2017年 1月 の投稿一覧

中国語が世界共通語になったら…

こんにちはManachanです。正月3が日は、いかがお過ごしでしょうか?私のブログは二回連続「語学」ねたでいきます。

最近「週刊現代」で、こんな記事がありましたね。

前代未聞! 中国が始める外国人「ABCランクづけ」制度

 

中国政府は来年4月から、中国に居住するすべての外国人を、Aランク(ハイレベル人材)、Bランク(専門人材)、Cランク(一般人員)に3分類し、それを居住ビザ発給に反映させていくようです。引用しますと、

 

Aランクの外国人は、居住地域に明るい未来をもたらす優秀な人材のことで、居住を奨励する。

Bランクの外国人は、国内市場の需給や発展に応じて増減させていく人材のことで、居住を制御する。

一方、Cランクの外国人は、臨時的、季節的、及び技術を伴わないサービス業などに従事する外国人で、今後は国家政策に基づきながら、居住を厳格に制限していく

 

週刊現代のライターはこれを「世界に例を見ない制度を突然、発表!」と書いてますが、制度の内容自体は、日本も含め世界中の多くの先進国で行われている「ポイント制」そのもので、別に「前代未聞」でも何でもありません。評価・配点の基準も「年齢」「年収」「学歴」「語学力」など、日本とよく似ています。

 

参考)日本政府が実施している「高度人材ポイント制」

 

但し、運用の仕方によっては、前代未聞になる可能性があります。ポイント制を採用している先進国では「海外から新たに居住ビザを申請する外国人」や「国内にいて居住ビザを更新しようとしている外国人」に対してポイント制を適用するものですが、もし中国政府が、2018年4月の時点で、各人のビザ更新時期に関係なく、中国にいる全ての外国人に対して一律にポイント制で篩い分けるのなら、たぶん前代未聞になるでしょう。もっとも、中国政府がまじでそういう運用をするのかは、分かりませんが。

 

上の記事では、中国政府の新制度にショックを受ける日本人駐在員の声が多く取り上げられていました。2005~07年に遼寧省大連市で、現地採用ITエンジニアとして、中国語環境しかない現場で働いた私に言わせれば、彼らの時代錯誤が甚だしくて苦笑してしまう…

 

「たしかにオレは、もうすぐ定年だし、中国語もからっきしできない。大学も私学出だ。だがここでは一応、日系企業現地法人の総経理(社長)だよ。それなのに自分の点数を算出してみたら、Cランクの国外追放対象」

⇒(独白)中国に限らず、外国の地で外国人として居住するってことは、そういうものです。現法の総経理だからといって所在国に必要とされる人材とは限らない。私だって、仲間だって、オーストラリアで、猫の目のように変わるビザ制度に翻弄されながら、歯を食いしばってスキルをつけ、ビザを保持してきたのです。

 

「今度は、駐在員のランク付けだと? 中国は一体、何様なのだ」

⇒(独白)今の中国は昔の中国ではないっすよ。別に日本だから、日本企業だからって優遇されるわけじゃない。それどころか、14億人の巨大市場を求めて、欧米、東南アジアはじめ世界中から、トップ企業が日参してきてる国だから、今さら古い頭で「何様なのだ!」と言ってるようでは他国人材との競争に負けて、そのうち中国に居られなくなりますよ。

 

ま、それはおいといて…よく考えれば、この新制度は「日本人にとって有利」ではないでしょうか?なぜなら、「中国語のペーパーテスト」で「最大10点」が配点されるからです。

この制度で、得する人も、損する人も、いるでしょうが、中国にとって必要な人材を篩い分ける制度であるならば、普通考えて、「日本人で現法の総経理」にも、「欧米人で現法の総経理」にも、等しく適用されるはずです。つまり、HSK(漢語水平考試)というペーパーテストを、中国在住の欧米人も受けなきゃならないわけ。

そうなると、母国で「漢字」を使っている日本人や韓国人がかなりのアドバンテージを得るはずです。中国に長年住んで、それなりに話せても、「漢字」見ただけで悶絶ノックアウト、食堂で昼メシの注文さえできない…という外国人は多いのです。それに比べれば、中国語学習歴ゼロでも、日本人なら漢字メニューみてメシの注文くらいはできるでしょ?

 

私は台湾の師範大学で中国語を学びましたが、学習にあたって日本人の漢字アドバンテージはむちゃくちゃ大きい…これが実感です。

 

・中国語を初めて学習する場合、日本人と韓国人なら1年、それ以外の出身者だと2年かかると言われていた。

・師範大学で実施されるペーパーテストで90点以上とると台湾政府から奨学金がもらえますが、支給されたのは日本人と韓国人がほとんどだった。

・隣の席にいたインドネシア人が「一」とか「中」とか、簡単な漢字から一生懸命書き取り練習していたのを見て、「大変だなあ~」と思った。

 

他国人に比べて、これだけアドバンテージ大きいんだから、中国現地にいる日本人駐在員も、新制度を良いチャンスと考え、とっとと中国語覚えて良いスコア取って、欧米人に差をつければいいじゃん。そういうマインドセットになれば、「中国政府が、日本人を含め東アジア人に対する優遇策をやってくれた!」と実感できるでしょう。少なくとも「言語」の側面から「世界」をみると、間違いなくそのように見えます。

 

今後、中国語が英語に代わって世界共通語(リンガフランカ)の地位を得るのかどうかは、分かりませんが、中国語の国際的地位が今より高まるのは間違いないでしょう。彼等と漢字を共有する日本人にとって、これは世界に出ていくチャンス以外の何物でもないと私は思います。

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「通じる英語は3ワード」の法則

こんばんはManachanです。2017年最初のブログになりました。新年早々、語学ねたでいきますね。

つい数日前、「2017年は外国語学習コミュニティをつくりたい」と書いたばかりですが、日本では、他のアジア諸国と同様、外国語学習需要の圧倒的な部分を「英語」が占めています。私も、英語学習や留学に関するアドバイスを、多くの方々から求められています。

「英語」に関して私がどんな活動をしたいかというと、ずばり、「通じる英語」を普及したい、その一言に尽きます。「ネイティブに通じる英語」というよりは、「全世界に20億人近くいる、非ネイティブも含めた、英語話者コミュニティに通じる英語」ですね。というか、今や非ネイティブの方が主流でしょう。英語はすでに、(英米圏諸国に住む)ネイティブ4億人、非ネイティブ(第二言語として英語を話す人)14億人と、後者が圧倒的に多い世界です。

英語は、現代の「リンガフランカ」。つまりお互い英語を母語としない人々の共通語、コミュニケーションインフラとして、世界で広く用いられるようになりました。英国で生まれた「英語」は、今や見事に、脱・英米化を果たしつつあるといえます。

私は、「リンガフランカとしての英語と、その実用面」に強い興味があります。実際、私が仕事で使う英語も、ネイティブ相手よりはノンネイティブ相手の方がずっと多い。たとえば、来週はドイツ、ポルトガル、スペインに行きますが、現地の方々との共通言語は必然的に英語になります。お互い、ノンネイティブ同士で商談をこなすわけです。

その側面に注目した場合、

・英語を、必ずしもネイティブ講師から習う必要があるのだろうか?英語ネイティブの発音を真似したり、慣用句を覚える必要があるのだろうか?

 

そりゃ、ネイティブから習えるならそれに越したことはないでしょうが、「通じる英語」を学ぶと割り切るなら、同じアジアで英語達者なフィリピン人やマレーシア人、あるいはインド人から習ったって良いではないかと思う。

そういえば、私は英米圏のIT企業に長年勤めましたが、英米人ネイティブよりもインド人相手に英語を使う頻度の方がずっと多かったです。おかげで、インド人のキツいアクセントの英語をヒアリングしたり、彼らにとって分かりやすい発音やピッチの英語で話す能力は非常に高くなりました。こうやって身につけたインド英語アリング能力は、TOEICなどのテストで測れないですが、現場では必須の実用的能力です。

「ノンネイティブにも通じる英語」を、いかにして身につけるか?もちろん、言葉なので慣れて覚えるしかないですが、学習の方向性には配慮した方が良いでしょう。私の意見は、

・発音やアクセントには、あまりこだわる必要はなく、時間をあまり使わないのが吉。

・その代わり、英語の「基本的な構造」を頭に入れて話した方が良い。

 

英語の基本的な構造とは何か?一言でいえば、「S+V+O」または「S+V+C」。。

・英語では、まず「主語」(S)と「動詞」(V)が来て、その次に「目的語」(O)や「副詞・形容詞」(C)が来ます。

・このうち、「主語」(S)と「動詞」(V)は、どんな文章にも、ほぼ必須であると覚えましょう。

・日本語では、「暑い!」「美味しい!」など、一語だけで文章が成り立つことがありますが、英語の場合、「Hot!」とか「Tasty!」などと、一語でいうと座りが悪くなります。”It is hot today”とか、”The roast fish is delicious”など、明確な主語と動詞を前につけると、意味がずっと通じやすくなります。

・適切な主語と動詞が示されれば、たとえ発音を間違えても、聞き手が文脈から理解しやすくなります。たとえば、日本人が苦手な「L」と「R」の発音でいうと、”I eat fried rice”(炒飯を食べる)と言おうとして、”I eat flied lice”(飛んだシラミを食べる)と言ってしまったとしても、聞き手は「炒飯を食べる」と認識してくれます(シラミを食べる人はいないから…)。

つまり英語の文は、簡単な受け答えであっても、「SVO(またはSVC)の語順で、最低3ワード」使って話すと、分かりやすくなるのです。相手がネイティブでもノンネイティブでも、上記を配慮して英語を話すと、中学時代に習った基本的な単語だけ使って文章つくっても「意外に通じるじゃん!」。ごく簡単な心掛けで、英語コミュニケーションの楽しさに目覚める方がどんどん出るといいなと思います。

閑話休題。私はいま仕事の関係でドイツ語を学習しています。ドイツ語でも英語と同様、たとえば「暑い!」と言いたい時、”heiß”と一語文で言うよりは”Ist das heiß heute”と、主語動詞付きの完全な文で言った方が良い。レストランの食事が美味しかったら”Lecker!”というよりも”Das ist aber lecker!”と言った方が自然、だそうです。英語ドイツ語を含め、印欧語系統の言葉はそういうものだと割り切るのが良いのかもしれませんね。

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