寅さんノマドvs両さんノマド

ここ1~2年、日本で、「ノマド」という言葉を聞く機会が、ずいぶん増えた気がします。

「ノマドライフ」、「ノマドワーカー」、「ノマドスタイル」等々・・・

やはり、この本の影響が、大きかったんでしょうかねえ・・・

ノマドの原語は、英語の”Nomad”。意味は、「遊牧民」、「放浪民」など・・・あまり肯定的な意味はないように思うのですが、

日本語の「ノマド」は、インターネットとモバイルデバイスを駆使して、専門能力を活かして、「好きな場所に住んで自由に働く」ライフスタイルみたいな、肯定的なイメージを持って語られることが多いように思います。

もともと、定住農耕民だった多くの日本人には、心のどこかに、「ノマド的な自由」に憧れる面があるのでしょうし、

また最近、インターネット、クラウド、スマートフォンなどが普及し、「いつでも、どこでも」働ける環境が整ったことも、「ノマド」ブームを、後押ししているように思います。


ところで、ノマドという働き方には、2つのタイプがあると思います。

「全くのフリーランス・自営で、ノマドをやるタイプ」
「企業・組織に属しながら、ノマド的に働くタイプ」

東京の下町・葛飾区の生んだ、二人のスーパーヒーローの例をとっていえば、「寅さん型ノマド」、「両さん型ノマド」と呼べるのではないかと思います。

「寅さん型ノマド」(葛飾柴又タイプ)

全国の縁日をまわり、テキ屋稼業をやりながら、糊口をしのぐ。旅先で美しい女性との数々のロマンスあり、でも結局は、「♪~どうせオイラはヤクザな兄貴~♪」、元のノマドに戻る繰り返し。完全なフリーランス・自営型ノマドが、「寅さんタイプ」。

「両さん型ノマド」(葛飾亀有タイプ)

亀有署に属する現職警察官でありながら、超人的な体力、手先の器用さ、デジタル・ゲーム知識などマルチな才能を活かして、日本中、世界中、いや宇宙空間まで活動の場を広げるのが、「両さんタイプ」。公務員なのに副業・サイドビジネスやり放題、いいのか? (私も人のこといえませんが・・・笑)

ところで・・・・

葛飾から、ほど近いところに生まれ、育った私。寅さん、両さんみたいな、ノマドに憧れるか?と聞かれたら、

憧れません!
だって私、生まれつきノマドだから・・・

そもそも、私の育った家自体が、いわゆるサラリーマン(特に公務員や、日本企業のジェネラリスト会社員)には、肌の合わない気質の家系でした。

東京都心への通勤圏内でありながら、親戚郎党のほとんどが、地元で自営をやるか、「手に職」系の仕事で働いています。

社会人になって、18年。私は常に、「両さん型ノマド」でした。企業組織に属しながら、ほぼ3年ごとに、会社から会社を渡り歩く。勤務時間、勤務地の自由度は比較的高く。海外駐在や出張も多数。

現役会社員で、家族もいる身でありながら、年10回以上は出国してるし・・・

2003年、シドニーに住んでいた頃、書いた、このエッセイ。

旅する暮らし、旅する心 (2003/11/5)

私がこれまで書いてきた、何千ものエッセイのなかでも、特に好きなのが、これです。

当時、35歳の私は、「渡り鳥」とという言葉を使って、「自分は、この人生を、ノマドとして生きるしかない。それが天命なのだ・・・」と、悟っていたような気がします。

また、最近書いたエッセイ、

サラリーマン出口戦略-中編(2012/4/11)

ここでは、「わがままサラリーマン」という言葉を使って、大都会・東京で、スーツを着ていても、実はノマド渡世を送っている、私の職業生活を描きました。

会社員やめたいか?リタイアしたいか?・・・と聞かれたら、私の答えはNO!。

だって、「両さんノマド」が、「寅さんノマド」に変わったところで、別に大差ないと思うから・・・。私にとっては、「亀有に住んでる人が、同じ葛飾区内の柴又に引っ越す」程度の違いしかない。

最後に、ノマド渡世に、一番ぴったりくる歌は、やっぱりこれですね。

「ぼくのミシシッピ」 (「トムソーヤーの冒険」エンディングテーマ)

♪~人が生まれる前から 流れているんだね
 空より広い豊かな ミシシッピ・リバー
 君はいつでも明日を 指差す矢印さ
 知らない世界へ行こうと 歌ってる
 きっといつか ゆくよ僕も きみが目指す海へ
 そして君に 負けないくらい 遠く旅をするんだ♪~

我が地元の、利根川や江戸川であろうと、あるいはシドニーを流れるホークスベリー河であろうと、川面を眺める私の瞳に映る情景は同じ。

それは「冒険の心」と、「知らない世界への憧憬」。

Facebook にシェア

SNSでもご購読できます。

コメント

  1. manachan より:

    1. 定住は苦痛
    昨晩、飲み会で、こんな話になりました(よく出る話ですけど・・・)。

    「鈴木さんは、ひとつ選べるとしたら、世界のどこに住みたいですか?」

    私の答えは、こう。

    「別にどこだっていいです。世界中、どの土地にも、それなりに良さはあるので・・・但し、次の場所に移動できるのが前提。どんな素敵な場所でも、そこに一生住み続けなくちゃならないのは、私にとって苦痛」

    たとえば、これまで住んだ4カ国11都市のなかで、「オーストラリアのシドニー」は、かなり住みやすい場所だと思いますが、それでも、あそこで一生暮らすのはあり得ないな・・・
    http://ameblo.jp/manachan2150/

コメントを残す

*