に投資用不動産の売買 は、「情報産業」だと思います。買い手が数字で判断する投資家なので、彼らにいかにして適切なタイミングで必要十分な内容とクオリティのある情報を届けられるか…それで勝負が決まってしまう。つまり、投資家向けに適切な情報をつくれる人、発信できる人が勝者になるのです。

 

特に国境を超える不動産取引になると、「情報が、新しいマーケットを創出する」原動力になります。例えばの話、千葉県茂原市周辺には、数百万で買えて、年10%以上で回る収益戸建がたくさんありますが、買い手がこの地域をイメージするのが難しい。私は千葉県出身ですが、同じ県内でも茂原なんて行く機会もなければ、知識もほとんどない。西日本出身者や外国人なら尚更でしょう。

 

だからこそ、買い手のニーズにあわせたかたちで、「茂原」の情報をつくって、タイムリーに届けてあげる…そのことで、「台湾人が千葉県茂原の戸建を買う」という、これまでになかった取引・経済的価値が実現するのです。まさに情報産業そのものですね。

 

 最後に、「茨城県鉾田市の戸建も台湾人に売って欲しい」という依頼を受けたので、先ほど、こんな文章を書いて送りました。

 

日本茨城県鉾田市(Hokota City),距離東京90公里,是個富裕的農村。最出名的當地名牌農產是哈密瓜,產量躍居日本第一名。鉾田市的農業總產值539億日元,是全日本排第五。幸好它的位置離東京不遠,它的產業結構以高價值的農產品為主。這裡的田地除了當地農民以外,也有不少來自中國越南泰國的青年來工作。因此住宿需求也可觀的。
 
鉾田市並不偏遠,離成田國際機場60-70分鐘,離茨城機場30-40分鐘的車程。從東京車站有直達高速巴士到鉾田市,每天有6班。鉾田市本身有5萬人口,有5家銀行(分行),3所高中,4個超市,以及大商場Across mall。
 
用台灣的比喻,鉾田市是幾乎等於,台中市的大甲,清水,沙鹿等地吧。因為這些地方靠近大海,離大城市不遠,農業發達而生活水平不錯的小鎮,有很多與鉾田市共同之處。

(茨城県鉾田市は、東京から90キロ離れた、経済的に豊かな農村です。ここの名産はメロンで、生産量は日本一。鉾田市の農業生産額は539億円で、日本の全市町村のなかで堂々の5位。高度消費地・東京から近いおかげで、高付加価値のブランド農産物中心の産業構造になっています。ここの農業は地元農家のほか、中国、ベトナム、タイなどから来た研修生によって支えられており、住宅需要も堅いといえます。鉾田市は辺鄙な場所でありません。成田空港から車で1時間余り、茨城空港からだと30~40分です。東京駅から直通の高速バスも出ており、1日6便運航しています。鉾田市の人口は約5万人で、銀行の支店が5つ、高校3つ、スーパー4つある他、アクロスモールというショッピングセンターがあります。台湾にたとえていえば、台中市の大甲,清水,沙鹿あたりに相当する場所かと思います。海に近く、大都市からも遠くなく、農業が発達して生活も豊か、というところが似ています。) 
 

 こんな文章で、売買決まるかなあ?

 
 

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