【グローバルIT】第6回・女性管理職が当たり前(2009/10/10発表)

長年、海外で暮らした後で、日本の職場生活に戻ってくると、
どうしても気になるのは、「日本では、責任ある役職についている女性が、とても少ないこと」です。

少なくとも、私がこれまで働いたことのある、オーストラリア、米国、中国、インド・・・どの国と比べても、
日本のITの現場では、女性管理職の割合が、明らかに低いと感じます。国内企業はもちろん、外資系であっても、そうです。

日本において、経済社会活動における女性の参画度合いが、欧米先進国に比べて低いのはよく知られていますが、
アジアの新興国と比べても低いと言われると、違和感を持つ人もいるかもしれません。

ですが私の見聞した限り、中国やインドのグローバル企業では、女性のボス(取締役、執行役員クラス)は珍しくありませんでした。
私自身も、IT業界で過ごした12年半のうち、直属の上司が女性であった期間が、半分以上を占めます。

また、10年ほど前の話になりますが、IBM社において、各国事業所における女性管理職の割合を調査したことがありましたが、
日本は韓国と並んで、アジアの中でも最下位グループだったそうです。その状況は、今でも大きく変わっていないでしょう。

実際、2005年の総務省『労働力調査』によると,日本の女性管理職の比率は10.1%にとどまり,米国の42.5%,イギリスの34.5%,
ドイツの37.3%などを大きく下回っています。

中国でも、私営企業であれば、女性管理職の割合は3割を超えている、という数字があります。

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欧米諸国のグローバル企業の現場では、概ね、「ジェンダーフリー」が実現していると感じます。

そこでは、男女を問わず、同じ職種であれば基本的に同じレベルの期待が与えられ、権限や責任にも、原則、男女差はありません。
なおかつ、中間管理職層に、女性が3~4割を占めている世界ですから、
実力のある女性社員は、男性と同じくらい、昇進のチャンスがあります。

しかし、上のような原理で運営されている欧米企業が日本に来た途端、女性管理職の比率が、なぜか1割程度になってしまう・・・
外資系とはいえ、社員のほとんどが日本人になりますから、日本企業社会の価値観が、組織に反映してくるのでしょうね。

日本人の女性社員が、欧米人のそれに比べて、能力が低いわけでは全くありません。むしろ、優秀だと感じることの方が多い。
ですが残念ながら、日本の企業社会の中では、男性社員と同レベルの期待や、昇進機会が与えられていないのでしょうね。

いくら優秀な素質を持っていても、ビジネス能力は「期待」や「責任」によって、長い時間をかけて磨かれていくものですから、
組織のなかで適切な期待が与えられていないと、大きく伸びていくことは難しいのです。

もちろん、日本でも物凄く優秀でガッツあふれる女性たちがいて、起業したり、組織のトップまで上りつめる人もいますので、
私が先ほど言ったことは、一般論に過ぎません。でも、
スーパーレディーじゃない女性社員が、企業のなかで、適切なチャレンジを与えられて成長できる機会が、
日本にはまだまだ少ないと感じます。

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ところで、いくらジェンダーフリーが実現している職場であっても、
女性が長い期間、充実した職業生活を送るにあたっては、超えるべきハードルがいくつもあります。

出産・育児は、その最たるものですが、
『女性同士の確執』というのも、国を問わず、並々ならぬ難しさがあるようです。

面白いことに、私がこれまで一緒に働いた女性上司は、
アメリカ人、中国人、シンガポール人、ペルー系オーストラリア人等・・・国籍は様々でしたが、
一人の例外もなく、「職場でライバル関係にある女性の同僚」との間で、深刻な確執を抱え、悩んでいました。

管理職というのは、仕事柄、社内政治が避けられず、敵も多く、つらい仕事ではありますが、
男の私からみると、「一体全体どうやったら、そんなにこじれるんだろねえ」と不思議になるほどでした。
もちろん、男同士の間でも、いろんな確執があるものですが、女性に比べて、感情的にカラッとしている面がある分、
ことは単純なのかもしれません。

深刻に悩む女性上司にとって、私という年下の男性部下の存在は、一種の『癒し』だったようです。
だいたい、私のルックスが癒し系で、「熊のプーさんのぬいぐるみ」みたいな顔と身体付きをしてますし、
そんな可愛い(?)部下が、愚痴を延々と聞いてくれるから、またとない気晴らしになったんでしょうね。

おかげで、女性上司と私の関係は、ものすごく良かったです。お互い信頼・尊敬し合う、とても美しい人間関係を築いてきました。
職場が変わっても、何年もコンタクトを取り続け、友情を暖めてきました。

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最後に、これからビジネスキャリアを伸ばし、経済的に自立していきたいと考える女性に対して、私がアドバイスするとすれば、

日本のなかで、比較的女性が働きやすいといわれる外資系で働くのも手ですが、
いっそ思い切って、英語圏や中国に留学して、言葉を覚えて、現地で(できればグローバル企業に)就職してしまうのも、お勧めです。
そうすれば、「本当の意味での、ジェンダーフリーの職場環境」を、肌で実感できるからです。

そういう職場環境を得るのは、日本ではまだまだ、難しいのだと思います。

もっとも、私と一緒に働けば、話は別ですがね・・・。

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