グローバル不動産

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海外不動産は現地国の融資を優先すべし

こんにちはManachanです。ここ2日間、「東京→大阪(セミナー講演)→名古屋(宿泊)→東京(セミナー講演)→静岡(商談)→名古屋(セミナー講演)→東京」と、 新幹線で西へ東へ大移動。仕事が一段落して自宅に帰ったら、家族がハムスター2匹買ってきてました♪

今回の日記は、「海外不動産購入と融資づけ」のテーマで書きます。

 

私自身を含め、ブログ読者の多くが「日本国籍の日本在住者」という前提で書きますが、私たちが海外(日本以外)の不動産を購入する際に、果たして銀行融資を使えるでしょうか?不動産の所在国別に考えてみましょう。

 

☆英米圏先進国の場合、

一定水準以上の価格帯(目安は3000~4000万円以上)なら、現地国の金融機関から融資が受けられることが多く、日本人投資家の利用者も多い。現時点では、

・オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、イギリス…物件価格の60~65%程度まで融資が利用可能。金利3~5%。期間20~30年位まで。
・アメリカ…物件価格の50%程度まで融資が利用可能。金利4~5%。期間20~30年位まで。

 

☆東南アジア新興国の場合、

物件によっては、現地国の金融機関から融資受けられることもあるが、日本人投資家で利用者は少ない。主な理由は、融資制度の未発達と、金利水準の高さ(年6~10%以上)。

 

なお、物件所在国が先進国、新興国の如何を問わず、日本国内の金融機関で、海外不動産購入に対して融資を出すところがいくつかあります。なお、日本の銀行は海外不動産の担保評価をしないので、要は借り手の個人属性や資産背景を総合的に評価した上での融資になります。現時点では、次の3つが知られています。

 

☆政策金融公庫…日本国内で不動産賃貸経営の実績ある者に対して融資。物件担保の有無に関わらず金利は1%台と安い、融資期間は通常15年まで。2000万円までなら比較的借りやすい。

☆オリックス銀行…日本国内で十分な空き担保のある物件所有者に対して融資。担保必須。金利は2%台前半。

☆スルガ銀行…日本国内で十分なサラリーマン給与収入がある者に対して融資。金利7%前後だが、フリーローンで手軽に借りられる。融資期間は通常10年。

 

したがって、購入者(日本人投資家)からみると、こうなります。

 

☆英米圏先進国の物件を買う場合

・3000~4000万円以上の価格帯なら、「現地金融機関」と「日本の金融機関」どちらも使える
・それ以下の価格帯だと、「キャッシュ買い」、あるいは「日本の金融機関」を使う。

 

☆東南アジア新興国の物件を買う場合

・価格帯を問わず、「キャッシュ買い」、あるいは「日本の金融機関」を使う。

 

現実的にいえば、「先進国のまともな価格の物件」を買う場合のみ、「現地国の金融機関」か「日本の金融機関」の両方から選べるということになります。

その場合、今後のことを考えると「できるだけ現地国の融資を優先すべきだと私は思います。なぜか?

 

理由はシンプルです。どの国、どの都市の、どの銀行も、「取引実績」を重視します。もし、物件オーナーが遠方に住んでいればなおさら、「地元」(物件所在地)での融資・返済実績や口座の入出金履歴が、銀行にとっては大事な判断基準(稟議書のネタ)になります。

日本国内だって、東京在住の人が、札幌の収益物件を融資受けて増やす場合は、普通、札幌市や道内の金融機関との継続的なお付き合いを大事にしますよね?なかには、札幌に法人立てたり、一時的に住民票移してまで、地元の信金信組から融資ひく「つわもの」もいます。

物件が日本国外にあっても事情は全く同じです。例えば、日本人がオーストラリアの物件を買う場合は、たいてい、同国の4大銀行(NAB、ANZ、Westpac、Commonwealth)のいずれかから融資引くことになると思いますが、たとえ遠い外国在住であっても「オーストラリアの銀行から融資を引いた実績」が、次の物件取得につながるのです。

 

また、「現地国の物件担保ローン」をひくことが、後々、大きな意味を持ってきます。物件の担保価値が上がる場合は、価値上昇分がそのまま「エクイティ」(Equity、自己資金)になりますし、かりに価値上昇しなくても元本を返していけば、残債減少分が「エクイティ」として評価されます。

英米圏先進国では、「エクイティ」ができれば、それを使って次の物件取得もできるし、或いは、より有利な融資条件を求めて、他の銀行に乗り換えることもできます(※私はオーストラリアで、3回もローン借り換えました)。また、「ドローバック」(Drawback)といって、これまで返した残債の一定割合(80%程度)を、銀行から借りることもでき、緊急にお金が必要になった時に便利。

あと、マイナス金利の日本と違い、オーストラリアやニュージーランドでは、預金金利が年1 ~2%とかつきます。物件担保ローンと預金を同じ口座で同時にやれば、「オフセット」(Offset)といって、「預金金利稼いだ分を、そのまま無税で、金利分の支払いに充当する」ことができます。

 

何が言いたいのか?・・・現地国の金融機関から融資を引くと、「実績」になるほか、副産物として「値上がり分の自己資金充当」や「他行への借り換え」、「一時借り入れ」や「預金金利を使った返済金利負担軽減」までできてしまう。一方、日本の金融機関から融資受けた場合、こうしたメリットが一切受けられません。要は、日本で借りても、海外で資産増やす上でのレバレッジにならないのです。

あと、為替リスクもありますね。日本でお金借りると当然、日本円での返済になりますが、海外物件の家賃収入は当然、海外通貨建て。為替が円高に振れれば、それだけで金利負担が重くなります…そうした為替リスクを、借り手が負わなければなりません。

 

こうしたをもろもろを知っていれば…たとえばオーストラリアの不動産購入に際して、下記二つの融資オプションがあったとして、

・現地の金融機関で、豪ドル融資、金利4%台、期間20年

・日本の金融機関で、日本円融資、金利2%台、期間15年

 

これらを比べて、「日本の方が金利安くて有利じゃん!」と飛びつくことは、なくなるはずです。少なくとも私は、上の条件なら100%間違いなく豪ドル融資を選びます。

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俺みたいな不動産投資はするな!

こんにちはManachanです。いまセミナー講演のため、新幹線で大阪へ向けて移動中。

9/2(金)18:30~20:30 大阪セミナー(ハワイ不動産)
9/3(土)10:30~12:30 東京セミナー(カンボジア不動産)
9/3(土)16:30~18:30 名古屋セミナー(ハワイ不動産)

…という動線なので、新幹線大活躍なのですが、こういう時はJapan Rail Pass使って、旅費をものすごく低く抑えています。外国永住者の特権になりますが、7日間で29,100円、新幹線も特急もほぼ乗り放題という破格値。これを使って、アジア太平洋大家の会の地方セミナーを3回位やる。私が新幹線移動しても、会に請求する旅費が非常に安く済む…「究極のローコスト運営」に大いに役立っています。

 

今回も海外不動産投資ネタでいきます。私はこれまで200回以上の不動産セミナーを国内外各地で開催してきましたが、主催者として、結構困惑するのが、

 

「Manachanはこの物件買ってるの?

Manachanが買うなら俺も買う!

 

…みたいな会話。もちろん、初めての海外不動産投資は不安でいっぱい、判断するの難しいから私みたいな経験者の真似したい、という気持ちは痛いほどよく分かるのですが、それでも、

 

私が買ったかどうかという行動を、皆様の購入判断の基準にして欲しくありません!

 

これだけは、はっきりお伝えしたいです。私は不動産において、「俺も買うからみんなで買おう!」みたいなトークが嫌い。突き放したような話で恐縮ですが、これには2つの理由があります。

 

1)一人ひとりの資産背景やリスク選好は違う。私にとって最善だと思って買った物件が、他の方にとっても最善だとは限らない。

そして、

2)私は「良い子のみなさん真似しないでね」と言いたくなるような、ファンキーな物件を買うこともある。

 

1)は当たり前の話ですね。例えば、海外生活の長い私は、「犬肉のスープ」とか「蒸したカイコ」、「羊のペ〇ス」みたいな変な料理を好んで食べますが、日本在住の皆様が、これらを美味しいと感じて食べることは多分ないと思います。つまり、私にとっての最適解が、他人にとっての最適解とは限らないわけだし、

そして、投資で思うような収益が上がらなかった時、「Manachanを信じて買ったのに、こんなことになるなんて…」みたいな文句を言われても困るのです。誰が何と言おうと、投資は自己責任。あの「寅さん」も言ってたでしょう?

 

俺とお前は別の人間なんだぞ!早え話が、俺がイモ食えばテメエの尻からプッと屁が出るか

torasan

 

2)については、もう少し詳しく話しますね。私は投資家のみならず、「海外不動産のプロモーター、マーケッター」という顔を持つがゆえ、「資産形成」目的以外にも、いろんなかたちで不動産に手を出しております。

 

・私は日々、世界中のいろんな投資案件に参画しませんかと、各方面から声をかけられています。それに「ちょっとお付き合い」するかたちで、海外の物件を買うことがあります。

・海外不動産の共同投資も、いろいろやっています。たとえば、「45万ドル集めたけど、5万ドル足りないからManachan一口買って!」とか、「投資グループのまとめ役がいないから、少しお金出して参画して!」とお願いされることがあり、時々、そういう話に「乗る」こともあります。

 

こういう話、私はブログで発表したりはしないんですが、海外不動産売りたい業者さんが、「Manachanも買ってる物件です」と言っちゃうこともあるし、私も懇親会などの場で、話の流れで言っちゃうこともあるし…

でも、そういう類の投資話は、「投資先の国がすごく好きな数名のグループ」だったり、「特殊なリスクを背負えるファンキーな投資家の集まり」だったりするので、一般にはあまりお勧めできないものなんですよね。私が買ってるからといって、良い子の皆さんは、まぢで、こんなの真似しないで欲しいです。

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それを分かった上で、あえて、どうしても私の真似して買いたいというなら、「日本」と「オーストラリア」だけにしてください。

この2か国に関しては、私も10数年不動産投資続けてきました。無事、出口を迎えたものもいくつかあるし、不動産マーケットを読む方法、勝つ方法論も確立しているので、皆様の自己責任ながら、基本的に真似して買ってOK(その他の国に関しては、正直そこまで自信ないので私の真似は勘弁!)。

 

これって、「売却・利益確定を何度もやってる」から言えることなんですよ。日本国内の不動産投資だって、メンターにするなら「何度も利益確定している人」を選ぶべきでしょう?たまたま融資ひけて、1棟か2棟保有しているだけの人に師事すべきじゃないでしょう?それと同じことです。

さらに言えば、いまの海外不動産投資って、往々にして、「売却・利益確定まで経験したことのない」業者のトークを聞いて、投資家が判断するわけでしょう?その話が投資視点でどれだけ妥当性を持つのか、冷静に考えた方が良いと思いますよ。

「プレゼンのうまさ」や「会社の信用」よりも、「その国の不動産投資におけるトータルな経験」が、投資判断の材料としてより大きな価値を持つと思います。

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コミッション一切いただきません

こんばんは、Manachanです。福岡&台湾、1泊2日の弾丸出張から東京に帰ってきました。東京は9月に入っても残暑ですが、それでも蒸し暑さMaxの台北から直接帰ると、少しだけ涼しく感じますね。明日からは大阪と名古屋に出張、移動が続きます。

 

ところで、8月28日に書いた日記「業者主催の新興国数か国同時セミナーに思う」。ついに、当ブログ史上最高のページビュー数になりました。

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これだけたくさんの方が読み、そして、賛否両論が沸き起こっています。「よくぞ言ってくれた」、「揺るがないポリシーが素晴らしい」といった激励のメッセージもいただきましたし、同時に、疑念の声も聞こえてきました。その具体的内容は、次の二つの言葉に集約されます。

・Disる
・ステマ

 

どちらもネットスラングで、書くのもお恥ずかしい限りですが、意味はこうです、

Disる=軽蔑し、罵り・けなすこと。英語のDisrespectが語源

ステマ=ステルスマーケティング(Stealth Marketing)の略。 ステルスマーケティングとは、宣伝であると気づかれないように隠れて宣伝をすること。

 

要は、「Manachanは東南アジア不動産をDisっている」「Manachanは投資家面してブログ記事書くことで、カナダやオーストラリアの不動産が売れるように利益誘導する、ステマではないか?」と、陰で言われてるようです。

ま、何言われたっていいですが、こんなこと言う人って、発想が悲しいよね。「Disる」って「誰かの悪口を言う」ことでしょ?先日の物議を醸した(?)ブログ日記では、「東南アジアなど新興国の不動産は、先進国と比べて、目標利回りが実現しにくい客観的状況があり、それは投資家として知っておくべきだ」と指摘しただけで、特定の国や業者名に言及したわけじゃない。これを「Disってる」と言われたら(呆れて…)二の句がつげません。

「誰かの悪口を言う」のは時間の無駄だと私は思ってます。一投資家としていえば、「ライバルの悪口を言う業者」から物件買いたくありません。誰かの悪口を言うのが天に唾することだと分からない者にサービスしてもらいたくないですから…

あと、「ステマ」って何よ?そもそも私は海外不動産の業者ではないし、特定の国・業者の不動産が売れるように利益誘導したところで、一銭の得にもなりません。そもそも時間かけてステマをやる動機がないよね?

 

今日は2016年9月1日。私が主宰するアジア太平洋大家の会(APHOC)が、「業者からのコミッション(成約報酬)一切いただきません」。その原則が施行された、記念すべき日です。

それに先立ち、6月19日に、弊会がお付き合いしてきた30数社の業者様に宛てたメールを引用します。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
↓ 引用ここから

私たちAPHOCは、2011年2月の創立以来、5年半の間、「海外不動産に特化した大家・投資家の会」というユニークな立ち位置で運営を続けてきました。

海の向こうの不動産に投資するには、一にも二にも、「情報」が決め手になります。私たちは創立後ずっと、海外不動産の取扱業者様に、情報を大きく依存してきましたし、もちろん今でもそうです。

弊会が集客するセミナーに、業者様がご登壇いただく、その協業のモデルは、これまで「コミッションシェア」が主流でありました。つまり、弊会がセミナー開催費(会場費等)を負担し、セミナーの結果、成約者が出た場合に、業者様が得るコミッションの一部分を分けていただく、というかたちでやってきました。

 

大家の会の運営者の立場からいうと、このコミッションシェアは有り難い反面、いつかは克服したいと考えていました。というのも、弊会が業者様から報酬をいただくとどうしても、「会員に海外物件を売る」ことに寄った活動になりがちで、会としての中立性に懸念が出てくるからです。

そこで、2014年に私たちは、「コミッションシェアモデル」の他に、「セミナー開催費モデル」を一部導入しました。これは、業者様に定額のセミナー開催費をご負担いただき、私たちがその予算を使って会場確保・集客努力を行う。その代わり、コミッションシェアは一切しないモデル。言い換えれば、業者様は私たちAPHOCを「メディア」として使う方式です。

ですが、多くの業者様がコミッションシェアを希望される状況のなか、私たちのセミナーは現時点でも、「コミッションシェアモデルが約3分の2」、「開催費モデルが約3分の1」になっています。

 

ここから本題になります。

APHOC創立5年を過ぎ、かつ、我々以外にも多数の企業・団体が海外不動産セミナーを開催するようになった現在、私たちは今こそ「中立な大家の会」としての原点に立ち返りたいと考えます。そこで、

☆2016年9月1日以降、海外物件販売を目的とする弊会主催のセミナーは原則全て、「セミナー開催費モデル」に移行いたします。(中略)

☆セミナー開催費以外に、弊会が業者様から費用を取ることはありません。

☆成約しても、コミッションシェアはいたしません(手数料全部取ってください)。

(中略)

上記をご理解いただいたうえ、9月1日以降も、弊会との協業関係を続けていきたい業者様とは、変わらぬ良いお付き合いを続けたいと思っています。よろしくお願いいたします。

2016年6月19日
アジア太平洋大家の会 代表 鈴木学

↑ 引用ここまで
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

私たちは業者からのコミッションをいただかない。つまり、我々のセミナー経由で海外不動産が売れても売れなくても、弊会の収益には何ら影響しません(だから、ステマなんてやる理由ないんです…)。

私たちは、「海外不動産をセールスする業者様」と「海外不動産に興味ある投資家会員」を引き合わせることに専念する、「中立なメディア」として、これからも活動を続けていきます。

 

とはいえ、その活動には、事務所費用、社団法人の税務申告費用や地方税、システムの維持費用、セミナー会場費、名古屋、大阪、福岡への出張旅費など、それなりにお金がかかります。その財源はコミッションではなく、業者様からいただく「セミナー開催費」から捻出します。

我々のセミナー開催費は、業界の基準からすると、たぶん激安だと思いますが…でも固定費が出ていくことで、これまでお付き合いしていた業者が逃げていくことも予想しましたが、蓋を開けてみたら、ほとんどの業者様と、これまでと変わらぬ良いお付き合いを続けていますし、セミナーの頻度も減っていません。有り難いことです。

 

私の願いは、昔も今も変わりません。世界の不動産に目を向け、投資家として成長する力強いコミュニティをつくりたい。皆の情報と知恵と力を合わせて、投資利益を最大化したい…その理念に共感し、我々と共に歩んでくれる業者さんなら大歓迎します。

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新興国不動産の賢い買い方

おはようございます、Manachanです。昨日は日曜日、パパの家族サービスデイ。子供たち連れて映画見にいったりしました。今週からは泊まりがけの出張が多くなるので、今日ぐらいは家族と一緒にいないとね。

 

昨日の日記「業者主催の新興国数か国同時セミナーに思う」、蓋を開けてみたら物凄いPV数で、今年書いた文章のなかで第2位にランクイン。かなり専門的でマニアックな内容なのに、こんなに多くの方に読んでいただけるとは思わなんだ。

世の中、いろんな方がいるもので、読者のなかには、あの文章を「特定の国の不動産業者に対する中傷」だと解釈する方もいたようです。作者の私としては、特定の個人名や業者名を晒してるわけじゃないし、文章中にちゃんと根拠も示してるし、どうみても中傷ではないと思うんだけどな…

 

ブロガー・情報発信者として、私が常に大事にしている価値観は、3つ。

・不動産を心から愛していること

・グローバルな実践的不動産投資家として、各国で数々の経験を積み、それを皆様にフィードバックしていること

・常に投資家の方を向き、投資家利益の最大化のために仕事していること

 

海外不動産に関わる仲介業者の皆様とも、投資家利益にプラスになる仕事をしてくれる限り、良き友人としてお付き合いしますし、喜んでサポートします。但し、そうでない時は、噛みつくこともあります。私、業者からの評判はともかく、投資家仲間からの評判はものすごく気にする人間。その観点で、言うべきことはハッキリ言います。

 

で、今回の本題に入りましょう。

「海外不動産投資するなら、先進国と新興国、どちらが良いか?」

 

私、どちらかといえば先進国の方が好きです。でも、新興国の不動産もたくさん買ってますし、貸したり売ったり、あと不動産市場調査も精力的にやってきました。何だかんだ言って、ASEAN圏内の半分くらいの国に、自分のお金出して投資してますし、現在も進行中。

「新興国の不動産は、いろいろ問題があるけれど、攻め方を工夫すれば、十分アリ」

だと思ってます。

 

そういえば、こんなことがありました。1年ほど前にアジア太平洋大家の会のカナダセミナーに参加された方が、「あの当時、Manachanは、ベトナム不動産はダメと言ってた」というのです。

私が、どういう文脈でコメントしたのか、正直覚えていません。その方の投資目標をヒアリングして、「その目的実現のためにベトナム不動産はあまり適切ではない」と言ったのか?あるいはベトナム不動産の権利面のことを聞かれて、「外国人の不動産所有権に関して未確定な部分がある」と言ったのか?(その当時は、外国人の不動産所有権が事実上解禁される法律が施行されたとはいえ、細則がまだ決まってなかった…)

 

ただ、何の前提もなしに質問されて、私が、「ベトナム不動産はダメ」と断言することはありえません。なぜなら、

・どの国でも、「人間の住まい」や「事業活動の舞台」として、不動産が必ず存在するから。

・どの国でも、少なくとも自国民に対して、不動産に対する権利は、何らかのかたちで守られているはずだから。

・都市部では少なくとも、その権利が「経済的価値」を持つはずだから。

 

ベトナム不動産の話を、もう少し詳しくしますね。同国で外国人に対して不動産市場が事実上開放されたのはつい最近(2015年)ですが、そのはるか以前から、ホーチミン、ハノイの二大都市では、ベトナム人による「都市内の集合住宅居住」スタイルが一般化しています。

おそらく、ここ10年のことでしょうか。ホーチミンやハノイが拡大して市内の地価が大きく高騰して、一般の人が「土地付き一戸建て」を買って住むのが難しくなった。遠い郊外(下手したら隣県)からバイクで長距離移動する位なら、都市内の集合住宅で良いと思う人が増えた。そのニーズを追うように、地元民向けのマンション供給も大きく増えた。

今や、ホーチミン1区から半径5㎞以内で一戸建というのがそもそも珍しいし、10km圏でも集合住宅が爆発的に増えています。それを、地元のベトナム人が売ったり買ったり、貸したり借りたりして、彼らの間でマーケットがすでに形成されています。例えば、「ホーチミン10区ならマンション㎡単価いくら位」みたいな話も成り立ちます。

 

最近は、batdongsan.comtimnha.comなど、ベトナム不動産のポータルサイトも充実し、物件データ数も6万件を超えて、一応、ビッグデータ解析に耐えるようになってきました。そこにIT技術を駆使すれば、「ホーチミンやハノイ、各エリアの不動産売買・賃貸価格の㎡単価、平均値や中央値、標準偏差」が求められるようになっています。

 

【ベトナムでも、こんな方法でデータ解析できます】

vietnamdata

 

東京と同じように、ハノイにもホーチミンにも、それぞれのエリアの土地柄があり、地域毎に不動産相場が存在します。

【ハノイのハイバーチュン区は、下町。錦糸町・亀戸に相当】

hanoihaibatrung

 

【ホーチミンの9区は、高度成長期の埼玉に相当】

hochiminh9ku

 

「地域相場」が分かれば、いま売り出し中の物件が、それに対して割高なのか、割安なのか、という判定も可能です。いくつかの方法がありますが、私は「周辺事例比較法」と「偏差値」の概念をよく使います。

たとえば、日本人向けに売り出されたベトナム物件が、「地域における偏差値60」(トップ16%位)の値段で出ていたとします。この物件に「地域で偏差値60以上の立地、グレード、競争力」があるなら、不動産本来の価値より割安に買えるという判断になります。

私の分析データによれば、たとえば、「ハノイのTimes City」や「ホーチミンのLavita Garden」は、地域相場からみて「割安」の判定が出ました。こういう物件は、「長期保有」前提で、「現地で物件管理・転売サポートするしっかりした会社」があれば「買い」だと思います。

timescitylavitagarden

(割高判定が出た物件もあるけど、それ公開しちゃうと、また誰かから「中傷」だと言われかねないから、やめときますね。)

もし、「長期保有前提」でもなく、「現地で物件管理・転売サポートするしっかりした会社」もあやふやだとしたら、ベトナムあたり「外国人マーケットで競争力のある、すぐ出口の取れる物件」を買うべきでしょうね。

 

以上が、私の提唱する「新興国で割安物件をGETする方法」になります。この内容をセミナーで解説するには、私も何度かやりましたけど「都市の概要、各エリアの特性、交通網」から、「各エリアの相場データ」「割安・割高判定のその根拠」、「想定されるリスク」まで説明しなければならないので、ハノイ&ホーチミンだけでもたっぷり2時間近くかかります。

その経験があるから、私は「業者主催の数か国同時セミナー」には懐疑的なんです。各都市で説明時間が20~30分しかないと、頑張っても「物件説明」と「表面的な数字の説明」位しかできない。どうしても「売らんかな」になっちゃうし、投資家に十分な情報を与えて判断させることにならないから。

 

最後に、海外不動産を目指す日本の投資家に「十分な知識と判断力を与えて、より賢くする」ことに共感する業者様であれば、先進国、新興国を問わず、私は一緒に仕事したいです。

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8/13(土)シドニーで不動産セミナーやります

こんにちは、Manachanです。オーストラリア・ケアンズ滞在8日目にして、初めての雨天。一日中降り続きそうなので、今日はゆっくり家で過ごします。

明日から1週間ほど、旅にでます。オーストラリア国内のみですが、大きな国なので移動距離は相当なものです。この全ての都市で、がっつり不動産視察をする予定。海外不動産プロモーション仕事で協業している、独立系国際不動産コンサルタント・市川隆久氏が全行程同行します。

 

8/8~10 ブリスベン・ゴールドコースト
8/11   ケアンズ
8/12~14 シドニー
8/15   メルボルン

 

シドニー滞在中の8月13日(土)、14~16時に、不動産セミナーを行います。シドニーでの講演は2年ぶりになります。

8月13日 世界の不動産-今どこの国を買うべきか@シドニー

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■日程 2016年8月13日(土)14:00~16:00

■会場:Level 9, 55 Hunter Street, Sydney NSW 2000

■参加料金:20ドル (会場で直接お支払いください)

■申込リンクは、こちら
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内容としては、世界でも不動産価格の高騰が著しい都市として知られるシドニー在住の日本人に向けて、日本を含めた世界数か国の不動産マーケット事情を解説し、それぞれの国で「ちゃんとお金が残る物件」の選び方を詳しく説明、その観点からみたおすすめ物件をいくつか紹介します。

紹介する国・地域は、

・日本
・アメリカ
・イギリス
・ASEAN(タイ、ベトナム等…)

 

2年前のシドニーセミナーでは、日本の不動産にフォーカスして紹介しましたが、今回、日本以外の国・地域も同時に紹介する理由は、いくつかあります。

 

・アジア太平洋大家の会で世界15か国・地域の不動産セミナーをこなし、かつ自分も世界各国で現地視察を重ねてきて、数か国の不動産を同時に語れるノウハウが蓄積されてきた。

・一つの国・地域の不動産だけを語るセミナーだと、他と比べて最良なのかどうか判断できない。世界中、人間が経済活動を営む場所には必ず不動産市場があり、それぞれの特徴、良し悪しがあるのだから、それをダイジェスト版で語る方が聞き手にとって有益だと思う。

・不動産投資の成功・失敗の要因として、「良いタイミングで安く買えるかどうか?」が占めるウェイトが大きい。世界中を俯瞰すると、いま高値の都市、安値の都市があり、それぞれのタイミングが異なるので、その意味でも、複数の国・地域を同時に語る意味があると思う。

 

数か国の不動産を同時に語るセミナーは、講師に相当の知識と経験が必要ですが、私と市川氏のコンビは、この領域では日本有数のノウハウを持っていると自負しています。それを全てシドニーに持っていきますので、皆さま楽しみにしていてくださいね。

 

「毎月、世界中で不動産をみている」私と市川さんのコンビで、セミナーお届けいたします。

ichikawasuzuki

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海外不動産の割安or割高判定法

こんばんはManachanです。

海外不動産投資の活動、もう長年やってきました。世の中、こんなテーマを続けてる奴は少ないので、いろんな方から、よく聞かれます。

「Manachan、今から海外不動産買うなら、ぶっちゃけ、どの国がオススメですか?」

そう聞く人の気持ちはよく分かるんですけど、でも「オススメの国はどこ?」と聞かれても答えるの難しいです。なぜなら、不動産はひとつひとつ違うから・・・

 

これがFXだったら、オススメの国は比較的答えやすいですよ。通常、独立国に通貨は一種類しかない。「タイ」なら「バーツ」だし、「トルコ」なら「リラ」だし、「南アフリカ」なら「ランド」だから。

「FXやるなら、どの通貨がオススメ?」と聞かれれば、その人がスワップポイント狙いなのか変動益狙いかにもよりますが、前者であれば「高金利の通貨」をオススメし、為替が相当動いてもロスカットされない十分な証拠金を積んでおくことをアドバイスします。レバレッジは25倍までかけられるけど3~5倍程度に抑えたいですね。

 

でも不動産の場合は、一つの国、一つの都市内に、それこそ無数に存在します。東京にはお宝物件もあり、同時にカス物件も多数存在しますが、それは海外都市でも全く同じです。

ハワイやニューヨークだから安心できる、ベトナムやフィリピンだから将来キャピタルゲインが狙えるとよく言われますが、それらの国・都市にどーしようもないカス物件は山ほどあるし、カス物件だと知らずに堂々と売ってる業者だってたくさんいるのです。

 

カス物件とは何か?それは地域の不動産マーケットと比べた時の相対的な概念です。たとえ「立地」や「物件状態」が他より明らかに劣っていても、ものすごく安い価格で買えればオーナーの腕次第ではお宝物件になるかもしれません。でも、次のような物件は、投資視点でみれば明らかにカスです。

・市場価値や地域の購買力と比べて割高な物件
・地域の居住ニーズに合わない間取りやデザインの物件
・コストをかけてバリューアップしたり、新たな賃貸経営手法を導入しても収入に結びつかない物件

 
私たちは、どの国・都市の不動産を狙うにせよ、カス物件をつかまず、お宝(になりうる)物件を賢く選んでお金を増やしたいものです。「カス・お宝判定」には、「国・都市レベル」より、さらにミクロな「所在区や最寄り駅レベル」のミクロな不動産マーケットの知識・理解が欠かせません。

では、どのように調査し、考えていったら良いのでしょう?私の提唱する一つの方法は

 

「物件所在地域の㎡単価を偏差値づけ」

 

偏差値は、中、高、大学受験で皆様にお馴染みの概念かと思いますが、大勢の生徒が受けたテストの点数を上から順に並べた時に、真ん中に来るものを「偏差値50」とする。そして、点数データの分布が「偏差値50」を頂点とした左右対称の山形で表示される(=平均点付近の点数をとる生徒が一番多く、そこから離れるほど生徒数が少なくなる)と仮定した時、次のようになります。

偏差値70⇒トップから2.3%
偏差値60⇒トップから16%
偏差値50⇒トップから50%
偏差値40⇒トップから84%
偏差値30⇒トップから97.7%

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これを不動産の世界に当てはめるとどうなるでしょうか?簡単な例を考えると、たとえば「駅からの距離に応じて物件価値が決まる」街があったとします。具体的には、首都圏郊外の通勤圏の駅(例.千葉県の船橋駅や柏駅)をイメージすれば良いでしょう。前提として、

・駅利用圏は、徒歩15分圏内のみ。
・15分圏内は、同じ密度で、びっしり住宅地が広がっている。
・他の駅の存在は考慮しない。
・駅からの距離が近いほど住宅坪単価が高い。

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その場合、

1)駅5分圏内に100戸あると仮定
2)駅10分圏内の面積は1)の4倍(2x2)だから、400戸ある
3)駅15分圏内の面積は1)の9倍(3x3)だから、900戸ある

⇒この街で、駅歩ちょうど5分の物件は、坪単価の高い方から数えて11%(900戸中100位、偏差値62程度)になる。

⇒この街で、駅歩ちょうど10分の物件は、坪単価の高い方から数えて44%(900戸中400位、偏差値51~52)になる。

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前置きが長くなりましたが、この理論を、実際の東南アジア物件に当てはめてみましょう。

バンコク都心部に「トンロー」(Thonglor)という、人気の高い駅があります。このエリアはタイ人の憧れの住地で、日本人もたくさん住んでいます。この駅利用圏内の売買単価は、

㎡単価 93,571バーツなら⇒偏差値50 (トップ50%)
㎡単価 139,234バーツなら⇒偏差値60 (トップ16%)
㎡単価 184,897バーツなら⇒偏差値70 (トップ2.3%)

 

このトンローの駅歩3分のところに、Urbitiaという物件がプレビルドで売り出されました。㎡単価は16万5千バーツ。その価格は地域相場からみて割高なのか割安なのか?

単価16万5千バーツは、トンローにおける偏差値60と70の中間くらい、順位でいえばトップ7%程度です。ですのでUrbitiaが地域トップ7%に相応しい物件であればOK、そうでなければ割高という判定になります。

単純に駅距離だけで考えましょう。実際、トンロー駅は駅15分くらいまでびっしり住宅地化されてますから、

駅3分(240m)圏内⇒面積0.18km2
駅15分(1200m)圏内⇒面積4.52km2

仮に駅距離に応じて資産価値が決まるのなら、駅ちょうど3分だと、「452番中18位」(トップ4%)に入りますので、「地域トップ7%以内」という上記の条件は満たしています。よって割高ではなく、適正価格(かえって割安)という判定になります。

(実際には駅距離だけでなく、築年数とか建物構造・グレード、賃貸相場などを見ていかなくてはなりませんが、タイの不動産をそのレベルで分析できるようになるには、もう少し時間がかかるでしょう。)

urbitia

 

タイ以外の不動産でも計算してみましょう。たとえば、ベトナム・ホーチミン市。9区とトゥードゥック区の境、あと数年後に完成する鉄道駅から徒歩3分の場所で建設中のコンドミニアムLavita Gardenの場合はどうか?

lavitagarden

 

㎡単価 658~687USドルなら⇒偏差値50 (トップ50%)
㎡単価 786~800USドルなら⇒偏差値60 (トップ16%)
㎡単価 890~943USドルなら⇒偏差値70 (トップ2.3%)

 

そのLavita Garden、平均の売出価格は786.44ドル/㎡でした。つまり偏差値60、地域トップ16%に入っていれば判定OKになります。

この物件は現時点はともかく、2020年前後には「駅歩3分の優良立地物件」になりますので、間違いなく地域トップ16%には入るはず。だから割安の今のうち買っておくのは良い、という判断になります。

 

今回紹介した「地域の㎡単価を偏差値づけ」という方法の他にも、「DCF法」とか、「グロス論」とか、いろんな手法で不動産の割安・割高を判定することができます。地域特性や入手可能なデータを考え、最適なものを選んでいけば良いでしょう。

今後は、海外不動産の世界にも「客観的数値に基づいた物件分析」がもっと一般的になり、人々が収益性の良い物件を選びやすい環境が整うようになることを願ってやみません。

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海外不動産「情弱ビジネス」を超えて

こんばんはManachanです。10日間にわたる東南アジア滞在から無事帰国しました。今回の日記は、私が「アジア太平洋大家の会」で5年以上取り組んできた「海外不動産セミナー」について書きます。

私たちが会を立ち上げた2011年当時と比べると、今は海外不動産を取り扱う業者数が格段に増え、特に東京では毎週のように、アジア、北米、欧州、オセアニア…世界各国の不動産案件を紹介するセミナーが行われています。もっとも、セミナーで得られる情報のクオリティは、今も昔も玉石混交。「イケてない業者による、ダメなセミナー」は多数あり、なかなか淘汰されていきません。

その典型例が、「情弱(情報弱者向け)セミナー」とよばれるもので、次の特徴があります。

・海外不動産投資で利益をあげるだけの知識や判断能力(リテラシー)を備えていない業者がプレゼンする。

・その講師よりも、さらにリテラシーの低い人たちが受講する。

 

今の東京ではいろんな国・地域の不動産を扱うセミナーがありますが、所謂「情弱セミナー」で使われるフォーマットは、それこそ判で押したように似てまして、、

・日本の人口減少と経済・財政不安、地震・放射能リスクなど、「日本の将来のヤバさ」を強調する。

・それと対置して、海外(不動産売りたい国)のバラ色の情報を与えて、「今がチャンス、すぐ買いましょう!」と煽る。

 

日本にいろんな問題があることは誰も否定しないし、将来不安があるのもその通り。ただ、同じ座標軸でフラットにみた時、「日本がヤバいのは分かるけど、でも、その海外の国は本当に問題ないの?」と正面から問われると講師がまともに答えられない。問題をきちんと整理して答えるだけのリテラシーがない。

特に昨今は、世界中の経済が変調してるから、海外に関する知識があって、まともな思考力のある人なら、「日本がだめで、海外は大丈夫」みたいな二元論に妥当性がないこと位、すぐ見破ってしまう。

業者側は、それが分かってるから、自分たちよりさらにリテラシーの低い人たちをセミナーに呼んで、お客さんにするわけです。その構図は、日本国内の不動産投資における「二大情弱セミナー」に酷似しています。その心は、

1)不動産投資を知らないサラリーマン向けの、「新築ワンルームマンションセミナー(恐怖の満室想定グロス4%)」

2)不動産投資を知らない地主向けの、「土地活用・建売マンションセミナー(なんちゃって30年家賃保証つき)」

 

いずれも、リテラシーの低い人たちの不安や射幸心を煽って、結果的に自分たちの売上利益が最大になるように誘導する特徴があります。不動産投資を少しでも知ってしまえば、「こんなもの買ってもカネにならない」ということが分かるし、「人様に損させるような、こんな商品売りたくない」みたいな良心がうずく人も出てくるでしょうが、そこはうまくできたもので、「営業マン使い捨て」システムにより、結局「リテラシー低い営業マンが、さらにリテラシー低い客に売る」構図が延々と続いていくことになります。

ことが海外不動産になると、国内不動産よりさらにウブな世界になります。海外の経済や不動産市場に関する知識が、国内に比べて圧倒的に乏しい上に、言葉の壁があって、多くの人はセミナーで得たあやふやな知識を、検証する術もないから…

 

こんな状況だから、私思うんです。「海外不動産で大金を手にするなら、たぶん、情弱ビジネスやるのが一番効率が良い」と…私は世界各国の不動産情報が集まってくる立場にいるから、やろうと思えば、まじで、できちゃうかも。

でも、やりません。私は、そんなつまらんことやりたくないし、不安煽って高額商品買わせるスキルもない。それに、人様に損させる商売なんて長続きしないでしょ?

それよりも、セミナー参加者(会員)とともにリテラシーをどんどん高めて、海外の不動産投資でどんどん成功して、皆で豊かになりたい。この世界で、末永く、活躍していきたい。その気持ちで、5年前にアジア太平洋大家の会を立ち上げましたし、その心は今も変わっていません。

 

海外不動産をネタとして扱いつつ、情弱ビジネスに堕さない工夫は、何か?これまで、いろいろ試行錯誤してきました。

 

1)自分が海外不動産では「業者」の立場に立たない。「投資家」に徹する。

海外不動産を「業」、というか、メシのネタにしてしまうと、時には利益をあげるために、コミッションの高いクズ物件も売らなきゃならなくなり、結果、大家仲間である「会員」と利益相反してしまう。だから業者にはならないと、設立当初から決めていますし、今でもそうです。

ただ、「業者にならない」原則を、何があっても墨守するかといえば、そこまで厳しく考えていません。現実には、業者のポジションをとった方が、より多くの情報・スキルを得られることもあるのです。いまの私は、海外不動産の取扱業者ではありませんが、彼らの一部業務の代行くらいはやっています(特に頭を使う高付加価値の業務)。

いまの到達点からみれば、自分が業者になるかならないかよりも、「生活に困ってない」ことが大事かもしれませんね。家族や社員を食わせるためにプレッシャーを感じると、意に染まないクズ物件を紹介する羽目になってしまうかもしれない。でも食うに困らなければ、自分の良いと思うことだけやれる。

「生活に困らない」ためには、「低コストでオペレーション」することが大事。いまの日本では、人を雇ったり、外注したりすると高くつくことが多い。だからアジア太平洋大家の会の運営に関しては、私と副会長の二人で、自分でメルマガ書いて、自分でシステム構築・運用して、自分でセミナー動画撮って編集・配信して、作業外注するにも単発アルバイト程度…それを5年間続けてきました。あと移動も激安LCCか激安高速バス、宿泊は激安ホテルが基本です。

あとは、「生活に困らない」だけの収入を得ることも必要ですね。いまの私は海外不動産を主なメシの種にしてない代わりに、国内不動産の売買仲介で生活しています。こちらは、外国人を相手にすることもありますが、ガッツリ、ビジネスしてお金いただいてます。

 

2)会員・セミナー受講者の海外不動産リテラシー向上を主目的に掲げる。

こちらも、会の設立以来、心がけています。私たちが目指すのは海外不動産の販売セミナーではなく、受講者が海外不動産の情報や知識、スキルを高めるためのセミナーです。

ただ、私たちの主催セミナーは、業者の販売セミナーと、一見、区別がつきにくいかもしれません。現時点では、業者が私にアプローチしてきて、「この物件売りたいから協力して欲しい」という依頼から、セミナーを組み立てることが多いからです。

ただ、内容に関しては、毎回、セミナー講演資料に目を通して、会員の知識・リテラシー向上に寄与するよう、所謂「情弱セミナー」フォーマットに堕すことがないよう、業者さんにガッツリ要求させていただいた上で、セミナーを開催しています。

また、上記のような物件販売セミナーの他、会の独自企画として「失敗体験の共有セミナー」とか、「海外物件の管理・入居づけセミナー」とか、「融資づけセミナー」、「海外不動産の税務・法務セミナー」などを開催しています。

 

3)業者からコミッションをもらわない?

これも会の運営上、大事なテーマです。私たちが業者から販売コミッションをもらう問題点は、主に二つあると考えます。一つは、「コミッションもらうと、会員に物件買わせる方に誘導してしまう」リスクがあること、もう一つは、「万が一、業者が違法行為をして訴えられた時に、コミッションをもらってると共同不法行為に問われる」リスクがあることです。

それは本意ではないので、私は、販売コミッションをもらうよりも、コミッションをゼロにして、代わりに、セミナー開催費を業者からいただく方向に、移行しようと試みてきました。でも実際は、業者側からコミッションシェアにして欲しいという要望も強いのです。理想と現実のはざまで、柔軟に、ケースバイケースで判断しています。

 

こんな感じで、皆様の知識、リテラシー向上に役立つ海外不動産セミナーをお届けしようと、5年間、頑張ってきました。まだまだ改善点は多いですし、引き続き、進化を続けていきたいと思います。

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海外不動産とパートナー考

おはようございます。Manachanです。

私はいま、日本で宅建業者として収益物件の売買仲介を行い、日本人や外国人のお客様にサービスしています。そこで種銭をつくって、東南アジアやオセアニアを中心とする海外の不動産に投資しています。

日本国内に関しては、実需で買う不動産こそ「大手の会社が安心」という観念がありますが、収益不動産に関してはほぼ、「どこから買っても同じ」状況になっていると思います。私自身も、また不動産投資仲間も、物件そのものの収益性(立地や企画、賃貸適性や土地建物の資産価値等)は気にしても、「どの会社から買うか」はあまり気にしません。だからこそ、私みたいな弱小業者が、収益不動産の仲介で食っていけるわけで、有難いことですね。

ですが、私たち日本の投資家が海外の不動産を買う場合、同じモデルでは投資できません。物件自体が飛行機で何時間以上かかる遠隔地にあるうえ、言葉も法制度も税金も権利関係も商慣習も売買・賃貸プロセスも全てが日本と異なる…そんな場所で投資する以上、投資収益自体が、「現地パートナー」の働きに大きく左右されてしまう面があります。

海外不動産は、何を買うかより、誰から買うかが大事」という言葉がありますが、現時点では、特に新興国においては、その言葉の通りだと思います。現地の不動産事情に通暁し、契約まわり、銀行口座開設、入居づけ、現地デベロッパーや管理会社との調整、トラブル対応など、投資家の立場に立って代行してくれる業者の働きなくして、海外不動産投資の成功は難しい。

私は英語中国語はじめ、いろんな言葉ができるし、海外で10年以上不動産投資して経験もそれなりにありますけど、それでも、日本で忙しい仕事をしながら、海外物件に関するもろもろの作業に時間かけてられないので、対価を払って現地業者にサポートお願いして「時間を買って」ますし、今後もそうするつもりです。

とはいえ、実際にはいろんな問題が起こります。なかでも大きなリスクは、「現地パートナーの心変わり」だったりします。

不動産投資・運営は、通常、数年~数十年の中長期にわたりますが、その間に、人間は変わってしまうものです。海外不動産で特によくあるパターンは、

1)最初は人を騙すような人じゃなかったのに、数年経つと、客の金を持ち逃げする等の悪事を働くようになる。

2)不動産仲介が思うほど儲からないと分かると、「やーめた」と言って、他の事業に力を入れ、不動産の仕事をおろそかにする。

 
1)に関しては、「お金が儲かりすぎて人変わり」するパターンと、「お金に困って人変わりするパターン」の両方あるように思います。身の丈にあわない大金が入ってしまうケース、逆に社員への給料支払いや生活に困ってしまうケース、いずれの状況も、意思を相当強く持たないと、身を亡ぼしてしまいますね。

2)に関しては、「不動産が好きなわけではなく、儲かりそうだから不動産を扱ってみた」人によくあるパターン。他業種からの参入組に特に多いですね。その業者にとって、「儲かる」ことが不動産をやる意味なわけで、「儲からない」場合、あるいは、「他のビジネスの方が儲かりそう」な場合は、にわかにモチベーションが下がってしまうのです。

 

私はアジア太平洋大家の会の代表として、これまで、世界各国の不動産を扱う業者さんと多数、付き合ってきましたし、今でもそうですが、信頼できる業者の見極めは非常に難しい。

2)に関しては、かなりの精度で見極められますよ。私自身、不動産が好きで好きでたまらない、三度のメシより好きな人間なので、話していれば、「あ、こいつ、不動産のこと好きじゃないんだな」というのは雰囲気で分かります。

1)に関しては、難しい。そもそも、業者さんが金に困ってない段階で接触するわけですし、セミナーやった後、2~3年後に金に困って人変わりするのか、あるいは俄か大金が入って人変わりするのか…そのことは、接触時点ではまず予測できません。

たいていは、セミナーやってしばらくして、「あっ、こいつ変だな」と勘づくことがあり、それが確信に変わったら、会員向けにメルマガで注意喚起したり、その業者のセミナー開催を中止したりしますが、私にできることは、それ位です。

 

人は変わるものですし、自分だって他人のことはいえません・・・その前提に立つと、「海外現地において、投資家の立場に立ってくれる有能なパートナーを、随時見つける能力や、良くないパートナーを切る勇気」、言い換えれば「パートナーの人変わりリスクをマネージするスキル」が大事なのかと思います。

これに関しては、私もまだ修行中です。まだ至らぬことは多々ありますが、引き続き頑張ります。

 

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円高の時代再び

こんばんはManachanです。7泊8日、タイ&台湾への家族旅行からようやく帰国しました。

今回は、行き帰りとも台北経由の中華航空便を使いました。面白いことに台北の位置は東京‐バンコクのほぼ中間点にあり、距離のロスがほぼありません。あと、冬季は東京とバンコクの温度差が激しく(約20度)、常夏のバンコクから真冬の東京に帰る時が辛いですが、途中に台北を挟むと、バンコクと台北の温度差が約10度、台北と東京の温度差が約10度なので、寒さに徐々に慣れていく意味でもおすすめです。

バンコクから台北に降り立つと、距離的には東京までの中間点とはいえ、人々の顔立ち、街並み、自動販売機の多さ、漢字使用…いろんな意味で、日本にぐっと近づいた感じがします。昨年、ベトナム・ホーチミンへ出張した際にも台北経由にしましたが、同じように感じましたので、アジア圏のなかでも台湾の「日本っぽさ」は際立つのかもしれませんね。

 

ところで、今回、タイ国内の両替商をチェックしたら、「1万円が3000バーツ越え」のレートでした。アベノミクスで円安に転じて以来、タイバーツのレートはずっと「2500」とか「2700」でしたので、千の位が「3」になるのを見たのは、ほぼ3年ぶりかと思います。「円の価値が、ずいぶん上がってきたなあ」というのが正直な実感。

海外のいろんな国で投資をしていると、ここ数年の、為替の目まぐるしい変化を体感します。リーマンショックあたりまでさかのぼると、こんなストーリーになるかと思います。

 

2008年後半~ リーマンショックで世界同時株安、極端なリスクオフの動きになり、資源国通貨や新興国通貨が暴落、安全通貨として日本円や米ドルなどが買われた。例えば豪ドルが107円からわずか2か月で55円まで下がるという極端な動きをした。

2009年~  欧米日先進国が軒並みマイナス成長に苦しむなか、前年11月に「4兆元景気対策」を打ち出した中国が、低迷する世界経済の救世主となるという見方が優勢になる。中国経済に牽引されるかたちで、豪州カナダなど資源国の経済が先進国では真っ先に回復。人民元と豪ドルカナダドルなどが買われた。

2010年~  米国の金融緩和(QE1, QE2)の影響が為替に出はじめ米ドル安が進む。QEで大量供給された米ドルが南米、中近東、東南アジアなど新興国に流入し、経済成長に貢献。不動産市場も盛り上がりはじめる

2011年~  米国のQE継続で米ドル安がさらに進み、豪ドルやカナダドルより安くなる。日本では東日本大震災が起こったが米国のような金融緩和をしなかったことで円高が進み、1米ドル=70円台になる。円の購買力からみると世界中どこで買っても安いので海外不動産投資がブームになる。

2012年後半~ 日本で第二次安倍政権発足、米国のQEをモデルとする「アベノミクス」により一気に円安に転じ、わずか1年半で米ドルや新興国通貨に対して4~5割も下落。

2013年~  米国経済が緩やかに回復をはじめ、QEの縮小も発表されたことにより、米ドルが上がりやすくなる。

2014年~ 中国経済の減速懸念、米国のシェール革命などにより、エネルギー価格が暴落する「逆オイルショック」がはじまり、ロシアルーブルが暴落、豪ドル、カナダドル、マレーシアリンギットなど資源国通貨もじりじりと下がる。

2015年~ ついに中国の株価ショック、人民元切り下げが発生。新興国や資源国通貨も影響をモロに受け下がる。一方米国はQE終了と利上げを実施、「世界で米国の一人勝ち」の見方が強まり、ユーロ圏も金融緩和をはじめたことで、米ドル独歩高になる。日本円は米ドルに対して横ばいだが、資源国や新興国、欧州通貨に対して、じりじりと値を上げ始める

2016年1月~ 中国経済の減速止まらず、米国をはじめ世界の株価が同時安になる。リーマンショックを彷彿させるリスクオフ局面になり、安全通貨として日本円が買われる。

 

特に今年に入ると、世界のどの通貨に関しても円高が顕著になってきました。図にすると一目瞭然ですね。

 

対 先進工業国 (米ドル、ユーロ、英ポンド)

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先進国&資源国 (豪ドル、カナダドル)

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対 新興工業国 (中国人民元、タイバーツ、フィリピンペソ)

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対 新興国&資源国 (マレーシアリンギット)

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特に、豪ドルやマレーシアリンギットなど、資源国の色彩の強い通貨の下げは大きく、なんと2011~12年の超円高だった時代とほぼ同じ水準まで下がってきています。言い換えると、これらの通貨に対する日本円の購買力は、過去5年で最高になっているということです。

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円高に触れると、輸出産業やインバウンド産業は厳しくなりますが、いま円を持ってて、海外資産に変えたいという人には好都合ですね。

今後、為替がどうなるかは、中近東~ロシアや中国の情勢・動向如何で大きく変わってくると思いますが、かなり不安定であることは間違いないですね。人々を先行き不安にさせるニュースが増えれば増えるほど、日本円は買われやすくなると思います。

 

より巨視的にみると、今は世界経済に「構造的な需要不足」が起こっていて、「成長のエンジン不在」であるのが根本的な問題だと思います。「先進国も新興国も、今は内需拡大に頼れない」し、「財政赤字を増やす政策は概して好まれない」、「利下げで景気刺激したくても、ほとんどの先進国がゼロ~マイナス金利だから、余地がない」。だから結局、「外需に頼る拡大」を志向することになり、その手段として「金融緩和による通貨安競争」になるという構造。

先進国でいうと、2009~12年は米国の番、12~14年は日本の番、15年以降はユーロ圏の番…みたいに、各国持ち回りで人為的に通貨安にしているようなイメージかな。でも、日本やユーロ圏みたいに人口増えないところで、多少の通貨安にしても経済のパイはなかなか増えないから、結局、米国頼みになる。でも、米国経済大して良いわけじゃないし、実は利上げとドル高で結構つらい。今は中国までも通貨安競争に参戦してる位だから、2016年米国経済が順調に成長してドル高継続というシナリオは、楽観的すぎるかも。経済成長するのがつらい時代ですね。

 

エネルギー価格は、当分安いまま → 資源国通貨は弱含みでしょう。

中国も、当面は調整局面でしょう → 人民元や新興国通貨も弱含みかな

ユーロ圏も、緩和・マイナス金利やっても経済良くなる感じがしない → ユーロやポンドも弱含みでしょう

唯一の頼みは米国だが… → 本音をいえば米ドル下げたいでしょうね

 

2016年は、全般的に考えて、日本円が安くなる要因が少ない。高くなる要因は結構たくさんある・・・為替だけみると、今年は、海外不動産の仕込み時かもしれませんね。アジア太平洋大家の会でも、各国の不動産セミナー用意してます。興味のある方、是非いらしてくださいね。

 

1/14 (木) ベトナム不動産投資セミナー  (ベトナムドン=0.0052円 です)

1/21(木)カナダ不動産投資セミナー (カナダドル=82.7円 です)

1/30(土)オーストラリア不動産投資セミナー (豪ドル=81.6円 です)

2/3(水)ニュージーランド不動産投資セミナー (NZドル=76.3円 です)

 

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世界をフラットにみる視点

こんにちは、Manachan@家族で台湾滞在中です。今回は、海外投資を成功させるのに大事な、「世界をフラットな目でみる視点」というテーマで書いてみます。

私がこの話をする上で、示唆に富んだ題材として、「岡田斗司夫メルマガ」をとりあげます。私、数年前からこのメルマガを愛読しており、岡田斗司夫氏の視点や人生哲学に大きな影響を受けています。昨年は女性スキャンダルがあり身辺も大変だったようですが、それを境に吹っ切れたのか、彼のメルマガ相談のクオリティがさらに洗練されてきた感があります。

今朝のメルマガから引用します。

 

【質問】「男の自撮りがキモいのはなぜですか?」”女の子の自撮りは可愛いのに、男の自撮りがキモいのはなぜでしょうか?”

【岡田斗司夫の回答】女の子の自撮りもキモいよ。女の子の自撮りを可愛いと思うのは、僕らが心の中に女子を飼ってないから。自分の心を女子に切り替えるとちゃんと気持ち悪い自撮りはナンボでもあるよ(中略)世の中には可愛くない女子の自撮りも無限に存在するし、笑える男の自撮りも無限に存在するからね。全体をフラットにみればそうでもないと思う。

 

なるほど。「心の中に女子を飼う」…実にうまい表現ですね。

男子が、自分の心のなかに女子を飼う」のが簡単ではないように、

日本の外で暮らした経験のない日本人が、自分の心のなかに外国人を飼う」のは、結構難しいことかもしれません。

 

自らの心のなかに、「日本人」と「外国人」を同時に飼うことができれば、すなわち「日本と外国を同じ基準でフラットにみることができる」ということ。これは海外投資で成功する上で、大事なリテラシーの一つだと思います。

外国、どの国でもいい、そこに生活者として暮らしてみれば、日本とは違う当地の物価・収入水準、住まい方、消費生活スタイル等を体験できるはず、同時に日本との共通点も見いだせるはずです。そういう経験を通じて、「○○国の生活者」という視座ができて、「日本の生活者」の視座と共存していく。

私の場合、日本育ちで、大人になってからオーストラリアに5年、中国に2年、台湾に1年、インドとアメリカに半年づつ、生活者そして給与稼得者(サラリーマン)として暮らしてきました。自分が現地でお金を稼ぎ、その範囲内で暮らし、マイホームや投資物件も買ってきた…その経験を通じて、「現地在住者の生活実感」を養ってきました。

 

たとえば台湾では、こんな場所に住んで、台湾人と一緒に働き、同じメシを食って日々暮らすことで、「生活実感」が養われるわけです。

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卑近な例からいうと、「台北に暮らすフツーの台湾人にとって、150元(約550円)の昼メシは高いのか安いのか?」、「台北市内のファミリータイプ家賃として月額3万元(約11万円)は高いのか安いのか?」、「台湾の日用品、電化製品は、どのようなクオリティのものが売られていて、日本製の評価はどの程度なのか?」等からはじまり…

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もう少し高度になると、「台湾の住宅ローンの利率は大体どの位で、年収の何倍くらいの家を、どこで買っているのか?」「台湾人にとって、資産を殖やす方法として、どんなものがあるのか?」「不動産投資でいえば、台湾の人々は、どの位の値上がり率や賃貸利回りを求めるのか?」等々のテーマがあります。

そこまで、台湾人目線で把握できて、日本と比較してみれば、「いま、年間延べ300万人以上もの台湾人が、日本に旅行に来るのはなぜなのか?」、「日本で不動産購入を希望する台湾人が多いのはなぜなのか?」などの問いに、自ずから答えが見出せるはずです。「日本と台湾を、同じ基準でフラットにみる」のは、そういうことだと思います。

 

台湾人が書いた資産形成の本・・・こういう本は、台湾の人々の投資スタイルを知る上で、とても勉強になります。

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逆に、「フラットでない視点」の例として、どんなものがあるのか?

たとえば、2011年の東日本大震災のあと、日本の富裕層のあいだで、東南アジア新興国の不動産投資がちょっとしたブームになりましたが、その時によく使われたキャッチコピーは、

「日本が将来に不安だから、資産保全のため、マレーシアやタイに資産を移そう」

 

それ聞いた私は、「東南アジアで資産保全?何それ?冗談だろ!と思いました。

日本の将来に不安があるのは、確かにそうです。資産を日本一国に集中させず、世界中に分散させる意味も分かる。でも、フラットな目でみた場合、世界中どの国にも、不安要素はあるはずです。それぞれの国に、具体的にどんなリスクがあるのか、大事な資産を守るという目的にふさわしい国なのか?それらもろもろを考えた時に、マレーシアやタイは、現時点では少なくとも、「経済成長で将来大きく育つかもしれないリスクマネーを置く国」ではあっても、「資産を安全に守る国」ではないはずです。

日本円の価値が今後どうなるか分からないとはいえ、せっかく、世界的な信用度の高い日本円の資産を持ち、かつそれを「守りたい」のに、業者に乗せられて、せっせと、マレーシアリンギットやタイバーツのリスク資産に換える日本の富裕層を横目にみながら、

 

「結局、業者も客も、日本しかみえてないんだろうねえ」

「東南アジアと日本を同じ基準でフラットにみた場合、そういう行動は普通取らないよねえ」

と思ったものです。

(※東南アジアがダメだと言ってるわけじゃありません。最悪なくなってもいい、でも、うまくいけば何倍になるかもしれない余裕資金の置き場としてば、十分アリな投資先です。)

 

2016年は、「アジア太平洋大家の会」の活動に関連して、「世界をフラットにみる」というテーマで、どんどん情報発信していきたいと思います。これからもご愛読のほど、よろしくお願いいたします。

 

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