10日で辞める社員と、採用担当者の心

こんばんは、Manachanです。韓国出張から帰ってきたばかりですが、来週はオーストラリア出張。日々、忙しく過ごさせていただき有難いです。

今回のブログは、久々にサラリーマンねたで書きます。

入社10日で辞めていく新入社員に思う、採用担当者の本音と葛藤

これ、なかなか興味深い文章ですね。「最近の若者は我慢性がなくて困る」とか、「オッサンが的外れな人生訓垂れてかっこ悪い」とか、賛否両論あると思います。私、筆者の気持ちは良く分かりますよ。

今から10年近く前、中国・大連のIBMで勤務していた頃、私が採用したチームメンバーに、入社わずか10日で辞められた経験があるからです。

24歳のお子ちゃま(2005/12/12)

その時に感じた無念と不条理(?)を、ブログにぶつけました。

「ちょっとこれはヒドいんじゃないの?」という出来事が起こり、久しぶりにマジギレしそうになりました。

私に一言も断りもなく、メール一本入れただけで、仕事を簡単に辞めちゃうなんて、社会人のとる態度じゃないだろー?だいたい俺はこれまで何日間も、あんたの就職手続きに忙殺されたんだぞー。

背景説明しますと、当時の私はメンバー15名からなる、米国本社向けアプリ開発・サポートチームのリーダーでした。要は現場のマネジャーです。米系の外資企業は日系に比べて現場マネジャーの権限・裁量が大きく、人事部もありますが社員採用にあたっては私に事実上の決定権がありました。

当時の中国IT産業はまさに勃興期、社員数も毎年「3倍ゲーム」で増え続けていました。私が大連で入社した当時の社員数350名が、1年後には1000名以上に膨れ上がる怒涛の時代。ここまで大量の新規採用をするため、私の仕事も「日々是、面接」でした。

当時、私が大連で面接した中国人社員の数は100名を下りません。一日2~3人の面接は当たり前でした。今でも日本語より中国語の面接の方が得意なくらいです。

そこまで場数を踏んでも、採用に失敗することは当然あります。が、入社わずか10日で辞められたことは、後にも先にも一度しかありません。

【面接に明け暮れた日々@中国大連(2005~06)】

どの組織でもそうでしょうが、チームメンバーに辞められると、いろいろな人に迷惑がかかります。私のような現場責任者には、客先や上司に対する説明義務が課せられる上に、欠員補充に奔走しなければなりません。また、私の部下も、それなりに時間をかけて業務引き継ぎをするわけですが、その時間・労力も全て無駄になります。

ですので、チームメンバーとして貢献する前に辞められてしまうと、「お前なあ~、いい加減にせえよ!」と叫びたくなるのが正直な気持ちです。どの国、どの会社、どの職務であろうと、会社辞めるからには組織にかかる迷惑や時間的・経済的損失、当事者の苦労に思いを馳せつつ、礼を尽くすのが筋だと思います。

当時、その社員はメール一本で辞めようとしたので、その行動はさすがに、たしなめました。

世の中、仕事を辞めることは、メール一本で済ませるような簡単なものではない。少なくともチームリーダーである私と面と向かって、辞めたい旨を伝えたうえで、許しを請うのが筋だと私は思う。これは、君が将来、プロフェッショナルな組織で働きたいのなら、必ず知っておかなければならない大事なことなのだ。

しかし、採用採用者が辞める者に注意できるのは、せいぜいそこまでだと思います。「下積みで我慢しないと仕事の面白さは分からない」とか、「こんな安易に会社辞めるようでは他でも通用しないぞ」みたいな、オヤジ的人生訓を垂れるのは、私の趣味ではないし、その言い分に大した妥当性もないと思います。

社員がなぜ辞めるのか?こらえ性がないとか、そんな問題じゃない。ほとんどの場合、その企業組織に自分の望む将来が見出せないから辞めるのです。

後で知ったことですが、10日で辞めた例の社員も、その決断にかなり悩んだそうです。有名企業IBMとはいえ所詮インターン採用、給料は安いし、正社員になれる保証はない。彼の地元は中国・遼寧省北部の工業都市、両親は経済的に裕福とはいえず、相当無理をして、息子を大学卒業まで育てた。だから親にも仕送りしなければならない。でも、インターン採用では生活するのにも事欠く給料。

親の(経済的)期待というプレッシャーに直面していた24歳の彼。当然ながら、他社にいくつか応募しており、結局、正社員採用してくれる企業に入社が決まったそうです。

後日談になりますが、私に対して、そこまで心を割って話してくれた彼に感謝したのは言うまでもありません。

採用担当者として、辞める社員を責めたくなる気持ち、「このクソ忙しい時に、面倒かけやがってコノヤロ」と叫ぶ心の声、それは痛いほど分かります。でも、そこはグッとこらえて、笑顔で送り出すべきなのです。

また、会社組織と、自分の人生目標がミスマッチを起こす時、辞めるという選択は、ほとんどの場合、正しいと思います。自分の人生はもちろん、会社にとっても、そうするのが多分、一番いいはず。

「石の上にも3年」とか、「我慢すれば、徐々に仕事の面白さが分かってくるよ」とか、そんな漠然とした言辞でひとさまの貴重な時間を浪費させる気はありません。「慰留」なんて無意味。その人の人生目標にマッチする、具体的な提案を会社ができない限り、引き留めるべきではありません。

待遇を含めて、会社によりよい将来を見い出せなければ、すぐ辞めるのが吉。「辞職」という、自分にとって最高の選択をした社員を祝福して気持ち良く送り出す、それができる採用担当者はプロフェッショナルだと思います。

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