2012年 4月 の投稿一覧

ニッポン家賃崩壊時代

複数の国で、賃貸経営をやっていると、つくづく感じるのは、日本賃貸市場の変化の速さ。

とにかく、すさまじい勢いで、変化しますね。もちろん、大家にとっては、嬉しくない方向へ・・・

日本国内では、まず札幌や福岡のような、地方中核都市で、2007~8年頃から、ファンドバブル崩壊の影響による、物件供給過剰と家賃下落の話が、よく話題に上りました。

京阪神方面では、もともと空室率が高いところにもってきて、近年、景気良い話もあまりなく、全体的に低空飛行が続いているというイメージ。

その中にあって、東京と名古屋だけは、もう少しマシなイメージがありましたが、人口に対する供給過剰は相変わらずで、ここ2~3年、家賃下落圧力が、ボディーブローのように効いてきた感があります。

特に、今年から、帝都・東京がにわかに厳しくなった感があります。不景気と、昨年の震災で、東京圏への人口流入が鈍ってきたことも影響しているのでしょうが、

都心にアクセスの良いエリア、イメージの良いエリアでさえ、家賃下げても数か月空いてる等、賃貸付けに苦戦している話が、よく耳に入ります。

都内の街を歩いて、賃貸広告みても、家賃厳しいなあ・・・と感じる今日この頃。

葛西 4.8万円
※都心・大手町まで直通、15分で出られる葛西駅。この広さがあっても、5万いかないのか・・・

世田谷区 5.0~5.1万円
※駒沢学園徒歩5分の立地、BT別でも敷0、礼0、フリーレント1カ月で5.1万・・・世田谷ブランドさえ、通用しない世の中なのか?

日本列島を西に行っても、厳しいことには変わりないようです。

神戸 2012年1月
※ファミリータイプ10万円を超える物件は、皆無。買ったら結構いい値段するのに・・・

福岡 2011年12月
※さすが、九州の家賃最安都市・・・家借りて暮らすには天国かも。

先日のブログで、「不動産最強都市」と絶賛した名古屋でさえ、家賃下落は進んでいるし、いま日本で、賃貸市場が盛り上がっているのは、(不謹慎ながら)震災被災地の高台くらいかなあ・・・それでも、景気良いのはせいぜい3年でしょうね。

私自身、この厳しい日本の賃貸市場で生き残っていく戦略として、二つを考えています。

1)とにかく、中古物件を激安で仕入れる。競売・任売、通常売買を問わず、将来の家賃下落を見越しても、表面20%回るような物件を現金で仕入れて、回す。仕入れ値が安ければ、空室や家賃下落に対する抵抗力も強い。現金で仕入れれば破綻リスクはほぼない。

2)自分が本当に「こだわりのある立地」で、競争力ある「こだわりのテーマ物件」をつくり、経営する。自分がなぜ、この場所で、この住宅を提供するのか?オーナーはなぜ、私でなければならないのか?・・・ちゃんとストーリーを描けるような物件を、市場に提供する。物件はもちろんのこと、大家として、自分が選んでもらえるような、大家の生き様を体現するような物件を企画・運営していく。

厳しいですよねえ。でも、この日本市場でも「勝てる」方法は、知恵をつかえばいくらでも見つかると思っています。

さらに、日本の賃貸市場の弱点を補う、「成長市場」として東南アジア、「安定市場」として欧米先進国での不動産投資を、並行して進めていきたいと思います。

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葛飾区vs足立区

千葉県東葛地域(柏市)出身の私が、馴染みのある関東の他県・他地域を、勝手に語るシリーズ、「他県批評シリーズ」が、なかなか好評を博しています。(これ書くと、アメブロランキングが上がるんだよねえ♪)

第1弾:埼玉の個性(2012/3/9)

第2弾:神奈川の不思議(2012/3/29)

に続く、第3弾で標的になるのは、

東京都葛飾区&足立区

当シリーズも、いよいよ「花の東京23区」に進出ですね。


私の生まれ育った、千葉県東葛地域と、東京の間には、大河「江戸川」が流れています。

「首都圏であっても、東京ではない」微妙な立ち位置のエリアに生まれ、「江戸川の向こう」、光り輝く大都会、日本の首都・東京を、仰ぎ見ながら育ってきました。

とはいえ、東京は広い。私が羨望の眼差しを向ける「東京都心」と、我が「東葛」の間には、「東京でありながら、ユルくて、牧歌的な、昭和の香りが残る、癒し系のエリア」が存在します。それが、

葛飾区と足立区

なんですね。


葛飾区と足立区・・・この2区が面白いのは、

「実際は、よく似たエリアなのに、イメージは雲泥の差」

ということ。

葛飾区といえば、「フーテンの寅さん」(柴又)、「こち亀の両さん」(亀有)という、郷土の誇る「二大ヒーロー」を生みだした土地。

フーテン、破天荒、そして下町の人情・・・極めてキャラの立った、全国的知名度のある、ギネスブックにも載った二人の「人物」(?)の功績により、葛飾区には、「古き良き下町」みたいな、何となく良好なイメージがある。

葛飾の生んだ、スーパーヒーロー

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逆に足立区は、ご当地スーパーヒーローを持たなかったためか、葛飾区に比べて、イメージの面で損しています。未だに、20年以上前に綾瀬で起こった殺人事件のことを取り沙汰されたり、文芸春秋に「下層社会」と名指しで書かれたりと、ダークなイメージがつきまとう。

しかし、現実をみれば、足立区と葛飾区の差が、一体どこにあるのでしょう?

社会経済指標・・・たとえば平均所得、進学率、犯罪発生率、物価、どれをみても、両区の間に、大した差は見てとれません。足立区にヤンキーが多いといっても、葛飾区にだって、ほぼ同じ密度でヤンキーはいます。

地域発展度や、都心への交通アクセスをみれば、ハッキリ言って、足立区の方が上でしょう。

1)「足立区のマンハッタン」と呼ばれ、大発展した北千住・・・これに相当する都市は、葛飾区にはない。

2)足立区人口のボリュームゾーンである東武伊勢崎沿線は、日比谷線と半蔵門線に直通し、いずれも、都心のオフィス街・繁華街と直結。対する葛飾区は、多くの人口が京成沿線に住んでいるが、こちらは上野止まりか、都営浅草線直通で、こちらは都心をちょっと外した微妙なルート。

3)足立区は、葛飾区より面積が広く、これまで「陸の孤島」の多さで知られていたが、近年、「つくばエクスプレス」、「日暮里舎人ライナー」の開通で、「陸の孤島」が大分解消された。一方で、葛飾区には交通の便を改善する、見るべき新線計画はない。

交通アクセスの良さを反映してか、足立区は葛飾区よりも、平均家賃は多少、高くなっています。
交通面では、今の葛飾区は残念ながら、23区で一番不便と言わざるを得ません。

面白いことに、戦前の葛飾区は、東京のなかでも、鉄道先進地域でした。京成電鉄が区内をX字にくまなく走り、「西の世田谷、東の葛飾」と言われたほど、都内を代表する新興住宅地でした。

当時の葛飾が、先進的過ぎたので、戦後になって、開発が進まなかったのかもしれません。
逆に、開発が遅れた足立区が、21世紀になって、つくばエクスプレスと日暮里舎人ライナーという、先進交通手段を一気に手にしたのです。


ですが、この事実こそ、葛飾の地で、「二人のスーパーヒーロー」が生まれた理由かもしれません。

私は、「京成電鉄」こそ、寅さんと両さんを生みだす土壌をつくったと考えています。

昭和の時代から、ずっと時間が止まったような、葛飾区内の都市交通。
21世紀になっても、未だに、昭和の香りを色濃く残す、葛飾の住宅地。
マンションの数は増え、木造住宅は減っても、「レトロな懐かしさ」に溢れています。

特に、寅さんが実家に帰ったり、ケンカして実家を飛び出す時に使う、「京成金町線」なんて、日中は未だに、15分に1本なんですよ。東京23区内とは思えない。まるで地方ローカル線!

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鉄道の高架化が進まず、未だに踏切が多く残り、密集した木造住宅街を縫って走る、
商店街も元気で、下町のおじさん、おばさん達の、威勢のよい声が響く。 

そんな葛飾の風景のなかでこそ、「寅さん」や「両さん」が生まれ、レトロな下町のイメージをつくったのだと思います。

同じ下町でも、高架化の進んだ足立区から、彼らは生まれ得なかったのだと思います。


時代遅れの鉄道、踏切、密集した住宅地、商店街、ガチャガチャ、タイ焼き屋、銭湯・・・今、都内ではめっきり少なくなりましたが、

これは、私にとって、東京の原風景といえるものであり、

海外で暮らしていると、時々、葛飾の昭和な風景が思い出されて、泣きたいほど、懐かしい気分になったりします。

寅さん、両さんは、時代遅れの葛飾が生んだ、キャラクター・ブランドなのでしょうね。

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日本国倒産危機と海外不動産-中編

前回の続きです。

今日、妻と話している時、

「数年後、日本が本当にギリシャみたいになったら、俺たちどうしようか?」

という話題になりました。

妻は、最初、「えっ???・・・日本がギリシャみたいに、なるの??本当に?」

という反応でしたが、私が、

「日本の産業競争力が弱まっている」、「貿易収支も赤字転落」、「少子高齢化が急激」、「財政が維持不可能になっている」、「政治主導の改革も現実には困難」等の要因から、

「財政デフォルトの可能性はゼロではない」と説明すると、納得してくれたようで、話が先に進みました。

とはいえ、私たちのプランは、ほぼ決まっています。

1)家族全員を連れて、オーストラリアに再移住
2)オーストラリア(シドニー)に残した自宅に住む
3)私がシドニーで、ITマネジャーの職に再就職
4)子供たちは現地校に編入

それを可能にする条件も、全て揃っています。

【国籍・ビザ】

・私以外の家族全員が、豪州国籍保持者。子供たちは、豪州人として、現地の公教育を受け、公的医療保険を使うことができる。

・私は日本国籍ながら豪州永住権を保持しており、就労・ビジネスの制限は一切なし。

【就職能力】

・私自身が、グローバル企業のITマネジャーとして第一線で現役で働いており、英語もビジネスレベルなので、短期間、就職活動すれば、現地企業でそれなりの給料を得ると期待できる。

【資産】

・豪州内(シドニー)に2戸の住宅を保有しており、うち1戸に家族が住み、もう1戸から家賃収入を得ることも可能。

・豪州以外では、日本、フィリピン、米国に不動産を所有しており、財政デフォルトで日本の資産が塩漬けになっても、フィリピン、米国から不動産収益が期待できる。

【語学力】

・家族全員が、英語ネイティブかそれに近い状態で、生活のあらゆる場面での意思疎通に問題ありません。

以上、日本人としては、かなりデフォルト対策ができている方だと自負しています。

但し、ここまで対策していても、これまでと同じ生活水準を得るのは、短期的には難しいのではないかと思います。

日本の経済が本当にコケたら・・・もちろん、どういうかたちでコケるかにもよりますが、その影響は確実に、全世界に及ぶでしょう。

特に東アジア、東南アジアは、最も深刻な影響を受けるでしょうね。

中国、韓国、ASEANの製造業が、いま躍進しているとはいっても、日本の部品や基礎技術に依存している面が、どれだけ大きいか?今でさえも。

日本の技術や資金を使って運用されている、道路、鉄道、水資源等のインフラが、アジアにはいかに多いことか。

「日本の技術や部品を、近隣アジア諸国で製品化して、欧米に売る」というグローバル・バリューチェーンのなかに、日本がしっかり組み込まれている以上、日本がコケた場合のインパクトは計り知れない。

下手したら、震源地である日本よりも、さらに深刻な影響を受ける国・地域が、アジア大陸のどこかに、出現するかもしれません。

(リーマンショックだって、米国が震源地にも関わらず、結果的に一番ダメージ大きかったのは南欧とか、アイスランドだったわけですから)

オーストラリアも、もちろん、無傷ではないでしょう。あれだけ、中国への資源輸出や、中国からの投資に依存しているのですから。日本ショック、中国経済の急減速・・・になれば、当然、甚大な影響を受ける。

とはいえ、相対的に、東・東南アジアより、影響は軽微だろうと考えられる。「よりマシ」という意味で、オーストラリアに緊急避難するのは、戦略としてアリだと考えます。

この戦略が、具体的に成立するのは、「オーストラリアでの生活能力」があるからにほかなりません。これがないと、緊急避難も「絵に描いた餅」になってしまいます。

海外での生活能力を構成する要素として、

・現地語でのコミュニケーション能力
・現地の就職(生活費獲得)能力
・国籍・永住権などの身分
・資産背景

少なくとも、この4つは必要でしょうね。もちろん、完璧に揃わなくてもいいですが、この4つが、ある一定以上のレベルに達している必要はあるでしょう。

だからこそ私は、

「日本がヤバい。資産を今すぐ海外に移そう」

という考え方には、賛同しかねるのです。より正確にいえば、4つの要素のうち、1つ(資産背景)しか言及していないことに、物足りなさを覚えるのです。

マジ本気で、日本デフォルト対策するなら、もっと考えなきゃね。

最後に、こう書くと不謹慎かもしれませんが、

日本のデフォルト・経済混乱は、資産づくりの千載一遇のチャンス

とも思います。グローバルに洗練された投資家なら、経済が急激に変わるタイミングを、活かさない手はありません。

それを、後編で詳しく書いていきたいと思います。

前編に戻る
後編(最終回)に続く

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日本国倒産危機と海外不動産-前編

東日本大震災が起こった、2011年が、「海外不動産投資元年」だとすれば、

今年、2012年は、「日本財政破綻危機元年」かもしれません。

日本国の財政が、持続可能な状況でないことは、10年以上前から明白であり、私が補足する必要もないですが、

昨年後半から今年にかけて、「ギリシャのデフォルトと欧州危機」により、日本の借金漬け体質が改めてクローズアップされたり、

ジェームス・スキナー氏の「略奪大国」が出版されたりと、日本財政をめぐる議論が、かまびすしくなってきている昨今、

私自身も、「日本財政破綻危機と絡めた、海外不動産投資について」講演して欲しい、コラム書いて欲しい等、いろいろと要望を受けています。

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我ながら、実に面白い、運命のめぐりあわせだと思います。

これまで7年間、海外(オーストラリア、中国)で暮らし、働き、生計を立て、財産をつくってきた私。

異国の地で、当然ながら、いろんなドラマがあり、様々な苦労もしましたが、
その過程で、ノウハウを蓄積し、私の後に続く人々の、移住相談にも乗ってきました。

その後、日本にUターン帰国して、5年が経過。

いま、日本国の倒産(財政破綻)が取り沙汰される時代になり、少なからぬ日本人が、「日本を離れて、海外で生きるノウハウ」を、身につけたいと考えています。

私の海外移住経験や、不動産投資経験を聞きたいという人も増え、門前市をなしている状態。

こんな時代になるとは、想像すらできませんでした。

まるで神様が、「私の海外での経験や、ものの見方を、日本の皆様に、今すぐ伝えなさい」と命じているかのような・・・

不思議な力が働いているような、そんな感じがします。

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今後、数回にわたって、シリーズで書いていきたいと思います。
まずは、書きたい内容を、整理します。

1)まずは、「日本国の財政危機」に関してですが、

私は、危機だとは全く思っていません。
逆に、財産を劇的に増やす、千載一遇のチャンスだと考えています。

日本経済の成熟、急激な高齢化と人口減少、グローバル化のプレッシャーを受けて、
日本国の運営のあり方(財政)が、身の丈にあった、持続可能な方式に変わっていくのは、歴史的必然。

その変化が、経済社会の混乱を伴う、劇的、急速なかたちで訪れるのが、「日本国の財政危機」の、最もありうるシナリオでしょう。

別に、日本だけが、世界のなかで、ダメダメなわけではありません。

インターネットが普及し、グローバル化が進んだ現代経済は、変化のスピードが非常に速いので、民主的な政治プロセスによる平和的移行は、どの国においても、困難。

リーマンショックだって、ギリシャ危機だって、そう。政治は事態をコントロールできず、火消しくらいしかできません。

我々は、そういう時代に生きていることを、まず、受け入れましょう。

いずれにせよ、日本の財政が劇的に変化すれば、銀行の信用創造のあり方も一変する。
お金の回り方も、これまでとは全く違うかたちで、再編成されていく。

それでも、世の中から、お金がなくなるわけじゃありません。
「これまでと違うお金の流れ」に、上手に乗れれば良いだけの話。

変化が大きいほど、チャンスも大きいはず。
私は、この時代に生まれて、とてもラッキーだと思っています。

チャンスをつかむために、必要なのは、

「グローバルな金融・投資リテラシー」
「世界のどこでも暮らせる能力」

この二つだと思います。

2)「日本国の財政危機対策として、資産を海外に移せばいい」、という考え方には、賛同しません。

このアプローチには、二つ、基本的な誤りがあると思います。

まず第一に、「危機」というネガティブな動機に対する、「対策」という後ろ向きなアプローチで捉えるべきではない。むしろ、「変化」というポジティブな動機に対する、「戦略」と考えるべきであること。

第二に、資産を海外に移すだけで、自分の生活を全く変えないのであれば、「グローバルな金融・投資リテラシー」や、「世界のどこでも暮らせる能力」の向上にはつながらない。

中編につづく。

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