2015年 12月 の投稿一覧

なんでもシェア、新しい経済

こんばんは。Manachanです。今日は不動産話をちょっと離れて、「ネット革命とシェアリング・エコノミー」の話でいきますね。

 

香港在住の義姉が、最近、サンフランシスコに行った時のお話、

・サンフランシスコ国際空港から市内まで、タクシーで行ったら片道70ドル
・帰り、市内から国際空港まで、Uber(ウーバー)でクルマ呼んで行ったら、片道28ドル

だったそうです。ここまで価格差あるなら、もうUber使うしかないよねと・・

 

Uberとは、インターネットを使った配車サービス。言い換えれば、「21世紀のネット白タク」…サービス提供側からすると、自家用車と運転手と時間さえあれば小銭が稼げてしまうし、利用者の側からしても、スマホ一台あればどこに居てもクルマを呼べてしまうので便利。世界の多くの国で、「既存のタクシー業界のビジネスモデルを脅かす存在」にまで急成長しています。日本でも東京はじめ主要都市ですでに使えるようになっています。

前出の通り、北米などでは、既存のタクシーよりUberの方がずっと安いケースが多い。オーストラリアあたりで不動産視察して、タクシーが呼びにくい場所に行ってもUberでクルマ呼べてしまうので、実際、かなり重宝します。

逆にタクシー業界など、許認可で守られた業界からすればUberは天敵そのもの。利用者の安全を守るために、さまざまな法規制をクリアするための設備投資もしてきて、人件費や保険料を払って運転手も揃えたのに、客をUberにごっそり取られてしまうのですから。彼らに言わせれば、Uberでサービス提供する側は、業者なら当然支払うべきコストを払わず、ある意味「タダ乗り」しているわけです。実際アメリカはじめ多くの国で、タクシー業界からの圧力で、Uberに対する規制が政治課題になっています。

 

これってまさに、「不動産でいうところの、AirBnB民泊と同じ構図」ですよね?

・既存のホテル業界 vs ネット民泊サービス (AirBnBなど)

・既存のタクシー業界 vs ネット配車サービス (Uberなど)

・既存の派遣業界 vs クラウドソーシングサービス (Lancersなど)

・既存の金融業界 vs クラウドファンディング

 

ネット(スマホ)革命の力で、後者がにわかに勃興し、瞬く間に、大きなマーケットシェアをとってしまう。既存の法規制のなかでビジネスモデルを確立した前者の業界にとっては、当然面白くない話。ですが、規制を加えるにも新たな法律が必要だし、その前に政策立案のための現状把握も必要。それやってる間に、ネット・スマホは超スピードで現実を変えてしまう。

また、日本も北米も市場経済ですので、何だかんだいって、消費者が最終決定権を持っています。「安全・快適を考えてタクシーを選ぶ」消費者もいれば、「安くて目的地に着ければそれでいい」と考える消費者もいる。後者が相当数多ければ、役所も「民意」に反する取り締まりはやりにくい(年中、オーナー社長に罵声を浴びせられてる税務調査官みたいになっちゃう・・・)

現実的な解として、UberもAirBnBも結局、「基準を満たしたもの」が法律で認められ、合法化された彼らがホテル、タクシーの正式な挑戦者になっていくのでしょう。

 

Uberでクルマのシェア、AirBnBで民間住宅のシェア、ついでにオフィスもシェア、自転車もシェア、空き時間を使った労働もシェア・・・「なんでもシェアする、新しい経済」が伸びると、どうなるか?誰が得して、誰が損するのか?

・サービス利用者、特にネットリテラシーの高い者にとっては、福音でしょう。選択肢が増え、料金も安くなるわけですから。

・サービス提供者にとっては、「いつでもどこでも、サービスが提供できる」反面、競争者が増え、「万人の万人に対する競争」になりやすいから、かえってキツイかもしれません。たとえば、タクシー業界にとっては、Uberの出現によって、「同じ街で自家用車を持って運転できる人」がすべて新たな競争相手になりうる話です。

 

私にいわせると、「俺が10年以上前、英語圏のITエンジニアとして職場で体験したことが、いよいよ、人々の日常生活にやってきたのか・・・」と感慨深いものがあります。当時、私はオーストラリアで、サラリーマンITエンジニアとして、業務アプリケーションの開発・サポートの仕事をしていました。

英語を駆使して、ITの仕事をする・・・日本語で言うとかっこよく聞こえますよね。でも実際は、英語が使えるITエンジニアというだけでは、労働力(サービス提供者)としての価値は大して高くありません。インド、フィリピン、中国をはじめ、それができる人間は世界中にゴマンといる。しかも彼らは、先進国の何分の1かの給料で、喜んで長時間働くのです。給料安いとはいえ、それぞれの国では良い大学を出た、若くて優秀なエンジニア達です。そして何より、ネットがつながっている限り、世界中にいるITエンジニアが競争相手になるのです。

 

2003~04年にかけて、私のいたオーストラリアの職場から、アプリ開発やサポートの仕事が、どんどん、労賃の安いインドや中国に移管される事態を経験しました。会社の目指すものばコスト競争力向上、でもオーストラリアで働く我々からみれば、職が脅かされるわけです。

私は、悲しいかな、ITエンジニアとしての技術スキルは、よく言って平均程度。物価の高いオーストラリアで、インドの優秀なエンジニアの何倍もの給料を取っていることを、経営陣に対していつまでも正当化できる自信はありませんでした。「このままでは、職を失う」と危惧した私は、「英語+IT」以外の分野で、ライバルと差をつけることを考えました。

私が見出した答えは、「日本語と中国語と英語ができるITエンジニアとして自分を売り出す」こと。それを履歴書に書くためには、是非とも、中国での就労経験が欲しい。そう考えた私は、2005年、オーストラリアを後にして、中国に国際転職したのです。

日・英・中、3か国語できるITエンジニア・・・これだけのスペックなら、ライバルはうんと減るし、稀少価値になる。明らかに(需要)>(供給)だから、インドなど新興国エンジニアと同じ土俵で賃下げ競争しなくても済む。おかげさまで、2013年にサラリーマンをやめて独立するまで、高い年俸を稼ぎ続けることができました。

 

そして今、世はシェアリング・エコノミーの時代。ネット越しに多種多様なサービスが受けられて便利だけど、サービス提供者にとっては、辛い世の中。通り一遍のスキルしかないと、結局、「万人の万人に対する競争」という、レッドオーシャンのなかで生きざるを得ない。

こんな世の中で、高い収入を得て、生活を安定させるためには、社会的に需要のある分野で、自分自身が「オンリーワン」、「稀少価値」になることが何よりも大事なんだと思います。

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クレジットカード地獄

こんにちは、Manachanです。いま、東京から福岡に向かうJAL機内でブログ書いています(最近忙しくて、ブログ書けるのは移動中くらいですね)。

先週土曜日、「いばら喜大家の会」のイベントで、「スッチー大家」こと上原ちづるさんのコインパーキング投資セミナーがあったので、聴講してきました。彼女のご高名はかねがね伺っておりましたし、以前からのFB友でもありますが、お会いするのは今回初めてでした(遅ればせながら、著書も読みましたよー)。

 

セミナー面白かったです。まず、当たり前の話ですが、

「自分のスキルを上手に使ってる人が、良い結果を出してるんだなあ…」

 

スッチー大家さんの場合、航空機の客室常務で培った「会話コミュニケーションスキル」を、不動産投資・賃貸経営で上手く使ってきたことが、よく分かりました。特に、

・相手を頑張らせる、ものの言い方
・相手を良い気持ちにさせる会話術

は、私も仕事で使ってみようと思いました。

 

もっとも私の場合、会話コミュニケーションが苦手でして(はたからは苦手に見えないかもしれないけど、本心では会話をあまり楽しんでいない…)、スッチー大家さんのまるっきり真似はできないと思いますが、

その代わり、会話以外の得意分野がいくつかあるので(文章の執筆スキルとか、外国語スキルとか、情報収集・分析スキルとか…)、それらを発揮して、お金やビジネスにしていくことの大事さを、再認識しました。それに、もう40歳過ぎたわけだし、似合わぬことで無理したくないしね。

 

あと、スッチー大家さんのお話を聞いてて、私と意外な共通点が、二つありました。

 

1)私の奥さんも、「もとスッチー」

妻は、シドニーをベースに、カンタス航空のFA(フライトアテンダント)を、8年ほどやっていました。だから、いわゆる「スッチー」の仕事がどんなものか、私もよく知ってます。立ちっぱなしの肉体労働(接客スマイルつき)で、見た目の華やかさとは裏腹になかなかハードな仕事ですね。特に妻は、オーストラリア~アメリカ便とか、南アフリカ便とか、時差のきつい遠方へもよく行きました。「到着地ではほとんど寝る。オーストラリアの生活時間に合わせて、現地時刻が昼でも寝る」と言ってましたね。

あと、どこの国でも、暴言を吐いたり、セクハラ・パワハラに走る「困った客」は存在します。妻も当然、「客が何をしたら、どう対応する」みたいな研修を受けていたようです。こういう仕事していると、確かに、不特定多数との会話コミュニケーションスキルは向上しますね。

 

2)「クレジットカード作れない地獄」を経験したこと

スッチー大家さんが結婚して、寿退社された後、ご主人がサラリーマンをやめて、自営業になった時期があったそうです。日本の社会では、自営業の信用度は低い。特に会社立ち上げたばかりの頃は、「お金借りられない」、「クレジットカードつくれない」苦しい時期を誰もが経験します。スッチー大家一家も、子供が生まれて何かと物入りの時期に、クレジットカードが一つもつくれず、大変不便な「日々、現金払い」の生活を送ったようです。

私は意外にも、サラリーマン時代に「クレジットカードつくれない地獄」を体験しました。2005年の春、中国・大連のIBMに就職し、その1年半後の2006年8月、会社の業務命令で日本へ長期出張に来た時の話です。私は日本人なのに、「中国のサラリーマンとして来日する」という、国際Uターンみたいな不思議な身分でした。

来日当初は、一人暮らしだったので、東京中央区八丁堀のワンルームマンションに滞在。翌月、家族(妻と1歳の娘)が来日すると、江東区木場にある、もう少し広いマンスリーマンションに移りました。

日本で暮らすと、当然、日本円を使わなければなりません。が、私のお給料や出張手当は、中国の銀行に、人民元で払いこまれます。そのお金を日本で引き出すことは、当時はできませんでした(中国の「銀聯カード」で、日本の三井住友銀行でキャッシングできるようになったのは、翌2007年のことです)。

当時の私は、日本でかかる生活費のほか、月30万円くらいするマンスリーマンション代も、「自分で立て替え払いして、後日、会社に請求する。その分は中国の口座に人民元で振り込まれる」という生活を送っていました。つまり、「日本円は出ていく一方で、中国に人民元ばかりが溜まる」生活だったのです。

当時の私、日本円の貯金は100数十万円しか残していなかったので、わずか3か月くらいで底をつきそうになりました。「こりゃやばい」と思った私は、「日本の銀行口座とリンクするクレジットカードをつくろう」と思い立ち、近所のショッピングセンターや銀行を回り、クレジットカード加入を、片っ端から申し込みました。ところが結果は、

「ことごとく、審査が通らず、クレジットカードつくれない!」

たとえ日本で働く日本人でも、私の勤務地は中国で給料も人民元だから、日本のシステムでは与信ゼロとみなされるのですね。

 

「これじゃ生活できない!」。困った私は、同時期に来日した中国人の上司や同僚に相談しました。当時、彼らが何してたかというと、「約2か月ごとに中国に里帰り帰国して、そのタイミングで中国から日本に生活費を送金」していたのです。「鈴木さんも中国に帰って送金すりゃいいじゃないですか?」と言われるばかり…

でも私は、日本人だから中国に里帰りする理由がありません。東京で働いて、実家が柏にあって、電車賃500円で里帰りできる人間が、なぜ送金のため中国くんだりまで行かなきゃならないのか?当時すでに、大連の住まいは引き払っていたので、ホテル住まいになるし、それに中国の給料もらってる人間が海外送金するには、在職証明や収入証明など、人事部から4種類くらいの書類をもらって送金申請しなくちゃならないので、きわめて面倒臭い。当時、子供がまだ1歳だから中国に連れていくのは大変な作業だし、奥さん一人を日本に置いていくのも大変。

でも、背に腹は換えられず・・・結局私は、中国に渡航して送金しなければなりませんでした。来日時期があと一年遅かったら、キャッシングできてたから、そんなことしなくてもよかったのにね。

 

後日談になりますが、翌2007年に、私は中国IBMを退社、日本のサラリーマンになりました。在職中に、私が日本で立て替え続けたお金と、中国政府に納めた源泉税の還付金が、中国に残した口座に入金されました。その額、日本円にして300万円を超えていました。それをそっくり日本に送金して、「福岡市でのワンルームマンション購入」の代金に充てました。後から考えると、クレジットカードつくれず、お金で苦労した経験が、「収益物件」というかたちに変わったので、それはそれで、良かったのかもしれない。

 

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大家塾 vs 大家の会

こんばんは、Manachanです。今回は、日本各地にある「大家・投資家の会」について書きますね。

先週土曜日、「いばら喜大家の会」のセミナー&忘年会に行ってきました。実は私、いばら喜大家の会の会員なんです。ここは文字通り、「茨城県の大家が集まる会」なんですが、参加資格を特に設けておりません。私などは、茨城在住でもなければ茨城県内に物件持ってるわけでもないのに、会員にさせていただいてます。そして、二年連続で、茨城県つくば市で開催される忘年会に参加しております。

ここの会、とても居心地がいいんです。まったりとして、自由闊達な雰囲気。代表の柴山さんのお人柄に負うところも大きいのでしょう。ここに顔を出すと、「良い雰囲気の会運営」という意味で、とても良い勉強になります。

 

私は仕事柄、全国の大家団体と付き合いがありますが、大きくわけて、二つのタイプに分かれるように思います。

・「大家塾」的な団体

・「大家の会」的な団体

 

「大家塾」の特徴・・・会の代表として、絶対的なリーダー・指導者がいる。彼(彼女)は大家スキルも高く金融機関との付き合いも多く、会員の不動産購入や融資づけをコンサルしようとする。人間関係は「先生対生徒」のようなタテ型の関係になる。

「大家の会」の特徴・・・会の代表は絶対的リーダーではなく、「皆のまとめ役」みたいな立ち位置。会員が三々五々集まって、気さくな雰囲気のなかで自由に交流・情報交換する。人間関係はフラットなヨコ型の関係。

 

私自身が、「アジア太平洋大家の会」という団体の代表をしていることもあり、全国の大家団体の代表ともいろいろ付き合いがありますが、つくづく思うことは、

・「大家塾」の代表と、「大家の会」の代表とは、キャラクターが全く違う。

・したがって、「大家の会」の代表をやってる人間が、「大家塾」をやりたいとは思わない。その逆も然り。

 

たとえば私は、「大家の会」をつくって、運営してますが、「大家塾」を運営したいとは全く思いません。「俺のキャラクターに似合わない」と思っているからです。前述「いばら喜大家の会」、柴山代表が大家塾を志向しないのも、おそらく同じ理由でしょう。

最近、岡田斗司夫さんの「カリスマ論」(ベスト新書)を読みましたが、そこに、「カリスマ的リーダー」、「教祖的リーダー」、「メンター的リーダー」など、いろんなタイプのリーダーが出てきます。その整理によると、

・大家塾の代表は、「メンター的リーダー」・・・つまり、会員(塾生)と濃密な人間関係を結び、コーチとして指導することで、その成功にコミットしようとする。当然、自分の面倒みれる人数には限りがあるので、大家塾は比較的クローズドな団体になる。

・一方、大家の会の代表は、「カリスマ的リーダー」・・・一言でいうと、「来る者拒まず、去る者追わず」のスタンスを好む。会員との濃密な関係を好まず、広く浅く、フランクに付き合おうとする。彼(彼女)会を運営すると、必然的に出入りの激しい、オープンな団体になる。

 

これでいくと、私は明らかに「カリスマ的」に属する人間でして・・・「アジア太平洋大家の会」でいろんなセミナーやって、日本の投資家〈会員)が海外投資案件に出会う機会をつくろうとしていますが、それで成功するかどうかは、結局のところ会員次第だと思っており、自分が深くコミットする気はないんですよね(サポートはしてますけど…)。

会の代表とはいえ、海外不動産で勝つ方法論を確立してるわけじゃないし、大成功してるわけでもない…そんな奴が、先生面して人様を指導するのは荷が重い。それよりも、お互いフラットな関係で、楽しく学びたい、情報交換していきたいと思っています。

だから「大家の会」やってるんですよね・・・

 

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