将来人口予測が外れる理由

こんにちはManachanです。前回書いた「実はあまり減らなかった日本の人口の好評を受けて、今回も人口予測ねたで、詳しく掘り下げて書いてみます。

「人口予測」は、海外不動産の販売セミナーに必ず出てくるコンテンツといえます。典型的なフォーマットは、

・20xx年までに日本の人口が半減する。
・20xx年までに海外某国の人口は倍増する。
・某国の人口が増え、住宅需要が増え、不動産価値が上がる。
・一方、日本の人口と住宅需要が減り、不動産価値が下がる。
・あなたは、どちらに投資しますか?

 

ここで、セミナー講師に問わきゃならないのは、人口予測の妥当性。どこまで正しいのか?本当に予測通りになるのか?実際、いつの時点まで妥当性をもって予測できるものなのか?

そこで出てくる年号が、2050年とか2060年みたいな遠い未来の話なら、予測はそもそも無理でしょう。なぜなら、前回のブログで書いたように、

・2013年初に発表された社人研の日本人口予測が、
・2014年から早くも外れはじめ、
・2016年の時点で、予測と実績値が73万人も乖離してしまった。

わずか3年でそこまで外れてるのに、なぜ、30年40年後の話ができるの?そんな遠い未来を正しく予測する能力が人間にあるとは思えない。科学的な知見ではありえないことを自信満々に語る人間は、そもそも無知を疑った方が良い。

(注.社人研のレポートを詳しく読むと、自然増減、社会増減のいろんなパターンを予測したものを算出しています。ただ、数ある試算のなかで代表的な「中位推計」が、いろんなメディアや個人に引用されて、独り歩きしてしまったようです。私が「73万人の乖離」と言うのは、この中位推計と実績値を比較したものです。)

 

なぜ、人口予測が外れるのか?主な理由は、「社会増減予測の難しさ」にあると思います。人口予測、理屈的にはシンプルで、

人口増減=自然増減(出生数―死亡数)+社会増減(転入者数―転出者数)

自然増減の方が、予測の難易度は低いでしょう。赤ちゃんを産める女性が何人いて、彼女らが平均何人の子供を産んで…その数や割合が、短期間に大きく変わることは普通ないし、また死亡者数の予測にしても、通常は高齢の方から徐々に召されていくし、その予測には保険業界をはじめ、膨大な知見の蓄積があります。

一方で社会増減は、予測が難しい。誰もが好きな場所に引っ越せる社会で、ある都市に新駅や商業施設ができた、大きな工場ができた、逆に撤退した…そんな要因で、いとも簡単に変わってしまうものです。

 

社会増減予測の難しさゆえ、将来人口予測に大きな修正をした事例があります。「福岡市」です。2010年を基準時点とし、2011年に発表された予測によれば、

2035年が人口ピーク、160万6千人

とありますが、私が同市に住んでいた1997年頃は、「人口ピークは2010年頃で、147万人」と言われていたのです。でも蓋を開けてみると、九州のなかで福岡市一極集中が一層進み、人口150万を超えても全く流入が衰えず、ピーク時人口「160.6万人」に修正されたのです。

つまり、「わずか10年余りで約1割も予測がずれてしまった」わけ。人口予測なんて、そんなものです。ましてや30年後40年後の予測ができるわけがないのです。

 

じゃ、社会予測を含めて人口予測そのものが無意味なのかというと、そうでもないと思います。社会増減をミクロなレベルまで分析・推計すれば、それなりの精度で予測が可能だと思います。

一例として、「千葉県柏市」のホームページから、同市が採用した将来人口推計レポートをみてみましょう。これは、自然増減に着目した社人研の推計に加え、同市で予測される社会増減を細かく分析して、修正を加えたものです。

 

柏市を、20エリアに分割して、

 

各エリアに、それぞれ想定をおいて社会増減を予測し、

 

全市の人口を推計しています

 

その結果、柏市独自の人口推計は、社人研より1万人近く「強気」の数字が出ています。

 

柏市独自の推計が、どの程度当たるのかは、今後判明するでしょう。現時点でいうと、推計よりは人口流入が若干大きいようです。とはいえ、大きく外れているわけでもないですね。

2015~16年(ともに10月1日)の人口増減
柏市推計 2,523人 増
実績値  3,340人 増

 

社会増減に関しては、ここまで細かくエリア分けして、それぞれ想定・推計するのが、現時点ではベストの方法のように思います。ただ、そこまでやっても、妥当性をもって予測できる範囲は、「せいぜい10年」でしょう。現に柏市推計では、社会増減のエリア別予測の対象期間は「2014~25年の11年間」となっています。

 

最後に、日本国全体の人口推計ですが、都道府県、市町村の人口予測よりは、いくぶんやりやすいはずだと思います。なぜなら、県や市への人口流入・流出はコントロールできないのに対し、国であれば、在留資格(ビザ)の発給数をコントロールすることによって、流入数はある程度予測できる。ヨーロッパみたいに陸続きだと難しいけど、日本は島国ですし…

人口減に悩む日本政府が、経済規模維持・拡大のために、「一定規模の人口を維持する」宣言をすれば…たとえばの話、日本国籍者が毎年30万人減ると予測されるなら、その半分、15万人を海外から受け入れると宣言すれば(移民を認める、という意味ではなく、3か月以上の滞在ビザを、年間15万人を目標に発給する…というニュアンス)、

そうすれば、将来にわたって日本の人口がそんなに減らないと予測されるわけで、日本人のマインドも改善すると思うし、海外からの投資も増え、景気も上向くのではないでしょうか?

不可能な目標ではないでしょう。それどころか、「日本人減少分の約50%を、外国人流入で補う」状況は、直近の2015~16年ですでに実現しているわけですし…

 

政府がそこまでやるかどうかは別として、いま日本に住む私たちは、「日本の人口が遠い将来、半減する」ことを思い悩む必要はないと思います。遠い将来のことは、どうせ分からないんだし、今の選択が将来の運命を変えることもあるんだから…

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