返済/収入比率15%
海外不動産は現地国の融資を優先すべし
こんにちはManachanです。ここ2日間、「東京→大阪(セミナー講演)→名古屋(宿泊)→東京(セミナー講演)→静岡(商談)→名古屋(セミナー講演)→東京」と、 新幹線で西へ東へ大移動。仕事が一段落して自宅に帰ったら、家族がハムスター2匹買ってきてました♪
今回の日記は、「海外不動産購入と融資づけ」のテーマで書きます。
私自身を含め、ブログ読者の多くが「日本国籍の日本在住者」という前提で書きますが、私たちが海外(日本以外)の不動産を購入する際に、果たして銀行融資を使えるでしょうか?不動産の所在国別に考えてみましょう。
☆英米圏先進国の場合、
一定水準以上の価格帯(目安は3000~4000万円以上)なら、現地国の金融機関から融資が受けられることが多く、日本人投資家の利用者も多い。現時点では、
・オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、イギリス…物件価格の60~65%程度まで融資が利用可能。金利3~5%。期間20~30年位まで。
・アメリカ…物件価格の50%程度まで融資が利用可能。金利4~5%。期間20~30年位まで。
☆東南アジア新興国の場合、
物件によっては、現地国の金融機関から融資受けられることもあるが、日本人投資家で利用者は少ない。主な理由は、融資制度の未発達と、金利水準の高さ(年6~10%以上)。
なお、物件所在国が先進国、新興国の如何を問わず、日本国内の金融機関で、海外不動産購入に対して融資を出すところがいくつかあります。なお、日本の銀行は海外不動産の担保評価をしないので、要は借り手の個人属性や資産背景を総合的に評価した上での融資になります。現時点では、次の3つが知られています。
☆政策金融公庫…日本国内で不動産賃貸経営の実績ある者に対して融資。物件担保の有無に関わらず金利は1%台と安い、融資期間は通常15年まで。2000万円までなら比較的借りやすい。
☆オリックス銀行…日本国内で十分な空き担保のある物件所有者に対して融資。担保必須。金利は2%台前半。
☆スルガ銀行…日本国内で十分なサラリーマン給与収入がある者に対して融資。金利7%前後だが、フリーローンで手軽に借りられる。融資期間は通常10年。
したがって、購入者(日本人投資家)からみると、こうなります。
☆英米圏先進国の物件を買う場合
・3000~4000万円以上の価格帯なら、「現地金融機関」と「日本の金融機関」どちらも使える
・それ以下の価格帯だと、「キャッシュ買い」、あるいは「日本の金融機関」を使う。
☆東南アジア新興国の物件を買う場合
・価格帯を問わず、「キャッシュ買い」、あるいは「日本の金融機関」を使う。
現実的にいえば、「先進国のまともな価格の物件」を買う場合のみ、「現地国の金融機関」か「日本の金融機関」の両方から選べるということになります。
その場合、今後のことを考えると「できるだけ現地国の融資を優先すべき」だと私は思います。なぜか?
理由はシンプルです。どの国、どの都市の、どの銀行も、「取引実績」を重視します。もし、物件オーナーが遠方に住んでいればなおさら、「地元」(物件所在地)での融資・返済実績や口座の入出金履歴が、銀行にとっては大事な判断基準(稟議書のネタ)になります。
日本国内だって、東京在住の人が、札幌の収益物件を融資受けて増やす場合は、普通、札幌市や道内の金融機関との継続的なお付き合いを大事にしますよね?なかには、札幌に法人立てたり、一時的に住民票移してまで、地元の信金信組から融資ひく「つわもの」もいます。
物件が日本国外にあっても事情は全く同じです。例えば、日本人がオーストラリアの物件を買う場合は、たいてい、同国の4大銀行(NAB、ANZ、Westpac、Commonwealth)のいずれかから融資引くことになると思いますが、たとえ遠い外国在住であっても「オーストラリアの銀行から融資を引いた実績」が、次の物件取得につながるのです。
また、「現地国の物件担保ローン」をひくことが、後々、大きな意味を持ってきます。物件の担保価値が上がる場合は、価値上昇分がそのまま「エクイティ」(Equity、自己資金)になりますし、かりに価値上昇しなくても元本を返していけば、残債減少分が「エクイティ」として評価されます。
英米圏先進国では、「エクイティ」ができれば、それを使って次の物件取得もできるし、或いは、より有利な融資条件を求めて、他の銀行に乗り換えることもできます(※私はオーストラリアで、3回もローン借り換えました)。また、「ドローバック」(Drawback)といって、これまで返した残債の一定割合(80%程度)を、銀行から借りることもでき、緊急にお金が必要になった時に便利。
あと、マイナス金利の日本と違い、オーストラリアやニュージーランドでは、預金金利が年1 ~2%とかつきます。物件担保ローンと預金を同じ口座で同時にやれば、「オフセット」(Offset)といって、「預金金利稼いだ分を、そのまま無税で、金利分の支払いに充当する」ことができます。
何が言いたいのか?・・・現地国の金融機関から融資を引くと、「実績」になるほか、副産物として「値上がり分の自己資金充当」や「他行への借り換え」、「一時借り入れ」や「預金金利を使った返済金利負担軽減」までできてしまう。一方、日本の金融機関から融資受けた場合、こうしたメリットが一切受けられません。要は、日本で借りても、海外で資産増やす上でのレバレッジにならないのです。
あと、為替リスクもありますね。日本でお金借りると当然、日本円での返済になりますが、海外物件の家賃収入は当然、海外通貨建て。為替が円高に振れれば、それだけで金利負担が重くなります…そうした為替リスクを、借り手が負わなければなりません。
こうしたをもろもろを知っていれば…たとえばオーストラリアの不動産購入に際して、下記二つの融資オプションがあったとして、
・現地の金融機関で、豪ドル融資、金利4%台、期間20年
・日本の金融機関で、日本円融資、金利2%台、期間15年
これらを比べて、「日本の方が金利安くて有利じゃん!」と飛びつくことは、なくなるはずです。少なくとも私は、上の条件なら100%間違いなく豪ドル融資を選びます。
俺みたいな不動産投資はするな!
こんにちはManachanです。いまセミナー講演のため、新幹線で大阪へ向けて移動中。
9/2(金)18:30~20:30 大阪セミナー(ハワイ不動産)
9/3(土)10:30~12:30 東京セミナー(カンボジア不動産)
9/3(土)16:30~18:30 名古屋セミナー(ハワイ不動産)
…という動線なので、新幹線大活躍なのですが、こういう時はJapan Rail Pass使って、旅費をものすごく低く抑えています。外国永住者の特権になりますが、7日間で29,100円、新幹線も特急もほぼ乗り放題という破格値。これを使って、アジア太平洋大家の会の地方セミナーを3回位やる。私が新幹線移動しても、会に請求する旅費が非常に安く済む…「究極のローコスト運営」に大いに役立っています。
今回も海外不動産投資ネタでいきます。私はこれまで200回以上の不動産セミナーを国内外各地で開催してきましたが、主催者として、結構困惑するのが、
「Manachanはこの物件買ってるの?」
「Manachanが買うなら俺も買う!」
…みたいな会話。もちろん、初めての海外不動産投資は不安でいっぱい、判断するの難しいから私みたいな経験者の真似したい、という気持ちは痛いほどよく分かるのですが、それでも、
私が買ったかどうかという行動を、皆様の購入判断の基準にして欲しくありません!
これだけは、はっきりお伝えしたいです。私は不動産において、「俺も買うからみんなで買おう!」みたいなトークが嫌い。突き放したような話で恐縮ですが、これには2つの理由があります。
1)一人ひとりの資産背景やリスク選好は違う。私にとって最善だと思って買った物件が、他の方にとっても最善だとは限らない。
そして、
2)私は「良い子のみなさん真似しないでね」と言いたくなるような、ファンキーな物件を買うこともある。
1)は当たり前の話ですね。例えば、海外生活の長い私は、「犬肉のスープ」とか「蒸したカイコ」、「羊のペ〇ス」みたいな変な料理を好んで食べますが、日本在住の皆様が、これらを美味しいと感じて食べることは多分ないと思います。つまり、私にとっての最適解が、他人にとっての最適解とは限らないわけだし、
そして、投資で思うような収益が上がらなかった時、「Manachanを信じて買ったのに、こんなことになるなんて…」みたいな文句を言われても困るのです。誰が何と言おうと、投資は自己責任。あの「寅さん」も言ってたでしょう?
俺とお前は別の人間なんだぞ!早え話が、俺がイモ食えばテメエの尻からプッと屁が出るか?
2)については、もう少し詳しく話しますね。私は投資家のみならず、「海外不動産のプロモーター、マーケッター」という顔を持つがゆえ、「資産形成」目的以外にも、いろんなかたちで不動産に手を出しております。
・私は日々、世界中のいろんな投資案件に参画しませんかと、各方面から声をかけられています。それに「ちょっとお付き合い」するかたちで、海外の物件を買うことがあります。
・海外不動産の共同投資も、いろいろやっています。たとえば、「45万ドル集めたけど、5万ドル足りないからManachan一口買って!」とか、「投資グループのまとめ役がいないから、少しお金出して参画して!」とお願いされることがあり、時々、そういう話に「乗る」こともあります。
こういう話、私はブログで発表したりはしないんですが、海外不動産売りたい業者さんが、「Manachanも買ってる物件です」と言っちゃうこともあるし、私も懇親会などの場で、話の流れで言っちゃうこともあるし…
でも、そういう類の投資話は、「投資先の国がすごく好きな数名のグループ」だったり、「特殊なリスクを背負えるファンキーな投資家の集まり」だったりするので、一般にはあまりお勧めできないものなんですよね。私が買ってるからといって、良い子の皆さんは、まぢで、こんなの真似しないで欲しいです。
それを分かった上で、あえて、どうしても私の真似して買いたいというなら、「日本」と「オーストラリア」だけにしてください。
この2か国に関しては、私も10数年不動産投資続けてきました。無事、出口を迎えたものもいくつかあるし、不動産マーケットを読む方法、勝つ方法論も確立しているので、皆様の自己責任ながら、基本的に真似して買ってOK(その他の国に関しては、正直そこまで自信ないので私の真似は勘弁!)。
これって、「売却・利益確定を何度もやってる」から言えることなんですよ。日本国内の不動産投資だって、メンターにするなら「何度も利益確定している人」を選ぶべきでしょう?たまたま融資ひけて、1棟か2棟保有しているだけの人に師事すべきじゃないでしょう?それと同じことです。
さらに言えば、いまの海外不動産投資って、往々にして、「売却・利益確定まで経験したことのない」業者のトークを聞いて、投資家が判断するわけでしょう?その話が投資視点でどれだけ妥当性を持つのか、冷静に考えた方が良いと思いますよ。
「プレゼンのうまさ」や「会社の信用」よりも、「その国の不動産投資におけるトータルな経験」が、投資判断の材料としてより大きな価値を持つと思います。
先進国利回り5%物件をスルーすべきでない理由
こんにちは、Manachanです。出張先、福岡市のビジネスホテルでブログ書いてます。
私、福岡市で2008年1月から不動産投資をしています。参入して8年半になるわけですね。長年ずっと見ていると、昨今、福岡市周辺での収益物件の利回り低下は顕著ですね。
「木造マンションで築浅なら表面6%台でもマシな方」
「RCで良い立地だと、表面4~5%が当たり前」
「郊外ロードサイド店舗でさえ、表面8%台いけば”神”に近い」
等々…「ここは東京23区内か?」と思うような低い数字が並びます。いまの福岡は全国の都市のなかでも、かなり利回りの低い(=賃料に対して売買価格が相対的に高い)部類に入るではないでしょうか。
そんな感じで、今やや過熱感のある福岡市マーケットですが、都市の実力と、売買価格と賃料のバランスが取れていれば、低い利回りもそう悪いことではないと私は思います。実際に高い価格でも買ってる客がいるわけですから、それだけ都市や立地の評価が高いともいえるわけです。
九州各地から人口が集まり、成長を続ける福岡市。全国的知名度があり、たぶん日本で唯一、「首都圏から移住者を呼び込める百万都市」でもあります。街の評価が高いのは当然でしょう。
ある意味、福岡を数十倍大きくしたのが「東京」で、そこは日本全国からの移住者をひきつける首都…その中心にある銀座、新宿、渋谷、六本木等の収益物件は、今なら利回り3%以下でも買う客はいくらでもいます。吉祥寺を2.5%で買う人もいる位だし・・
「利回りの低さは、街の評価の高さ」であることを踏まえた上で、投資家としては、現在・将来の賃貸・売買需要や金利環境や税制を予測しながら、「いま福岡中心部のRCを5%で買うべきか?」という判断をしていくわけです。
東京でいうと、不動産におけるトップ立地は「銀座」や「丸の内」。次いで「3A」(赤坂、青山、麻布)、「渋谷~表参道」、「六本木」「虎ノ門」あたりまでは「一等地のなかの一等地」であり、世界的にはニューヨークのセントラルパーク周辺とか、ロンドンのシティ、香港の尖沙咀あたりと並び称される立地。
こういう「世界一流都市の一等地」は、賃貸に出した時の利回りがグロスで2~3%とかが当たり前。東京都心の不動産価格、日本では誰もが高いと思ってますけど、それでも、ロンドンやニューヨークの同等立地に比べて東京はまだ割安感があり、富裕層やファンドがガンガン買ってるわけです。
東京でも、新宿とか、さらには池袋まで行くと不動産価格もこなれてくるし、期待利回りも一等地に比べれば多少高まります(例.中古区分マンションで表面4%を切ると、表参道ならすぐ売れるけど池袋では売れない)。さらに、城東城北地区、都下神奈川埼玉千葉と、郊外に出るほど、リスクや出口不安が大きくなり、人々の期待利回りは4%⇒6%⇒8%⇒10%と、上がっていきます。
日本人の投資家なら、同じ首都圏でも「東京都心の利回り5%」と「千葉市の利回り5%」が同じだとは誰も思いませんよね。前者は「割安」だと皆が思ってるけど、後者はどうみたって「割高」で誰も買わない。それは、投資家の購入行動が「実際の利回り」と「エリアの期待利回り」との相対的関係で決まるからです。
で、本題に移ります。
「東京の利回り5%と千葉の利回り5%が同じではない」という常識が、なぜか、海外不動産の話になると、通用しない。日本国内の不動産投資で財産を築いた立派な投資家でさえ、いざ海外になると、
「英国の学生寮、利回り9%だから、買おう!」
「オーストラリアのレジ、利回り5%しかないから、スルーしよう!」
みたいな購入行動を平気でとるのです。
でも、不動産投資の基本は、世界中どこだって同じ。それぞれの都市、エリア毎に期待利回りが違い、それとの相対的な比較で判断すべき話で、
海外の収益物件が、いま5%で売られているとしても、もしその場所が「東京都心」クラスだったら超割安だし、9%出る物件があるとしても、それが「千葉市」レベルの立地なら「それなり…」の数字ですよね。要は、表面的な利回りだけで購入を判断すべきではない。
海外、先進国の大都市内の優良立地でグロス利回り5%回る物件なら、私はかなり割安だと感じますし、お金が増えそうな物件だとも思います。
たとえば、オーストラリア第3の都市ブリスベンで、利回り5%ちょっと回る、邦貨換算3000〜4000万円の物件を、明後日のセミナーでいくつか紹介します。この物件には融資もつけることができ、その条件は今のところ「物件価格の65%、豪ドル、金利4.77%、融資期間25年」です。
物件価格の35%、自己資金を出して買う。すぐ賃貸つけて、その賃料をそのまま返済に回すと、キャッシュフローがトントンか、わずかなプラスになる感じの不動産投資。
「海外の銀行で融資組んで、それでキャッシュフローがほとんど出ないんじゃ、意味ないじゃん」と判断する方は、ハッキリ言うと海外不動産投資のリテラシー不足。
オーストラリア不動産投資の醍醐味は、キャッシュフローではありません。「かなり確度の高い値上がり益期待」と、それによる資産拡大効果(B/Sでいう「資産の部」の数字改善)が主要テーマです。
- ブリスベンの人口は、年率2%以上で増えている。同市の人口増加は、少なくとも今後30年以上続く見込み。
- ブリスベンの平均空室率は2.7%。今回紹介するエリアだと1.5〜1.9%。需要に対する住宅供給不足は、少なくとも今後20年以上続く見込み。
- ブリスベンの賃貸契約は普通、1年間。契約更新ごとに賃料が数%上げるのが常識。
- ブリスベンから南へ飛行機で1時間の距離にあるシドニー(同国最大都市)と比べて、ブリスベンの住宅価格は戸建で50%、集合住宅で60%程度。一方で賃料はシドニーの約80%とれる。
- その結果、シドニー不動産の平均利回りは3.0〜3.9%に対し、ブリスベンは4.4〜5.2%回る。
- オーストラリアの経済成長率はやや不調とはいえ、人口増加を背景に年率2%は軽くいく。
- 不動産ローンの金利は、今は4.0%前後。オーストラリア史上、最低水準を更新し続けている。
- 今回セミナーで紹介する40万〜50万ドルの価格帯は、オーストラリアにおける住宅初回取得者(First home buyers)のボリュームゾーンであり、今なら彼らに対して2万ドル前後の補助金が出る。
…これだけの客観条件が揃ってて、今後値上がりしないと想像すること自体が難しいです。
現実的な線でいうと、「いま利回り5%で買って、5〜10年後に利回り4%で売却」でしょうか。仮にいま40万ドルで買って利益確定は7年後としましょう。いくらで売れるでしょう?家賃上昇率、控えめに年率2%と考えて…
1) 購入時
売買価格 400,000ドル
年額家賃20,000ドル
表面利回り5.0%
2)7年後の売却時
家賃 22,974ドル
表面利回り4.0%
→予想売買価格 574,350ドル
40万ドルで買って、57万4350ドルで売れるのなら、値上がり幅17万4350ドルになるわけです。売却コストを無視して、単純に年率換算すると、
1)値上がり益の年率
174,350 ÷ 400,000 ÷ 7年 = 6.23%
2)保有期間中の家賃収入(購入時価格換算)
購入時 5.00%、売却時 5.74%
→ 保有期間平均 5.37%
1)+ 2) = 11.60%
…となる。つまりこれは、値上がりを考慮すると年率11.6%でお金が増える優良投資案件であり、「9%で回る別の海外投資物件よりもさらに効率が良い」可能性が十分あるわけです。
ま、実際には取引コストとか金利負担とか節税効果など、いろんな変数を入れてシミュレーションしなければ優劣の判断はできませんが、
私のざっくりした感覚、経験からいうと、「ブリスベンの良い場所で、いま5%で土地つきの戸建やタウンハウス買えるなら、9%回るけど値上がり期待の余りない別案件買うより、もっとお金になる」と思います。
余談ですが、今月中旬に、私が視察中に「サプライズ衝動買い」しちゃったメルボルンMoonee Pondsのアパートも、実は頭のなかで同じ計算をしてました。
- メルボルンの集合住宅平均の利回りは4.0%。これはシドニーより高くブリスベンより低い、「オーストラリア第二の都市」の実力を反映した妥当な数字。
- でもって、今回内見したMoonee Pondsの物件、「メルボルン都心から6km、電車で4駅10分、駅から徒歩3分の賑やかな商店街の中」という、都市平均より明らかに良い立地なのに、利回りが4.7%出る。これは明らかに割安な買い物。
….だと判断して即買いしました。
1ベッドルームを397,800ドルで予約して、再来年の完成予定。これ、4.7%で買って、5〜7年後に3.7%で売れるならば、
売却時予想価格(家賃上昇なし) 397,800 × 4.7% ÷ 3.7% = 505,313ドル
売却時予想価格(家賃上昇2%/年) 397,800 x 1.02の7乗 ÷ 3.7 = 580,446 ドル
想定売却益 107,513〜182,446ドル
…ですので私は、この物件が50万ドル以上になれば売るつもりです。メルボルン都心近くの好立地で、「4.7%が3.7%になるのは簡単」と思いますが、さらに欲をかいて「3.7%が2.7%になることを期待するのは、メルボルンの実力を考えると難しい」と考えるからです。いや、今のシドニーみたいにバブれば、メルボルンでも2.7%はありうるでしょうが、非合理的な価格形成がされるマーケットでの売り抜けは、私の得意とするところではないし、
それよりも、「ブリスベンやメルボルンの都心近くで5%近く回れば割安だから買う、4%切れば売って利益確定」みたいな、不動産投資家として常識的な感覚を持ち続けたいと思います。
業務連絡) 8/31 13:00現在
9/1 ブリスベン&ゴールドコースト不動産購入相談会@東京半蔵門、あと2席ご案内できます。申込リンクはこちら(先着2名で締め切りますが、間に合わない場合は後日個別相談に応じます)。
私の買ってるメルボルンのマンション、1ベッドルームが一室だけ40万ドル以下で残っています。購入検討したい方は私にメールを下さい(こちらは先着1名で締め切ります、売り切れてたらゴメンなさい)。
オーストラリアで専門的職業に就く方法
おはようございます、Manchanです。ケアンズ滞在も残すところ、あと1日。明日には台風一過の東京に帰ります(結構楽しみ~、俺やっぱ東京でバリバリ仕事ライフ好きだわ~)。
4週間にわたるオーストラリア滞在中に、ひとつ嬉しいことがありました。メルボルン近くに住む、私のブログファンの方と一緒に、楽しく不動産視察したのですが(私が勢いで「物件買っちゃった」ところも目撃されてますが…)、その彼の言葉が嬉しかった。
「Manachanのホームページは、オーストラリア移住して、現地で職業に就いてキャリアアップして頑張っている、日本人のロールモデルの一つとして、愛読していました」
もうずいぶん昔のことで文章も残っていませんが、私は2000年から05年にかけて、ホームページ「Manachan’s Worldシドニー日記」で情報発信してました。主な内容は、
・「シドニー日記職業編」(職場で感じたこと、オーストラリア人の働き方や楽しみ方等)
・「シドニー不動産特集」(シドニーでの家探し、不動産投資関連)
・「ウェスタンサバーブうまいもの探検隊」(シドニー最深部エスニック地帯でのグルメ特集)
・「ラグビー熱烈応援日記」(地元チームParramatta Eelsを応援するページ。選手・チアガール特集など)
・「オーストラリア勝つ移住」(オーストラリア移住後、専門的職業に就いてまともな年収を得るための考え方と方法論。メールで移住相談も100件以上受けて、Q&A化していました)
今回の日記では、「オーストラリア移住後の就職と、専門職としてのキャリアアップ」にフォーカスを当てて書いてみますね。
私は3年前に独立起業しましたが、それ以前はサラリーマン稼業を19年続け、グローバル企業でのITエンジニアとして頑張ってきました。略歴はこんな感じ、
・1994~97年 大学卒業後、東京都内の環境ベンチャーの会社で勤務
・1997~2000年 ITエンジニアに転身、東京都内の米系コンサルティング会社でプログラマとして勤務
・2000~05年 オーストラリア移住、シドニーの米系IT企業で、ソフトウェア・エンジニアとして勤務
・2005~07年 同企業内で、中国・大連の事業所に転職。ソフトウェア開発・保守チームのチームリーダー。
・2007~09年 日本へ帰国、東京都内のインド系IT企業で、プロジェクトマネージャーとして勤務。
・2009~12年 東京でドイツ系印刷大手で、社内IT部長として勤務
勤務する国をいろいろ移ってきた関係で、額面の給料は上がったり下がったりですが、キャリア的には「プログラマ→SE→チームリーダー→プロジェクトマネジャー→社内情シス部長」と着実にレベルアップして、最終的な年収は新入社員当時の4.3倍になっていました。
「日本語、英語、中国語ができる、ITプロジェクトマネジャー」という希少価値なポジショニングで自分を売り込んできたので、どの国でも転職に苦労せず、比較的幸せなサラリーマン生活を歩んできました。日本からオーストラリア、オーストラリアから中国、中国から日本と移動はしましたが、「IT専門職のキャリアとしては一貫して伸びてきた」のが特徴だと思います。
移住する3年前から、私は、「オーストラリアでまともな給料のもらえる職」に就くために、準備を重ねてきました。「オーストラリアで需要の高いIT技術者のキャリアを積む」、「オーストラリアでも名の通った米系大手の会社で働く」等々…
それでも、移住当初は英語がたどたどしかったし、面接でもボロ出しまくりだったので、結局、就職活動は3か月かかり、11社落とされて、幸い12社目に拾っていただきました。就職して1年目は英語で苦労しましたが、2年目から慣れてきて、3年目からは通常勤務の傍ら若手社員を指導する立場になりました。
そのような戦略的準備をして、実績もあげてきた私からみると、当時シドニーにいた「日本人移住者」や「移住産業の人々」の見通しの甘さには、正直驚きました。(もちろん全員ではありませんが…)彼らに共通する点として、
・オーストラリアの暮らしやすさやライフスタイルを賛美し、日本を悪く言う。
・でもその割には、オーストラリアで大した職業に就いていない。
・現地人と混じって働くほどの英語力もない。
・遊んで暮らせるだけの資産があるわけでもない。
彼らの仕事は、日本人相手の飲食業とか、日系企業の現地採用とか、日本人相手の進出コンサルとか…当然、オーストラリアの生活も安定せず、日本へ「逆出稼ぎ」に行く者もいました。せっかく一家揃って移住したのに、結局自活できずに、奥さん子供だけオーストラリアに残して旦那だけ日本へ出稼ぎみたいな構図。
「そんなんじゃあ、話にならないだろ?」と、当時の私は思っていました。オーストラリアでは、英語が職業レベルでできないと、専門的な仕事に就けません。近所づきあいも、社会への参画もできません。英語できないと必然的に日本人だけで固まるライフスタイルになり、本国以上に「狭い世間」のなかで暮らさざるを得ません。それが本当に望んだことなんでしょうか?
当時の私がホームページで訴えたのは、「夢を煽るよりも、現実を見よう」、「我々オーストラリア移住者に必要なのは、英語力と専門能力(就職力)」、「この国に来た中国人もベトナム人も韓国人も、皆が努力してそれをやってるのだから、日本人にできないわけがない」
シドニーで転職活動してた時、日系の就職コンサルの男性に食ってかかったこともあったなあ。「日本人が、現地の企業で就職なんか無理なんだよ」と言われて、「いえ、違うと思います。少なくとも俺は英米系に就職してみせます!」と…ちょうど2か月後に就職が決まりました。
当時の私が提唱したのは、具体的には、こういうことです。
・専門職に就いて、シドニーにおける、アッパーミドルになろう。
・アッパーミドルになれば、便利な場所にマイホームも買えるし、資産形成もできる。
・英語での職業能力とキャリアができれば、将来、他の英語圏での就労も可能になる。
なお、これはあくまで「移住先の社会でアッパーミドル」を目指す処方箋であり、それ以上の「富裕層」とか「グローバルエリート」を目指すものではありません。
所謂「オージーライフ」を楽しむためには、経済的基盤が必要で、
世界中から集まった人たちに混じって…
自分の能力をアピールして、人さまの役に立たなければなりません。
ところで、次のブログ、いま結構影響力あるようですね。、曰く「グローバルエリート」になるには「白人」で「英語ネイティブ」でないと無理だから、アジア系として生きる現実的な線として「理系の専門家」を目指そうと言っています。文体は嫌いですけど、大雑把な内容はそう間違ってないですね。
なお、私の提唱した「専門職キャリアアップ」方法論の場合、ITエンジニアとしては「社内情シス部長」あたりが最終的なかたちでしょうね。それ以上の地位にいくには、白人エリートがトップに握る企業のなかでの社内政治能力が必要で、私はその能力に長けているわけではないしやりたくもないので、結局、独立起業の道を選びました。
今さら、サラリーマンに戻りたくはないですが、サラリーマンを19年間、やりきった満足感はありますし、貴重な体験をさせてくれたオーストラリアに対しては、感謝の言葉しかないですね。
メルボルン郊外、街の将来を買う不動産投資
こんばんは、Manachanです。
リオオリンピック、いよいよ最終日です。
一方、当地オーストラリアでは、現時点で金8個、メダル総数28個、
メダル競争でオーストラリアより上を行く日本の健闘も注目されて
選手を地道に育成して、10年後に花開く…
前回書いた「シドニーvsメルボルンの都市間競争」
【ダンデノンのいま。建物はそれなりに多いが、高層化は進んでいない】
メルボルン都心から南東方30kmの距離にあるダンデノンは、
シドニーでは、
【パラマタのいま。高層ビルが林立する一角】
【将来は、ニューヨークにも似たスカイラインになる??】
ダンデノンも、パラマタをモデルに、メルボルンの郊外副都心を、
1)もともと、パラマタは規模は大きいけれど垢抜けない、
2)2003年頃から、州政府管轄の警察署や裁判所、
3)2004年頃から、
4)2006年頃から、
5)2006~07年頃、パラマタ市政府のホームページに「
6)2007~08年頃から、
7)2012年頃からオフィスビル、
このように、一通りの都市機能があったところに、「公共機関」→
ダンデノンに関していうと、現時点では2)
ダンデノンが、あと10年かけて、
「今ダンデノンで買っておけば、10年頃、価格倍増」
でも最低限、これだけは言えます。
「価格安いうちに、その地域で競争力ある人物件を買っておけば、
現時点でダンデノン、相当安いです。街の真ん中に建つ、
10年後、成長する街と共に自分も豊かになる不動産投資。分かりやすいし、夢があっていいですね。ダンデノン、これからも応援しています。
メルボルンがシドニーを追い越す日
こんにちは、Manachan@ケアンズ滞在中です。今日も元気にオーストラリアねたでブログ執筆。今回のテーマは、同国二大都市「シドニーvsメルボルン」のライバル関係。
シドニーもメルボルンも、都市としての歴史は、英国人の入植地になってから始まります。その時期は、シドニーが1788年(オーストラリアで初)で、メルボルンは1835年(同4番目)。その後、ゴールドラッシュでメルボルンが大発展して最大都市になり、20世紀初頭にシドニーが大発展してメルボルンを追い越し、そのライバル関係は今日でも続いています。
オーストラリア連邦の首都はシドニーでもメルボルンでもなく、その中間のキャンベラに定められ、二大都市は今日でも、シドニーらしく、メルボルンらしく、発展・拡大を続けています。そして、いずれの都市も、夏季五輪開催の経験があるなど、国際的に高く評価されています。
今はどうなのか?シドニー圏の人口が500万人、メルボルン圏の人口が460万人と、シドニーが8%ほど上回っていますが、その差は年々、少しづつ縮まっています。直近の人口成長率は、シドニーが1.7%に対して、メルボルンが2.1%と上回り、ざっくり言うと、「毎年、シドニーが約9万人増えて、メルボルンが10万人増える」傾向が続いています。
この傾向が今後ずっと続けば、メルボルンの人口は21世紀中盤にシドニーを追い抜くのではないかと予測されています。その時期は識者によって2053年とも、あるいは2036年とも言われています。もっとも、人間にそんな先のことを予測する能力があるはずないので、私は話半分に聞いていますが…
ただ、シドニーの方がメルボルンに比べて、都市の拡大が難しい構造的要因は、確かにあります。それは「地形」。
シドニーは、東側を海、北側と南側を山(国立公園)に囲まれた、起伏の激しい地形で、平地が豊富ではありません。都市が拡大しようとすれば、都心近くを高層化するか、都心から遠く離れた西部郊外の平地(Cumberland Plains)を、新興住宅地として開発する以外にありません。すると、都心近くでは不動産価格高騰、西部郊外では都心まで40~50㎞以上の長距離通勤と渋滞が、ボトルネックとなってきます。
一方メルボルンは、南側こそ海ですが、それ以外の方角は平坦地が続き、都心からみてどの方向にも新興住宅地を開発できる状態にあります。
日本でいうと、メルボルンの地形は関東平野に似ていて、南側の海(東京湾)以外は神奈川にも多摩にも、埼玉にも千葉にも、どの方角にも住宅地を拡大できる状況なのに対し、シドニーの地形は大阪平野に似ていて狭く、海や山に遮られて住宅地拡大の余地があまりないのです。
シドニーは、その地形的要因もあって住宅価格や家賃が高く、海外からの移民はたくさん来ますが、オーストラリア国内ではメルボルンやブリスベンに人口を流出させています。高学歴・高収入の人を含めて、シドニーの一部の人々は、より安く広い家が買えるメルボルンやブリスベンに引っ越していくのです。
最大都市の地位を、いずれ失うのではないかという、シドニー側の不安と焦りは、この文章からみてとれます。
Why Sydney is on course to lose its status as Australia’s biggest city
作者Matt Wade氏の問題意識は正しいと思います。彼が指摘する通り、
・シドニー圏のなかで、都心(CBD)の位置は、遠く東に偏りすぎている。
・地形的要因により、シドニーの住宅地は西に広がるしかないが、西部郊外に住む人にとって、遠いCBDへの通勤は辛いし、大きな損失になっている。
・したがってシドニーの西部に、専門的職業を含む雇用を沢山つくる必要があるが、現時点でシドニー全体の金融、ビジネスサービスの雇用に占める西部の割合は17%に過ぎない。
・西部の中心都市パラマタ(Parramatta)をCBD並みに大開発して都心機能をつくり、リバプール(Liverpool)やペンリス(Penrith)のビジネス機能を発展させ、「雇用機会の東西格差」を解消することが、都市シドニーの発展には欠かせない。
まさに、そうなんです。シドニーの将来は「西」にしかないし、パラマタはじめ西部の都市を発展させない限り、いずれ、メルボルンに追い越され「第二の都市」に甘んじてしまう…前からそれが分かっているから、シドニーのあるニューサウスウェールズ州政府は、巨額の公費を通じて、10年前からパラマタを「西の副都心」として整備してきたのです。
最近、その成果がようやく出て、西部でパラマタだけは大発展し、ホワイトカラー中心に9万人の雇用を生み出すビジネス都市になりましたが、交通インフラ含めて、未だ建設途上。その他の西部の都市は、正直言って微妙。特にリバプールとか、本来もっと発展すべきなんだけど…
シドニー第二空港が、西部のBudgerys Creekに建設が決まったので、空港のゲートウェイとなるリバプールやペンリスが大発展して、今のパラマタ位の都市レベルになることを望みます。それができて初めて、シドニーは「東シドニー」と「西シドニー」の二枚看板になり、21世紀の国内最大都市の座をめぐるメルボルンとの競争で、初めて優位に立てるのだと思います。
一方メルボルンですが、地形的に恵まれ、都心(CBD)から通勤圏内にいくらでも住宅開発できる事情もあって、都市の命運をかけて第二都心を建設する必要には迫られていません。
しかし近年は、住宅価格が高騰し、特に南東側は50㎞以遠のPakenham, Cranborneあたりまでベッドタウンが広がってきた関係で、CBDまでの長時間通勤、渋滞が問題になってきました。
近年では、メルボルンCBDから南東へ30㎞郊外の中心都市ダンデノン(Dandenong)を、副都心らしく整備しようとする動きもみられます。将来、ダンデノンが第二都市になれば、それ以遠の郊外に住む、100数十万人に職場を提供することで、CBDまでの渋滞も緩和されるからです。
ダンデノンをパラマタと同様のモデルで、メルボルン圏の第二都市に育てようと主張する識者もいます。
確かに、今のダンデノンは、「大きい街だけど、垢抜けない、イメージも良くない」という意味で10~15年前のパラマタによく似ているし、ヴィクトリア州政府はここ2年で、ダンデノンの駅近くに「税務署」や「裁判所」を新設するなど、かつてのパラマタを意識した都市開発を行おうとしているようにも見受けられます。
とはいえ、ダンデノンが10年後に、今のパラマタみたいに大発展するのかは、まだ未知数です。土地に余裕のあるメルボルンは、シドニーほど切実に、「第二都市」を必要としていないと思うからです。また、ダンデノンよりさらに都心寄りに、ボックスヒル(Box Hill)という、大きな街もあるため、州政府がダンデノンに集中投資するのかどうかも未知数。
関東平野に似た地勢から、将来のメルボルンは東京首都圏のように、「都心」と「5つか6つくらいの副都心」からなる都市構造になるのではないかと、私は予想しています。もちろん、ダンデノンやボックスヒルが「副都心」のひとつになるのは確実でしょうが…
最後に余談。千葉県・松戸駅の駅ビルは「ボックスヒル」という名前ですが、その由来はメルボルン郊外の「ボックスヒル」なんですよ。ボックスヒルを含むホワイトホース市が、昔から松戸市と姉妹都市なんですよね…
民族別、不動産の意味と価値
こんばんは、Manachanです。
オーストラリア・ケアンズ、妻の実家での滞在も、あと1週間足らずになりました。静かな生活も良いですがそろそろ物足らなくなって、東京でバリバリ活動したくなってきた…
ここオーストラリアで、私は積極的に物件を買い進めてます。不動産投資にはとても良い国なんですが、日本と国情が違いすぎて、日本でセミナーやっても、良さがなかなか伝わらない面があります。特に、日本在住の方がなかなかイメージできないのは、
1)今後30年以上、確実に人口が増え続け、都市圏が拡大を続けるという状況
2)世界中から移民が来て、それぞれの思惑で不動産を買っているという現実
今回のブログでは、2)について書いてみたいと思います。
東京は、日本ではダントツの国際都市。その東京で、私の住む江東区は、比較的コスモポリタンな地区。住民に占める外国人比率は約5%(23区平均は3%台)。区役所の住民課には各国語を話す職員やボランティアが常駐し、小学校のクラスに2、3名は外国籍の親を持つ児童がいます。
しかし、それがオーストラリアの都市になると、桁違い。州都で外国生まれ比率が一番低いアデレードで26%、一番高いシドニーでは39%。小学校のクラスで数名が外国籍、みたいなレベルじゃなくて、クラス全員の両親の出身国を地球儀にプロットするだけで世界地図ができてしまう状態。
そんなコスモポリタンの国の不動産市場がどうなるのか、日本の生活から想像するのは難しいですが、一言でいうと、「いろんな国から来た連中が、それぞれの思惑で不動産を買ったり、売ったり」します。その「思惑」に、それぞれの国民性や民族性が影響するのです。もちろん、個人差もありますが、誤解を恐れずに一般論で言うと、
1)欧米人にとって、住宅は生活を楽しむ舞台である。
この国の人口の大部分を占める欧米系白人は、「ライフスタイル」を何より最重要視します。海の近くに住みたい、あるいは都心近くに住みたい、子供ができたから庭つきの広い家に住みたい、子供が独立したから手間のかからないマンションに住みたい等々…人生のステージや好みに応じて引っ越しし、持ち家を何度も買い替えるのが彼らの常識。また、家賃収入や値上がり益を得たい、節税したい等の理由で、不動産投資も彼らの間では盛んです。
2)日本人にとって、住宅は終の棲家でありマイホームは一生の買い物である。
この国に移住して長い歳月が経ち「オージー化」した人ならともかく、移住してまだ間もない人は、日本での常識である「マイホームは一生の買い物」、「一度買ったらずっとそこに住み続ける」という観念に基づいて行動する人が多い。日本人のなかで不動産投資をする人の割合は少なく、かつ「家を買う場所」=「自分が住む場所」ですからこだわりも強く、住宅価格の高騰した都市では「いつまでも買えずに賃貸暮らし」の方も多いです。貯蓄が得意で住宅取得の頭金を欧米人以上に持ってるケースが多いですが、「虎の子を損したくない」気持ちから不動産購入には概して慎重です。
3)中国人にとって、住宅の所有権は生きていく上での必需品である。
この国に移住する中国人は日本人の10倍以上いて、近年はマネーパワーも絶大なので、彼らの購入行動がオーストラリアの不動産市況に大きく影響します。そんな彼らは、欧米人や日本人とはかなり違う原理で行動します。「メリットがあるなし以前に、とにかく家の所有権が欲しい」、「家を買ったら豪州籍を取りたい」…激動の中国社会で権力に翻弄されながら生きてきた人々にとって、「住宅所有権」や「国籍」は、自らの身を守るための手段なので、利回り云々以前にとにかく買うし、また「中国人は絶対に買う」ことを前提にした住宅販売が極めて盛んです。
余談ですが、中華系以外の多くの国では、都心の良い場所でも不動産の賃貸利回りは通常グロス3%位に落ち着き、それ以下になるとバブルが懸念されるものですが、中華系諸国の都市では「身を守るための採算度外視購入」や「値上がり益目当て」の思惑購入が当たり前なので、賃貸利回りが1~2%みたいな極端に低い数値になるのが「常態」となっています。また、彼らが大挙して海外移住する時、その独特な住宅購入行動と巨額なマネーが不動産マーケットを大きく変える(地元民にいわせれば「壊す」)ことも多く、それはオーストラリアも例外ではありません。
特にシドニーで起こった、ここ数年の大幅な住宅価格高騰は、現オーナーにとってはウハウハですが、これから住宅取得する層にとっては恨めしい以外の何者でもなく、「中国人がバカスカ買うせいで値上がってしまった」という観念も根強く存在します。昨年あたりから中国人のマネーパワーが落ちてきて、シドニーのマーケットも平常時に戻りつつあるように感じます。
なお余談ですが、中国人をはじめ東アジア人は教育熱心ゆえ、彼らの多く住む地域の学校のレベルが上がる…そんな意味でも、オーストラリア社会に大きな影響を与えているといえます。
なお、オーストラリアでは「インド人」も大きな勢力として存在します。資源や食料の輸出先としても、また移民や労働力の供給元としても、大国インドがオーストラリアに対し、末永く大きな影響を与え続けるでしょうが、インド人が大量に流入してきても、中国人のような現象にはなりません。それは、
4)インド人にとって、住宅は大家族の生活の舞台である。
オーストラリアに移住したインド人、シドニーの場合はブラックタウンを中心とする、西部郊外の住宅地に大勢住んでいますが、彼らの場合は、住宅購入の動機は「大人数が住むための、大きな庭付きの家の実需買い」なので、中国人のように投機的な動きにはほぼなりませんし、「インド人が来たから値上がった」みたいな言説は聞いたことがありません。
昨今、インド人のプレゼンスは大きく、メルボルンではほぼ全域にインド系住民が暮らしている印象、シドニーでも西部郊外に向かう電車ではインド系の乗客が半数近くを占めることがあります(もいろんな人種が乗ってるなかで、インド人が多くて目立つ…という意味)。ボリウッドの俳優を呼んで盛大にフェスティバルなどをやったりします。
あと、インド人は英語力が高いおかげで、オーストラリア社会に自然に馴染む者が多いですね。専門的職業の世界でもインド人の存在感大きいです。
このように、オーストラリア都市部の不動産市場は、この国を構成するいろんな民族が、それぞれの思惑で買ったり売ったりする…それを踏まえて、正しく、等身大で理解したいものですね。
メルボルン物件買います
こんばんは、Manachan@ケアンズです。
一昨日まで、メルボルンに居ました。メルボルンでは、今後のセミナーで扱う商材を探すために物件視察したのですが…紹介された物件が余りに魅力的すぎて、一気に、買い付けを入れてしまいました。「衝動買い」に見えるかもしれませんが、先ほどまで、妻とじっくり話して、メルボルンに投資することの理解・許可を得ました。
私は投資家なので、冷徹にお金の計算はしますが、それでも人間なので、「いいな!」と思ったものを買います。今回の物件、私の心を動かした要素は、「メルボルンの街並みの、半端ないかっこよさ、センスの良さ」でした。
メルボルンのカッコよさを語る前に、オーストラリア各都市の特徴を語っておきましょう。同国の人口の大部分は東海岸に集中しており、都市の規模順に、シドニー、メルボルン、ブリスベンという「三都」があります。
シドニー(ニューサウスウェールズ州の州都)は、日本でいえば東京みたいな都市。オセアニアにおける国際ビジネスの中心地で、マネー溢れるパワフルな都会。文化はフェアでビジネスライクで、コスモポリタン。国内外の多くの人が気軽に参入できるので、移民の多くは、まずシドニーを目指す。悩みの種は住宅価格の高さ。
メルボルン(ヴィクトリア州の州都)は、日本でいえば関西圏に相当する。ヨーロッパの文化と雅(みやび)を色濃く残す街で、ビジネスよりもライフスタイルを楽しむ街。カフェ文化やファッションなど、オーストラリアのトレンドを先導する街。住居費はじめ生活コストがシドニーより安く、産業も一通り揃っているので、この国の生活に慣れた人がシドニーから越してくることも多い。悩みの種は変わりやすい天気と、陰鬱な冬。
ブリスベン(クインズランド州の州都)と、隣りのゴールドコーストは、日本でいえば九州に相当する。少し田舎っぽいけど、あふれる陽光と自然環境に恵まれた地で、寒いメルボルンやシドニーに暮らす人々が、老後の住まいとして夢見る場所。住居コストは安く、普通の収入レベルで広い家に住める。悩みの種は仕事の少なさだが、近年は産業が徐々に充実しつつあり、オーストラリア全土から移住者を集めている。
シドニーとメルボルンは、昔も今も、オーストラリアを引っ張る両輪として、良きライバルであり続けています。歴史をみれば、シドニーの方が発展していた時期と、メルボルンの方が発展していた時期と、どちらもあり、現在は良い勝負をしています。でも、街のカラーは大きく違います。
シドニーの方が、「華」と「知名度」がありますね。紺碧の海にハーバーブリッジとオペラハウスの風景、ボンダイビーチの佇まいは、どちらも世界的知名度。それに比べてメルボルンは地味で、皆に知られるランドマークが比較的乏しい。
その代わり、メルボルンの良さは、「さりげない街角の風景」にあります。日本でいえば、たとえば京都の東山や嵐山、神戸の北野はそれぞれ魅力的な街ですが、メルボルンの中に、個性的で魅力的な街が、綺羅星のように並んでいます。
今回、私が物件を買うことに決めたMoonee Pondsもその一つ。メルボルン都心から北へ6㎞余り、都心のSouthern Cross駅から4駅目の駅の周りに、端から端まで歩いて5分くらいの商店街があって、そこにショッピングセンターとカフェ、レストラン、ワインショップ、本屋、銀行の支店、不動産路面店、ギフトショップなど、雑多な店が並んでいますが、とにかく、風景のどこを切り取ってもおしゃれで、センスがいい。メルボルンの風土が生んだ奇跡としか思えない、かっこいい街並みと、人々の楽しい賑わいがある。そして、トラム(市電)がある風景もいいですね。
「理屈抜きで、この街を買いたい」と思いました。メルボルンらしい良さのある街に、メルボルンらしいスタイリッシュな建物…そりゃ、欲しいっす。持ってるだけで楽しいもん。
それ以上に、購入の決め手になったのは、物件案内と説明をしてくれた、デベロッパー側の女性。彼女は、物件を売るだけじゃなくて、自ら、何十室も持っています。そして、頻繁に物件の売り買いを繰り返しています。なぜ、この物件を今買うのか、いつ、どのように売るのかというロジックも単純明快。
話しているうちに、同じ「投資家」としての匂いを感じたし、彼女は自らデベロッパー(予約開発業者?)として、「投資家」に最適化した物件をつくっていると感じました。
投資目線で良い物件をつくり、広告費全然かけないで売ってるようでした。知り合いだけ、口コミだけで、どんどん売れていく…物件の内容が良くて、価格が適正だから、売れるの当たり前ですよね。
あと、メルボルンのあるヴィクトリア州は、オーストラリアの中では飛び抜けて、不動産投資家にフレンドリーな制度を持っており、私も驚きました。
・印紙税の支払い時期は、完成時で良い(他州では、完成前に支払うのが一般的)
・完成前の名義変更は費用なしで可能(他州では無理)
この制度で、何ができるのか?たとえばの話…
・売り出し初期の安い時期に買って、完成前に、それより高く売ることも可能。
・たとえ融資づけに失敗しても、完成前に売り抜ければ、それまでに払った手付金が無駄にならない。
・上記のことを、印紙税負担なしでできる。
極めて「撤退しやすい」というか、「失敗しても、リカバリーが低コストでできる」ところが、投資家にとって大きな魅力ですね。
最後に、この物件のすぐそばに、CHIBAという日本料理屋があります。それも、かなり高級そうな店構え。千葉県出身者としては、少しだけ誇らしい。でも、なんでCHIBAなんだろうね?
シドニー版「ヒルズ族」のプライドと不動産考察
こんにちは、Manachanです。
世の中、「賑やかな都会や繁華街」が好きな人と、「
好みが違うだけならまだしも、そこに「社会経済的地位」(
日本でいえば、首都圏の東急沿線の、
– 東急田園都市線(田都)の沿線は、
– したがって、鷺沼、
– 逆に、「川崎」駅エリアに住む人からすると、
こうしたミクロな地域対立は、
また、ここに価値観や感性の違いも関わってきます。上述「田都沿線vs川崎駅」のステータス争いの場合、私は川崎駅を断固支持します。なぜなら私は柏の駅前育ちで、都会や繁華街が好きな利便性重視の人間。天下のJR東海道線が通り、東京駅へ直結20分、ラゾーナはじめ商業施設充実した川崎駅の方がどうみても格上じゃん、という価値観なのです。でも、万人が同じように考えるとは思いません。同じ柏エリアでも、柏の葉や、流山おおたかの森のような、新興住宅地を選んで移住してきた方々の間では、多分、田都沿線を支持する意見が多いと思います。
これは日本だけでなく、ここオーストラリアでも多分にあります。比較的若い国で、本国イギリスほど固定した階層がまだないし、移民も多く流動している社会であるがゆえ、「俺らは、〇〇に住んでる人間よりは格上だぜ」みたいな、ミクロな地域ステータス競争に走りやすい国民。その点は日本人と比較的似ていると思います。
で、シドニーのなかで、一番分かりやすい例が、都心から25〜40km離れた郊外、緑豊かな新興プチリッチ住宅エリアとして発展中のNorthwest地域です。
ここは丘陵地で、Pennant Hills, Castle Hill, Rouse Hillなど、「なんとかヒルズ」な地名が多いため、Hills Districtとも呼ばれます。地形的にも社会的ステータスの面でも、首都圏の田都沿線とカラーの良く似たエリアといえますね。
で、このHills Districtに住まう人々が、いつしか「ヒルズ族」と呼ばれるようになりました。
シドニー在住日本人の間でも、近年はヒルズ族が増加中。日本人は昔も今もChatswoodやNeutral Bayを中心とする、裕福層の多いNorthshore(所謂「ノース」)地域を好んで住む者が多いのですが、近年、このエリアの賃料や不動産価格が高騰したので、
彼らはChatswood から西へ進み、North RydeやEppingを経て、Castle Hill方面に移り住むトレンドが続いています。その結果、「ヒルズ族な日本人奥様」が増殖中な今日この頃なのです。
東京でいうと、「本当は世田谷区の用賀やニコタマに住みたいけど無理なので、多摩川を渡って田都沿線の青葉台や藤が丘に住む」ようなもんですね。
しかし、神奈川県民になった彼らもプライドを維持しなければなりません。それを支える強烈な武器が「田都沿線ブランド」と「横浜市青葉区アドレス」。
一方、シドニーのヒルズ族にとっては、NorthWestとかHillsという地域名が、プチブルなステータス感やプライドを支える根拠になっています。ここに「North」が含まれているのが大事なポイント。
「私たちはWestじゃなくてNorthWest住みなのよ。ノースが入っているのよ…」
という地域プライド。それを維持するために、パラマタ(Parramatta)を中心とするWest地域を見下すのが、ヒルズ族のお約束。ここで「ノース」という単語が水戸黄門の印籠のような役割を果たすのは言うまでもありません。
ところで、私はパラマタに住んでいました。ここはWest地域で最大の都市にして、シドニー圏でもシティに次ぐ第2位の規模と雇用者数を誇る副都心。駅直結の巨大ショッピングモールに、大企業のオフィス林立、警察本部に裁判所、総合病院に大学、名門高校、何百軒のレストランやカフェ…駅徒歩圏で何でも揃う都会です。「ヒルズ」に住んでパラマタの職場で働いてる人はたくさんいます。
しかし面白いことに、ヒルズ在住で都会なパラマタを馬鹿にする人が結構多いのです。正確に言うと、パラマタを中心とする広大なWest地域を、貧乏だのガラ悪いだの言って馬鹿にするわけですが…
それは、ノースの成分の入ったNorthWest地域のプライドを維持するための「ヒルズ族」の自然な生理なのだと、私は理解しています。人間って良くも悪くも、誰かを下に見ないと、ステータスやプライドが維持できない生き物だよね。
でもって、そういうヒルズ族のプライドが、この地域の不動産価値やアッパーミドルな土地柄を維持している面もあると思います。日本でも、埼玉の浦和が大都会な大宮より不動産価値高いのは、文教地区のプライドのおかげだよね。
最後に、都会派パラマタ住人の私から、一言いわせて下さい。
「ヒルズ族が、プライド維持のために俺らを馬鹿にするのは分かるけど、自分の住所と分際をわきまえようね」
「ヒルズでもPennant Hillsあたりの住民に言われるなら、まあ納得するけど、Baulkham Hillsとかに住んでパラマタを馬鹿にするのは、恥ずかしいからやめようね。あなたたちの住んでる場所は、ヒルズの名前がついてるだけで、実質はパラマタ郊外でしょう?」
このように、居住地と社会ステータス競争は、どの国でもあります。不動産に関わる上で避けては通れないトピックなので、さらに考察を深めていきたいと思います。
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