激突!橋下発言vsアングロサクソン

こんにちは。Manachan@ケアンズです。

昨日は、終戦の日でした。この日は、戦争で亡くなられた方を、静かに鎮魂したいものですが、東アジアでは毎年、日本要人の靖国参拝などを巡って、各国のメンツと歴史観がぶつかりあう、かまびすしい日になりますね。

このトピックで、議論しても、たいてい泥沼になるので、深入りしませんが、私の正直な感想をいうと、


日本も中国も韓国も、お互い様というか、同じレベルで、似たようなことやってるというか・・・

日中韓を問わず、「自分の国から出て暮らしたことのない」議員やメディア、国民ほど、好き放題騒ぎたがる。外国で、マイノリティとして暮らした経験があれば、絶対に口にしないような、他国の悪口を、平気で言う議員、メディアが多い。

そうした、「マジョリティの驕り」が横行する限り、日中韓、どの国にも肩入れしたくない。

たとえば昨日、靖国神社で反日的な声明を出そうとして止められた、韓国人議員がいましたが、あのニュースを聞いて、一番悲しんだのは、たぶん、日本に住むコリアンの人々でしょうね。

私だって、海外でマイノリティとして過ごした年月が長いので、あんなことは、絶対にやりません。よその国で、弱い立場で、無礼で非常識なことをしたら、たちまち自分の立場が危うくなるからです。

件の韓国議員は、韓国社会のなかで、身分が守られているから、あんな行動ができるのでしょうね。

やや時期を逸したかもしれませんが、関連するトピックとして、橋下氏の慰安婦発言があります。

彼の発言内容そのものに、私は、さほど違和感を感じませんでしたが、中韓はもちろん、米国をはじめとするアングロサクソン諸国から、大きな反発を受けました。

政治の常として、橋下氏の発言の一部を誇張・曲解して、思う方向に世論を誘導しようとする、さまざまな勢力や、政敵をこき下ろして、のし上がろうとする者が各地で現れました。彼らに肩入れしたくはないけど、結果的には、慰安婦発言は橋下氏の政治的影響力やカリスマ性を損なった出来事として、後世に記憶されることと思います。

もし、橋下氏の近くに、アングロサクソン文化に詳しいブレインがいたならば、あそこまで痛恨な結果にならなかったかとは思います。

英語圏アングロサクソンの国々、特に米国は、性道徳を含めて、モラル的にはかなり「お堅い」国です。

英国や、その流れを引くカナダ、オーストラリアあたりになると、米国よりは多少緩くて大らかですが、それでも、言論が自由なようでいて、実は「それを言っちゃあ、おしまいよ」みたいな決まり事が、結構たくさんあるものです。

Political Correctness (政治的な正しさ)

という言葉がありますが、英語圏の国々では、人種、民族、宗教、性、中絶など、政治的な議論をひき起こしやすいトピックを語る際に、日本人の平均的感覚からいえば、かなり厳格な「配慮」が求められます。

上のようなトピックで、何かを語ると、誰かを喜ばせ、一方で他の誰かを傷つけることが多い。そこで、公的な場では、誰も傷つけないような「配慮ある言葉選び」が求められます。それがPolitical correctnessと呼ばれます。

Manachanブログ - 世界で不動産を買おう!

Political correctnessが厳しく求められる社会を、窮屈に感じる人もいます。一方で、オーストラリアという白人主体の国で、私のようなアジア黄色人種マイノリティは、Political correctnessに、ずいぶん助けられてもきました。

オーストラリアにも、人種差別はあります。街を歩いていて、頭悪そうな白人のクソガキに、黄色い肌を理由に罵られたことは、何度かありますが、職場や大学など公的な場で、人種差別発言をされたことは、皆無です。「人種差別は、人として、やっちゃいけないことだ」という、強い倫理観が、この国のエリートやホワイトカラーには、共有されていました。これは、Political correctnessのプラスの側面でしょう。

一方、日本では、英語圏のようなPolitical correctnessの観念が根付いておらず、国際結婚している私などは、オーストラリアにいた時よりも、人々の心ない発言で傷つけられることが多いです。

性(セックス、ジェンダー)に関しても、厳しいPolitical correctnessが、英語圏では求められます。日本よりずっと、女性が組織の中枢にいることが多いこともあり、性的なことをコメントする時、私はかなり気を使います。

そういう言論環境ではない日本で、橋下氏は慰安婦に関して、持論を展開しました。主な内容は、3つあって、

①慰安婦制度は世界各国の軍が持っていた。当時は慰安婦制度は必要だった
②日本が欧米社会からレイプ国家と見られていることは事実と違う
③米軍司令官に、もっと風俗業を活用して欲しい

橋下氏はおそらく、②「日本がレイプ国家ではない」を一番言いたかったのだと思います。その結論を導き出すために、①「当時の社会的文脈から慰安婦は必要だった」を使い、サイドトピックとして、③「風俗業の活用」を言ったのだと思いますが(注.③に関しては、後日、橋下氏が撤回・謝罪済。)

アングロサクソン的な言論感覚でいえば、①と③が、問題になります。


①お前らの国も、慰安婦使ってただろ?  
③米軍司令官に、もっと風俗業を活用して欲しい
 
⇒ あんた、それ言っちゃあ、おしまいよ!
俺らの国は、(少なくとも建前上は)日本と違って潔癖なんだぞ!
Political Correctnessがあるから、責任ある政治家が「慰安婦必要」なんて、言ったりはしない!
 

橋下氏の思惑とは別に、上のような理屈から、アングロサクソン社会では橋下氏発言を「許しがたい」と感じ、大きな反発を見せたのだと思います。

文化の違い・・・といえばそれまでですが、橋下氏を含めて、日本のナショナリスト政治家は、もっと「アングロサクソン・リテラシー」を身につけた方が得策だと思います。

ニッポン・ナショナリズムを、この地上で体現させようとするなら、どう考えても、米国をはじめとするアングロサクソン世界を味方につける
必要があるでしょう。「中国や韓国と対峙する」スタンスであれば、なおさらそう・・・

特に近年は、米国経済界や政界において、中国・韓国の影響力が拡大し、日本の勢力が先細り傾向にあるようで、それも気がかりな材料です。

私は微力ながら、米国の不動産共同投資プログラムに関わり、利益を上げていますが、不動産に限らず、各種の領域で「米国で活躍する日本人」をもっと増やさなければ、この国のリスクは高くなる。中韓に比べて、誤解されやすい国になってしまう。

グローバル経済社会で、日本の存在感を上げたいならば、「日本の領域に閉じた言論」に終始するべきではない。少なくとも、アングロサクソン世界に通用する「理屈力」をつけるべきだと思います。

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コメント

  1. emiko777 より:

    1. 無題
    とても論理的に納得できました。

    まだまだ日本人は、トップも国際人では無いということですね。

    でも周りのブレーンには分かる人がいると思うのですが。

    今韓国と大変な状況になっていますが、 私はあえて、招待された第10回公州国際アートフェスティバルに参加することにしました。
    でも公州まで一人で行くのは危なさそうなので行くのはやめて作品だけの出品です。
    1年前には考えられなかったことです。
    国際平和とはかなり危ういものだという感じを実感しています。
    しかしそれでもゆがめられた日本の歴史を、正しい歴史を一つ一つ検証して世界へ示す必要があります。

    自虐史観を持つ国民は自らの国を滅ぼします。
    今までの歴史がそれを物語っていますので。
    http://ameblo.jp/yuri-no-hana-777/

  2. 花咲か けい坊 より:

    2. 無題
    私も同じ事を感じていたのでとても共感できました。

    日本にいた時もそれほど対外感情は弱い方でしたが、
    オーストラリアにきて他の国の人たちと仲良くなるなかで、そんなことはどうでもよくなりました。

    そんな事よりも自分が何をしたいのかにエネルギーを注いだ方がよっぽど有意義だからです。

    いつもブログ楽しみにしています。
    私も不動産投資興味があるのでこれからも
    拝読させていただきます。
    http://ameblo.jp/keibou66/

  3. peacocksuit より:

    3. 同感です
    日本で保守よりの人たちは政治的正しさなんてフェミニストや左巻きの連中が振りかざしている大して中身のないものと思っている節があります。
    (もっとも欧米人でも政治的正しさを振りかざす事に疑問を感じている人はいますが。)

    政治的正しさは煩わしいものかもしれないけれどもこれをクリアしなれば自分の発言の背景にある真意を汲み取ってもらえないどころか全然別の解釈をされてしまわれかねないのに。

    橋下さんのように自分の考えに信念があって相手を論破できるような自信がある人はアングロサクソンの考えに従う必要はないと考える人が多いと感じます。

    確かに欧米基準が全て正しい訳ではありませんがその影響力の大きさを軽視している時点で「ああ、所詮この人は国内しか見ていないんだな。」とがっかりします。
    http://ameblo.jp/peacocksuit/

  4. manachan より:

    4. Re:無題
    emiko777さん

    >まだまだ日本人は、トップも国際人では無いということですね。

    難しいでしょう。トップでも、日本の外で暮らしたことのない人が、圧倒的に多いですからねえ

    >でも周りのブレーンには分かる人がいると思うのですが。

    そうであれば、いいんですけどねえ・・・

    >第10回公州国際アートフェスティバルに参加することにしました。でも公州まで一人で行くのは危なさそうなので行くのはやめて作品だけの出品です

    確かに、韓国は、1年前より、行きにくい雰囲気になってますね。

    (逆に韓国人は、ものすごい数の観光客が、日本に遊びに来てるけど・・・)
    http://ameblo.jp/manachan2150/

  5. manachan より:

    5. Re:無題
    花咲か けい坊さん

    >(対外感情)オーストラリアにきて他の国の人たちと仲良くなるなかで、そんなことはどうでもよくなりました。

    >そんな事よりも自分が何をしたいのかにエネルギーを注いだ方がよっぽど有意義だからです。

    その一言に、つきますよね。周囲の雑音を気にせず、自分のやりたいこと、やるべきことに、注力したいものです。
    http://ameblo.jp/manachan2150/

  6. manachan より:

    6. Re:同感です
    peacocksuitさん

    >日本で保守よりの人たちは政治的正しさなんてフェミニストや左巻きの連中が振りかざしている大して中身のないものと思っている節があります。

    それが、大いなる誤解なんですよね。

    日本の右派、保守派が、世界で誤解されやすい理由も、そこにあると思います。

    >欧米基準が全て正しい訳ではありませんがその影響力の大きさを軽視している時点で「ああ、所詮この人は国内しか見ていないんだな。」

    その通りですね。日本の力が弱まる局面で、中国・韓国敵視、欧米軽視のスタンスで、国際社会をどうやって戦っていくのか?あまりに視野が狭すぎないか?

    日本を、平和国家にするためには、本気で外国を研究しなくちゃならないのに・・・
    http://ameblo.jp/manachan2150/

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