こんばんは、Manachanです。
オーストラリア・ケアンズ、妻の実家での滞在も、あと1週間足らずになりました。静かな生活も良いですがそろそろ物足らなくなって、東京でバリバリ活動したくなってきた…
ここオーストラリアで、私は積極的に物件を買い進めてます。不動産投資にはとても良い国なんですが、日本と国情が違いすぎて、日本でセミナーやっても、良さがなかなか伝わらない面があります。特に、日本在住の方がなかなかイメージできないのは、
1)今後30年以上、確実に人口が増え続け、都市圏が拡大を続けるという状況
2)世界中から移民が来て、それぞれの思惑で不動産を買っているという現実
今回のブログでは、2)について書いてみたいと思います。
東京は、日本ではダントツの国際都市。その東京で、私の住む江東区は、比較的コスモポリタンな地区。住民に占める外国人比率は約5%(23区平均は3%台)。区役所の住民課には各国語を話す職員やボランティアが常駐し、小学校のクラスに2、3名は外国籍の親を持つ児童がいます。
しかし、それがオーストラリアの都市になると、桁違い。州都で外国生まれ比率が一番低いアデレードで26%、一番高いシドニーでは39%。小学校のクラスで数名が外国籍、みたいなレベルじゃなくて、クラス全員の両親の出身国を地球儀にプロットするだけで世界地図ができてしまう状態。
そんなコスモポリタンの国の不動産市場がどうなるのか、日本の生活から想像するのは難しいですが、一言でいうと、「いろんな国から来た連中が、それぞれの思惑で不動産を買ったり、売ったり」します。その「思惑」に、それぞれの国民性や民族性が影響するのです。もちろん、個人差もありますが、誤解を恐れずに一般論で言うと、
1)欧米人にとって、住宅は生活を楽しむ舞台である。
この国の人口の大部分を占める欧米系白人は、「ライフスタイル」を何より最重要視します。海の近くに住みたい、あるいは都心近くに住みたい、子供ができたから庭つきの広い家に住みたい、子供が独立したから手間のかからないマンションに住みたい等々…人生のステージや好みに応じて引っ越しし、持ち家を何度も買い替えるのが彼らの常識。また、家賃収入や値上がり益を得たい、節税したい等の理由で、不動産投資も彼らの間では盛んです。
2)日本人にとって、住宅は終の棲家でありマイホームは一生の買い物である。
この国に移住して長い歳月が経ち「オージー化」した人ならともかく、移住してまだ間もない人は、日本での常識である「マイホームは一生の買い物」、「一度買ったらずっとそこに住み続ける」という観念に基づいて行動する人が多い。日本人のなかで不動産投資をする人の割合は少なく、かつ「家を買う場所」=「自分が住む場所」ですからこだわりも強く、住宅価格の高騰した都市では「いつまでも買えずに賃貸暮らし」の方も多いです。貯蓄が得意で住宅取得の頭金を欧米人以上に持ってるケースが多いですが、「虎の子を損したくない」気持ちから不動産購入には概して慎重です。
3)中国人にとって、住宅の所有権は生きていく上での必需品である。
この国に移住する中国人は日本人の10倍以上いて、近年はマネーパワーも絶大なので、彼らの購入行動がオーストラリアの不動産市況に大きく影響します。そんな彼らは、欧米人や日本人とはかなり違う原理で行動します。「メリットがあるなし以前に、とにかく家の所有権が欲しい」、「家を買ったら豪州籍を取りたい」…激動の中国社会で権力に翻弄されながら生きてきた人々にとって、「住宅所有権」や「国籍」は、自らの身を守るための手段なので、利回り云々以前にとにかく買うし、また「中国人は絶対に買う」ことを前提にした住宅販売が極めて盛んです。
余談ですが、中華系以外の多くの国では、都心の良い場所でも不動産の賃貸利回りは通常グロス3%位に落ち着き、それ以下になるとバブルが懸念されるものですが、中華系諸国の都市では「身を守るための採算度外視購入」や「値上がり益目当て」の思惑購入が当たり前なので、賃貸利回りが1~2%みたいな極端に低い数値になるのが「常態」となっています。また、彼らが大挙して海外移住する時、その独特な住宅購入行動と巨額なマネーが不動産マーケットを大きく変える(地元民にいわせれば「壊す」)ことも多く、それはオーストラリアも例外ではありません。
特にシドニーで起こった、ここ数年の大幅な住宅価格高騰は、現オーナーにとってはウハウハですが、これから住宅取得する層にとっては恨めしい以外の何者でもなく、「中国人がバカスカ買うせいで値上がってしまった」という観念も根強く存在します。昨年あたりから中国人のマネーパワーが落ちてきて、シドニーのマーケットも平常時に戻りつつあるように感じます。
なお余談ですが、中国人をはじめ東アジア人は教育熱心ゆえ、彼らの多く住む地域の学校のレベルが上がる…そんな意味でも、オーストラリア社会に大きな影響を与えているといえます。
なお、オーストラリアでは「インド人」も大きな勢力として存在します。資源や食料の輸出先としても、また移民や労働力の供給元としても、大国インドがオーストラリアに対し、末永く大きな影響を与え続けるでしょうが、インド人が大量に流入してきても、中国人のような現象にはなりません。それは、
4)インド人にとって、住宅は大家族の生活の舞台である。
オーストラリアに移住したインド人、シドニーの場合はブラックタウンを中心とする、西部郊外の住宅地に大勢住んでいますが、彼らの場合は、住宅購入の動機は「大人数が住むための、大きな庭付きの家の実需買い」なので、中国人のように投機的な動きにはほぼなりませんし、「インド人が来たから値上がった」みたいな言説は聞いたことがありません。
昨今、インド人のプレゼンスは大きく、メルボルンではほぼ全域にインド系住民が暮らしている印象、シドニーでも西部郊外に向かう電車ではインド系の乗客が半数近くを占めることがあります(もいろんな人種が乗ってるなかで、インド人が多くて目立つ…という意味)。ボリウッドの俳優を呼んで盛大にフェスティバルなどをやったりします。
あと、インド人は英語力が高いおかげで、オーストラリア社会に自然に馴染む者が多いですね。専門的職業の世界でもインド人の存在感大きいです。
このように、オーストラリア都市部の不動産市場は、この国を構成するいろんな民族が、それぞれの思惑で買ったり売ったりする…それを踏まえて、正しく、等身大で理解したいものですね。