名を惜しむフィリピン大統領

こんばんは、Manachanです。

2013年は、フィリピンの当たり年・・・フィリピン国債が、ついに「投資適格」に格上げされ、経済成長率も東南アジア屈指の高さになった。不動産の面でも、ワクワクするような魅力的なプロジェクトが目白押し。

わずか20年前、「アジアの病人」と呼ばれた、政情不安と貧困に悩む国・・・それは、過去の話になりました。今のフィリピンは、伸び盛りの新興経済国。若々しい力と、自信と希望に満ち溢れています。

フィリピン経済の成長には、政治の安定が大きく寄与していると思います。特に、今の大統領、「ノイノイ」の愛称で呼ばれる、ベニグノ・アキノ3世の評判がとても良い。

2010年から始まった彼の治世、わずか3年間で、マニラもセブも驚くべきスピードで発展を遂げました。外資は続々と入る、BPOサービスではインドを抜いて世界一になる、国債格付けも上がる…

経済パフォーマンスは、言うことなしですが、何よりも、大統領の評判は清廉なことと、近代的なルールを徹底させようという強い意志があること。その辺が、特に外国人ビジネスマン・投資家には絶賛されていますね。良い政治をしてると思います。

その成功の秘密を探りたい・・・と思ったわけではありませんが、先週マニラの書店で、こんな本を買ってきました。

NiNoy, Cory, and Noynoy (Yvette Fernandez)

Manachanブログ - 世界で不動産を買おう!

これは、フィリピンの歴代大統領を育み、この国の歴史を変えた「アキノ家」の一代記。平易な英語で書かれていますが、すごい人物が出てきます。

父:「ニノイ」ベニグノ・アキノ・ジュニア (マルコス独裁政権に挑戦し、凶弾に倒れた政治家)
母:「コリー」コラソン・アキノ (マルコスを倒し、フィリピン11代大統領に就任)
息子:「ノイノイ」ベニグノ・アキノ・3世 (フィリピン15代、現職大統領)

若くして上院議員になり、国民の支持を一手に集め、当時の独裁者マルコス政権に果敢に挑戦し、不興を買って投獄され、病を患ってアメリカへ亡命し、その後、フィリピンに帰国した際マニラの空港で射殺される・・・という激動の人生を歩んだ父「ニノイ」。

彼の生き様や、思想が、妻の「コリー」、そして一人息子「ノイノイ」に乗り移って、フィリピン人民を動かす、大きな力になる。この国を前進させていく・・・そんな粗筋。

アキノ一家を美化しすぎているきらいもありますが、それでも、指導者「ノイノイ」の視点を通じて、フィリピンの政治や民衆運動の「雰囲気」を感じられる良著だと思います。

1973年に、獄中で書いた、父ニノイの手記が、感動的です。当時、ニノイ41歳、息子ノイノイはわずか13歳。

(原文)My dearest son,

You are my only son. You carry my name and the name of my father. I have no material wealth to leave you; I never had time to make money while I was in the hire of our people. For this I am very sorry.

The only valuable asset I can bequeath to you now is the name you carry. I have tried my best during my years of public service to keep that name untarnished and respected. I now pass it on to you..

(和訳)息子よ

君は、私のただ一人の息子であり、私や祖父の名前(ベニグノ)を引き継いでいる。私は残念ながら、君に何らの財産も残すこともできなかった。フィリピン国民の公僕となって働き、お金をつくる時間が全くなかった。その点は申し訳ないと思っている。

私が残した唯一の財産は、君の「名前」だ。私は公務のなかで、我が名前が汚されることのないよう、そして人々に尊敬されるよう、最善を尽くしてきた。その名前を今、君に引き継ぐのだ。

もし、現大統領が、父と同じように、「他の何よりも、名を惜しむ」信念の持ち主であり、かつ、大統領職のなかで、信念を貫き通すことができるならば、この国の将来は、明るいと思います。

「名を惜しむ」・・・それは、同時代の人間、そして後世の人間から、政治家として評価されること。より具体的にいうと、正しい統治の結果、より多くのフィリピン人が、教育や仕事のチャンスに恵まれ、子孫により良い将来をもたらすような経済社会を創ること。

これ、言うは易し、行うは難しだと思います。私自身、フィリピン大統領に比べて微々たるものではありますが、アジア太平洋大家の会の「名」を汚さないよう、細心の注意を払いつつ、理念にこだわりながら、会を運営しているつもりですが、基本「お金儲け」の会なので、成功すればするほど、いろいろな人が、いろんな思惑でアプローチしてきます。極めて動的な環境のなか、会をあるべき方向に舵とりしていくのは、簡単ではありません。

海外投資ブームの日本で、量的拡大するのは、簡単です。利益を出そうと思えば、簡単にできる。しかし、私はそれよりも、「名」を残したいのです。「アジア太平洋大家の会」という名が、大家・投資家の立場に立ち、日本人の海外投資リテラシーを高め、実践的な学習のチャンスを与える場、コミュニティとして、同時代の人間にも、後世の人間にも、記憶してもらいたい。

いくら「富」があっても、「名」が汚れたら最後、「富」も台無しになる。「名」さえしっかりしていれば、「富」を含めて、大きな力になる・・・そのことを、フィリピンのアキノ一家は、再認識させてくれます。

フィリピン一国の大統領になれば、もちろん、難易度も、誘惑も、しがらみも、全てがケタ違いでしょう。そのなかで、「ノイノイ大統領」の名が、フィリピンの発展をもたらした優れた指導者として、後世の人々にも記憶されるようになって欲しい。

その頃には、フィリピンが「アジアの先進国」として台頭しているかもしれませんね。

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