TV取材忌避の理由

おはようございます、Manachanです。

私が取り組んでいる「インバウンド不動産ビジネス」(海外の客が日本の不動産を買うお手伝い)関連で、雑誌、TVから取材させて欲しいという問い合わせが、最近増えています。

私、できるだけ快く取材を受けたいのですが、雑誌など文字媒体はともかく、TVなど映像媒体の取材に関しては、かなり慎重です。特に、「鈴木さんが中国人に不動産案内している映像を撮らせて欲しい」みたいなリクエストは、できれば避けたいのが本音です。

物件選びの途中でカメラが回るのは、お客様にとっても不自然なことですし、それに、私なりの哲学と理想、情熱をもって取り組んでいるビジネスを、TV映像という「単純化フィルター」を通じて、私の本意ではないかたちで視聴者に伝わってしまうのが恐いのです。

今後、雑誌TVの取材要望は確実に増えるでしょう。取材前に記者さんに読んでいただくために、今回の文章を書きました。

・私がどんな哲学を持って、インバウンドビジネスに取り組んでいるのか?
・私の仕事を、誰に対して、どのように伝えて欲しいのか?(逆に、どのように伝えて欲しくないのか…)

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いま、海外から日本への観光、留学、就労、不動産購入…所謂インバウンドビジネスは、明らかに中国人(中華系)が主役といえます。

その中国で、私は、サラリーマンをやっていた時期があります。2005~07年にかけて、大連のIBMで、ITエンジニアとして勤務していました。

当時の大連オフィスでは、中国人社員を対象に、欧米と日本のビジネス文化を学ぶ研修が、精力的に行われていました。私も、数少ない日本人社員の一人として、その種の研修に何度かゲストとして駆り出されましたが、参加者一同が真剣に取り組んでいたのが印象的でした。日本に対する理解のレベルも高く、かつ実践的でした。

「日本人は私たち(中国人)と顔はそっくりでも、文化面では相当な違いがあることに注意すべきだ。」

「たとえば、日本人相手に仕事をする場合は、細部まで手を抜いてはいけない。本番の納品物でないサンプルだと、中国人だと適当にやってしまうことが多いが、日本人は完璧に仕上げて当然だと思っている。」

「日本の会社では、たとえ職位が上でなくても、精確にきちんと仕事する現場の労働者が尊敬を得ている。」

「私たちが日本人顧客の信頼を勝ち得るには、たとえ瑣末でも一つ一つの仕事を精確にこなし、きちんと仕事できることを見せることが肝要だ」

中国へ進出する日本企業内で、このレベルの文化研修が行われているのかどうか知りませんが、たぶんやっているのでしょう。異文化を相手に商売するわけですから、まず何より「相手を知る」、「相手社会のメカニズムを知る」、「相手の文化をリスペクトする」は、基本中の基本でしょう。

日本人からみて、中国人の文化は、外見の近さから連想される以上の違いは、確かにある。とはいえ、隔絶したほどの距離感ではないと思います。私は中国のほか、オーストラリア、インド、アメリカで、それぞれ上司や部下と共にチームで仕事してきましたが、それらの国出身の社員に比べれば、中国人社員の方がいろんな面で日本人に近く、比較的似た感覚で仕事できると感じました。

例えば上下関係の感覚、面子(メンツ)の感覚、基本的に真面目で勤勉なこと、上司がいる環境だと遠慮してしまうこと…まで含めて、世界的視野でいえば中国人の文化は日本人のそれに比較的近いと思います。

そんなクロスカルチュラル(多文化)環境で長年過ごして、語学習得や文化理解をした上で、私は東京でインバウンドの不動産ビジネスを興しました。

日本での移住、不動産購入を考える方なら世界中の方を相手にしますが、数量的にいえば現時点では中国人・中華系相手が中心のビジネス。

基本的に中国語(時には日本語、英語)を使ってやり取りをし、お客様のニーズ(日本のビザを取って移住したい、資産の一部を日本に移したい等々…)に合わせて、一緒に事業計画を練ったり、合同会社や法人口座をつくったり、日本の確定申告、源泉税納付、印鑑証明や納税証明の取り方の指導に至るまで、結構泥臭い仕事をやっています。

外国人に都内一等地、数億円の高額不動産を紹介して仲介手数料ゲット…みたいな派手な仕事やりたい気持ちはありますが、私のような無名な零細事業者には、そのような話はあまり入ってきません。泥臭くて細かくて面倒くさい業務ですが私は、

・自己実現の舞台として日本を選んでくれた外国人を誠心誠意サポートする

その一念で、ここ4~5年、頑張ってきました。幸い、私が仕事でサポートした外国人(大部分が中国人、一部が韓国人)は皆、優秀です。日本で事業を興して、きちんと納税義務を果たし、新たな雇用も創り出して、良き市民として日本で暮らしている人が多く、私は自分の事業を通じて、日本の経済社会に対してささやかな貢献ができたと、胸を張って言えます。

日中関係云々とか、大それたことは言わないけど、民間レベルで「地下水脈」のように、国を跨いだ「信頼の環」を広げていくために、私は一事業者として貢献したいし、何だかんだ言って文化的な共通項の多い日本‐中国間だからこそ、比較的やりやすいとも感じています。

そうした「一事業者の思い」が、雑誌・TV取材でどこまで通じるのでしょう?私の意図をちゃんと汲んで読者に伝えていただけるのでしょうか?

一般論として、それは難しいでしょう。特に一般週刊誌や民放TVでは、読者・視聴者のほとんどが、日本人に囲まれて日本語の世界だけで暮らしているでしょうし、彼らを対象とする紙面・番組づくりにならざるを得ないから、私のビジネスの根底に存在する「異文化・外国語理解やリスペクト」まできちんと伝えていただける可能性は低い。字数にも制限あるでしょうし…

どっちみち「私の仕事の表面しか読者に伝わらない」ことが前提になるなら、それが引き起こす「誤解・曲解のリスク」を少なくしたいのが、正直なところです。

これまで私、週刊誌の取材には、快く応じてきましたが、それは文字の情報だからです。「中国人が日本の不動
産を買い来ている」という大きな話の流れのなかで、私のビジネスの話が出てきて、昨今の市況とか、中国人バイヤーの嗜好などを客観的に語る程度であれば、たとえ誤解曲解されても影響はたかが知れている。

しかし、TVなどの映像情報になると、話は違う。「私が日本の不動産を中国人バイヤーに案内している」みたいな絵が、ビジュアルで視聴者に伝わることによって、即時に反応を引き起こす。人によっては、「日本の土地建物を外国人に売り払う片棒担ぎなんて怪しからん!」と感じたりするわけで、

「映像」と「脳内反応」が即時に結びつく時、私がこのビジネスを立ち上げた万感極まる思いとか、長年の海外勤務で培った文化理解…そうした大事な要素が一瞬にして吹っ飛んでしまうでしょう。今はTV映像がYoutubeやニコ動に録画されて永遠に残るから、下手したら取り返しのつかないことになる。

TV局が私に密着取材して、インバウンドビジネスを立ち上げた動機から始まって、私の手助けで日本で事業を起こした中国人とか、私の仲介したマンションから上がる家賃収入で毎年日本旅行する台湾人を取材するとか、そういう企画ならともかく、

「日本不動産を買いあさる中国人」みたいな扇情的な企画番組に私のビジネスが使われるのは嫌だし、もしそうなら基本はお断りのスタンスです。

最初から結論の決まった筋書に、私が苦労して立ち上げたビジネスがネタとして使われたらたまらない

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